「・・・・」  
 
桃子・A・ラインフォードは困惑していた。  
 
確かに工具楽我聞と國生陽菜は両親公認の交際を行っている。  
しかしお互いまだドギマギしてデートらしいデートもしていない。  
 
その様子を見て、九州の静馬が管理する神社に身を潜めていた桃子はまだ自分にもチャンスがあると踏んだのだ。  
 
だから無理をいってまで工具楽屋に就職させてもらったのだ。  
真芝グループ壊滅もあり、危険が減ったからという理由での容認である。  
 
----見てなさいよハルナっ!私はまだあきらめてないんだから!  
 
そんな思いで意気揚々と工具楽屋へと赴いた。  
諸事情で夜10時にヘリでの空輸という形をとった。そこはまだいいとする。  
 
まず専務の中之井千住に携帯で事情を説明すると、我聞と陽菜は残業で会社に残っているという。  
話は社長の一存で決めて良いという、もうほぼ容認されたと言うことだ。  
 
桃子は胸が高鳴った。  
これで自分にもチャンスが巡る。そう確信したのだ。  
 
(・・・ん?)  
 
そして、いざ工具楽屋のドアをあけようとしたとき、なにか言いようのない不安に駆られた。  
どうやら天才故の第六感らしい。自分の勘を信じて、少しだけドアを開けて中をのぞき見た。そこには。  
 
 
 
 
「あ、あ、んはっ・・・しゃ、ちょう、・・・!」  
「っ・・・!くっ・・・國生さんっ・・・!」  
 
 
 
「っ----------!!」  
心臓が引き抜かれるような感覚。  
 
そこには、我聞と陽菜とのセックスが繰り広げられていた。  
 
(なっ・・・!ななななななっ!!)  
声が出そうになるのを必至で押さえる。  
 
我聞が自分のモノを、陽菜の秘部に入れている。そして激しさはないものの、確かに動かしていた。  
・・・桃子は無知ではない。これが性交という行為で意味も知っている。  
 
「しゃちょっう・・・!はぁん・・・も、すこしだけ、激しくしてもっ・・」  
「あ、ああ、スマン、加減があまり分からなくて・・・」  
「あ、っ!んぅ、・・・!!」  
 
先ほどより激しく、我聞のモノが挿入される。  
まだ慣れていないのか、陽菜の顔には苦痛が見え隠れするが、決して嫌がってなどいない。  
陽菜は我聞を受け入れ、優しく包み込んでいた。  
 
 
(もう・・・しちゃってたんだ・・・しかもこんなところで・・・)  
 
 
桃子はGHKというよく分からない団体があったりとかはなんとなく知っていた。  
もしかしたら二人はそのGHKにそそのかされてしているかのしれない。  
 
だが。  
 
「あ、しゃちょ、うっ!好き・・・ですっ」  
「俺もだ・・・國生さん・・・ぐっ・・」  
 
二人が愛し合っているのも。紛れもない事実だったのだ。  
 
 
二人はお互いを確かめ合うように指を絡める。もどかしく動くお互いの腰は初々しさを醸し出していた。  
そしてキスを交わす。舌を絡め合うが、やはり慣れていないのか、吐息同士の交換になっていた。  
 
「しゃちょ・・う・・・ちゅっ・・ふん、ん、ふぅあ・・・」  
「うくっ・・・ん・・・ちゅ・・・ん・・・」  
 
社長用の机の身体を預け、二人はただただお互いを求めて加速していく。  
 
「あ、あ、あ、社長っ・・・もうっ・・・出してもっ大丈夫ですよ・・・っ」  
「ス、スマン、もうちょっと保たせたかったんだが、くっ・・・」  
より一層ストロークが速くなる。  
ちゅぷちゅぷと、水気と粘りけの混ざったような独特の音を奏でながら二人は果てようとしていた。  
 
