時は少しさかのぼる。  
とある高校とある部室に一組の男女が居た。  
「なら、証明して見せろ」  
女は男にそう言った。  
男は女への愛の形を一つの行為で示していた。  
―――この時、外の様子にはきずかずに。  
同時刻、部屋のすぐ外にも一組の男女が居た。  
「どうしようか國生さん。俺たちの荷物まだ中なのに・・・」  
二人の名は工具楽我聞、國生陽菜と言った。  
「かといって今入るのもまずそうだし・・・國生さん?」  
珍しくぼーっとしていた陽菜は、やっと話しかけられている事にきずいた。  
「へっ?あっはいなんでしょう?」  
「だから中にある俺たちの荷物をどうしようかって」  
二人は仕事のため部活を抜けてきて荷物を取りに来たのだった。  
しかし、中では・・・  
「そうですね・・・この雰囲気を壊すわけにもいきませんし、明日朝早く取りに来ましょう」  
「わかった」  
そして二人はきびすを返し学校を後にする。  
しかし、この直後二人の気遣いは意味をなくしてしまうのだが・・・  
 
我聞と陽菜は、早足で現場に向かっていた。  
「急ごう國生さん。また保科さんにどやされる」  
「・・・はい」  
「どうしたの?」  
「いえ・・・」  
我聞は、少し機嫌の悪そうな國生が気にかかった。  
(どうしたんだろ國生さん・・・ま、まさか俺がまた何かミスを?!  
い、いかん社長としてもっとしっかりせねば・・・)  
しかし思考回路はいつもと変わらない。  
一方陽菜は、我聞が保科のことを話題に出したことに自分でも理由が分からずにムッとしていた。  
(社長・・・保科さんみたいな活発な女性が好みなのでしょうか・・・ってあれ?私何でこんな事を?・・)  
それはきっとお父さんにあんな事言われたから。と自分の考えに言い訳する。  
『陽菜を嫁にもらって欲しいと言っているのだが』  
『違うのか?あんまり仲が良さそうだからてっきり・・・』  
陽菜は頭の中で父の言葉を思い出していた。  
(私たち、そんなに仲が良さそうだったのかな・・・)  
そう見られること自身はなんだか嬉しかった。  
しかし結婚や子供というのは絶対に早い。  
そう思っていた。  
(それ以前に、私と社長はそう言う関係でもないし・・・)  
そこまで考えると陽菜は前を歩く我聞を見つめる。  
 
 
陽菜は、薬で強められた我聞が好きと言う思考を、強められた故に、心の奥底に隠し、否定していた。  
もし、我聞の気になる人が他に特に、知り合いだったら・・・そう無意識に考えて強く心にしまわれていた。  
そしてぼーっと我聞の後ろ姿を眺めていると、  
「!?」  
急に後ろからがっと口元に何かを当てられた。  
そして陽菜の意識は闇へと落ちていった・・・  
 
我聞は後ろに違和感を感じ振り向くと、何やらぐったりしている陽菜が見知らぬ車に連れ込まれていた。  
「なっ國生さん!?まっ待てっ!!」  
とっさに追いかけるが、時すでに遅し。車は走り出していた。  
いくら鍛えた体でも車に追いつくことは出来なかった・・・  
「くそっ俺がついていながら・・・みすみすっ・・・」  
我聞は自分の無力さを呪った。  
しかしこうしている間にも、陽菜の身に危険が迫っているかもしれないのだ。  
でも・・・  
「どうしたら・・・」  
 
