きっかけから話すならばそれはまったくのいつも通りの秋晴の発言からだった。  
それに腹を立てたみみなが我慢しようとして、失敗して  
そして理事長のところから何本かの缶を持ってきたところからおかしくなり始めた。  
 
「いつものことだけどどうして秋晴くんは私に対して敬意が足りないの」  
 
真っ赤な顔をしてしかしいつもとは違う口調で正座させた秋晴を叱るみみな  
その顔は彼女の背後に転がっている一本の空き缶のせいか妙に赤かった。  
具体的にいうと泥酔していた。そしてそんな彼女の手には新しいチューハイの缶  
フルーツの絵が描かれたそれの栓を開けようとするのを秋晴は言葉で静止しようとするが  
それはもう十数分前から止められずにいる光景である。  
そんな彼の心境を一言であらわすならば「長い」につきる。  
というのも秋晴は先ほどからみみなの背後にある元脱衣所の扉があった場所をちらちら見ている。  
その先にはルームメイトの大地がいる浴室の扉、彼が浴室に入ってすぐだろうか  
一口で酔っ払ったみみなが振り下ろした椅子により破砕されたドアの残骸が転がっている。  
 
すでに三回は繰り返された同じ内容のお説教に飽き飽きしながらも  
秋晴はなぜかふわふわした気分に襲われかけていた。  
というのも彼の座る床は一面水浸しというかアルコールびたしである  
転がるビンには日本語で読むならば「スピリタス」と描いてある。  
蒸発する高濃度のアルコールに晒されて、  
結果から述べるならば彼は完膚なきまでにアルコールに負けたのだ。  
 
「・・・いい秋晴くん」  
「よくねえ、だって先輩子供じゃねえか、胸ないし」  
 
ゆえにここからはもうグダグダになるのもしかたなかったのかもしれない  
ゆっりと突如立ち上がる秋晴、その片手にはまだあいていないビールの缶  
そのプルトップを迷わず引き空ける秋晴にみみなは  
 
「うう、あるもん、ちゃんとおおきくなってるもん」  
 
舌が回らないながらも必死に反撃を試みる。  
 
「うそだね、だってほら・・・」  
 
いいながら秋晴はみみなのシャツの襟首から手を突っ込むと  
 
「こんなに平らだし・・・それに」  
 
胸をつかめないながらも先端に指を這わせ  
続いて声を上げようとしたみみなのあごをつかむと唇をあわせ一気に主導権を奪った。  
して口の中にあるビールを流し込むように舌を進入させると  
恐れるようにもがくみみなを横目で楽しむように大胆に舌も指も動かし続ける  
そして次第に力が抜け逃げてばかりだった舌をみみな自身から絡め、胸の先端がとがり  
つまむたびに声を上げるようになったのを見計らって体を離す。  
 
秋晴は邪悪な笑みを浮かべた。酔っていた。本当はぜんぜん慣れてなんかいない  
しかし酔っ払いの勢いというものはとまるということを知らない。そして  
 
「そ、そんなことないよ、私は大人だもん、知ってるよこんなことくらい」  
 
 本当は初めてのキスだったにもかかわらずもう一人の酔っ払いも止まるということを知らなかった。  
そしてこの状況を唯一とめることができるきわめて優秀な人間は  
 
「ど、どうしよう、出たら裸が見られてしまう」  
 
この場においてはまったくの役立たずだった。  
 
 
「じゃあこれからどうすればいいかわかるよな」  
 
と声には出すが実は秋晴もよくはわからない、せいぜいが本やビデオで得た知識でしかない  
しかしみみなはそれ以上に何もわからない、だからとりあえずわかること  
服を脱ぐことからみみなは始める。心の中を占めるのは「下級生になめられてはいけない」という感情だけ  
冷静に考えることができるならば顔を真っ赤にして想像することもうまくできないそんな行為も  
手に持ったワンカップの日本酒が後押しをかけ止まらない  
向かい合う秋晴も負けてたまるかとばかりに服を脱ぎだす。まるで競い合うように服を脱ぐ二人に対して  
風呂場の大地はどうやって服を着ようか思考をめぐらせては湯船に深く浸かるといった無駄な行為を繰り返す  
 
「私の勝ちだよ」  
 
何が勝ちなのかわからないがそう勝ち誇る全裸のみみなを前にして「負けた」とつぶやく秋晴  
無論秋晴もどうして早く脱がないと負けだったのかなんてことはわからない  
しかし負けっぱなしのはずもなく  
 
「しかしこうしてみると先輩見事に平らだな」  
 
憎まれ口をたたくのを忘れはしない、それに対してみみなは  
 
「そういう秋晴くんだって・・・大きい」  
 
言い返そうとして見事に失敗していた。  
 
「今度は俺の勝ちだな」  
「うう、負けないもん、えいっ」  
 
どうしてそうしたのかもよくわからないままみみなは秋晴に飛びつく  
すると秋晴も酔っているせいもあるだろうか、足を滑らせ尻餅をつく  
痛みに驚き次に顔が近い、そう思うまもなく今度は秋晴がみみなに唇を奪われる  
 
