(で、さあ……今日ね………)  
放課後の5の2でリョータとチカが何かナイショ話をしている。  
クラスメートのコウジ達も気がついてはいたが、5の2随一の『夫婦』の内輪話に首を  
突っ込むのは野暮なのであえてそっとしておいた。  
 
が――。  
 
「電気アンマ!? ……モゴモゴ!!」  
「……バッカ! 誰かに聞かれたらどうするの!?」  
 
タイミングが悪く、その時クラスは静まっていてリョータ達の声は仲間達にはっきりと  
聞こえた。ボールを持って校庭に出ようとしたコウジとツバサとナツミ、お喋りをしていた  
ユウキとメグミ、学級日誌をつけていたカズミが二人の方を振り返る。  
 
「あ……」  
チカとリョータはお互いの顔を見合わせた。  
 
 
          *          *          *  
 
 
「……で? 白状する気になったか?」  
8人での帰り道、コウジがリョータを問い詰める。二人は長年の悪友同士。可愛いタイプの  
男の子のツバサも巻き込んで色々腕白なことをしてきた。  
「その俺に隠し事とは穏やかじゃないねぇ」  
「何の事だ?」  
「とぼけんなよ、お前」  
男二人が後ろで口の引っ張り合いや髪の掴み合いをしているのを馬鹿にしたように見ながら、  
女の子達もチカを取り囲んで歩いている。  
 
「チカ、何か夫婦間の危機になってるなら相談に乗るよ?」  
「そうだよ。大人の人に相談が必要なら私たちも一緒に……」  
「い、いや……あの、その……アハハ……」  
ユウキとメグミが両サイドから心配そうに問いかけるのを、チカは困ったように苦笑する。  
 
リョータと二人で帰ろうとすると、この6人は間を置くように付いて来た。たまりかねた  
リョータが文句を言うと、逆にこうしてみんなに問い詰められてしまったのだ。  
やがてチカの家の前に着いたが、6人は帰ろうとする気配が無い。  
 
「……どうぞ上がって、みんな」  
チカが仕方なく言うと、「おじゃましまーす!」と言いながら家に入っていった。  
チカとリョータは顔を見合わせて溜め息をつく。  
 
 
          *          *          *  
 
 
「『でんきあんま』勝負……? あの〜『でんきあんま』って、なぁに?」  
ナツミがキョトンとしてみんなに問いかける。問いかけられた面々は視線を逸らせたり、  
咳払いをしたりした。ナツミとツバサだけが何の事かわからない様に顔を見合わせる。  
 
平川ナツミは元気でボーイッシュな女の子。自分の事を「ボク」と言う。体は小さいのに  
運動神経は抜群で、スポーツ勝負ならリョータ達男子にも負けない。  
 
河合ツバサはリョータ達とつるんでいるとはいえ、普段は宇宙の神秘にトキメキを感じる  
文系?の可愛らしい顔立ちの男の子。  
 
二人とも男女の事や性的な事にはちょっと疎い。  
 
「リョータ、教えてよ?」  
二人はぐったりと床に転がっているリョータに問いかける。リョータはついさっきまで  
コウジ達の『くすぐり拷問』で取調べを受けていたのだ。最初は懸命に抵抗していたが、  
6人がかりの大拷問で体力の限界まで責められ、ついに口を割ってしまった。  
その取調べで判明した事は――。  
 
1.ひょんな事からチカと鉄棒電気アンマ勝負になった事。  
2.鉄棒電気アンマ勝負にチカが負けてリベンジを挑む事。  
3.リベンジは本物の電気アンマで勝負する事。  
4.電気アンマは女の子だけがされる事。  
 
と、言う内容だった。  
それを聞き、男子二人は顔を見合わせて目をパチクリさせ、女子4人は所在無げに  
体をモジモジさせる。電気アンマは女の子だけがされる――その約束事を聞いた時に  
自分も女の子だと言う事を思い出し、他人事の様に思えなかったのだ。  
電気アンマが何かを知らないナツミでさえ、他の3人の様子から、それが女子にとって  
とても困惑させられる事態である事は察した。  
 
鉄棒でチカがリョータにされた事を語った時に、やや潔癖なメガネっ子の日高メグミは  
思わず体を引き気味にした。しかし、チカの話に興味を失ったわけでなく、大きな瞳を  
煌かせて更に深くまで聞き入っていた。  
刺激的な話になり、思わず口元に両手を当てるたびに綺麗な黒髪ロングの髪が揺れる。  
 
ショートカットで活発な女の子の浅野ユウキも同様で、くすぐり拷問で笑っているリョータ  
(拷問はチカが全部白状するまで、リョータがくすぐりを受けると言う形式で行われた)  
にうるさいとばかり時折蹴りを入れる以外は、息を呑んでチカの告白に耳を傾け  
ていた。  
 
外跳ね髪の女の子の相原カズミはいつも通り、感情を表さない様子でチカの告白を聞き  
入っていた。彼女がどう思っていたかは誰にもわからない。ただ、頬が上気していたように  
チカには思えた。  
 
リョータの悪友の今井コウジも普段の饒舌とは違い、真顔で聞き入っていた。  
奥手(と言うかバカ)のリョータがそんな事をするなんて、と思いながらくすぐり続けて  
やる。女の事でちょっと先を越されて?悔しかったからかもしれない。  
 
電気アンマの言葉の意味がわからなかったナツミとツバサもチカの告白の情景は目に  
浮かんでいる。それがどういう事かも良く分かっていた。特に女の子のナツミの方は  
太股をキュッと締めてモジモジさせていた。  
 
「な、なぁ……」  
チカとユウキが恥かしそうにナツミとツバサに電気アンマの事を教えている時(チカが  
ユウキに実演した時、知らなかった二人は真っ赤になった)、コウジがおずおずと  
みんなに話しかける。それぞれ物思いに耽っていた5の2のメンバーはドキッとして  
彼を振り返った。  
いつもはハキハキしているコウジがこんな切り口で話しかけるなんて――それだけでも  
結構な事件である。  
 
逆にコウジはみんなの反応を見てドキッとする。何となく、自分が言おうとしている事を  
見抜かれたように感じたからだ。  
だが、それでも言った。  
 
「どうせなら、男子対女子でやってみないか――」  
 
あたりはそのまま、シン……と静まり返った  
 
 
          *          *          *  
 
 
「……でも、でも! どうして女の子だけがされるルールなの? そんなの変だよ。  
理不尽すぎるじゃない……」  
と声を上げるのは黒髪ロングのメガネっ子、メグミ。彼女はHなことに対する拒否反応が  
この中で一番強い。  
 