陽菜は暗闇の中で目を覚ました。  
しかし何も見えない。どうやら目隠しをされているようだった。  
そして猿ぐつわもされ、縛られている。  
(ここは・・・どこ?社長は?・・・)  
と、その時声がした。  
「やーっとおめざめデスカ〜」  
片言な日本語。  
「マッタク。これでやっとやつらのばしょをききだせマ〜ス」  
(この声・・・どこかで・・・)  
陽菜はこの声に聞き覚えがあるような気がしてならなかった。  
「あのガキどものせいでせっかくのだつごくのチャンスがいちどつぶされたのデス  
ふくしゅーしないときがすみマセーン」  
(そうだ・・・この声は!)  
「オオそうデース。はなしをきくためしゃべれるよーにしてあげマス」  
声の主が陽菜の猿ぐつわをほどいた。  
喋れるようになった陽菜が問いかける。  
「っぷはっ・・・あなたは以前、真柴の依頼によりテキストで強化された装甲車で脱獄を謀った人ですね。  
私を捕らえた目的は何ですか?」  
恐怖で震えそうになる声で必死に冷静を装い問いかける。  
「お〜やワタシについておぼえていたとはなかなかにそうめいなオジョーサンデ〜ス  
オーケー。しつもんにこたえてあげまショウ」  
片言な日本語で喋り続ける。  
「それはさっきもいったとおり、せんじゅつつかいクグラガモンにふくしゅーするためデス」  
なっ、と陽菜は驚いた  
 
仙術については企業秘密。  
我聞もなんとか隠していたはずだ。  
それをこの男は何故・・・  
陽菜が不審に思っていることにきずいたのか、男がまた喋り出す。  
「オヤ、ワタシがせんじゅつについてしっていることにおどろいてマスネ〜  
それとも、カレのなまえをしっていることでショーカ?  
マ、いずれにせよマフィアのジョウホウりょくをアマくみてはいけマセン  
カンタンにしらべがつきましたヨー  
しかしホンシャとやらとじたくのばしょがワカラナイ  
ダカラこうしてオジョーサンをさらってきたのデス」  
「・・・私が素直にあなたに社の情報を教えるとお思いですか?  
それに、もし聞き出せたとしても、あなたが社長に勝てるとは到底思いません」  
陽菜は的確な事実を力強く言った。  
「・・・タシカニ。  
せんじゅつつかいあいてにかなうわけはアリマセン  
しかし、アイツはしゃちょうということにたいしとてもプライドがあるようデス  
そこで、ソイツのたいせつなかぞくのイルじたくとたいせつなかいしゃをドウジにおそおうというわけデス」  
「なっ!」  
陽菜は全身から血の気が引いた。  
幸い一番重要なことはばれてないが、目の前にいるであろう男は余りにも酷い事をしようとしている。  
自分にとって最も大切な場所と、自分を家族だと言ってくれた人のたいせつな場所。  
その双方を壊すというのだ。  
そんな事、絶対にさせるわけにはいかなかった。  
「ならっ私が喋らなければいいことです!」  
「そうデスカ。なら、すこーしイタいめをみてもらいマス」  
ビリッと上の服が破られたのを感じる。  
「なっ何をっ」  
「ンーちょっとコレでばしょをいいたくなるていどにいじめるだけデスヨ」  
男の手にはスタンガンがあった。が、目隠しをされた陽菜には解らない。  
「ソレデハ」  
男は唐突に手にした物を陽菜の二の腕に押しつける。  
「きゃっあああぁあぁぁあっあぁぁああぁあっ!!」  
余りにも長く痛々しい絶叫。  
(何?何をされているの?痛い、恐い、怖い。助けてください・・社長・・・)  
陽菜の頭は恐怖で支配され、ただただ、無意識に心に描いた人に助けを求めるばかりだった。  
そして、幾度目かの激痛の後薄れゆく意識の中、心は恐怖に包まれながらも安堵を得る。  
それは、空耳かもしれないでも確かに我聞の声が聞こえたからだ。  
(社長が、来てくれた・・)  
それを最後に少女の思考はまた暗闇へと落ちていく。  
 
