マットに倒れ込んだ二人は、再び唇を重ねる。  
 
「あ・・・ん・・・っ、ちゅ・・・っ・・・んふ・・・ぅ」  
「っぷ・・・ふ・・・む・・・っ」  
 
互いに貪るように唇で唇を塞ぎ、吸い、舌を絡めあう。  
抱きあったままモゾモゾと動いて少しずつ身体をずらし、  
陽菜の背中の下になっていた両腕を引き抜くと、我聞は自由になった手で彼女の身体に触れる。  
左手はブレザーのボタンを外してブラウスの上から控えめな胸を揉みしだき、  
右手は健康的に引き締まった太腿を愛でるようにさすりながらスカートの中へと伸びる。  
 
「んむ・・・!」  
 
潤んだ目を薄く開いて恍惚とした表情を浮かべていた陽菜が、ぴくんと震えてその目を見開く。  
反射的に思わず膝を閉じそうになるが、  
既に我聞の膝が両足の間に入っているので、その脚に脚を摺り寄せるだけの結果に終わる。  
そんな陽菜の仕草が可愛くて、今はどんな声を出してくれるのか気になって、  
右手を陽菜の敏感な内腿に這わせながら唇を離してみると・・・  
 
「んぷ・・・あ! ひ・・・ぅぅ・・・あ・・・ぅ、ふぁ・・・しゃちょ・・・」  
 
甘い吐息を洩らしながらも、陽菜は少しだけ不満そうな顔を見せる。  
キスを中断したことがお気に召さなかったかな、と感付いて、  
今度は陽菜の首筋に唇と舌を這わせ、優しく吸い、舐め上げる。  
 
「ん・・・! あ・・・あ、ひぅ・・・ふぁ・・・」  
 
塞ぐもののなくなった口からは控えめな、だが明らかに感じているとわかる喘ぎ声が漏れ出し、  
彼女に触れる手指や唇から、白くきめ細かな肌がぞくぞくと震えているのが伝わってくる。  
陽菜の身体が愛撫を受け入れてくれていることが分かると、  
我聞は更なる刺激を注ぎ込むべくブラウスのボタンを外しにかかる。  
だが、その手は陽菜の手に掴まれて・・・  
 
「だめ、です・・・ここ、カギ、かかってないですから・・・服は・・・ダメ」  
「あ・・・」  
 
ここは学校の体育倉庫であり、用途上、内側から施錠できる造りにはなっていない。  
従って、抱き合う二人と “放課後の学校” という外界とを隔てるのは、  
大して重くもない扉一枚に立ち入りを禁じる旨を記した掛札一枚のみ。  
そんな状況に少しだけ躊躇を覚えるが・・・昂ぶりつつある欲求を抑えるまでには及ばなかった。  
何より―――この状況を認識していながら、陽菜は自分から我聞と身体を重ねることを求めてきたのだ。  
 
「じゃあ、こっちを・・・」  
「え・・っふ・・・ぁあ・・・あ!」  
 
ボタンに掛けた手を陽菜の胸に戻すと、ブラウス越しになだらかな膨らみを手のひら全体で揉み捏ねつつ、  
今度はスカートの奥で滑らかな太腿を撫でていた右手を・・・  
 
「あ、や・・・あ! ひ・・・ぅ・・・だ、め・・・」  
 
内腿に当てた指を脚の付け根に向けて這い登らせて、  
ショーツの上から陽菜の最も敏感な部分に触れる。  
 
「―――っ!」  
 
声にならない声をあげて、陽菜の身体がびくん! と揺れる。  
そのままショーツの布地ごと指を秘裂にぐいっと押し付けると、  
再びびくんと身体が揺れて、指から逃げるかのように腰がもぞもぞ動く。  
 
陽菜の反応に手応えを感じながら、ぐりぐりと押し付ける指に少しずつ力を加えてゆくと―――  
 
「あ・・・國生さん、ちょっとだけ下着、濡れてきたよ・・・」  
「や・・・そんな! ・・・だって、そこ・・・社長がそんな、指で、するから・・・」  
「指をこんな風に押し付けられただけで感じちゃったんだ・・・じゃあ、こうしたらどうかな?」  
「え、や、ひぁ! だめ、あ、ふぁ・・・!」  
 
僅かに湿った薄い布地越しに秘裂に指を沿わせると、最初は軽く・・・徐々に押し付けるように、  
割れ目に沿って上下に擦りあげる。  
 
「や! しゃ、ちょ・・・あ、ふ・・・! っひぅう・・・」  
 
緩慢だった陽菜の腰の動きが徐々に速く、大きくなり、びくびくと不規則な震えが混じる。  
漏れ出す声のトーンも高まり、普段の陽菜からは想像もつかない艶かしさを帯びる。  
ショーツ越しに陽菜の秘部を愛撫する指は初めこそ乾いた音を立ててスムーズに動いていたが、  
指が動く度にじとり、と布地が潤いを増し、やがて“じゅっ、じゅっ”と湿った音に変わる。  
 
「すごいな、どんどん濡れてきてるよ・・・感じてくれてるんだ・・・」  
「ふ・・・っ、あぁ・・・だって・・・そんな、弄られたら・・・ぁ・・・」  
「じゃあ、ここもこうしたら、もっと気持ちよくなっちゃうかな・・・?」  
「っ・・・え、な、なんです・・・・・・っ!? い! や、あ! ぁあっ!?」  
 
人差し指と中指でショーツの上から秘裂を擦りあげながら、親指でその少し上をまさぐり、  
布地越しにでもそれとわかる小さな突起を探り出す。  
 
「だめ! しゃちょっ! そこ、っひ! び、んかんすぎてっ! あ、ひゃあ!? だめ、やぁあっ!」  
「でも、下着越しだと・・・丁度いいんじゃないかな? ・・・どう?」  
「あ、あ―――っ!? だめ、そんなぁ! ふぁ・・・あ・・・っくぅ・・・!」  
 
びくびくと激しく身体を揺らしながら、それでも声にかかる甘い霞みは晴れるどころかますます蕩けるよう。  
それを確かめると、秘裂に押し当てる指はより強く速く、突起を弄る指も少しだけ強く、  
右手で陽菜の敏感なところを責め立てて、官能の蕾を徐々に開花させてゆく。  
 
「は―――っ、あ・・・ふ・・・っ、ひぁあ! しゃちょ、だめ・・・そんな・・・ぁ、わたし・・・」  
「國生さん・・・そんな声出されちゃうと・・・俺、もっと君を・・・苛めたくなる・・・」  
「あぅ・・・ふ・・・っ、そんな・・・ あ、その・・・でも・・・っふぁ! ・・・あの・・・」  
 
頬を真っ赤に染めながら、潤みきった目で我聞に向けられた視線には、  
恥ずかしくて言葉に出来ない彼女の思いが、我聞にすら読み取れるくらいに込められていた。  
―――もっと、苛めて欲しい、と。  
だから、我聞は躊躇なく手を動かす。  
親指で下着越しに肉の突起をやや強めに押し捏ねて陽菜の身体を一際大きく震えさせておいて、  
その間に薄い布地の内側に手を滑り込ませる。  
その一帯は漏れ出した蜜でぬるぬるに湿っていて、生温かい。  
 
「あ、や・・・しゃちょ・・・あ、あ・・・」  
 
秘裂に直接指をあてがうと、それまで我聞の愛撫に踊らされていた腰の動きがぴたりと止まる。  
震える声は、期待と不安・・・両方の気持ちが篭っているかのようだ。  
だが、首筋から顔を上げて陽菜の表情を見ると―――赤く火照って潤んだ目や、物欲しげに開いた口から・・・  
 