この場合、コウジの発言はある意味、神の啓示に近い効果があった。  
誰もが言い出せなかったが、誰もが考えていた事――チカとリョータだけの話でなく、  
女子と男子でやってみたらどうなるのか――それを実現するのに、コウジの言葉は絶妙の  
タイミングで発せられたのだ。  
それを止める子は、男子女子共にいない。ただ、メグミが納得できない、と言う表情で  
ルールに異論を唱えた。  
 
確かにこれはチカとリョータの間だけで決めたルールなので、女子勢が強く反対すれば  
変更する事は可能だろう。今ここにいるのは男子3人女子5人。単純に多数決でも女子が  
勝つ。しかし――。  
 
「それ、ちょっといいかも……」  
と、クール系のカズミがぼそっと呟いたので、女子たちは一斉に彼女を振り返った。  
「どこがいいのッ!? 女の子だけがそんな事されるなんて、変だよ!」  
メグミが悲鳴に近い声を上げそうになるが、辛うじて自分を押さえながら反論する。  
しかし、カズミは自分の胸に手をあて、目を閉じながら静かに言った。  
 
「それがいいの。他の女の子がされているのを見て、自分も女の子だからされちゃう……  
そう想像するのが。――男の子だったらされないで済んだのに……って、切なくて、ちょっと  
悔しい気持ち――でも、これって女の子に生まれたからこそ味わえるんだ――って」  
「そ……そんな……」  
メグミは尚も反論しようとするが、何故か俯いてしまう。カズミの半ば陶酔した表情は  
他の女の子達に息を飲ませる。  
 
「ボク……なんだかもじもじしてきちゃった……」  
ボーイッシュなナツミもショートスパッツの下半身を内股にしている。  
「…………。私も……」  
カズミ達に釣られたのか、ユウキまでもが頬を紅潮させている。  
「ふ、二人とも……ヘン……だよ」  
メグミがその二人を見て言うが、もはや言葉に力がなくなっている。  
 
(本当に……女の子だけがされちゃうんだ――)  
提案者であるチカ以外の4人の女の子の心臓がドキドキと高鳴っていく――。  
 
もしかしたら、通常の5の2でこんな話題になったら、結局それは冗談で「そんな事を  
言うエッチな男子にお仕置き〜〜!」とか言って、チカやユウキ達が要領の悪いリョータ  
あたりを捕まえて電気アンマの刑にしていたかもしれない。女の子にするのと違って、  
男の子にする電気アンマは、所詮ただのお遊びに過ぎない。そうやってヘンな雰囲気を  
ごまかす事も出来たのだ。  
 
だけど、今、このチカの部屋で――8人いるにはちょっと狭く、お互いの息遣いが聞こえる  
ぐらい密着してしまってるチカの部屋で、そんな話をすると、何か受け入れざるを得ない  
雰囲気にもなってくる。  
5の2であれば働く抑止力――例えば先生の登場や他のクラスメートの目などもここには  
ない。誰かが始めたら止め処もなくエスカレートしてしまわないとも限らない妖しい雰囲気。  
禁断の技とも言える『女の子への電気アンマ』でも簡単にされてしまう――それが今の  
チカの部屋と言う空間であった。  
居合わせた女子達がそれに気づき、身に迫る危機を感じている静寂がチカの部屋を支配する。  
 
その静寂を破ったのはこの部屋の主、チカであった。  
「どうする? 男女対決……する?」  
リョータに電気アンマ対決を挑んだチカでさえ、言葉が震えがちになる。  
男子を含めたみんなが一瞬反応したのを見て言葉を切った後、思い切ったように続ける。  
「私はいいよ……しても」  
チカらしくない、ボソリとした話し方だったが、それは全員の耳にしっかり聞こえていた。  
 
「私も……」  
カズミもチカと同様、ボソリと言う。こちらは普段と同じだが。  
女子二人が同意したので、内心では反対しようと考えていたユウキとメグミは思わず顔を  
見合わせる。  
「ナツミは?」  
チカは残る三人を見渡し、端から声を掛けていく。  
「ボクもいいよ」  
快活な声でボーイッシュなナツミが返事した。  
「いつもリョータ達には勝ってばかりだから、今日ぐらい負けてあげても……アハハ」  
無邪気に笑うナツミだが、これには男子の――特にリョータとコウジのこめかみがピクッと  
震えた。ナツミは全然気がついていない様子だが。  
 
「ユウキたちはどうする?」  
「う……」  
チカに訊かれてユウキは一瞬コウジの方を見る。コウジはさっきのナツミの言葉でリョータと  
謀議中?だ。そして思い切ったように言った。  
「……してもいいかな」  
「う……ユウキちゃん――」  
呟くように同意するユウキを見て最後に残ったメグミが返事に詰まる。  
メグミとしては同じく積極的でなかったユウキと一度相談したかった。しかし、彼女は  
その前に賛同してしまった。残るは自分ひとり……。  
 
(ど、どうしよう……)  
残る一人、メグミに注目が集まる。その視線には気づいていたが、すぐに決断はしかねる。  
だが、困っているメグミに救いの手を差し伸べたのは言いだしっぺのチカだった。  
「メグミ、無理だったらいいからね?」  
チカはメグミに優しく言う。彼女がこういう事が極端に苦手なのは知っていたからだ。  
「え? う……うん……」  
メグミは流れ上、自分も同意を求められると思っていたので逆に戸惑ったが、チカの言葉を  
嬉しく感じて少し気持ちを落ち着かせた。そして、ちょっと考えていたが――。  
(やっぱり、断ろう――)  
自分には無理だ、と思って断って立ち上がろうとした。チカの気持ちに甘えさせてもらおう、  
そう思ったのだ。  
 
しかし――。  
「日高もやろうよ」  
え――? と誰もが振り返った意外な声を発したのはツバサだった。  
メグミが見ると彼はにっこりと屈託のない笑顔を返した。もともと可愛い顔立ちの彼の  
笑顔が向けられ、メグミはドキッと胸が高鳴る。  
 
「あ、うん……」  
すとん、と立ち上がりかけていたメグミは元の場所に腰を下ろす。自分でも驚くほど  
自然に――。意外な説得者?と、その組み合わせに、メグミとツバサ以外のメンバーが  
お互いの顔を思わず見合わせる。  
 