我聞はとある廃倉庫の前に立っていた。  
(ここに、國生さんが・・・)  
あの後、公衆電話から優に連絡を取り陽菜の携帯のGPSから場所を割り出し走って来たのだった。  
(行くぞっ!)  
「工具楽仙術・収束・撃・爆砕!!突貫!!!」  
我聞の体から力が爆発となって外へ放出される。  
バギャッ!  
およそ爆発音とは思えない強烈な音が響く。  
「國生さんっ!!なっ!」  
少女を助けにきた少年の目には、連れ去られたときよりグッタリとして椅子に縛り付けられていた少女の姿があった。  
「オヤ、そちらからきたのデスカ  
けいかくとはちがいマスネ  
ここはにげさせてもらいマスヨ」  
「・・もう、逃がさん・・・  
工具楽仙術・解・穿孔連撃!!!弾・双砲衝!!!」  
逃げようとする男は怒れる少年により、体の関節をはずされ、吹き飛ばされる。  
「國生さん・・・」  
我聞は陽菜に駆け寄った。  
制服が破られむき出しになったその両腕には痛々しいミミズ張れが無数にできていた。  
我聞は目隠しをはずし、縛っていたロープを引きちぎると、自分の着ていた学ランを着せた。  
我聞は陽菜を背負い、帰路についた。  
 
陽菜は目を覚ましたすると。  
「ここは・・・」  
そこは、見覚えのあるとても暖かな場所。  
工具楽家だった。  
「あ、國生さん。良かった。気がついたんだ」  
すると、自分を囲んでいた親しい人たち―――工具楽家の姉弟、工具楽屋の同僚、そして我聞―――がほっと安堵したのが見えた。  
「あの、私・・・」  
陽菜が口を開こうとすると、我聞が先に口を開いていた。  
「スマン!國生さん。俺が余りにもふがいないせいで、君がさらわれ、危険な目に・・・」  
「いえ、今回の件は私の不注意からです。申し訳ありません・・・」  
不注意という言葉に優と果歩の顔が暗くなる。  
「あの、はるる・・・」  
「いや!俺がもっとしっかりしていればこんな事には・・」  
優の言葉をさえぎり我聞が謝る。  
「その・・おにいちゃ・・」  
「いえ、そんな・・社長のせいでは・・」  
果保の言葉をさえぎり陽菜も謝る。  
「でも、しかし・・」  
誤り続ける我聞を見て、陽菜は一つ提案する。  
「・・・すいません皆さん、少し少し席を外して社長と二人っきりにしていただけませんか?」  
「あのね、はる・・」  
「お願いします」  
優の言葉を遮り強く頼む。  
 
「解りました」  
ここまで黙ってみていた辻原が言った。「ここは二人の方が色々といいでしょうし」  
「でも・・・」  
まだ引き下がる優に優しく言う。  
「どうしたんですか?あなたらしくもない。こんないい雰囲気は壊さない方がいいでしょう」  
最後のところは我聞と陽菜には聞こえないように小さな声で。  
「でも、辻原さん・・・」  
「姉上までどうしたのですか?  
ここは退くことがGHKとして得と思いますが・・・」  
果歩にはやっぱり小さな声で斗馬が言う。  
渋々二人も了承し退出。  
部屋には我聞と陽菜の二人だけになる。  
「・・・ほんとにごめん。君が連れ去られたとき俺がもっと注意してれば・・・」  
また謝る我聞。そんな我聞に國生が言う。  
「社長、確かに私は今回連れ去られ、とても怖い思い、嫌な思いをしました」  
返す言葉もない我聞。  
 
一方、部屋の外は、  
「どうしよう果歩ちゃ〜ん、謝れなかったよ〜」  
「もう知りませんよ優さん。大体、優さんが勝手にやったことでしょう」  
「陽菜ちゃんが使ったってわかったとき一緒になって喜んでたくせにー  
もうヤケだ今夜は飲んでやる。果歩ちゃんビールある・・わけないかー」  
「ありますよ」  
「えっなんで?」  
「お父さんがいつ帰ってきても良いよう辻原さんに頼んでるんです」  
「ふーん。じゃそれちょーだい」  
「お父さん当分帰ってこないだろうし、良いですよ・・どうぞ」  
「ありがとー」  
 