「あ、あ、あ、あ、あ、あ!しゃちょっあっ!ぅん!」  
「くぅ・・・!っ!」  
二人はのけぞり、我聞は陽菜の中で絶頂に達した。  
 
「・・・」  
音こそはしないものの、陽菜の中には、我聞の精液が注がれている。  
その一部始終を、桃子は見てしまった。二人の、セックスをだ。  
 
気づかれないようにドアを閉める。目には、うっすらと涙が浮かんでいた。  
甘かった。  
きっと、二人の間に自分が入り込める隙間なんて、1mmもないと、思い知った。  
 
「・・・かえろ・・・」  
今更二人の顔なんて見れるはずがない。そんなの辛すぎるから。  
自分がものすごく愚かで、今まで何をやっていたのかと思うと、涙があふれてくる。  
 
階段を下り、静馬へ連絡を入れようとしたその時。  
 
「わりーごはいねがー!!」  
「ひぃっ!!!」  
急に桃子は何者かに羽交い締めにされた。  
「リミッター解除!プチプリズムシェル展開っ!」  
「うははは!テキストなど研究済みよ!」  
桃子は護身用のプリズムシェルを展開する、が、その犯人にプリズムシェルが触れた瞬間、  
テキストで成立するプリズムシェルは見事に霧散した。  
 
「なっ!」  
「桃子ちゃーん、盗み見は良くないにゃー♪」  
 
羽交い締めにした犯人というのは、森永優だった。  
胸にはいつもしているペンダントの他に、仙核、タリズマンに似たものをぶら下げていた。  
「ユウ!?」  
「そーよー、優しい優おねーさんだよ♪実験成功〜、これでテキストも私が解読できたってことよねー」  
ほくほくと優が実験に成功したことに満悦していると。  
「離してよ!私はもう九州に帰るんだから!」  
「やっぱり見ちゃったんだ〜・・・人払いしといたから安心して盗撮してたんだけど、桃子ちゃんは想定外でね・・・」  
「とうさっ・・・」  
「あはははは、まぁそこは聞き流して貰うとして、今日はもう遅いから、一度私の部屋においで。」  
「で、でも・・・」  
「いいから♪」  
 
そのまま桃子は、優に強引に拉致されてしまったのである。  
 
「で、なんでユウは私が覗いてた事わかったの?」  
「あー、簡単な理由よ、リアルタイムで盗撮画面見てたらドアが開いて桃子ちゃんが覗いてるの見えたから。」  
「う・・・本当に簡単な理由で悪質・・・」  
「まぁまぁ♪」  
 
優の部屋。マッドなものだらけと思えば意外と整理が行き届いている。  
 
「・・・」  
「そりゃ凹んじゃうよねぇ・・・いきなりあんなもの見ちゃ・・・GHKデルタ1としてはしてやったりだけど少し同情しちゃうな・・・」  
「じーえいちけー?」  
「あーこっちの話。それで桃子ちゃんどうするの?」  
「どーするって・・・もうここにいてもしょうがないから九州に帰る。」  
「そんな簡単にあきらめちゃっていいの?そんなの桃子ちゃんらしくないぞ〜?」  
 
「そんな事言ってもしかたないじゃない!だってガモン・・・ハルナと・・・せ、せ、・・・セックスしてた・・・!」  
 
恥ずかしさと悔しさと怒りで、自分でもどうしていいんだかわからなくなる。桃子は混乱していた。  
 
(・・・流石にやりすぎちゃたかなあ。面白いと思ったけどうまく行き過ぎちゃってるし・・・)  
 
実は我聞と陽菜が急接近したのも、GHKデルタ1の活躍のおかげである。  
主に優がそそのかし、キスからセックスまでさせていった。しかし、優的にはうまく行き過ぎるのも考え物である。  
何故かというと  
 
(面白くないのよねー・・・)  
 