「はやく弄って欲しい・・・?」  
「え!? あ、そんな! べ、べつに・・・その・・・」  
「でも國生さん・・・すごく、欲しそうな顔してるよ・・・」  
「そ、そん―――っふぁあ!? あ、いひっ! んぁああ!」  
 
陽菜の言葉を遮るように、つぷぷ・・・と、中指を彼女の中に侵入させる。  
既に濡れそぼっているそこは、指程度のものならほとんど抵抗なく入り、  
それでいて咥え込んでしまうと今度はきゅうっ、と締め付けてくる。  
 
「あ・・・ひ・・・ぅく―――っ!」  
 
陽菜の感極まったような声を聴きながら、指を第一関節、第二関節・・・と、ゆっくりと沈めてゆく。  
奥へ進むにつれて指を包み込む秘肉は熱を増し、  
そこに己自身を埋め込んだ時の感触を如実に思い出して、我聞の身体が一気に疼き出す。  
だが今は・・・自ら求めてくれた陽菜を悦ばせることを何よりも最優先にしたかったし、  
こんなにも感じ、喘ぎ悶えてくれる陽菜をもっと乱れさせたいという欲求にも駆られていた。  
だから我聞は指先を動かし手首を動かして、狭いままの洞穴の肉壁を優しく、時に激しく擦り、抉り、捏ねる。  
 
「い、あ・・・! っふぁん! こん・・・な・・・っ! あ、あ・・・っあ―――!」  
 
我聞の指に秘所を掻き回されて、陽菜はびくびくと身体全体で震えながら艶やかな声を上げ続ける。  
切なげに眉をひそめ、目尻には涙すら浮かべて身体に刻み込まれる快楽に翻弄される姿は、  
普段の陽菜に比べてあまりにも・・・  
 
「國生さん・・・本当に・・・えっちな顔・・・」  
「いやぁ・・・あ、っふぁ! そんなこと、言わないで・・・見ちゃ、ひぅ・・・! ダメです・・・見ないでぇ」  
「すまん・・・無理だ・・・今の國生さん、可愛いすぎるよ・・・」  
「っくひ・・・そんな・・・ぁ・・・あぁあ! あひ、ひむ・・・っ!? んむ! んん―――!」  
 
目の前で乱れる陽菜が余りにも可愛くて、思わず・・・嬌声を上げ続けるその唇を奪う。  
愛しい少女をただひたすら愛したくて、一心にその唇を吸い、舌を入れると、  
陽菜も応えるように、懸命に我聞の舌に舌を絡ませてくる。  
左手で愛撫していた彼女の胸は、ブラウスの上からでもその敏感な突起が硬く尖っているのがわかり、  
指先でそこをぐりぐりと抉り、撫でまわす。  
右手は休むことなく陽菜の濡れそぼったショーツの下でもぞもぞと動き、  
膣内に沈められた指先を曲げたり捻ったりしながら、陽菜の身体に官能の悦びを刻んでゆく。  
 
「・・・んんっ! んむ・・・っぷ、あ! うぁあ! っん、む―――っ! んぶ・・・ぅ・・・」  
 
上下の口を内側から執拗に愛撫され、注ぎ込まれる強烈な悦楽に身体を激しく震わせながら、  
陽菜はくぐもった呻き声をあげる。  
だが、その両腕はあくまで我聞の背に回したまま、ぎゅっと抱き締めて離そうとしない。  
陽菜が我聞の愛撫を、上下の口から与えられる喜悦の刺激を受け入れているという、証。  
 
―――じゃあ、もっと気持ちよくさせてあげなくては。  
 
悪戯心でもサドっ気でもなく、あくまで純粋に彼女を悦ばせたい―――  
どこまでも裏のない陽菜への想いが、我聞の指を更に動かす。  
・・・まだそこへ挿れられていない、もう一本目の指を。  
 
「んん・・・っ、ん・・・んむ!? ん! んんん! ん―――っ、んむ、んぶ、んんん―――!」  
 
ずぷぷ・・・  
垂れ流される蜜を絡めながら、二本目の指が秘唇を掻き分けて陽菜の中に侵入する。  
二本に増えた指はそこにあるだけでも陽菜の媚肉を圧迫し、  
しかもそれぞれが別々に動き、届く範囲の膣内を余すところなく責めたてる。  
その指が生み出す快楽に陽菜の意識は振り回され、  
溢れ出た官能の喜悦が彼女の身体をガクガクと揺らし、快楽の炎となって脳髄を焦がしだす。  
 
「んむっ! っぷぁ、あ! うぁああ! しゃちょおっ、ゆびぃ、すご、あ、ひゃああ!」  
 
強烈な快楽に陽菜の意識は甘く煮えたぎり、羞恥によるリミッターが外れはじめる。  
頭を振り乱して悶え、弾みで解放された口から漏れる卑猥な声は、  
彼女の秘所と我聞の指が立てる水音と相まって、二人の行為を淫らに彩る。  
陽菜の中で指がうねうねと蠢くのに合わせて、スカートの奥、ショーツの下から、  
ぢゅぷ、ぢゅく・・・と、響く低く湿った音は、  
つい先程まではショーツとスカートに阻まれてほとんど聞こえなかった。  
だが今は、二人の耳にはっきりと届いている。  
音を奏でる指が二本に増えたせいもあるだろうが、  
何より陽菜の秘所がそれだけ濡れそぼり、溢れんばかりに滴る淫蜜が指に弾かれて音を立てているから。  
 
「聞こえる・・・? 國生さんのここ、えっちな音がしてる・・・」  
「や、そんなぁ! はずかし・・・っ、こと、あふ! い、いひゃ、いわないでぇ・・・」  
「恥ずかしがらないで・・・もっと、気持ちよくなって・・・」  
「っふ・・・ぁ、あ・・・でも、っひぅう! ゆ、び・・・っ、や、あ、ひゃあ!」  
 
びくびくと腰を、身体を揺らして悶え、きゅ、きゅっと、自分の中に埋め込まれた二本の指を締め付ける。  
その膣の動きに物欲しげな雰囲気を感じて、  
我慢はさらに陽菜を悦ばせようと・・・  
 
「ひう! あ、っく! っ、え・・・あ!? や! やだ! だめ! ダメです!  
 そんな、もう、ゆび、だ・・・あ! や! っひあぁあ!」  
 
二本の指で既に埋まってている陽菜の中に、更にもう一本、新たな指を侵入させる。  
先に埋め込まれている指だけでも、中から膣を押し拡げる感覚で頭が快楽に痺れてしまいそうなのに、  
そこに新たな異物を秘肉を掻き分けるように押し込まれ、  
陽菜の許容量を越える強烈な快感が身体の芯にえぐり込まれる。  
抵抗しようと思わなければ一瞬で意識が溶けて流れてしまいそうな、  
激しく、容赦無く、そして甘美すぎる愛撫に晒されて―――  
 
「や! あ・・・っく、ひう! らめ、だめぇ! ゆび、やだ、や、ヤです! ゆびじゃ、や、やあぁああっ!」  
 
がくがくと身体を震わせながら、泣き叫ぶように訴える。  
だが、その声はすでに官能の炎で蕩けきり、喘ぎよがっているような、淫蕩な響きに満ちている。  
この指で陽菜の中をもう少し激しく掻き混ぜてやれば、  
難なく彼女を淫らに狂わせることができることが我聞にも分かる。  
乱し狂わせ、堕ちきった陽菜を思うままに嬲り尽くしたいという欲求だって、無いとは言えない。  
だが、今は・・・  
 