部屋の中に視点を戻してみる。  
暗い面もちで黙りこくる我聞。  
陽菜は優しく言う。  
「でも、良かった事が三つあるんです」  
「・・良かった・・・事?」  
聞き返す我聞  
「はい、一つは社長が助けにきてくださった事、二つ目はこうして無事に戻ってこれた事」  
「・・・・」  
静かに聞き入る我聞  
「最後の一つは、私が私自身の本当の気持ちに気付けた事です」  
「本当の・・・気持ち?」  
「はい。つかまってとても、とても怖かったとき、一人の人の事しか頭に浮かばなくなりました」  
そこで陽菜は言葉を切り、ふとつかまったときのことを思い出す  
そのときは本当に怖くて助けを、ある人を求める事しかできなかった。  
今ならその理由がはっきりとわかる。  
「それで今、思うんです。  
その時、その人の事しか考えられなかったのは、その人に特別な感情を持っていたからなんだって」  
「特別な感情・・・」  
いくら鈍い、朴念仁な我聞でもその意味は分かる。  
 
「その時その人に助けを求める事しかできなかった。  
その人がほんとに助けに来てくれたときは、嬉しかった。本当に」  
我聞は、驚きとともに口を開く。  
「え?・・・それって・・・」  
陽菜は少し赤くなりながら、それでも満面の笑みを浮かべて、  
「はい。私は、國生陽菜は、社長が、工具楽我聞が、好きなんです」  
そう言うと、自分の言葉の恥ずかしさからか顔を伏せてしまった。  
そして驚きで開いた口が閉まらない我聞。  
その頭の中は凄く混乱していた。  
(えっと、俺は國生さんをみすみすさらわれたふがいない社長で、  
それを國生さんに叱られてて、  
それでも良かった事を國生さんが話してて、  
國生さんが俺に告白して・・・)  
そこまで考えると我聞はようやく告白されたという実感がわいてきたようだった。  
(國生さんは自分の、本当の素直な心を伝えてくれた。  
なら、俺も素直な気持ちで國生さんに答えて、気持ちをしっかり受け止めるべきだ)  
そう決意した我聞は國生に向き直して自分の答えを伝える。  
「國生さん。いや、國生陽菜さん!俺も君の事が好きです!!」  
その言葉を聞いた陽菜は未だ赤い顔を上げ、さっきと同じいや、それ以上の笑みを浮かべる。  
「これから・・今度の様な事が・・あったら、絶対に守ってみせるよ、君の事を」  
我聞は決意を秘めた目で力強く言った。しかし・・・  
「はい。お願いします・・・と、言いたいんですが・・社長は色々と頼りない面もありますし・・・」  
うっと言葉に詰まる我聞。  
ですから、と続ける陽菜。  
「そういうところは私に、カバーさせてください。それなら安心できます。約束・・・できますか」  
「は、はい」  
あれ?と言う表情をしながらも、うなずく我聞。  
「・・・やっぱり、不安ですね・・・では社長、証明・・・出来ますか?」  
「しょうめい?」  
どういうことか分からずに聞き返す。  
「今日、部長が・・・あ今は、『元』でしたね・・・会長さんに・・やっていたように、私にも・・してくれますか?」  
真っ赤になる陽菜。  
対して我聞は、顔を引き締め神妙な面持ちになる。  
「わかった」  
そう言って優しく抱き寄せる。  
二人の距離は互いの鼓動が聞こえそうなほど近ずく。  
まず顔が、  
「社長・・・」  
「國生さん・・」  
二人の距離を確かめるよう名を呼びあい、  
そして唇が、重なった。  
 
「これで、信用して、もらえるかな?」  
たっぷり時間が経ってから唇を離し微笑みながら言う我聞。  
「はい」  
同じく微笑みながら言う陽菜。  
「じゃあこれからは、もっと頑張らなきゃっうわっ」  
足を滑らせ、陽菜を布団に押し倒す形に転ぶ。  
「・・・やっぱり不安です」  
「ご、ご免なさい・・・今起きるよ」  
起き上がろうとした我聞の腕を陽菜がギュッと掴む。  
「え?」  
「でも・・もう少し、このままで・・・いさせてください」  
二人はそのまま見つめ合う・・・  
 
