「おお、あっきー!」
「どうした轟」
「聞いて驚くなや・・・」
「お・・・おう」
「今の時代はボクっ子やで!」
「は?お前とうとう骨の髄まで逝っちまったか・・・」
「ま、そーいうわけやからまたな〜」
そう言い残して意気揚々とどこかへ疾走する轟
「・・・」(何しに来たんだアイツは・・・)
馬鹿はほっといて寮に帰るか
――寮の自室
「ふぅ・・・」
授業には慣れたつもりだったがまだ疲れが残る、
やることもなかったのでベットに横っていると
「もう寝るのか日野」
「いや、ちょっと疲れたから横になってるだけだ」
「そうか」
珍しく大地から話しかけてきたかと思うとそっけなく机に向かう
(そういや・・・)
「大地は好きな人のタイプとかあるのか?」
「な、なんだ急に」
「轟のやつが時代はボクっ子だ・・・とか言ってたから大地も、と」
「そんなわけあるか、大体そう言う日野はどうなんだ?」
「俺か・・・よくわかんねえな」
「彩京とかか・・・?」
「なんでその名前が出るんだよ、あいつとはそんなんじゃない」
「そうか、そういえば彩京から日野にこれ預かってるぞ」
「なんだこれ?」
大地から投げ渡されたのはラッピングされた小さい箱
「生ものだから早めにとのことだ」
「りょーかい」
ラッピングを綺麗にはずし箱を開けると
「チョコレートか」
* * *
(まったく日野は急になんてことを聞くんだ・・・好きなタイプか、いや私は・・)
どんなに男を取り繕ったところで中身は歳相応で本来なら恋や青春を謳歌しているはずの少女、
日に日に増していくルームメイトへの思いは彼女のメッキを剥しつつあった。
(私・・・僕はどうしたら良い・・・?)
その後に続く名前はもちろん想い人、だがその当人に悩みを告げてしまうと今の関係を壊してしまうかもしれない。
言葉すら交わせなくなるかもしれない、それは絶対ダメだ。
そう考えると無理な話だとわかってはいても、やはり考えは巡ってしまう。
悶々と悩みを抱える少女をよそに魔の手が・・・。
「大地・・・」
!?不覚だった、注意が逸れていたとはいえ背後の日野に気づかなかったとは
「なんだ日野・・・・・・?」
振り返ることすら出来ないほど異様な雰囲気の日野を肌で感じ取った大地だったが、動けなかった。
日野の突然の耳への愛撫には・・・
(んっ・・耳が・・)
「やめろ日野、正気か!」
抗う声にも初めて味わう感覚でいつもの凛とした力はない
「・・・・」
日野は大地の言葉に反応することなくたんたんと少女に愛撫を続ける
「おい、んっ・・・やめ・・・」
日野の手から逃れようとするが、四肢に力が入らない
動揺し焦る大地の気持ちに反して日野は大地のシャツのボタンに手をかけた。
秋の抜き打ち試験の時に直に触れ、やや念入りに治療したその指で今、男としての砦を崩されようとしている。
本来なら危機感を覚えるはずのこの状況にそれ以外の感情がふつふつと湧き出てくるのを大地自信感じ取っていた。
(僕は・・・今だけ・・今だけ女の子になっても・・・)
大地の心は耐え忍ぶ恋と自分に課せられた使命との間で揺れ動いていた。
そんな乙女の純情な気持ちは露知らず日野秋晴の酔っ払いは変貌を遂げていく
「・・・んあ?どうして俺は大地を襲ってんだ?」
(やはり意識がなかったのか・・・)
「僕が知るか、さあ早く手をはなせ・・・・・・きゃっ」
急にお姫様抱っこの形で抱きかかえられた大地はつい女の色を出してしまった。
「前から思ってたが、おまえは可愛い男の子の域を超えすぎてねーか?ちょっと確かめてやるよ」
そう言うと大地を自分のベッドに下ろして上着を奪った。
「やっ・・やめろ日野!」
今度は手足に力が入る、逃げ出せると確信した大地だったが
「あんまり騒ぐなよ」
大地の頭に手を回して体ごと奪うようにして、その少女の柔らかな、異性を知らないその唇に自身の唇を重ねた。
「んっ!?んー・・・んっ」
(日野と・・・)
抵抗したのも最初だけで、夢にまで見た日野とのキス、初めてのことだったので戸惑いがあるものの唇に触れる暖かさが全てを真っ白に染め上げるような感覚に襲われていた。
大地がキスに気を取られていると日野は大地のサラシに手が伸びていた。
「どうしてサラシなんて巻いてるんだ?男なら必要ないよな?」
「そ、それは・・・ん」
(日野の息が・・・当って・・・・・・・)
耳元で囁かれる言葉の一言一句が大地を官能の渦へと誘う。
容赦なくサラシを剥ぎ取る日野、サラシの下には微かだが膨らんだ女性の胸が姿を顕にした。
その先端には綺麗な桜色を帯びもうすでにピンと固くなった突起物が愛撫を誘うかのように淫靡な牝の匂いを醸し出していた。
「もうこんなに感じてんのか?」
日野の指が優しく胸を撫でる
その手の動きにいつもの日野を強く感じた。
「ん……」
もう私の体は日野の成すがままになっていた
愛する者に与えられる快楽に魅了されていたからだ。
日野の手が自身の大切な秘部に伸びているのがわかっていても
大地には待つことしか出来なかった
「抵抗しねぇのか?大地」
日野は最後通告だと言わんばかりにそう僕に告げる
「そんなに意地悪しないでくれ……僕は限界だ…」
そう言った大地の頬はほのかに赤く染まりどこか艶やかな表情を見せていた。
大地に答えるかのように再度唇を重ねる日野
最初のものとは違う二人の気持ちが入り交ざったような舌を絡ませる大人のキス
二人は互いを確かめ愛する気持ちが高ぶる程にその激しさも増していくかのようだった。
大地は日野を二度と離さないという想いからか背中に手を回して日野を抱きしめた
(日野……日野……)
意識は朦朧としながらもこれまで表に出なかった気持ちが爆発したかのように日野を求める大地
そんな大地の秘部を指で愛撫し始める日野
「んんっ……ん」
彼女の可愛らしい声を一音も逃がすまいとする日野のキスとあいまって
大地を快楽の高みに誘うのであった。
(日野の指だけで…もう……)
「んっ…ああぁっ!!日野ぉっ!!」
快楽の絶頂を知らなかった少女はあまりの快感に意識を失ってしまった。
「うっ……」
そして少年も少女の後を追うようにして眠りに落ちてしまった。
―――翌朝
「……って朝か?」
鳥の囀りと朝靄の中で目を覚ました日野は手元にいつもとは違う人の体温を感じ
それが衣服を一切纏っていない自分のルームメイトだということに気づくのに0.2秒かかった