かくして――。  
 
ここに、男子対女子・3対5の変則電気アンママッチの開催が決定した。  
 
 
          *          *          *  
 
 
その後――。  
一旦やる事が決まると、ルールがテキパキと決められていった。  
 
 ・電気アンマは2回行う。一回の時間は5分。  
 ・勝敗はギブアップで女の子の負け。規定時間(5分)をクリアすれば女の子の勝ち。  
 ・ギブアップしても5分は続けられる。理由は自分の意志でやめてもらえないのが  
  電気アンマの醍醐味だからである。  
 
「五分は……長くない?」  
ユウキが不安そうに言うとメグミも頷く。二人とも頬を赤らめている。早くも自分がされて  
いる事を想像してしまったのだろうか……?  
「でも、あんまり短いと男子側に不利だしね」  
カズミが相変わらずボソッとつぶやく。今度は男子が頷いた。  
結局、勝負バランスと言うことでこの時間になった。  
(ギブアップしてもやめてもらえないんだ……)  
このルールはチカの提案だった。女子たちはそれに反対したが、何故か主催者の?チカが  
これだけは譲らなかったので、結局押し切られる形になった。  
「やってみれば、みんなにもわかるよ……きっと」  
チカがウィンクするが、勿論他の子達には何の事かわからない。ただ、リョータだけが  
わかったように顔を赤らめる。  
 
 ・痛くするのは無効。キックは急所攻撃とみなし、反則者への報復行為が罰として認め  
  られる。  
 ・女の子→女の子の場合は0.5ポイント。  
 ・女の子→女の子の場合は電気アンマ返しあり。  
 
「男子達、わかった? 優しくしないとどんな報復をされるか、理解してるでしょうね?」  
チカがニヤリと笑いながら男子たちを見る。その視線は心なしかいつもより下、半ズボンの  
あたりに向いていた。男だけがわかる恐怖に晒され、思わず股間を守ってしまう3人――  
女の子達はその情けなそうな格好を見てクスクスと忍び笑いした。  
実際にそこを責められるのは私達の方なのに、男子って度胸無いんだ――と。  
。  
「ねぇ、『電気アンマ返し』って、なに?」  
これはユウキあたりでも流石にわからなかった。おそらくチカだけしか知らないだろう。  
カズミは何となくわかっているようだが。  
「電気アンマ返しってのは……こうやって……今度はユウキがやってみて」  
「う、うん……こう?」  
チカはナツミとツバサに教えた時の様にユウキを相手に電気アンマの実演をする。実演と  
言っても寸止めなのだが、相手をするユウキにとっては相当に緊張する事態であった。  
なぜならチカが気まぐれを起こせばそのまま電気アンマされてしまうからだ。  
だが、今回はユウキが掛ける方だという事で、緊張感はかなり減っていた。ユウキはチカの  
両足を掴むと自分の右足を足の間に割り入れ、ショートパンツの股間に当たる直前で止めた。  
 
「それで……どうするの?」  
ナツミがワクワクした瞳で聞く。『電気アンマ返し』と言ういかにも秘密めいた技の様な  
ネーミングに期待するものがあったらしい。ユウキとチカの絡みを瞳をキラキラさせて  
見ている。  
「こうやってね……こうするの!」  
「え? ……あっ!?」  
いきなりチカがむっくりと起きると自分の股間近くにあったユウキの右足を掴んで体を  
引き寄せ、左足もつかんでしまう。そしてつかまれてた自分の右足を振りほどき、ユウキの  
ミニスカートの中に割って入った。一瞬にして電気アンマの攻防が逆転したのだ。  
 
「わっ! すごぉ〜い! チカちゃん、早業だね!」  
「フフン♪ どんなものです?」  
「チ……チカ……」  
(当たってるよぉ〜〜……)  
とはユウキは口には出せなかった。チカはナツミの賛辞に上機嫌だが、勢いが良すぎて、  
実際にユウキのミニスカートの中のブルマで覆われた部分にしっかりと足先が食い込んで  
いたのだ。デモンストレーションのはずなのに……。  
「ち、チカ……あ、足を……」  
「あ? ご、ゴメン。スカートの中に入れたままだったね」  
いかにも忘れていたかのように言うと、チカはユウキの股間から足を抜いたが――。  
 
「ひゃあん!?」  
今度はみんなに聞こえる声でユウキが悲鳴を上げた。  
「ユウキ、どうかしたの?」  
カズミが無表情で聞く。  
「え……あ……、な、なんでもないの! 全然……」  
ユウキは慌てて立ち上がる。チカを見ると足を伸ばしたまま座っていて、自分の方を  
見ていた。うっすらと悪戯っぽく笑いながら。  
 
(やっぱり、ワザとやったんだね――)  
チカが足を抜く時、素直に引くのでなく、一旦自分の股間をグリグリ……と刺激してから  
抜いたのだ。チカの悪戯(と言うより意地悪に近いが)に対してちょっと拗ねた表情を  
見せるユウキだが、今から自分達がされる事はこんなものではない事を改めて思い出した。  
(男子達、優しくしてくれるよね――?)  
ユウキは目が合ったコウジに訴えかけるような視線を向けた。見つめられたコウジは  
困ったように何度か視線を逸らす。ユウキはその視線の先が自分のスカートである事に  
気づき、慌ててスカートを押さえた。ちょっと怒ったように頬を染めて。  
気づかれた事を悟ったコウジは、照れくさそうに反対側を向いた。  
 
(あの二人、いい感じになると思わない?)  
ユウキとコウジの様子を見てチカがリョータに囁く。いつも自分達が『夫婦』とからかわ  
れているので、他に同様のネタが見つけられて嬉しい様子だ。リョータも曖昧に頷いたが、  
ユウキとコウジがなかなかいい感じなのはうっすらと感じていた。  
 
「じゃあ、始めよっか。まずは一回戦からね」  
すっかり仕切り屋状態のチカが立ち上がって開会宣言をした。  
 
 
          *          *          *  
 
 
一回戦の組み合わせは以下の通りになった。話し合いでなく、チカの独断で決められたが  
ある意味、それが公平なのかもしれない。  
 
 【一回戦】  
  リョータ VS ナツミ(スパッツ)  
  コウジ  VS チカ(半パン)  
  ツバサ  VS ユウキ(ミニスカート&ブルマ)  
  (メグミ)VS カズミ(メグミ:ロングスカート、カズミ:ジーンズ)  
 
