最終回のあとのバレンタイン、街角にて。  
 
社長は、チョコレート、お好きでしょうか?  
甘いミルクチョコ?それともビター?  
奇をてらってせんべいや豚まんを送るほど、私たちの関係は円熟しているとはとても思えませんし。  
やはりここはオーソドックスにチョコレート。  
それも、みんながいうような、手作りがいいのでしょうか。  
でも、あまり上手じゃないものを差し上げても、失礼に当たるように思いますし、  
万が一、第一級危険物が出来てしまって、誤って食べた社長が悶絶、入院、なんてことになったら、  
・・・・・・そのときはそのときで、お見舞い、看病でふたりっきりのムードも盛り上がるかも。  
じゃなかった。  
なんてこと考えてるの、わたし。  
ここはやはり、社長の身の安全はお金で買うべきなのでしょうか。  
・・・・・・う、高い。  
ちょっとコレ、おかしいよ。こんなかりんとうみたいなチョコがグラム当たり何円て。  
こっちは・・・さ、さんぜんえん。  
一週間の食費が、こんなチロルチョコ1ダースみたいのに消えるわけ?  
おんなじような値段で、チロルチョコレートが300個くらい買えてしまう。  
ここは私の住んでる日本と、物価が違う!!  
 
 
チョコレートショップを覗きにきた果歩と陽菜。  
さっきから真剣な表情で店内を見て回る陽菜に、果歩が探りを入れる。  
「ねぇねぇ陽菜さん、今年はお兄ちゃんにどんなチョコレートあげるんですか?!」  
こころなしか青ざめた顔の陽菜が答える。  
「チロルチョコレート300個です。」  
「ぎ、義理ですかっ!!」  
ズッと笑助ちゃんズッコケをする果歩。  
 
どっとはらい。  
 

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