「あ、あああ―――っ! あ! ・・・ぁ・・・あ、ふぁ・・・っ・・・はぁ・・・っ、はぁっ、あ・・・」  
 
陽菜の訴えを素直に受け入れて、ぴた、と動きを止め、熱く蕩ける秘所からすぐに全ての指を引き抜く。  
ぬぷ、と音を立てて栓を失った蜜壷からはとぷとぷと蜜が流れ出して、  
既に湿りきってしまっているショーツをさらにびしょびしょに濡らす。  
身体を震わせて荒い息を吐きながら薄く開いた目で我聞を見つめる陽菜の顔に浮かぶのは、  
安堵でもなく、非難でもなく―――期待の色。  
我聞は陽菜の視線に応えるように、す―――と、耳元に顔を寄せて・・・  
 
「國生さん・・・俺、そろそろ我慢できない・・・いい、かな・・・」  
「は・・・い・・・ きて・・・ください・・・私も、社長の・・・ほしい・・・」  
「ん・・・」  
 
一旦身体を離すと、我聞は邪魔な制服の上着を脱いで、ベルトを外しファスナーを下ろす。  
すっかり“テントの張った”状態のトランクスからちょっと手間取りながら、  
中身を取り出す様子を目の当たりにして、陽菜は恥ずかしくて顔を背ける。  
 
「・・・國生さん」  
 
我聞に呼びかけられて、背けた顔を少しだけ彼の方に向ける。  
陽菜の傍で膝立ちになった彼と、その腰で反り返っているモノがどうしても目に入ってしまい、  
恥ずかしくてすぐにまた目を逸らしてしまうが・・・  
それでされることを思うと、既に火照り切った身体が疼くのを認めない訳にはいかない。  
 
「下着だけ、脱がすよ・・・? スカートがあるから、いいよね」  
「・・・は、い・・・」  
 
恥ずかしさのせいか消え入るような声で答えながらも、脱がせやすいように脚を揃えて、軽く腰を浮かす。  
我聞の両手がスカートの中に伸び、陽菜のショーツの両脇を掴むとするすると下ろす。  
やがて脱がし終えたショーツをマットの上に置くと、じわ、と陽菜の淫蜜でできた染みが広がる。  
だが、今の二人にはそんなことはどうでもいい・・・  
 
「・・・國生さん・・・今度は、脚、開いて・・・」  
 
妨げるものがなくなって、我聞の両手が陽菜の膝に被せられる。  
陽菜は全く抵抗せず、おずおずと脚を開き我聞を招き入れる。  
陽菜の両膝の間で膝立ちになった我聞の手が陽菜のスカートにかかり、最後の障壁を捲りあげると・・・  
じっとりと濡れそぼった彼女の秘所が、露わになる。  
我聞は自らの手でそうしたことだと分かっていても、その淫猥な光景にごくり、と喉を鳴らしてしまう。  
陽菜は身体が期待に昂ぶっているのを感じながらも、  
同時に人の―――愛する男性の目の前で脚を開いて秘所を晒すという恥ずかしすぎる格好に、  
泣きそうな気持ちになって身体の両脇に投げ出した手を思わずきゅっと握り締める。  
二人とも既に何度も身体を重ねてきているのに、どうしてもこの瞬間には慣れない。  
それぞれが緊張と期待で過度に胸を高鳴らせてしまう。  
―――だが、その先を知ってしまっている以上、いつまでも抑えられるものではなく・・・  
 
「じゃあ、國生さん・・・するよ・・・」  
「・・・はい・・・社長・・・・・・」  
 
我聞が覆い被さってくるのを感じて、陽菜は逸らしていた顔を正面に向けると彼と目を合わせる。  
硬く握っていた手に我聞の手が優しく重ねられたのを感じて、彼の大きく頼もしい手を握り返す。  
恥ずかしいのは変わらないが、自分を見つめる我聞の顔にも明らかに、  
緊張や照れといった種類の表情が浮かんでいるのを見てとって、  
緊張がほぐれてゆくのを感じる。  
二人の距離はすぐに縮まって、やがて屹立した我聞の尖端が陽菜の秘所に触れる。  
 
「ん・・・っ」  
 
びく、と陽菜の身体が一瞬だけ震えるが、火照った顔を我聞から逸らしたりはしない。  
むしろ、我聞をじっと見つめる潤んだ瞳は、待ち焦がれているようにすら見える。  
そんな熱の篭った視線と、尖端をぢゅくっと濡らす感触に吸い込まれるように、  
我聞は腰を押し進め・・・  
 
「っ・・・ふぁあ、あ、熱・・・っ、あ、あ! あ!」  
 
ずぶ、ぷ、ぷぷ・・・  
熱く固い肉の槍と化した我聞のモノが、秘唇を割り拡げてゆっくりと陽菜を貫いてゆく。  
陽菜の中は淫蜜で濡れそぼり、キツく締め付けながらも我聞の肉茎をスムーズに呑み込んでゆくが、  
既に絶頂寸前まで焚き付けられていた陽菜の身体にとっては、どれだけ潤滑液にまみれていようとも・・・  
 
「あ・・・は・・・っ! しゃちょ・・・のっ、こすれ・・・うぁああっ!」  
 
埋め込まれてくる我聞のモノが膣壁を擦り抉る刺激はどうしようもなく強烈で、  
陽菜は上擦った嬌声を上げて悶え、淫らに乱れた姿を我聞に晒す。  
やがて指では届かなかった奥深いところに我聞の穂先が侵入すると、  
 
「や! あ、深・・・ぃ、あぁ・・・お、奥までぇ・・・あ、っく! あ! ひぁあ・・・」  
 
敏感すぎる膣内を押し広げながら我聞の肉茎はずぶぶ・・・と、より深く沈み込み、  
蕩けそうなほどに甘美な刺激が陽菜の身体の芯から頭の先まで響き渡る。  
感極まったように身体の奥から搾り出されたような切なげな喘ぎ声を絶え間なく洩らしはするが、  
そこには苦痛や拒絶の響きは無い。  
赤く上気した表情・・・はしたなく開き涎で穢れた唇や、涙が滲む薄く開いた目にも、  
羞恥や恐怖の色は無い。  
ただ、あるのは―――  
 
「っ・・・ぁあ! おく・・・届く・・・しゃちょ・・・っ! あ、っふぁあ! あ、あ・・・ぁああ!」  
 
激しく燃える官能の炎と、悦び震える身体と、それを完全に受け入れる心。  
場所のことも何もかもどうでもよく、ただ今は我聞と交わることが気持ちよくて、  
彼を身体の一番深いところで感じられることが嬉しくて、  
間近に迫った最初の頂きに向かって、喜悦で蕩けた心はただただ突き上げられてゆく。  
故に、その瞬間は本当に呆気なく訪れる。  
我聞のモノは快楽でがくがくと震える陽菜の中により深く沈み込み、  
やがて根元まで埋め込まれ、二人の腰と腰が触れた瞬間に・・・  
 
「あ! ぁあっ! しゃちょ・・・っく! おく、きちゃ・・・あ、ああ! っぁあああ―――!」  
 
陽菜の中で快感が決壊して、意識が真っ白に塗りつぶされる。  
ゆっくりと突き込まれたはずなのに、その衝撃は背骨を走って脳髄まで駆け上がり、  
一際高い声をあげながら、陽菜は身体を弓なりに反らせてびくびくと痙攣する。  
そんな声や身体の動き、更に握り合う手と自分を包み込む陽菜の中がきゅっと締まる感触で、  
我聞も彼女が絶頂を迎えたことを知る。  
 