そんな理由である。そんなとき。優の頭にみちっと筋肉マンがひらめいた。  
 
「悔しくないの?あきらめちゃっていいのかなー?」  
「悔しいに決まってるじゃない!でも、でも・・・」  
「んふー、この優おねーさん、協力してあげてもよろしくってよ?」  
「え・・・?」  
 
優はまっかせなさいとDもある頼もしい胸をたたく。当然口元は邪悪にゆがんでいたが。  
 
「どういう・・・事?」  
「我聞くんとの仲、とりもってあげよっかなーって。恋なんてとったもん勝ちよー♪」  
「え、え、でも・・・」  
「へー、悔しくないんだ桃子ちゃん。じゃあ私が我聞くんとっちゃおっかなー♪すごい作戦なんだけどな〜」  
「う・・・そんなにすごい作戦なの・・・?」  
「ふふん、やる気になったわね?やってみる?♪」  
「も、もちろんよ!可能性があるならそれに全部かけてやるんだから!」  
 
その瞬間、森永優という悪魔がその鎌首をもたげた。  
 
 
・・・・  
 
 
「そ、そんな事するの・・・・?」  
「そーよー♪我聞くんなら間違いないわね。一発でごろんよ♪」  
 
桃子は顔を真っ赤にしながら訪ねると、優はまた楽しそうに答えた。  
桃子は確信した。この森永優という女は、酒で酔うより色恋沙汰など人の心を弄ることに酔うと。  
 
「で、でも、そんな大胆な事・・・は、恥ずかしいし・・・」  
「そんなの関係ないわよー、女は度胸よ♪あ、あとこれを着て・・・」  
「えぇぇ!!これはやりすぎっ・・・・」  
「まぁまぁ桃子ちゃん・・・ぎゅう♪」  
「わぷっ」  
 
豊満な優の胸に桃子の顔が埋まる。柔らかい感覚に桃子の思考が一瞬とろけた。  
そして、優が言葉巧みに桃子の思考を陵辱していく。  
 
「想像して・・・さっき見た光景を自分に置き換えてごらんなさいな・・・」  
「ん・・・」  
 
白ける桃子の思考に、自分のあられのない姿を晒す光景が広がっていく。  
 
「あ・・・にゃ・・・ガモン・・・」  
「桃子・・・ん・・・」  
我聞の舌が、桃子の口内に進入していく。唾液がからまり、暖かい人の吐息が混ざり合う。  
「ふにゃあ・・・ガモン・・・ん・・・もっとキス・・・」  
「ああ・・・ん・・・」  
繰り返されるキス。唇が唇を犯し合い、唾液がお互いを浸食していく。  
そのたびに頭がぼーっと浮かび上がる感覚に襲われる。  
「ちゅ・・・んふ・・・ガモン・・・ちゅ・・・見て・・・ハルナじゃなくて私を見て・・・」  
「ああ、好きだぞ・・・桃子・・・」  
一番言ってほしかった言葉。自分にだけ向けられる愛の歌。  
それだけで桃子は絶頂にも達するほどの幸福を得られた気がした。そして・・・  
 
「・・・あ・・・にゃあ・・・ガモンの入って・・・」  
 
 
「はいって・・・」  
「おーい・・・桃子ちゃーん、帰ってこーい、ほら、よだれよだれ。」  
「にゃああ!?わ、わたし!?」  
「想像力豊かみたい・・・面白い。」  
「え?」  
「まぁまぁ、こっちの話。ふふふ、じゃあ明日の夜実行しちゃおうかしら♪」  
「う、うん・・・」  
「よーし、今宵限りのGTK(我聞桃子くっつけ以下略)デルタ1として頑張っちゃおうかしら!腕がなるわー!」  
「・・・・なんかすごい不安・・・」  
 
桃子は  
悪魔に魂を売ったのかと後悔をしたが、もう遅いのは言うまでもない。合掌。  
 
 
 