(今度は負けないもん)  
そしてそんなみみなの思いは見事にかなった。みみなの尻の下を固くなった秋晴が突き上げてくる。  
それがみみなはうれしかった。だからその手を緩めようとはけしてしない  
しかし秋晴も負けてはいない、すぐさま左手をみみなの小さな背中に回すと右の胸のわずかなふくらみをもみ始め  
右手でみみなの下腹部のまだ毛も生えそろっていないぬかるみに指を這わせる。  
秋晴もみみなもどこをどうすればいいのかなんてよくわからない、そもそも見てすらいない  
しかし相手の反応を探るように手を這わせ舌を絡め続ける。  
首筋を二人の唾液がたれても気にせずそのままいつまでもその状態が続くかと思われたそのときだった。  
 
「!」  
 
みみなの体がまるで電流を流されたかのように反応する。  
秋晴の指先はぬかるみの頂点にある固くなった肉突起をやさしくしかし完全に捕らえていた。  
しかしみみなもそのうつろな意識でついに秋晴をつかむ、揺られ翻弄する体に抗うように  
その異性そのものを放さない、そのままみみなは意識が遠くなるような錯覚を得て押し倒されるように横にされ、  
ついに二人の唇も離れる。息が荒い、肺がようやく得た新鮮な空気を求めて活動を再開する。  
みみなが思い出すのは最後に手の中でわずかに膨張しふるえた暖かい感触  
秋晴が思い出すのは腕の中で緊張し弛緩していく子供にしか見えない小さな先輩の紛れもない女性の体  
 
二人ともついには知ることもなかったがこのとき実はお互い素面に戻っていた。  
ただ酔った勢いということにしないといけないその強迫観念のみが二人を不自然な行動に現れる。  
そのときなぜか最後までしたいと思ったのだ。たとえ相手が本当は素面だと気づいても  
酔った勢いという理由がなければできないということに気づいていたからかもしれないが、ともかく  
 
「先輩って・・・きれいだな」  
「ありがとう秋晴くん、秋晴くんこそ格好いいよ」  
 
二人とも冷静に考えれば先ほどまでと言動が違いすぎるのだがそんなことに気づく余裕はない  
正確にはうすうす気づいてはいたがそんなことで冷静さを取り戻すことがたまらなくいやだったのだ。  
そしてお互いの本心でもあった。だから横になったみみなに覆いかぶさるように  
 
「いいよ秋晴くん」  
「わかった、『みみな』」  
「え?、痛っ、いた、いたいよー」  
それは一瞬のことだった、名前を呼ばれて驚いたみみながそのことに思考をめぐらす間もなく  
秋晴の肉杭はみみなの初めてを散らしていた。ゆっくりなんて我慢ができなくなったのだ。  
秋晴も若かったということもあるし何か胸を突き上げる想いが彼の腰を強く動かした。  
 
「いや、いたい、いたいよ秋晴くん」  
 
体を引き裂かれるような痛みに涙をこぼすみみな、しかし秋晴には彼女を気遣うほどの余裕がまったくなかった。  
ただ頭の中にあるのは始めて抱いた女性の体の快楽への感動のみ、だから最後秋晴が外に精を放ったとき  
どう気持ちよかったのか思い出すことさえできなかった。それくらい興奮していて  
だから目の前で痛みに涙をこぼすみみなを見てようやく我に返ったとき、秋晴は猛烈に後悔していた。  
先ほどまであった初めての異性から得る快楽なんてぶっ飛ぶほどに、  
 
「ごめん、ごめんなさい、最低だ、最低だ俺」  
 
そうつぶやいて秋晴は無様に泣いていた。失敗した、一生で初めての体験でこれ以上ないほどの失敗をした、  
相手にものすごい傷を負わせてしまった。取り返しのつかないこと、二度と取り返せない涙を流させてしまった。  
せっかく許してくれたのに、いいよっていってくれたのに、自分がそれをすべてぶち壊したのだ。  
止まらない、情けなくて、悲しくて、申し訳なくて、何よりも目の前で泣いているであろう小さな女性がいとしくて  
泣き声を隠すこともできず子供のように泣き出してしまう、  
 
そんな秋晴を見てみみなは思う、自分のせいだ。女の初めてが痛いなんてこと自分はよく知っていたはずなのに  
我慢できずにないてしまって悲鳴を上げて、それは確かに痛かったけど、目の前の秋晴をこんなに泣かしてしまった。  
せっかく結ばれることができたのに、私が痛かったけどうれしかったということを伝えることができなかったせいで  
 
「ごめんね秋晴くん、ごめんね、ごめん、うわぁぁぁん」  
 
 
 
 
 
そんな二人の世界に入っているということも露知らず時計の短針が真上をさらに過ぎるころ  
 
「待てよ、換気扇をはずして天井を伝っていけば自分の部屋まで」  
 
大地が真剣に考え、考え抜いて、実は女だとばれてもいいと覚悟を決め  
浴室を出たとき、大地の悩みの種であった二人は生まれたままの姿で抱き合いながら眠っていた。  
これ幸いと服を着込むとようやく冷静な頭脳が戻ってきた大地は二人を起こそうとしてふと気づく  
 