「國生さん・・・挿れただけで、イっちゃったんだね・・・」  
「っはぁ・・・は・・・だ、だって・・・しゃちょ・・・あんな・・・、ゆびで・・・する、から・・・ぁ」  
 
気持ちで受け入れていたことでも、改めて言葉にされると恥ずかしくて、  
今更ながらに羞恥の表情を浮かべながら息も絶え絶えに答える。  
そんな陽菜が可愛くて仕様がなくて、もっと、すぐにでも彼女を貪りたい、悦ばせたいとは思うのだが、  
こんなときの陽菜を知っている―――敏感になりすぎてしまう―――だけに、少し躊躇ってしまう。  
だが、陽菜だって同じように我聞のことは分かりきっている。  
例え溢れ出した快楽で頭が上手く働いてくれなくても。  
だから・・・  
 
「あの・・・社長・・・いい、ですよ・・・」  
「え?」  
「社長の・・・わたしの中で、まだ・・・かたい、ままですから・・・続けて、ください・・・」  
「で、でも國生さん・・・イったばかりだと、感じすぎちゃうから辛いんじゃ・・・」  
「・・・いつもそうと分かってて・・・それでもするじゃないですか・・・」  
「う・・・だ、だけど、今日は・・・」  
 
いつもだって悪気はないのだが、特に今日は彼女のことを大事にしてあげたい、と思う。  
 
「大丈夫です・・・いえ、その・・・辛いかもしれませんが、苦しそうにしてしまうかもしれませんが・・・」  
 
陽菜の表情は切なげで艶やかで、見つめられるだけで我聞の情欲は理性の壁を乗り越えそうになる。  
それを知ってか知らずか・・・いや、どちらであろうとも構うことなく・・・  
 
「まだ、足りないんです・・・もっと、感じたいです・・・もっと社長が、欲しい・・・」  
 
甘えるような、媚るような―――陽菜の淫らに蕩けた声で求められて、  
自分のモノを包み込んだままの熱く濡れた秘肉に、  
まるでおねだりされるかのようにきゅうきゅうと締め付けられて、  
我聞は自分の意思がどうせ長持ちしないことを悟る。  
そもそも今日の我聞の気遣いはことごとく的を外していることもあり、  
これ以上頭を働かせることを放棄して、陽菜の、そして自分の求めるままに―――  
身体の芯から沸きあがる疼きに、身を任せることにする。  
 
「・・・っふあっ!? あ・・・んっ! んん・・・んふぅ・・・ぁ・・・っ」  
 
達したばかりで過敏になっている陽菜の膣肉は、  
自分の身体の奥深くに埋め込まれた熱い塊がびくん、と脈動しただけでも敏感に反応してしまう。  
だから我聞が本格的に動き出すために多少体勢を変えただけでも、  
陽菜にとっては強烈な愛撫を加えられているようなもので、自ずと淫らに喘いでしまう。  
 
「よし・・・それじゃあ國生さん、動くよ?」  
「は・・・い、動いて・・・もっと、感じさせて・・・ください」  
「ん・・・俺もその、久々だしちょっと我慢してたから、  
 動き出しちゃうと、どんどん激しくしちゃうかもだけど・・・」  
「大丈夫です・・・社長の、したいようになさって下さい・・・その方が、うれしいですから・・・」  
「わかった。 じゃあ、いくよ―――」  
「はい、きて・・・あ、あふ、ふぁああ! あ・・・んぁあっ!」  
 
会話を終えると同時に、我聞の肉杭が陽菜の中から引き抜かれ、  
雁首のあたりまで抜いたところで反転、速度を緩めることなく再び沈み込む。  
先程のようなゆっくりした挿入とはかけ離れた速度で肉杭は陽菜の中に打ち込まれ、  
全て埋まってしまうと二人の腰が衝突して、接合部からぴちゃ、と溢れた蜜の弾ける音が響く。  
陽菜の腰がガクンと揺れるが、それに構うことなく一瞬の静止後に再び肉杭は引き抜かれ、  
そして同じように打ち込まれる。  
 
「あ・・・ぁあ・・・ひぁ、あ、あああ! っく、ふぁ、しゃ、は、しゃちょ・・・ふわぁああ!」  
 
陽菜の細身は肉杭が引き抜かれるとぞくぞくと震え、打ち込まれるとガクガクと揺れる。  
口からは絶えず喘ぎ声が漏れ我聞の動きに合わせてトーンの高低が変わるが、  
その声からは常に悦びの響きが滲み出ている。  
我聞は腰のピストン運動を何度も繰り返しながら、  
時に捻るように、時により深くと微妙な変化をつけて、抽送のペースも徐々に上げてゆく。  
応じて陽菜の身体の揺れは激しくなり、彼女の声は・・・  
 
「っふぁあっ! は、わ・・・んあぁあ! ひぁ、しゃちょ、しゃちょおっ! はげしっ、あ、ひゃあああ!」  
 
トーンが上がりこそすれ下がることはなくなり、甲高い声で喘ぎ悶えるばかりになる。  
 
「っ、國生・・・さんっ! なか、凄い・・・柔らかいのに、キツくて、熱くて・・・気持ち、よすぎる・・・」  
「あふ! ひゃ、うれし・・・っ! わたし、も・・・きもち、い、あ、っふぁああ! んぁ、いいですっ!」  
 
互いにここが学校であることも忘れ、胸に浮かんだことを躊躇いもなく口にする。  
自分が相手を感じていること、悦んでいることを伝えずにいられない。  
好きな人と抱き合い交わることが気持よくてたまらない。  
気持いいから、もっとしたい。  
気持いいから、もっと欲しい。  
そんな気持に駆り立てられるように我聞は陽菜の唇を塞ぎ、  
陽菜は貪る様に我聞の唇を吸う。  
我聞のモノが陽菜の中を掻き混ぜる、ぐちゅ、ずちゅ、という濁った音と、  
二人の唇が貪りあう、ぴちゃ、ちゅぱ、という軽い音が絶え間無く響き、  
そこに二人の荒い息遣いと喜悦の呻きが重なる。  
 
陽菜の秘所に肉の杭を何度も何度も突き込みながら、  
我聞はいつもより遥かに早く最初の限界が近付いているのを感じる。  
陽菜の中はどう角度を変えて突こうとも、浅かろうと深かろうとも、  
我聞のモノに絡み付くような締めつけで、しかもぐずぐずに蕩けそうなほどに熱い。  
第一研以降、肌を重ねる機会を得られないままだった我聞にとっては、  
そんな悦楽に浸りながら自分を抑えることは難しい・・・いや、仙術を使ってまで抑えたくなかった。  
 
「ん・・・むぅ・・・っ、ぷはっ・・・くぅ・・・國生・・・さん・・・っ」  
「っぷぁ・・・っ、はぁ・・・ぁ、あ! ひゃ、しゃちょ・・・? あ、っふぁ!」  
「俺、もう・・・いつもより、気持ちよすぎて、ダメだ・・・そろそろ・・・」  
「え・・・っはぅ! じゃあ・・・あ、ひぅ・・・っ、い、いっしょ・・・にぁあ! しゃちょおっ!」  
「ああ・・・! 一気に、するから・・・それまで我慢して・・・」  
「は、はい・・・ぃ!? あく! ・・・っぅあぁああっ! は、はげしっ! あ、や、ふぁあ!」  
 
限界近くまで昂ぶったモノを開放させるために、我聞の腰の動きが格段に激しくなる。  
抽送の速度は更に増し、腰を陽菜の腰にぶつけるような勢いで肉槍を突き立てる。  
動きは単調になった変わりに勢いが増し、その分だけより深くまで抉り込まれることになり、  
 