「・・・」  
 
優の部屋。時刻は既に3時を回っている。  
優から色々とレクチャーを受け、明日の夜に備えた。そこまではまだいい。  
しかし、優から酒を進められ、断ると優は独りでカパカパと酒を飲み始め、酔いつぶれて寝てしまった。  
桃子は寝られずにいた。  
・・・それもそうだろう。いろんな事が錯綜したから頭がパニック状態にある。  
そんな中。桃子は自分を慰めるために、ソファーに横になる。  
 
 
「ぅあ・・・ん・・・っ・・・」  
 
処女の桃子にとって、オナニーは少し痛いモノである。  
性行為によってまだほぐされていない桃子の秘部は、指が這わされるたびにヒリヒリと痛みを覚える。  
愛液の分泌がほぼないので仕方のないこと。それが、いつも感じることだったはずだった。  
桃子にとって、オナニーはほぼ日課であり、快楽が無くとも我聞を想えるこの時間が桃子にとっての喜びだった。だが。  
 
「やっ・・・なんで・・・」  
 
桃子の秘部からは、しっとりと愛液が流れ始めていた。  
精神的なものなのだろうか。先ほどの我聞と陽菜とのセックスを見た桃子は衝撃を覚えた。  
その光景は今も鮮明に残っている。桃子が秘部に指を這わすたび、二人の性交シーンが浮かび上がる。  
そして、そのたびに愛液があふれ、感じたこともない快楽が桃子の脳を焦がした。  
 
「あふっ・・・や・・・なんで・・・あ・・・気持ちいいっよぉ・・・」  
 
指が止まらない。背徳を覚えるのに止まらない。  
クリトリスをさわると気持ちいい。びらびらしている部分をさわると気持ちいい。  
ここにガモンのがはいると思うと気持ちいい。おっきいのほしい。  
 
ガモンが、ほしい。  
 
「やだ・・・あっ・・・んんっぁ・・・あっ」  
 
ストッキングをずらし、ショーツをずらし。おしりをあらわにしながら。獣のように自慰にふけった。  
いないはずのガモンを求める。いないはずのガモンを想い腰を振る。  
ソファーの角に秘部をこすりつけ、狂ったように自慰にふける。  
 
「ほしぃよぉ、ガモン、がもぉん・・・ふにゃぁあっ・・・あっ」  
 
声を殺すことも既に忘れている。優の部屋からは騒音が激しいという理由で防音構造になっているため、  
外に声がもれることはないが、それでも激しい羞恥心にかられた。でも、とまらない。水音がとまらない。  
ぬちゅ、ぬちゅ、ぴちゃ、と。粘液の混ざる音と、艶のある彼女の声だけが響く。そして、彼女は激しく背中をそり上げた。  
 
 
「あっぁつ、あ、あ、あ、ふやぁああぁっ・・・!」  
 
 
そうして桃子は、独り静かに絶頂を迎えた。  
彼女はよだれをたらし、目を潤ませ、秘部をあらわにしたそのままの状態で、ただ横になっていた。  
 
息が、荒い。  
 
「天才・・・美少女のっ・・・わたしが・・・っん・・・こんな・・・ぁ・・・」  
 
指にからみついた愛液を見つめる。  
 
こんなにえっちなにおいしてる・・・  
 
そんなことを思いながら、愛液をぴちゃぴちゃと舐め始めた。  
初めての絶頂で得たけだるさを噛みしめながら、彼女はただただ余韻に浸っていた。  
 
 
「んふ〜、いいもの見ちゃった〜」  
「にゃあっ!」  
 
桃子が疲れて寝そうになっていると、背後から声がした。  
そこには・・・  
 
「・・・プチプリズムシェル展開ぃ!!この低脳ぅぅううう!!ムキィーーー!!」  
「うはははは!!無駄無駄ぁ!!」  
 
バッチリとハンディカムを構え、いつ作ったのか「桃子ちゃん初絶頂記念」という立て看板を  
携えながら、してやったりという顔の優がたっていた。  
 
 

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