(良かった……ブルマを穿いてて)  
ユウキがホッと一息つく。いくらお遊びとは言え、パンツ一枚の状態で男子の足に大事な  
所を踏まれるのは勇気が要る。カズミのジーンズやチカのショートパンツほどは効果は  
無いだろうが、それでもパンツ一枚より全然ましだ。  
男女比が3対5なので、恥かしがり屋のメグミがする側に回るように配慮された。  
 
「一番手はボクだね〜! ねぇ、チカちゃん。男子には電気アンマ返ししちゃだめなの?」  
ナツミが元気に中央に出てチカに問いかける。リョータは一瞬青くなった。  
「フフン……今回はダメ。だって、許可するとナツミがあっさり勝っちゃうでしょ?」  
「あ……それもそうだね、アハハ!」  
屈辱的な会話を聞かされ、ワナワナと震えるリョータだが、隣にいたコウジにポン、と  
肩を叩かれる。悔しいが、あいつらの言う通りなのだ。だから――。  
 
(だからこそ、このチャンスを生かしてナツミに制裁を加える!)  
スポーツや運動系の遊びで負け続けの屈辱を晴らすのだ――ちょっと情けない方法だが  
成り行き上仕方が無い。  
 
「じゃあ、ナツミは寝転んで。リョータは立っても座ってもいいよ。それとも、ナツミを  
うつ伏せにする?」  
一応、レフェリー役のチカが指示をする。電気アンマには、立った状態で仕掛ける立位式、  
相手と同様座った状態で仕掛ける座位式、相手をうつ伏せにして仕掛ける逆式の基本三種が  
ある。どれも初心者から熟練者に渡って使える技だ。電気アンマは形態のバリエーション  
だけでなく、技一つ一つについても奥が深いのだ。  
上級者にはさらに相手を立たせて下から仕掛ける逆立位式やうつ伏せにして立位式で  
仕掛ける逆海老式などもあるが、流石に初心者では使いこなせないだろう。  
 
「こ、このままでいいよ……」  
リョータはそう言いながら、立ったままの状態でナツミの両足を掴んでVの字に開ける。  
「やらし〜! 見ないでよ、リョータ。アハハ……」  
ナツミはまだ冗談の延長の様に笑っているが、リョータはもう笑えなかった。  
勿論、リョータは女の子に電気アンマをするのは始めてである。男相手でする時は  
基本はただの遊びだ。感じさせるとか、そんな意識は全く無く、やった後もゲラゲラと  
笑っているだけ――。  
 
だが、目の前に寝転んでリョータを待つ平川ナツミは女の子なのだ。それが証拠に、  
彼女のスパッツを穿いた股間はなだらかなカーブを描き、平らである。  
しかし、何も無いという事は無い。ストレッチ素材のショートスパッツはピッチリと  
張り付いて体のラインを細かく浮き立たせる。ナツミの股間を見ると、しっかりと  
女の子の象徴である割れ目の筋の形に食い込んでいるのだ。  
 
(あそこを、責めるのか――?)  
思わずリョータはゴクリと唾を飲む。ナツミのその割れ目は彼女が無邪気に動くたびに  
形を変え、それ自体が別の生き物の様に動いていた。リョータの幼い性中枢がナツミの  
股間や太股の動きに刺激される。  
 
「リョータ?」  
リョータが何も言わなくなったのでナツミがちょっと不審そうに声を掛ける。それに  
リョータの視線の先が自分の女の子の大事な所に向いていたのでちょっと恥かしくなる。  
だが、その声掛けが切欠となった。  
「いくぞ――」  
リョータはさっきまでじっくりと見ていたナツミの股間に右足をセットする。  
「あっ……」  
ナツミが思わず呻いた。普段の彼女では聞けない、吐息にも似た喘ぎ声――それを  
聞いたとき、リョータの性衝動に火がついた。  
 
「で・ん・き・あ・ん・ま……開始!」  
リョータはあてがった土踏まずをだだだだ……と震わせた。  
「ひゃあん!?」  
ナツミの体が一瞬ビクンと反り返り、ギャラリーたちも息を思わず呑んだ。  
 
ついに男子と女子の意地を掛けた?電気アンマバトルが始まったのだ。  
 
 
          *          *          *  
 
 
「ううん……うん……」  
リョータの電気アンマに呻くナツミ。何かに懸命に耐えているその姿に、当のリョータも  
ギャラリーたちも視線が釘付けになるが――。  
 
「クフ……! くふふ……」  
ナツミが堪えきれない、と言う表情で体を揺すっている。太股がプルプルと震え、もう  
限界なのか? とみんなが思ったその時――。  
「キャハ……キャハハハハハハハ! ……も、もうだめぇ〜〜!!」  
ナツミは涙を目にため、体を反らせて笑い出した。  
「な、なんだぁ?」  
リョータが目を丸くすると、  
「りょ、リョータ! くすぐったいよ、それ! ……アハハ……キャハハハ!!」  
 
ギャラリーたちは唖然とする。そう言えば、ナツミは一番のくすぐったがりだ。だから  
普段、女子同士では一番のターゲットになるのだが……。  
「な、ナツミ……。その……感じないの?」  
「な、何が……? キャハハ……!! だ、だめぇ……!! リョータ、くすぐったい  
ってば! ……キャハハハ!!」  
ユウキの問いかけにもくすぐったがって答えられないナツミ。体を捩って必死でリョータ  
から逃げようとするも、股間を守ったり、足を退けようとする様子は無い。  
(電気アンマ、効いてないのかなぁ……?)  
メグミもナツミの様子を見つめる。この調子なら私にも耐えられるかも――メグミの  
メガネの奥の大きな瞳に希望の光が灯り始める。  
 
気の毒なのは仕掛けているリョータだった。一念発起して女子に電気アンマを仕掛けた  
のに、感じるどころかくすぐったがられるだけとは――。同じ男子であるコウジ達からも  
同情の目で見つめられ、まるで男女の睦み事で前戯に失敗した男の様に、リョータの精神  
にどんよりとした雲が掛かってくるように思えた。  
 
しかし――。  
 
(大丈夫だよ、続けて――)  
チカがリョータの背後に忍び寄って耳元で囁く。その声は笑っているナツミには聞こえ  
なかったが、ユウキとメグミ、そしてカズミにはしっかりと聞こえた。  
チカは何を言ってるの――? ユウキとメグミが不審とも非難とも取れる視線をチカに  
向ける。チカはにんまりと微笑を返すだけで元の立ち位置に戻った。  
 