そして忘れ去られたであろう部屋の外は  
「キャーおにーちゃん陽菜さん押し倒すなんてやれば出来るじゃない」  
「おおーあの我聞君がぁこれは記録にとらなきゃ〜」  
「・・・優さんなに眼鏡いじってんですか?」  
「ふっ聞いて驚け果歩りん。なんとこの眼鏡には超小型CCDカメラが付いているのだ〜」  
「す、凄い。てか優さん酔ってません?顔赤いですよ」  
「ん〜?酔ってない酔ってない。大丈夫、だいじょーぶ」  
「・・・とにかく、静かに監視・・いえ、見守りましょう」  
「お〜っ!」  
「優さん静かにっ」  
 
・・・また部屋に戻ろう。  
しばらく見つめ合っていた二人だったが、不意に陽菜が口を開いた。  
「・・・社長」  
「なに?國生さん」  
優しく答える我聞に陽菜は少し恥ずかしそうにしかし意を決して言う。  
「・・・私がこれから訊くことで私を嫌いになっても構いません。  
でも、一つだけ訊かせてください」  
「?」  
顔が疑問でいっぱいになる我聞。  
陽菜はまた少し躊躇ってから言う。  
「この先のこと・・・しないんですか?」  
そう言うと陽菜は真っ赤になって俯く・・・事が出来ないので目を伏せてしまう。  
またパニクる我聞。  
(えぇっ!?こ、この先っ!?  
告白してキスして押し倒し・・て、こっこの先って事は結婚!?  
いやいやその前だ、その前っ!)  
我聞は目の前で真っ赤になっている少女をじっと見つめてから、でも、と切り出す。  
「でも・・・國生さんは、怖く・・・無いの?」  
陽菜は目の前の少年が自分のことを想ってくれていることを嬉しく思い、しかし言う。  
「怖くないと言えば勿論嘘になります。  
でも、その恐怖よりも強く、貴方と一つになりたい。そう、思うんです。だから・・・」  
そんな陽菜を見て、我聞は覚悟を決める。  
「わかった。  
でも精一杯優しくするから安心して」  
「はい。お願いします」  
微笑みを取り戻した陽菜が言う。  
 
我聞は陽菜に体重がかからないよう支えていた腕から力をゆっくりと抜いていく。  
我聞は体が陽菜に乗るか乗らないかのぎりぎりで体を支える。  
「國生さん・・・」  
「社長・・・」  
二人はさっきのようにまた名前を呼びあうと、また唇を重ねる。  
しかし今度は我聞が陽菜の口の中に舌を入れる。  
陽菜はその舌に自分の舌を絡める。  
その舌をつたい、重力に従い我聞の唾液が陽菜の口内に入っていく。  
二人の唾液が混ざっていくのに合わせるように二人の舌の動きも激しくなっていく。  
ピチャピチャと言う音だけが部屋に響く。  
それからどれほどの時間唇を重ねていたのか二人にも分からなくなった頃。  
「ぷはっ」  
「ふう」  
ようやく二人は唇を離した。  
「・・・國生さん」  
「何でしょう?」  
「胸・・・触って良いかな?」  
「あ・・・では、この、お借りしていた学生服、脱ぎますね」  
「あ、うん」  
陽菜が服を脱ぐため二人は一度離れ立ち上がる。  
陽菜はぷちぷちと一つづつボタンを外していく。  
そしてすべて外し終えて脱ごうと襟に手を当てる。  
当てた手は袖に隠れて見えなかった。  
「あはは、少し大きかったかな・・・」  
苦笑いしながら言う我聞に対して陽菜は微笑みで返す。  
「でも、暖かかったです。ありがとうございました」  
そう言うと陽菜は学生服を脱ぎ布団のそばに畳んでおく。  
「えっと、下着も脱ぎましょうか?」  
赤くなりながら陽菜が訊く。  
「あっ、お願いします」  
つられたように赤くなる我聞。  
陽菜は後ろ手にブラジャーのホックを外すとあっさり脱げる。  
露わになる陽菜の思わず見入ってしまう我聞。  
(綺麗だ・・・  
あんまり大きくはないみたいだけど、形が整っているって言うんだろうか・・・  
綺麗だ・・・)  
我聞が見とれていると、  
「あんまり・・・見つめないでください」  
顔が赤いまま言う陽菜。  
少し目をそらして言う我聞。  
「ごっごめん。  
その、綺麗だったから・・・」  
「はっ恥ずかしいこと言わないで下さい!」  
今度は真っ赤になって言う陽菜。  
「で、でも、触らせてくれるんだよね」  
「あっ、えとどうぞ」  
恥ずかしさからどんどん赤くなる陽菜。そんな陽菜を見て自然に、  
(可愛いな)  
そう思った我聞の手は自然に陽菜の胸にのびる。  
ぷにゅっとした柔らかい感触が我聞の手に伝わる。  
そしてゆっくりと胸を揉みほぐす我聞。  
時折陽菜の口から漏れる「んっ」とか「あっ」という声に、徐々に手のスピードが上がっていく我聞。  
 
