ある雨の激しい夜、丹は山小屋で途方に暮れていた。
濡れた服を脱ぎ、小屋に置いてあった厚手の毛布を身体に巻き、さて、これからどうしようと。
外は雨。服を干すわけにはいかない。しかも中々止みそうにない。
囲炉裏の薪は残り少なく節約しなければいけない。服を乾かす余裕は無い。
―風邪ひきそうだ―
クシュンッ、と小さなクシャミをしながら思った。
その時、激しい雨音にまじって、小屋に近づく音が聞こえた。
丹はビクッっと身体を震わせ、片手に長脇差、片手で毛布を抱いたまま
戸を注視した。