「りょ、リョータ〜! もう許して……くすぐったいよぉ〜〜」  
ナツミが涙目で息を切らし、リョータに頼み込む。  
「それはギブアップなの、ナツミ?」  
チカがナツミに確認するとナツミはとんでもない、と言う風にかぶりを振る。  
「だって、こんなのただのくすぐり虐めだよ〜……チカの話だと電気アンマって、こんなの  
じゃないよね」  
グサッ……とリョータの胸に突き刺さる言葉。コウジ達も同じ男の切なさを見てられない  
とばかりに視線を逸らせる。だが、チカは真顔で言った。  
 
「そう、じゃあそのまま続けて、リョータ。5分間、続けるのがルールなんだから」  
「え〜〜? だってさぁ……」  
ナツミは不満そうだ。彼女の場合、挑発でも駆け引きでもなく、素直な感想しか言わない  
ので、リョータには余計に堪える。既に3分が経過しくすぐったがらせる以外の成果が  
ないが、チカが励ますような視線を送って来るので、リョータも開き直った。  
 
「言ってくれるなぁ、平川。時間はまだ2分あるんだぜ?」  
「うん、そうだね……その間にリョータが『これこそ電気アンマ』と言うのを味あわせて  
くれたらいいなぁ〜」  
「…………お前は俺を怒らせた」  
 
ごごご……とリョータが真顔になる。そして、土踏まずで踏んでいた所に今度は踵をセット  
した。さっきより強い食い込み感がナツミを襲う。  
「あ……そ、それは……」  
「女子だからと手加減していたが、これ以上は最早容赦しねぇ……踵グリグリアンマで  
天国に送ってやる――いくぞ!」  
気合を入れなおし、リョータは再び電気アンマを開始した。  
ナツミの股間にはリョータの体重の乗った踵が割れ目に食い込んでいる。その状態でリョータは  
踵を中心に、足をドリルの様にグリグリと動かしながらの振動を与えた。  
 
グリグリ……どっどっどっど……。  
 
「あうぅぅ……!! はぁん……!!」  
今度はナツミもかなり効いたらしい。さっきのくすぐったがり様とは全く違い、ビクビク  
……!と、腰の辺りからせりあがる様に痙攣する反応を見せる。  
(ん……? 今度は効いたか?)  
リョータはそう思い、この機会を逃がさないとばかりに右足に力を入れて電気アンマした。  
 
グリグリグリ……ダダダダ……!  
 
「うっく……。ふぁ……あっ!」  
リョータの力強い股間責めに流石のナツミも内股になってプルプルと震えている。思わず  
口元に手をやり、指を噛みながらリョータの電気アンマに耐えている。スパッツの股間には  
深々とリョータの踵が食い込んだ状態で振動し、割れ目の形が動きに合わせて捩れていく。  
リョータより短いナツミの両足はピンと伸ばされ、これ以上遊びはなく、辛うじて膝を  
動かして一箇所に圧迫が集中しないよう頑張っているだけだ。  
 
「う……あっ……! だ、だめ……!!」  
リョータの右足を掴んで頭を振り乱して悶えるナツミ。その表情はいつもの彼女とは全然  
違う女の子らしさをそこかしこに滲ませていた。頬は上気して顔だけでなく体全体がじっと  
汗ばみ、熱い吐息は喘ぎ声と共に子供らしくない雰囲気を放っている。  
 
(も、もう少しか?)  
4分を越えたあたりからナツミの様子が一気に変わってきた。踵グリグリタイプの電気  
アンマがどうやら効いているようなのだ。だが、もうすぐタイムアップ。時間が無い。  
「こ、これで止めだ!!」  
リョータはこれが最後とばかり、ナツミの股間を力一杯グリグリする。振動も強く送り、  
ナツミの腰がガクガクと揺れるぐらい力強い電気アンマをした。すると――。  
 
「いたたた……!! いたい! いたいよ、リョータ!! やめてぇ〜〜!!」  
さっきまでビクビクと震えながら悶えていたナツミが、激しく体を揺すって抵抗した。  
どうやらリョータの止めの電気アンマが痛かったらしい。  
「は、反則だよ、佐藤君!!」  
「そうだよ! リョータ、やりすぎ!!」  
ナツミの痛がる様子に、それまで見入っていたメグミとユウキも抗議する。  
「え……? あっ……!!」  
リョータは慌てて力を緩めた。電気アンマで女子の急所を痛くするのは本意ではない。  
ホールドされている力も緩んだのでナツミはゆっくりと転がるようにしてリョータの  
電気アンマから逃れる。両手で股間を押さえて内股になる。  
そして、そこでタイムアップだった。5分間終了でギブアップなし。ナツミの勝ちで  
最初のポイントは女子チームが獲得した。  
 
 
          *          *          *  
 
 
「イタタタ……アソコ、痛くしちゃった……」  
ナツミは仰向けのまま両手でスパッツの股間をさする。その姿が女子のオナニーに見えて  
思わず、コウジとツバサは顔を赤く染める。  
「さ、最後のは無効だよね、チカ? 佐藤君、力入れすぎだよ……」  
メグミがナツミを心配しながらチカとリョータを見て言う。怒ってる、と言うほどでも  
ないが非難の色は表情に出ている。ユウキも同様の表情だ。カズミだけが表情を変えない。  
むしろ、ナツミのほうを興味深げに見ている。  
 
「あ、ああ……わ、わりぃ、平川……」  
取り合えず、リョータはそれだけは言った。彼にとっては少し疑問もあるのだが、  
女の子の大事な所を痛くしていしまったのは事実なので、それは謝っておこうと思った。  
「大丈夫だよ、リョータ。でも、これでボク達が1ポイント獲得だからね」  
ナツミはある程度股間を擦るとゆっくりと立ち上がる。顔色はまだ赤かったが、その表情は  
スポーツの後の様に晴れやかだ。  
「あ、うん……」  
リョータもそれは承知した。電気アンマは5分間キッチリとは続いていないが、最後まで  
ナツミは我慢したからだ。  
 
「ナツミ、もう大丈夫なの?」  
「う〜〜ん、まだちょっと痛いかな……。リョータの気持ち、入ってたもんね。エヘヘ♪」  
ナツミがおどけたように股間を押さえて内股でピョンピョン跳ねる。普段見た事がある  
男子が股間を打った時の対処を真似ているのだろう。そうしながらも表情は笑顔で、  
悪戯っぽく舌を出したりしている。  
「ボク、ちょっとトイレ……チカ、次の試合、始めてていいよ」  
「あ、うん……」  
そのまま部屋を出て行くナツミを見送るチカ。次は彼女とコウジの対決なのだ。  
 