そして、激しくなる手の動きに反応して陽菜が声を上げる  
それに反応して我聞が激しくする。  
エンドレス  
終わりがない  
いつの間にか陽菜の顔は赤らみ、  
我聞は手を二つに増やし、さっきとは違い無意識に意識して、陽菜を布団に押し倒していた。  
「社長って結構エッチなんですね」  
「なっ!?」  
「さっきの手の動きだって凄く・・・」  
「あっあれは國生さんが気持ちよさそうだったから・・・そう!國生さんだって気持ちよさそうにしてたじゃないか」  
「はい、気持ちよかったです。だから、最後まで・・・やりましょう」  
積極的だった陽菜だが最後の言葉は流石に恥ずかしかったようだ。  
また顔が赤くなる。  
そんなことには気付かずに自身も顔を赤くしながら、  
「う、うん」  
控えめにそう言う我聞。  
「じゃあ國生さん、下も脱がせるよ・・・」  
「どうぞ・・・」  
布団の上で、スカートと下着を脱がせる我聞。  
我聞が始めてみる本物の女性の性器は愛液で湿り光を反射し、うっすらと光を放っているかのようだった。  
ごくりと生唾を飲む我聞。  
陽菜はなんだか恥ずかしくなり、それは秘部の濡れへと繋がる。  
「あっ俺も脱ぐよ」  
何となく焦りながら着ている衣類を脱ぐ我聞。  
そして互いに一糸纏わぬ姿になる。  
二人は横になり、互いに抱きついて舌を絡めるキスを繰り返す。  
今、二人の頭には互いのことしかなかった。  
 
 
また部屋の外を見てみよう・・・  
 
「お兄ちゃんも、陽菜さんも、あんなエッチで積極的に・・・」  
「・・・ねぇ果歩り〜ん?」  
「何ですか優さん?今いいところじゃないですか・・・」  
「あのね〜あの二人があんなにエッチなとこ見たら、我慢できなくなっちゃった〜」  
「なっ!なに言ってるんですか優さん!  
やっぱりまだ酔ってるんじゃ・・・」  
「堅いこと言わな〜い。それ〜」  
「い〜っやぁ〜っ!!」  
 
・・・・・・さて、今一度部屋の中を・・・  
 
 
二人は何度も何度もキスを繰り返す。  
我聞は陽菜の胸を弄びながら、  
陽菜は我聞にしっかりと抱きついて、  
何度も何度も繰り返した。  
先に陽菜が我慢できなくなってしまったらしい。  
「あっあのっしゃちょっそろそろ・・・」  
「あっああうん。  
それじゃあ・・入れるよ・・・」  
「はい・・・」  
急に神妙になる二人。  
我聞は陽菜の秘部に自分のモノを押し当て、ゆっくりと入れていく。  
 