「ひぁあ! おく、にぃ! とどいて、あ、あぁあっ! 当たって、あ、あああ―――っ!」  
 
陽菜の意識が真っ白に弾けそうになる。  
我聞の穂先は子宮口に達し、そこをコツ、コツと叩かれる度に身体の一番深いところがビリビリと痺れて、  
そこで生まれた喜悦の電流は背筋を通って脳髄まで駆け上がる。  
突き込まれる度に達してしまいそうな激しすぎる悦感を繰り返し繰り返し注ぎ込まれ、  
あられもなく喘ぎ悶えながらも、陽菜は必死で耐える。  
耐えれば耐えるほど、絶頂に達したときの反動が大きいのは分かっているが、  
怖くもあるが、それでも・・・目の前の愛しい人から、我聞から与えられるなら、  
それは嫌なことではない・・・むしろ嬉しいこと。  
だから、彼の手を一層強く握って崩れかけの意識をどうにか保ち続けて―――  
 
「うぁあっ! しゃちょ、はやく、はやくっ! わた、も、あぁあっ! ダメ、もう、あ、ひぁあああ!」  
「っく、もうすぐ、すぐだからっ! もう、ちょっと・・・耐えて・・・!」  
 
性の喜悦に蹂躙されて、あられもなく乱れる陽菜の声や表情、  
それに突き込み抉る我聞のモノをきゅ、きゅっ、と小刻みに締め付ける感触から、  
陽菜の限界が間近なこと、そして必死で耐えていることもわかる。  
そんな健気な彼女に応えるべく、寸前までたかぶったモノを彼女の中で達させるべく―――  
大きく一度突き、  
 
「いひゃああっ! も・・・っ!」  
 
強くもう一度突き、  
 
「っひうぅ! もう、わた―――」  
 
一度引いたところで僅かに止まって、  
 
「國生さん・・・っ、イくよ・・・出すよっ!」  
「しゃ、あ、きて! わたしも、いっしょに・・・いっしょにイきま―――」  
 
最後に思いきり深く突き込んで―――  
 
「ひ! お、あ! ふか・・・っあぁあああ――――――!」  
 
腰をぶつけるように押し付けらて、肉杭を陽菜の一番深いところまで突き立てられて、  
先端で子宮口を圧迫されて―――  
 
「おく、あ、あた・・・っ、ひ、イ・・・っ、イっちゃ・・・っぁああああああ!」  
 
背を弓のようにぴん! と反らせ、甲高く絶叫のような喘ぎ声を上げて―――  
陽菜は絶頂に達する。  
その反動で陽菜の膣は咥え込んだ我聞のモノをきゅうううっ、と締め付け、  
 
「俺も・・・オレも、だすよ・・・っくうっ―――出るっ!」  
 
それが最後のトドメとなって、我聞は滾りつづけていた熱い精を陽菜の中へ解き放つ。  
我聞のモノが脈打つように何度も跳ね、その度に先端から熱い粘液がほとしばり、  
びゅくっ、びゅるっ、びゅぷぷ・・・・・・と、陽菜の膣に注ぎ込まれてゆく・・・  
 
「―――っ! しゃちょ・・・のっ! でて・・・るっ! なかでっ、でてま・・・っあぁああああ!」  
 
絶頂に達した直後の敏感すぎる膣内で我聞のモノが何度も跳ね、繰り返し射精されて、  
その刺激が陽菜に絶頂から下りることを許さない。  
我聞のモノが弾ける度に、陽菜はガクンと大きく震え、  
 
「っあぁああっ! まだっ、でてる・・・すご、こんなっ・・・あ! また、イく、イっちゃ、ぁあ、あああっ!」  
 
快感で煮えたぎり朦朧とする意識では声を抑えることなど出来ず、  
我聞の射精が済むまで、陽菜はあられもない声を上げながら絶頂の高みで悶え続けた。  
 
・・・やがて我聞が完全に射精を終えると、  
陽菜は絶え間なく続いた絶頂からやっと解放されて、荒い息を吐きながら身体全体をぐったりと弛緩させる。  
我聞も射精を終えた後の独特の気だるさを感じながら、  
身体を陽菜の上に被せて密着すると少しだけ体を預けて目を閉じる。  
苦しいほどの重さはなく、服越しに相手の体温を感じられることが心地よくて、  
陽菜もまた目を瞑ると身体の外と内から感じられる我聞の温もりに浸る。  
 
こうしてしばらく二人は無言のまま、蕩けあうような交わりの余韻に浸っていたが、  
どちらともなく開いた目が合うと戻ってきた羞恥心で頬を染めて、だが目を逸らすことはなく・・・  
 
「・・・しゃちょ・・・すごい・・・いつもより・・・いっぱい、でてました・・・」  
「ああ・・・一週間以上してなかったから・・・それに、國生さんのなか、すごく、気持ちよかったから・・・」  
「わたしも・・・いつもより敏感になってたみたいで・・・すごく、その・・・」  
「その・・・?」  
「・・・きもち、よかった・・・です・・・」  
「そうか、ならよかった・・・」  
「それに、嬉しかったですし・・・一緒に・・・」  
「・・・一緒にイけて?」  
「・・・・・・・・・はい」  
 
顔を真っ赤にしながら、それでも素直に答える陽菜があんまり愛おしくて、そして魅惑的で、  
我聞の胸は思わず高鳴り、背筋をぞくり、と震えが走る。  
そして、一度は鎮まった欲求の塊が再びむくり、と鎌首をもたげ・・・  
 
「・・・きゃっ!?」  
 
羞恥で真っ赤になって、蚊の鳴くような声で話していた陽菜が急に高い声を上げて、身体をびくんと揺らす。  
 
「や・・・社長の、また・・・硬く・・・」  
 
陽菜の中で存分に射精して、そのまま引き抜かれずにいた我聞のモノが、  
むくむくと勃ちあがり陽菜の秘肉を再び圧迫する。  
陽菜は眉をひそめて困ったように我聞に目を向けるが、  
紅潮したままのその顔に浮かぶ羞恥や困惑の表情もまた嗜虐欲をそそり、  
ソレはより一層、硬さを増すばかり。  
 
「わ、悪い、その・・・國生さんが、あんまり可愛かったものだから、つい・・・」  
「え・・・! そ、そんな、こと・・・」  
 
我聞はさもきまりが悪そうに陽菜から目を逸らすが、  
それでも中に入りっぱなしにしているソレを引き抜こうとはしないあたりに、  
彼の欲求は言葉にせずとも陽菜に伝わっている。  
だが、陽菜は陽菜で眉をひそめてこそいるが、隠し切れない期待の表情や、  
服越しに伝わる高鳴る胸の鼓動が、彼女の気持ちを我聞に教えてしまう。  
 
「ね・・・國生さん・・・まだ、時間あるかな?」  
「あ、はい、少々お待ちください、確認しますから・・・」  
 
我聞と握り合っていた手を離すと、制服を探って携帯を取り出し、時間を確認する。  
16時20分・・・あまり時間がある、とは言えないが・・・  
 
「少々でしたら・・・帰途を少し急ぐことになりますが、それでもよろしければ、その・・・もう少しは・・・」  
「そうか・・・じゃあ、手早く終わらせなくっちゃね・・・ちょっと、激しくするよ・・・」  
「は・・・い」  
 
二人とも敢えて“何を”とは言わないが、今更言うまでも無く互いに分かりきっている。  
我聞が既に硬くなっている自分のモノを一旦引き抜くと陽菜の身体がびくんと震える。  
 