 
 
「エヘヘ……バレなかったかな?」  
トイレの前でナツミが呟くと――。  
 
「何が?」  
と言う声が背後から聞こえた。思わずギクッ!と動きが固まるナツミ。恐る恐る背後を  
振り返ると――。  
「なんだ、カズミちゃんか〜」  
カズミの無表情な顔を見ると、ホッとしたように胸をなでおろす。  
「何か、ごまかしたの?」  
「え? ううん、そ、そんな事しないよ?」  
カズミの質問に慌ててかぶりをふるナツミ。カズミはそれをどう受け取ったか、顔に  
出さず、じっとナツミを見つめている。  
「え、えっと〜〜……ボク、トイレに行ってるね。じゃ、また後で……」  
張り詰める空気に耐えかねたナツミはくるりとカズミに背を向けると、逃げ出すように  
トイレに向かおうとした。  
 
「……ホントは、ギブアップしそうだった?」  
そう言われてピタッと足を止める。しばらくその状態で膠着していたが、カズミの方を  
振り返ると口元に人差し指を立てて「しぃ〜〜……」と合図した。  
「みんなに言っちゃいやだよ……。うん……感じちゃった。アハハ……スパッツの中が  
濡れちゃうぐらい」  
ナツミはカズミの前に立つと、スパッツを膝まで降ろした。その下に穿いていた子供用  
スポーツショーツがぐっしょりと濡れている。スパッツも黒だから辛うじて目立たないが、  
こうやって内側を見るとかなり濡れていた。  
「おしっこじゃないのに不思議だね……アハハ」  
照れ隠しの様に笑うナツミの股間をカズミはじっと見つめていた。  
「あまり見つめると恥かしいよ……」  
ナツミはカズミの視線に耐え切れなくなった様にスパッツを上げる。  
「……二回戦の前にチカにぱんつを借りたほうがいいよ。多分、あの子も分かってるから」  
「……うん」  
カズミの言葉にナツミは素直に頷いた。男子の目は騙せてもやはり女子同士は騙せなかった  
様だ。  
 
 
          *          *          *  
 
 
一方、既に開始されていたコウジとチカの対決は、2分を経過してなかなか白熱していた。  
「ああ……うんんッ……!! ……くっ!!」  
「ち、チカ……?」  
他の女子たちの不安げな表情の通り、二試合目は男子優勢だった。コウジのグランド状態  
での電気アンマはしっかりとチカの股間に最初から食い込まされていた。リョータの失敗  
経験を良く見ていたからだろう。コウジは最初から飛ばしてチカのショートパンツの股間に  
容赦なく踵を食い込ませてグリグリと圧迫している。  
 
「どうだ、小泉! ギブアップしたら少し休ませてやってもいいぞ?」  
「うっ……あっ!! だ、誰が……」  
「そうか、じゃあ遠慮なく……うりうりうり〜〜♪」  
「ちょ、ちょっと待って……! はぁああ〜〜ん!!」  
 
これは負けるかもしれない、とチカは悶えながら内心でそう感じていた。リョータと違って  
コウジは勝負事に躊躇いがない。リョータなら「女の子の大事な所に云々」言って戸惑って  
る間に時間稼ぎとか出来るだろうけど、コウジはガンガン積極的に責めてくる。それも、  
さっきのリョータの失敗経験を生かして、しょっぱなから飛ばしてきた。  
 
コウジの責めははっきりとしていて、最初から力を十分に入れた電気アンマでスパートを  
掛けるやり方だった。このやり方は何の防御も無い女の子の急所を責めるのには痛くて  
無理があるが、チカの様に厚めのショートパンツを穿いている場合はそれぐらいが丁度  
良いあんまになるのだ。基本的には電気アンマは股間をアンマする技なのだから、状況に  
よって力加減を変えるのは鉄則である。コウジは確実にそれを実践していた。  
最初からチカの股間はグリグリアンマ責めをされ、股間から脳天に貫けそうな刺激が全身を  
襲っていた。  
 
(くぅん……!! ……で、でも……負けたくないから……頑張る!)  
チカは悶えている最中にも懸命にリョータを見て、自分を元気付けながら耐えている。  
しかし、痛みに耐えるのとは違い、内から込み上げてくる何かを耐える電気アンマは  
受け入れを拒む事自体が難しい。  
だが、チカは懸命に快感苦悶に耐えていた。チカにとっては不利だらけに見えるこの  
戦いで、いくつか精神面の拠り所があるからだ。  
まずは電気アンマで最初に逝かされる男子はリョータに決めている事。リョータにされる  
前に女子同士ならともかく、男子には逝かされたくない。だからどんなに大変でも  
リョータにされるまでは電気アンマに耐え抜く――これが一つの拠り所だ。  
 
もう一つが、その相手が隙の無いコウジであることだ。コウジの電気アンマを耐え切って  
こそリョータに電気アンマしてもらえる資格が出来る、そう信じ込む事によって本当に  
耐え抜くことが出来そうなのだ。愛が障害を乗り越えてこそその気持ちが高まるのなら、  
電気アンマだって同じ事だとチカは思った。障害が大きければ大きいほど乗り越えた  
気持ちも大きく、電気アンマは他の技より断然、精神面の影響が大きいのだ。  
だからこそ仕掛けるほうもされるほうも様々な駆け引きを展開する。さっきのナツミと  
リョータの時の様に。  
 
「ふ〜ん、なかなか粘るな……じゃあ、こんなのはどうだ?」  
「えっ……? あっ!! ……あああっ!!」  
力強い電気アンマにチカが対抗できる事を悟ると、コウジは今度は踵をギュッとショート  
パンツに押しつけたままブルブルブルブル……と細かい振動を送り続けた。この責めに  
チカは大きく悶える。  
 
「なかなか効いてるようだな……」  
コウジはにやりとして振動のペースを上げていく。  
「ああああ……!! だ、ダメ……こんな……あああッ!!!」  
チカがイヤイヤをするようにブラウンの髪を振り乱して悶える。コウジの右足はショート  
パンツにギュッと食い込み、細かく細かく震えている。その振動はチカの腰から全身に  
対してじんわりと広がっていった。  
 