我聞も陽菜も、初めてのその感触が心地よかった。  
そして、我聞の男根は陽菜の膜に行き着く。  
「・・・破るよ?」  
我聞は短くそう訊いた。  
「・・・優しく、ですよ」  
陽菜も短く答える。  
互いが互いを本当に信頼しているから。  
心は既に、しっかりと繋がっているから。  
我聞は陽菜ができるだけ痛くないようそっと、ゆっくり先に進める。  
陽菜はそんな我聞に愛おしさを感じ静かに耐える。  
そして、一番奥まで着いたとき、我聞が陽菜の安否を問う。  
「ふぅ。大丈夫國生さん?」  
陽菜はまだ少し痛かったが、なんとか笑みを作り答える。  
「は、はい。なんとか・・・」  
「本当?」  
「大丈夫ですから、続きを・・・」  
正直、陽菜は痛みより喜びの方が勝っていた。  
「本当にいいの?」  
「大丈夫です。それより、しつこい人は嫌われますよ」  
「ご免なさい」  
そして我聞はゆっくりと動かしていく。  
それにより、陽菜の中に痛み、喜びとは別に再び快楽の炎が燃え上がった。  
「うあっはあはあ」  
我聞は段々動きを激しくしていく。  
「あっああ、んっあああーっ」  
陽菜はしっかりと我聞に抱きつき、足も絡める。  
先に我聞に限界が訪れる。  
「くっ!で、出る。國生さん抜くよっ」  
しかし陽菜は足を絡めたまま放さない。  
「こ、國生さん!?」  
「大丈夫な日ですから、な、中に・・・」  
「えっで、でも・・・だっだめだ出るっ・・・!」  
「あぁあぁぁぁあああぁぁああぁっ」  
喋ってる途中に我聞が、そしてその快楽により、陽菜が達する。  
二人はしばらく余韻に浸っていたが、その時間すらもったいないとでも言うようにキスを繰り返した。  
そして大分二人が落ち着いたところで、我聞が切り出す。  
「でも、ほんとに大丈夫だったの?」  
「はい」  
「そう」  
短く答える陽菜。しかし小さく、  
「本当は少し危ない日ですけど・・・」  
と言っている。  
「何?國生さん」  
「いえ、何でもありません。  
それより、私たちはこれから付き合っていくんですから名前で呼んで貰えませんか?  
さん付けでも、ちゃん付けでも、何でしたら呼び捨てでも構いません」  
「え・・・えーとじゃあ、『陽菜さん』で・・・」  
内心呼び捨てを希望していた陽菜だったが顔に出さずに、  
「わかりました。では私も、『我聞さん』って呼びますね。  
これからもよろしくお願いしますね我聞さん」  
「こちらこそえっと、陽菜さん」  
そして二人はまた唇を重ねる。  
ずっと幸せな日々が続くのを願うように・・・  
 
 
 
数日後工具楽屋  
 
優「えっ!?なんで陽菜ちゃんと我聞君のエッチシーンがこの隠しCCDカメラにっ!?」  
我「よう、帰ったぞー!」  
優「あっ我也さん武文さん!何でここに!?」  
武「残党狩りがひと段落着いたのでな。さっき我也の家に寄ってきたのだが誰もいなかったからこちらに来てみたのだが」  
優「そりゃ当たり前ですよ〜平日ですもん。あ、中之井さんと辻原君は内閣調査室行ってます」  
我「そうか・・・ん?お前は何を見てるんだ?」  
優「あっ我也さん、武文さん見て下さいよコレ」  
我「どれどれ・・なっ!?」  
武「ほぅ・・やはり孫の顔は見れそうだな・・・」  
優「でしょ〜」  
我「・・もうあの二人も大人になってしまったのか・・・」  
武「む?画面が変わって・・・」  
優『堅いこと言わな〜い。それ〜』  
果『い〜っやぁ〜っ!!』  
優「あ、あれ・・・こんな事したっけかな、私・・・」  
我「森永、俺の可愛い可愛い娘にナニをしたんだ?」  
武「・・・やりすぎるなよ我也」  
優「い〜っやぁ〜っ!!」  
 
 

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