「僕にどうしろというんだ」  
 
気まずい、ひっっっっっじょーーーーうに気まずい、  
二人がナニをしていたのかなんてことは見るからに明らかなわけで  
たたき起こして日野に片付けさせるのもなんか嫌だ。  
というか同室に僕というものがありながらこのちんまい先輩とそういう関係になるなんて  
何を考えているんだとか混乱のきわみにある。  
 
「・・・・仕方ない、僕が片付けるとするか」  
散らかったビンや缶を拾い脱ぎ散らかされた服を拾い集める  
幸いすやすやと眠っているようだと思いながら大地は二人に服を着せ  
そのとき秋晴の裸をはっきり見てしまいどきどきしたりしながら  
みみなを彼女の寮の部屋に運んだり秋晴をベッドに運んだりごみを片付け終わるころには太陽があがっていた。  
 
「ははは・・・なんてことだ」  
 
おかしい、どこで時間を無駄遣いしたんだ?考えて考えて  
つい3時間前のことを思い出す、自分は秋晴の裸を思い出して何をしていた?  
我慢していたとはいえ不覚にも3回も達するまで続けてしまったではないか  
 
「日野が悪い。どう考えても日野が悪い、よしおきてきたら」  
「ん?俺がどうしたって?」  
ぶつぶつつぶやいているところに肩をたたかれて飛び上がる。  
 
「うわっ、いきなり背後に立つな、びっくりしたじゃないか  
お前というやつは・・・なんでもない」  
 
「ん、そうか・・・お、部屋片付けてくれたのかありがとな」  
寝ぼけ眼の秋晴をにらめつけようとして、想像の中の秋晴と結びついて大地は顔を紅潮させる。  
それを見て秋晴も思い出し  
「わ、悪い、聞こえてたか」  
「何のことだ?」  
「へ?俺と先輩が」  
「夢でも見ていたんじゃないのか?僕が知っているのは二人が酔いつぶれた後すぐ寝てしまったことだけだ」  
「夢?あれが夢、、、いやしかしあれはどう考えても」  
「ゆ・め・だ!!それともなにか?ずいぶんいい夢でも見たのか?」  
秋晴が思い出すのは自分とみみなが最後抱き合いながら泣いているところまで  
いい夢か・・・首を振って  
「どちらかというと悪夢だな」  
自分としてはいい思いをしたのだろうがみみなを傷つけてしまうのだから悪夢以外の何者でもない  
そう考え直したところでインターホンがなった。うんうんうなっている秋晴のそばにいづらいので  
大地がドアを開けるとそこには朋美がたっている。  
 
「朝早く申し訳ありません、大地さん、本日こうして訪れたのはこちらの」  
いい終わる間もなく朋美の背後からみみなが飛び出す  
そして秋晴の元へ行き向き直ると口をパクパクさせ・・・しかし何もいわず赤くなって俯く  
それにつられて秋晴も何かいおうとするのだが・・・しかし何もいわず赤くなり俯く  
 
それはそうだろうと思わず内心、薫がうなづこうとすると  
 
「なんだかみみな先輩がですね、変な夢を見たからとここに着たんですよ  
もう私が昨晩「10時」にみみな先輩が酔って帰ってきたことを話しても記憶に無いと聞かないんです。  
ねえ大地さん、あなたに電話で呼ばれて迎えに来たとき・・・秋晴くんも覚えているでしょう  
ぐっすり眠っていたみみな先輩を大地君が背負っていったのは」  
 
「え?そうなのか覚えが無い」  
「日野君まで酔って忘れているんですか、大地さん、どう思います?」  
 
そりゃ覚えが無いだろうと突っ込もうとしたが朋美の顔を見て一瞬で気が変わる  
 
「全くだ。彩京さんといい僕といいあれから散々迷惑かけたというのに覚えていないとは」  
 
「大地さんが怒るのも無理ありませんわ」  
 
「第一、みみな先輩も秋晴くんも夢を見たといいますがどんな夢なんですか、  
そこまで主張するからには教えてくれますよね」  
 
「「・・・う」」  
 
二人の声がかぶる、さらに朋美は畳み掛けるように  
 
「いえないんですか?それじゃあ確認することができないじゃないですか、覚えているだけでいいんです。  
できるだけ詳しくお二人の見た夢とやらを教えてほしいのですけれど」  
 
場を沈黙が支配する中、更に朋美は続ける、そしてこれが決定打となる  
 
「あ、そうそう理事長が勝手にお酒を持ち出したことを怒っていましたよ  
とはいえ仕事場に隠しておいたのは知られたく無いようでしたから大事にはならないと思いますけど  
早く謝りに行ったほうがいいと思います」  
 
「そ、そうか、じゃあ俺が謝りに行ってくるから後はよろしくな」  
 
と逃げるように走り出す秋晴をみて朋美を見て大地は思う、心底恐ろしいと  
そしてこの最初の事件がやがてもっと大きな事件を引き起こすことになるのだがそれはまた別の話  
 
 

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