「んうっ! ・・・ぁ・・・あ、垂れ・・・ちゃう・・・」  
 
栓がなくなった陽菜の秘所から、彼女自身の蜜と我聞の白濁とが混ざり泡だった液体がこぼれ出し、  
彼女の太腿やスカート、そしてマットを汚す。  
我聞がもう一方の握り合っていた手も離して体勢を変える間、  
陽菜は彼の“激しく”という言葉に期待してしまっていることを隠そうと黙って身体を預けるが、  
いきなり片足を高々と抱えあげられて、仰向けだった身体を横にされて、  
更に下になった脚を我聞にまたがれて、  
要するに彼の前で思い切り脚を開いた体勢を取らされて・・・  
 
「や・・・! しゃちょっ、こんな格好、はずかし・・・ぃひぁあっ!?」  
 
思わず陽菜は恥ずかしさのあまりに思わず声を上げるが、  
言おうとした言葉を全て口にする前に彼女の発する声は無理矢理に、嬌声に変えられてしまう。  
―――再び陽菜の中に侵入してきた、我聞の肉槍によって。  
 
「や、しゃ・・・まって・・・やぁあ! こんな、脚、ひらいちゃ、恥ずか・・・っひぁあ! しゃちょおっ!」  
 
陽菜の大きく開かれた脚の間に互い違いになるように我聞の脚が割り込んで、  
深く腰を密着させて交わる形―――側位、もしくは松葉崩しの体位。  
 
「恥ずかしい、かな・・・?  
 でも、これなら奥まで届くから、あまり時間無くても國生さん、気持ちよくなれると思う・・・」  
「そ・・・んなっ! さっきまででも、っくぁあ! ちゃんとっ! おく・・・まで、とどいてぇ・・・  
 あ! や、ふぁあああ! だめぇ! これっ! ふか・・・っ、すぎ、て、あ! らめ! んぁああああ!」  
 
二人分の体液でどろどろに濡れた陽菜の蜜壷は酷く滑らかに我聞の肉茎を呑み込み、絡みつく。  
互いの脚を割り開いて性器を交えているので、  
我聞が思う様に腰を動かしても脚がつっかえたりせず、いきり立ったモノは根元まで陽菜の中に突き刺さり、  
それだけ深く強く、彼女を責め立てる。  
 
「っひゃああ! だめ、おくっ! とどいてぇ、あた・・・ってぇえ!  
 ぁああっ、だめ、つよっ! はげしっ・・・すぎますっ! こんなの、だめ・・・えぐれちゃ・・・あぁああっ!」  
 
我聞のモノがコツ、コツと子宮口をノックするように当たるだけでも、  
身体の芯から痺れさせる刺激に陽菜は悶え乱れていた。  
それが今の体位だと腰を突き込まれる度に肉槍の穂先が一番奥にごつ、ごつと叩きつけられるようで、  
身体の燻りが治まりきっていなかった陽菜がこの刺激に耐えられるはずも無く・・・  
 
「っひくっ! もう、もうらめ、ひぁああ! しゃちょ・・・おくっ、ごつごつって・・・! あたってっ!  
 こんな、わた・・・しっ、こわれちゃああっ! らめ、しゃちょ、すぐ、イっちゃ・・・! イっ、ああああっ!」  
 
陽菜に三度目の絶頂を迎えさせながら、  
相変わらず絡みつくような中の感触とびくびくと震え締め付けてくる刺激に我聞も射精感を高めてゆく。  
だが、官能の炎で身体が燻り出すと何度でも繰り返し達してしまう陽菜と違って、  
我聞は―――というより男性は一度達してしまうと、充填無しに連続で、という訳には行かない。  
そんな男女の生理機能の違いというか、我聞と陽菜のイきやすさの違いというか・・・  
そんな二人が交わりあう以上、結局はいつも通りの構図に落ち着いてしまう。  
・・・陽菜が繰り返し絶頂を迎えさせられながら、我聞に責め続けられる展開に。  
 
「國・・・生さん・・・っ! スマン、俺・・・まだっ!」  
「ひう・・・っ! あ、また! らめ、しゃちょ・・・っ、またイく! すぐっ、またイっちゃいますっ!  
 こわれ・・・ちゃいます・・・っ! しゃちょおおっ!」  
 
悲鳴にも泣き声にも聞こえるような、それでいて明らかに喜悦の響きが混ざった声で、  
陽菜はあられもなく喘ぎ、乱れ、悶え続ける。  
強烈すぎる快楽は身体中をめちゃくちゃに痙攣させ呼吸すらままならなくなって、  
酷く消耗するし辛くないと言えば嘘になる。  
だが、それでも我聞にされていると思うと・・・陽菜の心は蕩けてしまう。  
我聞に身体を貪られ、奥の奥まで突き貫かれ、何度も何度も絶頂させられてしまうことに、  
被虐的な悦びを感じてしまう自分が居ることを知っていた。  
 
「ひゃあぁ・・・だめ、・・・っはぁああっ! ああっ! しゃちょおっ、はげし・・・ふわぁああっ!」  
 
涙をぽろぽろ流して泣き喚くように悶えながら、  
我聞から与えられる強烈な快楽と、彼に身体を蹂躙されているという事実に、陽菜は酔い痴れる。  
 
「しゃちょっ、ひゃ、あふ! わた・・・とけちゃ・・・っ! もう、こわれちゃっぁああ! しゃちょおっ!」  
 
我聞の名を何度も叫びながら、陽菜は再び絶頂の高みへと登り詰める。  
達する度に呂律は乱れ、涙ぐんで快楽で虚ろに濁った目は時にきつく閉じられ、時に大きく見開かれ、  
陽菜がいかに悦楽に翻弄されているかを如実に示している。  
その姿が我聞の嗜虐欲を逆撫でして、更に陽菜を突いて突いて突き上げて、  
身も心もぐずぐずに蕩けさせてしまいたくなる。  
だが、それ以上に・・・こうして自分の手によって乱れ悶え、涙を流して悦び喘ぐ陽菜は、  
どうしようもなく可愛くて、愛しくて・・・我聞は思わず・・・  
 
「んぁあああっ! もうらめ、だめぇええっ! え、えぁあ!? しゃちょ、な、え!? わ・・・きゃあ!」  
 
ずん! と腰を突き入れておいて、がくがくと揺れる陽菜の腰に腕を回すと、  
繋がったままの彼女の細身を抱え込んで立ち上がる。  
ただでさえ絶頂に次ぐ絶頂で平衡感覚が欠落気味なところに、更に不安定な体勢を取らされたものだから、  
陽菜は必死に手を伸ばして我聞の身体にしがみつく。  
その体勢で我聞は一歩、二歩と歩き出し、  
振動が我聞のモノを通して先程とは違う刺激となって陽菜を責め苛む。  
 
「や! しゃちょ!? んぁああっ! やあっ! こんな、格好・・・あるいちゃっ! ひびい・・・てぇえっ!」  
 
陽菜を抱えたまま、俗に言う“駅弁”のような体勢で我聞は倉庫の中を歩く。  
スカートに隠れた二人の結合部から、蜜と精の混合液が滴り落ちて床に点々と跡を残すが、  
二人ともそんなことを気にはしない・・・いや、そもそも気付きもしない。  
 
「っやぁあ! こんなの、やですっ! だめ・・・っひぅ! はずか・・・し・・・っ、しゃちょ、やぁあああ!」  
 
我聞が歩く間、陽菜は奥まで突き上げられることこそなかったものの、  
一歩踏み出される度に響いてくる振動だけで過敏になった身体はびくびくと震え、  
今までで一番恥ずかしい格好をさせられていることに混乱し、それ以上に興奮してしまう。  
やがて我聞の歩が止まり振動が来なくなると、陽菜は意識にかかった甘ったるい靄が僅かに晴れるのを感じる。  
そして自分の身体が再び降りてゆくのを感じ、  
思ったよりずっと高い位置で背中に何かが触れるのを感じる。  
 