(内股になっても……防げないよぉ……)  
責めている場所に密着状態でされる電気アンマなので、一旦しっかり入り込まれると  
手足では防ぎようが無い。守れるものも無く、なす術もなく悶えるだけだ。  
(この……パンツのファスナーが……ううっ!!)  
さっきから特にチカを苦しめているのが、ショートパンツのファスナー部だ。コウジが  
しっかりと踏み込んだ電気アンマをしてくるため、このファスナー部分が縦にチカの  
大事な所に細かく食い込んで、与えられた振動がピンポイントで変化するのだ。  
(ちょっと痛いところとか……逆に物足らない所とか……。くっ……! やっぱり、  
食い込んでくる……)  
パンツのゴムの食い込みなら経験はあるが、ファスナーの食い込みの経験などはあまり  
ない。この普段はありえない現象は電気アンマに耐えるチカを大いに悩ませる。  
 
(あと、どのぐらい……1分も!?)  
既に4分間耐えた――とは思えない。むしろ後1分これに耐えなければならない辛さの  
方がどうしても上回ってしまう。  
股間への刺激、体の内部から込み上げてくる気持ち――電気アンマは内と外の責めから  
耐えなければならない、因果な責め技だ。  
 
「ああ……うっ! ……はぁあああ……!! ああああっ!!!」  
チカは身も世も無く悲鳴を上げて電気アンマに耐える。逆に今度は仕掛けているコウジに  
焦りが見えてきた。ここまでやってるのにどうして耐えられる? そんな疑問の表情が  
電気アンマしながら浮かんでいる。  
 
そのせいかコウジの電気アンマが少し緩んだ。チカはチャンスとばかり、自分のショート  
パンツを掴んでファスナーのポジションをずらした。  
(……成功!)  
チカは内心で快哉を叫ぶ。彼女を悩まし続けたファスナーの圧迫からやっと解放された  
のだ。突然の開放感身を任せてしまいそうになり、慌ててコウジの電気アンマに備える。  
ファスナーのポジションが変わっただけで、基本の電気アンマはまだ続いているのだ。  
それに対しても、髪を振り乱しながら懸命に耐えるチカ。そして――。  
 
「5分経過〜!」  
この試合のタイムキーパーのユウキが高らかに宣告する。コウジの足からガックリした  
ように力が抜けた。チカも伸ばされ続けた体を丸めてハァ……ハァと荒い息をつく。  
 
一試合目に続いて二試合目も女子の完勝だった。現在の所は2−0。女子のリードで  
三試合目を迎える事になった。  
 
 
          *          *          *  
 
 
「ハァ……ハァ……ハァ……」  
「だ、大丈夫か? 悪りぃ……こんなになってるなんて思わなかったから」  
チカが汗びっしょりでぐったりしているのを見て、コウジが心配そうに声を掛ける。  
試合中は責めるのに夢中で気がつかなかったが、やはりあれだけの責めを普通に受け  
流してたのではないのだ。コウジもつい意地になったが、チカもかなり意地を張って  
耐えていたらしい。  
「うん、大丈夫……。いいよ、コウジのせいじゃないし。私が頑張ったんだもん……  
アハハ♪」  
コウジが謝るのに笑顔で応えるチカ。それでも体は動かず、ベッドでぐだっとした  
ままだ。  
 
(こういう時、来てくれると嬉しいんだけどな〜。『夫婦』なんだし)  
チラッとリョータを見る。しかし、リョータは所在無げに三試合目のツバサとユウキを  
見ているだけだ。  
(もう……)  
リョータに大人の対応を求めるのはまだ早いのかな〜、などと一人でガックリする。  
あんなに頑張ったのにな〜――リョータのためなんだけどな〜。  
 
 
 
「それじゃあ、始めるよ〜! れでぃ〜〜〜……ごっ!!」  
いつの間にか戻ってきたナツミがチカの代わりを買って出て三試合目がスタート  
していた。  
「はぅうう……!? ちょ、ちょっと! ツバサ君!!」  
リバース式でユウキをうつ伏せにしたツバサも、最初から全開だ。しかし、チカと比べて  
電気アンマに慣れてないユウキはそれだけでパニックになる。大きく体を仰け反らせ、  
足をバタバタさせるが、簡単には電気アンマは外れない。  
 
だだだだだだだだだだだだだ……今度はさっきのコウジのアイデアも採用して、ツバサは  
細かい振動を高速で与えていく。あっという間にユウキのみにスカートは捲くれ上がり、  
ブルマのお尻が電気アンマでプルプル震えているのがギャラリー達をドギマギさせた。  
メガネっ娘のメグミなどは、まるで自分がされているかのようにぐっと唇を引き締め、  
まじろぎもせずにユウキが電気アンマで悶える姿に見入っている。  
 
「……ん! ……んんッ!!」  
ユウキは両手を握りこぶしにして懸命に耐えていた。リバース式のため、少しお尻が  
持ち上げられる感じの電気アンマになるが、横から見るとほっそりとした体のフォルムが  
なだらかに波打ち、なかなか趣きのある光景になっている。ブルマの真ん中の部分を  
狙われ、ユウキはツバサの踵から逃げようとするが、電気アンマの事を直前まで知らな  
かったのに、意外とツバサは上手にこなしている。既にリョータ、コウジと二人の  
電気アンマを見てきたのが大きいか?  
 
(ブルマのお尻ってなかなかいいもんだな……あ、あれ? リョータ?)  
さっきまで隣にいたリョータがいつの間にかいない。振り返って探そうとしたが、  
「ああああッ……!! はぁんん……!!!」  
ユウキが大きく仰け反って悶えたので慌てて視線をそちらに戻す。このいい所をリョータ  
探しなんかに費やすのは惜しい。  
 
(ユウキ、可愛い声……どんな感じなのかな〜?)  
ベッドで寝ているチカが首を伸ばしてその方向を見ようとするが、みんなの影になって  
全く見えない。仕方なく、残念そうにパタッと臥せった時、誰かがベッドに腰掛けた。  
「……ん? リョータ?」  
リョータはユウキ達の方を見てチカの方を見ようとしない。しかし、リョータの位置からは  
ユウキ達は全く見えないはずだ。となると、ここに来たのは自分に用事がある以外他にない  
――チカはにんまりしながらリョータの次の言葉を待つ。  
 
リョータはしばらく黙っていたが、チカが何も言おうとしないので、根負けしたように  
自分から言った。  
「さっきの……大丈夫か?」  
「何が……?」  
「何がって……そりゃあ……」  
「具体的に言ってくれないとわからないよ♪」  
「う……ん……」  
うつ伏せに寝た状態でニコニコと両手で頬杖をつきながら自分を見上げるチカにリョータは  
思わず言葉が詰まる。チカはその様子を見るのが楽しそうだ。  
「その……コウジに……で、電気アンマされてた所……」  
「コウジが悪いんじゃないよ? 勝負だもん」  
「だ、だから……」  
思い切ってリョータはチカの顔を見る。チカはいきなり目が合ったのでドキッとした。  
「お、お前……頑張りすぎなんだよ。全く……」  
いきなりリョータはチカの頭をくしゃくしゃとかき乱すように撫でる。  
「や〜〜ん……! 髪が乱れちゃうよ〜〜!」  
チカがベッドの上に座って怒った様に言う。しかし、その表情は笑顔だった。  
 
 
          *          *          *  
 
 
「はぁああん……ああ……んッ……♪」  
ユウキの声は最早喘ぎ声と言うか悶え声になっていた。その子供にしては色っぽい声に  
ギャラリー達の視線も釘付けになる。  
「え〜っと……4分経過!」  
ストップウォッチを持つナツミが残り後一分である事を宣告する。しかし、ツバサは  
依然ペースをアップしない。このままなら十分耐えられる……とユウキもギャラリー  
たちも思った。  
 
「ツバサ君、後一分しかないよ。ペースアップしないの?」  
カズミがいつもの無表情で問いかける。一杯一杯のユウキとしてはこれ以上余計な煽りを  
入れて欲しくないが、止めようとして振り返ると、もっとすごい事になってしまいそうな  
気がするので出来ない。それだけユウキは張り詰めた状態になっている。  
確かに周囲から見ても限界であるのは確認できる。競りあがったお尻から太股に掛けての  
なだらかなラインはプルプル震え、体の中心がアンマされる度に、その細腰はビクビクッ!  
と痙攣する。額からもどっと汗がにじみ出し、頬は紅潮して息が荒くなっている。  
もしかしたらさっきのチカより余裕が無いのかもしれない。  
 
「ん……でも……」  
カズミの問い掛けにツバサは振り返らずに言う。かなり電気アンマに集中しているようだ。  
「さっきのチカちゃんの様子を見てたけど、女の子って急に力を入れても感じてくれない  
みたい――だから、いいよこのままで。負けちゃうかもしれないけど、浅野が辛い思いを  
しちゃ可哀想だもん」  
 
それを聞いた女の子達は思わず胸がジーンとなる。ツバサの優しい気遣いは、とかく乱暴で  
デリカシーの無いイメージの男子を見直す気分にさせられた。確かに電気アンマは身も心も  
女の子のデリケートな部分を触る技。それを敢えて乱暴に扱われるのも、時には悪くない  
かもしれないが、やはり基本は優しく扱って欲しい。  
勿論、ユウキもそう思っていた。特に今されている最中であればこそ、更に深くツバサの  
言葉に感じ入った。  
 
(ツバサ君になら……されてもいいかも♪)  
ユウキもそう思ったし、人一倍デリケートなメグミもそう思った。ギャラリーの中で  
一番面白くないのはもしかしたらコウジかもしれない。彼はユウキが快感に悶えているのを  
息を呑みながら見ていたが、ユウキの表情が恍惚としてきたのを見ると黙り込んでしまった。  
そのコウジより若干後ろの位置からカズミがみんなの様子をじっと見つめている。  
「時間が少し短すぎたかもしれないね……」  
カズミの独り言はもうすぐ5分になる二人の電気アンマにみんなが注目していたため、  
誰にも気づかれなかった。  
 
「うッ……ああ……ん……♪ ツバサ君……おね……が……い……はぅん!」  
ツバサの電気アンマはいい感じでブルブルとユウキの股間のど真ん中を刺激し続け、  
彼女の内側からの高まりと相まって電気アンマ初体験の少女を身悶えさせた。  
「浅野……ギブアップする?」  
ツバサが聞くとユウキはすぐにかぶりを振った。もう少し高めて欲しい。それまでは……。  
 
しかし――。  
 
「しゅうりょ〜〜! 5分経過してユウキちゃんの勝ち〜〜!!」  
「え……? ええッ〜〜!? もう……!?」  
ナツミの合図と共に叫んだのは当のユウキだった。5分間の電気アンマを耐え切ったと言う  
のに、思わず上げた声には不満の色が混じっていた。  
 
「も、もうちょっと大丈夫だったのに……あっ!!」  
ユウキが不満げに立ち上がろうとした時、腰からガックリ崩れてまた倒れこんだ。  
「大丈夫?」  
とナツミとツバサが助け起こす。ユウキは意識ハッキリしていたが、足腰が震えている。  
「ア……。な、なんだか……立てないよぉ……」  
電気アンマの影響が下半身に広く残っているのだ。痛くされたわけではないが、ツバサの  
的確な電気アンマによって下半身の体力がごっそりと奪われていた。ミニスカートが捲れて  
いるが、それほど気にならないぐらいに(もっともブルマを穿いていたからでもあるが)。  
 
「意外な伏兵現る……じゃない、チカ?」  
カズミがボソリとチカに呟く。勿論ツバサの事を言ってるのだろう。  
「そうね〜。だけど、コウジも気合が入ったみたいだよ」  
チカの言葉を聞き、カズミがコウジを見る。なるほど、コウジは真顔でユウキのブルマの  
お尻を見つめていた。二回戦では彼ももっと上手な電気アンマを仕掛けてくるかもしれない。  
「取り合えず、これで一回戦の男子の電気アンマは終了か――なぁに、3−0で女子が  
断然リードじゃない……クスクス」  
チカがリョータを見て笑う。リョータは頭を掻いたが何も答えられなかった。  
 
「フフフ……じゃあ、女子の電気アンマのテクニックを勉強してもらおうかな。次の一回戦  
四試合目でね♪」  
チカが四試合目に出るカズミにウィンクする。カズミは相変わらず無表情だ。だけど、  
その相手のメグミを見ると、少し嬉しそうな表情をしたように見えたのは気のせいか?  
メグミも不安そうにカズミを見つめる。自分が男子役なのだから、電気アンマされるのでは  
無いのだが、それでもさっきの電気アンマ返しなどはちょっと気に掛かる。  
 
実際、この四試合目は先程までの3試合と違ってとんでもない結末が待っている事を、  
今はまだ、この部屋にいるメンバーが知る由は無かった。  
 
 

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