ざざぁ、と寄せては返す波の音をどこか他人事の様な心境で秋晴は聞いていた。  
……そして思う、  
 ――なんなんだこのプロローグとエピローグの間をまとめてすっ飛ばしたような状況は――  
 
 
この状況を説明する為に巻き戻さなければならない時間は十三時間、場所はちろん私立白麗陵学院高等部である。  
 
私立白麗陵学院も夏休みに入り早くも一週間が過ぎようとしていたそんなある日  
両親は既に他界しその墓参りも昨日済ませ特に外に出る用事もなくなった日野秋晴は顔見知りを見かけ思わず声をかけた、      
……その行為を後々深く後悔する事になるなど露ほども思わずに……  
「よっ、先輩」  
「えっ…………あっ……うん、こんにちは秋晴君」  
戸惑われはしたもののきちんと挨拶してくれた、最初に会った時と比べると雲泥の差だろう、と秋晴はちょっと嬉しくなった。  
「どうしたんだ難しい顔して?何か悩み事か」  
「…………うん、ちょっと悩んでる……」  
「へぇ、そりゃ珍しい俺でよかったら相談に乗るぜ」  
「みっ、みみなは十九歳っ!もう立派な大人の女性なの!もうぱちんこやけいばだって出来るしパパやママに言わなくたって一人でお金も借りられるんだからっ!……だから悩むことだってたくさんあるんだから……」  
「いや金は二十歳以上じゃないと駄目だから。あと、身分証無しじゃ間違いなく補導されるな」  
「ううー……」  
悔しそうに顔を膨らませ唸るみみな、しかし可愛らしさが強調されるばかりで全く恐くない  
 

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