「っふぁ・・・ぅ・・・しゃ・・・ちょお・・・?」  
「國生さん・・・」  
 
陽菜をマットから抱え上げて数歩移動すると、彼女を低く重ねられた跳び箱の上に降ろし、仰向けに横たえる。  
我聞自身は中腰で立ったまま、繋がったまま、跳び箱の上の陽菜に覆い被さり、ぎゅ、と抱き締める。  
自然と二人の顔は間近で向き合うようになり、更に顔を寄せると陽菜に小声で囁く。  
 
「すまん、國生さん・・・もうちょっとだから、あと少しだから・・・辛いかもしれないが・・・」  
 
申し訳無さそうに話しながら、我聞の表情には隠し切れない、抑えきれない興奮の色が見え隠れする。  
陽菜にもそれは分かるが、それでも・・・  
 
「平気、です・・・社長・・・思うように・・・したいように、なさってください・・・」  
 
多少乱暴でも強引でも、我聞の思うままにされることが気持ちよくてたまらないから。  
こうして思いやってくれるだけで、嬉しいから。  
それに、今は・・・顔を見合わせて、抱き合っていられるから。  
 
「じゃあ・・・続き、するよ・・・」  
「はい・・・きて、くださ・・・んん・・・っ、む・・・んんん!」  
 
そのまま陽菜と唇を重ね、舌を絡めながら、再び腰を動かし始める。  
この体位では先程のように陽菜の奥深くまで突き入れることは出来ないが、  
その分速く、激しく・・・陽菜の中をぐちゃぐちゃに掻き混ぜる。  
 
「んむ・・・っ! っふ、んぅ! んんん! ん・・・ふはっ! あは・・・あぁあっ! っんぶ!」  
 
ちゅ・・・ぷちゅ、んちゅ・・・むぷ、ちゅく・・・  
密室の二人は誰憚ること無く卑猥な音を立てて唇を吸い合い、執拗に舌を絡めあう。  
その間も我聞の腰は片時も休むこと無く、浅ましいくらいに激しく動き、  
陽菜を載せた跳び箱がゴトゴトと音を立てて揺れる。  
半端な高さの跳び箱に横たえられた陽菜の脚は床に届かず、はじめ不安げに宙をさ迷ったが、  
今はしっかりと我聞の腰に絡み付いて、決して離すまいとするかのように締め付ける。  
身体の外ではきつく抱き合い唇を貪り、内からは激しく突き上げられ、身体中で我聞を感じすぎて、  
陽菜はもう自分が今イっているのかそうでないのか、よくわからなかった。  
ただひたすらに突かれ、擦られ、掻き回されて、陽菜の身も心も淫悦の淵に溶け堕ちてゆく。  
 
そしてそれは我聞も同じ。  
陽菜の秘肉はとろとろに熱く、激しく出入りを繰り返す肉の杭を絡めとるかのように包み込み、  
彼女の身体と同じでびくびくと震えるように、埋め込まれたモノを小刻に締め付ける。  
そんな感触を貪るように、ひたすらに陽菜の身体に肉杭を打ち込み続け、  
我聞は再び弾ける寸前まで昂ってゆく。  
 
「っふ・・・國生さん・・・もう・・・出そうだ・・・っ」  
 
顔を上げてそれだけ言うと、これで最後とばかりに腰の動きを加速させる。  
唇を塞ぐものが失われ、陽菜の口からは蕩けきった喘ぎが漏れ出す。  
 
「あ・・・っふぁ! しゃちょ・・・わたし・・・もうっ・・・! とけちゃう・・・ぅ」  
 
何度も絶頂を迎え、陽菜の意識は靄がかかったように朦朧として、声を上げることすらままならない。  
先程までのような甲高い喘ぎ声を上げることは無く、  
ただ途切れ途切れに、感極まったようなかすれた声を洩らすだけ。  
そんな弱々しくて、それでいて熱に浮かされたように火照りきった表情を浮かべる陽菜と、  
もう一度共に果てるべく我聞は更に激しく彼女の中に破裂寸前のモノをえぐり込み、掻き回し・・・  
 
「っく! 國・・・生さんっ! イくよ・・・!」  
「は・・・ひ・・・っ、きて・・・くださ・・・いっ・・・きて・・・だして・・・ぇ」  
 
やがて限界を迎えた我聞は、陽菜の奥深くまで熱しきった砲身を突き込み、  
強く抱き締めてくる愛しい少女を自分からも力いっぱいに抱き締めて――――――  
 
「國生さんっ! 出る・・・っく! 陽菜・・・陽菜あっ!」  
「ふ・・・ぁ・・・しゃちょ・・・がも・・・ん・・・さん・・・がもん・・・さぁ・・・んんん―――っ!」  
 
陽菜の身体の中で脈動する我聞のノズルからびゅく! どくん! と熱い精が放たれ、  
射精した我聞と射精された陽菜は、同時に絶頂を迎える。  
 
「――――――っ!」  
「んっ! んぁああ! あぁあああ―――――っ!」  
 
そして、我聞が射精を終えるまで二人はびくんびくんと震えながら、  
終わらない快楽の荒波の中で固く抱きあっていた。  
 
やがて、我聞が射精の余韻から醒めて改めて陽菜に顔を向けたとき、  
陽菜は憔悴しきっていたが、それでもひと目でわかるくらいに―――  
嬉しそうに微笑んで、我聞を見つめていた。  
彼女の前で無防備な姿を晒していたことに気付いてきまり悪そうに照れ笑いを浮かべ、  
最後にもう一度、陽菜の唇に軽く唇を重ねた。  
 
 
 
 
 
「お疲れ様ですっ!」  
「遅くなりました!」  
 
階段を駆け上がり、がらりと扉を開けて、我聞と陽菜が事務所に飛び込んでくる。  
同時に事務所の時計が17時を指し、まさに遅刻ギリギリ、間一髪というタイミング。  
そのまま後ろ手に扉を閉めて二人がはぁはぁと息を整えていると、  
 
「おう、どうしたそんなに慌てて? まあいい、落ち着いたらこっちに座れ、また話がある」  
 
すぐに呼吸を整えた我聞が声の方を見やると、  
昨夕と同様、接待用のソファーに声の主である我也と、その隣に武文が腰掛け、  
周囲を仲之井、辻原、優の三名が囲んで立っている。  
昨日と違うのは、陽菜がこちらに・・・我聞の傍にいることだけ。  
状況からして話とは恐らく昨日の続き、具体的な話が固まったといったところだろうか。  
我聞はそのことで悩み苦しんでいた陽菜を支えると誓い、彼女に作り物でない笑顔を取り戻させた。  
しかし、再びこの場面を迎えてしまうとやはり心配せずにはいられなくなり、  
やっと息の整ってきた陽菜に気遣うような視線を送る。  
我聞だけではない。  
優達も同じように、陽菜を気にかけている。  
そしてやっと落ち着いて顔を上げた陽菜は・・・  
 
「すみません、お待たせしました。 さ、社長、先代がお待ちかねです、参りましょう」  
 
普段どおりの口調で―――演技の気配を感じさせない、本当に普通の態度でそう言って、  
我聞にだけ聞こえる声で  
 
「社長と一緒なら、平気ですから」  
 
短く付け加えて、頷いて見せた。  
優や仲之井の少し意外そうな視線を受けながら二人は皆の輪に加わり、それぞれの父の対面に腰を下ろす。  
 
「よし、では始めるぞ。  
 まずは、昨日話した真芝潰しの旅のことだが、あれの正式な日付が決まったのでな・・・タケ、頼む」  
「うむ。 私と我也による真芝残党壊滅作戦についてだが・・・  
 出立は本日より丁度一週間後の早朝と決定した。  
 帰還時期はやはり未定・・・情報収集および索敵と潜入、破壊もしくは捕縛の繰り返しになるので、  
 詳しいことは現時点では何も言えないが・・・資料からの推測では2、3年を要するだろうと考えられる」  
 
相変わらず事務的な口調で話す武文に、我聞も陽菜も口を挟むことなく、ただ頷いて聞いている。  
 
「・・・この件については不確定要因が多すぎるのでな、今言えることは以上だ。 何か、質問は?」  
「はい」  
 
手を上げたのは、陽菜。  
その表情も声も、父親同様にあくまで事務的なもの。  
だが、娘が父へどんな質問をするのか・・・声にこそ出さないが、誰もが気を引かれているのは明らかだった。  
 
「出立の日程についてはわかりました。  
 それまでの一週間についてなのですが、お二人のスケジュールはどのようになっていますでしょうか?」  
「ふむ・・・」  
 
少しだけ質問の意味を考えるように首をかしげてから、  
僅かに表情を緩めて、武文は答える。  
 
「内調との打ち合わせは本日で終了したので、私も我也も出張することは無い。  
 あとは出立の準備と多少の引継ぎ事項の確認だな。  
 それに個人的なことではあるが、肩の傷も出来るだけ治癒させておきたいのでな、  
 残りの一週間は事務所か部屋にいることになると思うが・・・それでよいかな?」  
「・・・はい!」  
 
陽菜は、武文以上に感情を露わにして―――表情に喜色をうかべて、了解の意を示す。  
 
―――旅立ちが避けられないことなら、せめてそれまでの一週間、一緒にいられる時間を大切に使いたい。  
 
駆け足で学校から事務所へ向かう途上で、  
息を切らせながら陽菜は我聞にそう言った。  
昨日とは違う陽菜の態度―――現実を受け入れて、その上で前を見ようとする陽菜の気持ちの変化は、  
それ以上言葉にせずとも武文に、そして皆にも伝わる。  
皆がそれぞれに表情の片隅に浮かべていた心配そうな気配が消えてゆくのを感じて、  
我聞はひとり、大きく頷いた。  
 
その様子を黙って眺めていた我也が、隣にちら、と視線を送る。  
武文が頷いて応えるのを確かめると、さて―――と口を開いて再び場を引き締める。  
 
「・・・ま、そーいうワケでだ、今度の旅に出ちまうと、  
 まず間違いなく前よりも長く社を空けちまうことになる。  
 そこでもう一つの件なんだが、我聞、いいか? よ―――く聞いとけよ?」  
 
ずい、と挑むように我也がテーブルに乗り出して、対面の我聞は思わず身構える。  
周囲も、緊迫した雰囲気を感じ取って二人を見守る。  
 
「こういつまでも代理が社長の椅子に座ってたんじゃ、工具楽屋も格好がつかん。  
 そこで我聞・・・今日、今からお前を正式な工具楽屋社長に任命する」  
 
我也がまだ緊張を解かないので誰も声を上げこそしないが、雰囲気がざわつく。  
我聞や陽菜こそ我也を“先代”と呼んではいたが、  
無言で工具楽屋を去った我也の代わりということで形式的に後継ぎに据えられた我聞と、戻ってきた我也と、  
どちらを正式な社長とすべきか、皆がそれぞれに悩んでいたのだ。  
 
「親父・・・」  
「これでお前は正式に、第二十五代目工具楽屋社長ってワケだが・・・  
 どうだ、仕事と社員と、全部まとめて引き受けられるか?」  
 
にやり、と不敵に笑い、挑むような口調で我聞の顔を覗き込む。  
だが、当の我也を含め、誰にとってもその答えは聞くまでもないもの。  
 
「当然だ! 第二十五代目工具楽屋社長・工具楽我聞! この役目、見事果たしてみせる!」  
 
間髪入れず、胸のすくような声で、皆が期待した通りの言葉を放つ。  
その瞬間に、緊迫していた空気はついに弾け―――  
 
「社長! おめでとうございます!」  
「さすが我聞くんじゃああ!」  
「お〜っ! 我聞くんカッコイイ〜!」  
「ん、即答とはいい態度です。 期待してますよ?」  
 
社員に好かれ、こうして素直に祝福される我聞の姿は、父として、先代として、  
我也から見ても充分に社長の資質があると確信できるものだった。  
更に・・・  
 
「騒ぐのもいいが、しっかりやれよ? まあ、本当は出発まで様子を見るか、  
 帰ってきてから引き継ごうかとも思っていたんだがな、  
 生意気にきっちり社員のケアまでこなしてやがるようだからな、たった今決めさせてもらった。  
 引き受けたからには、腹括って会社を守れよ?」  
 
そう言って、陽菜の方をみてニヤリと笑う。  
我也が何を指しているか理解して、陽菜は照れたように顔を赤くするが、  
それが我也も意図しなかった別のトリガーを引いてしまい―――  
 
「そういやはるるん、すっかり元気になっちゃってー!  
 おねーさん心配してたんだからね!? でも二人とも、ほーんと信頼しあってるって感じだね!」  
「うむ。 陽菜のことを我聞くんに頼んで正解だったようだな。 これからも娘を頼む」  
「はっはっは、任せてください!」  
「でも、学校でいったい何があったのかな〜? ちょーっと気になったりして〜♪」  
「「え!?」」  
 
流せばいいものを二人同時に固まるものだから、楽しげに盛り上がっていた雰囲気は突然、  
妙な方向へ流れ出し・・・  
 
「おや・・・ひょっとして、“何か”特別なコトでも、あったのかにゃ〜?」  
「い、いやべつに何も!」  
「そうですよ! ただ社長とお話しただけで・・・!」  
「お話し、ねぇ・・・例えば、薄暗い体育倉庫とかで二人っきりで、しっぽりと、な〜んて・・・」  
「な、なんでそれを!?」  
「・・・え? ほ、ほんとにナニかあったり・・・?」  
「しゃ、社長――――――!?」  
「ほう・・・なァ我聞、そこんところ・・・ちょっと詳しく聞かせて貰おうか?」  
「い、いやちがう! 倉庫の整理の当番で、そこで國生さんと話しながら―――って、痛ぇ! ひっぱるな!」  
「・・・しっぽりと?」  
「優さん! だからそれ違いますから! そんなことないですから―――!」  
「ふむ・・・・・・」  
「お父さんも変に本気そうな顔してないで、先代を止めて―――!」  
 
当然ながら、そのあと仕事ができる状況に戻るはずも無く、  
優の笑い声や陽菜の悲鳴や、我聞の狼狽した声や我也の怒号やらが響き渡り、  
最終的に武文が我也を止めるまで、この混乱は続くのだった・・・  
 
 
「・・・なぁ辻原くん・・・止めには入らんのかね?」  
「はっはっは、私も重度の怪我人ですからね。  
 社長と先代の争いに割って入ったら命が幾つあってもたりませんよ」  
「うむ・・・一瞬、我聞くんがやけに頼り甲斐のある男に見えたのじゃが・・・錯覚じゃったのかのう」  
「まあ、相変わらずまだまだ未熟ですが・・・それでこその我聞くんで、  
 それでこその工具楽屋ってことで、いいんじゃないですか?」  
「・・・まぁ、相変わらずということじゃな」  
 
 
やれやれ、とため息を吐く仲之井の視線の先で、  
我聞は陽菜と共に優にさんざんにおちょくられているのであった。  
もちろん、このあと我也と武文の出立の日に更なる波乱が待ち受けていることを、  
我聞も陽菜も、まだ知らない・・・  
 
 
 
 

PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル