ああ・・・なんでこんなことに・・・。  
目の前では、社長と先代、そして何故か乱入された番司さん、仲之井さん、珠さん、斗馬さんの、  
6つ巴の闘いが展開されています・・・。  
それもこれも、先代が  
 
「娘が欲しくばこの俺を倒してからにせいや―――!!」  
 
なんていうから・・・。  
しかも出発前だというのに、なかなか収まりそうにありません・・・。  
ここは一つ、  
“わたしのために争うのはやめて!”  
とか言った方がいいのでしょうか・・・でも、なんか違う気がします。  
そもそもこの闘い、間違って仲之井さんや珠さんが勝ったりしたら、私どうなっちゃうのでしょう・・・。  
 
「ところで陽菜」  
「あ、お父さん・・・ええと・・・これは・・・」  
「まあ、気にするな。 我也がバカなのは昔からだし、本格的に口出しするようならまた吸って動かなくしてやる」  
「は、はぁ・・・」  
「それより、孫のことなのだが・・・」  
「・・・え」  
「私が戻るまでには最低2年はかかると思う・・・準備期間としては充分だと思うのだが、どうだろうか?」  
「え、ええと、ちょっとまって・・・そ、それは、本当に・・・私と・・・しゃ・・・ちょう、の・・・?」  
「なんだ、他に想い人でもいるのか?」  
「い、いないです! いないけど・・・でも・・・まだ、わたし・・・社長も・・・高校生だし・・・その・・・」  
「む・・・そうだったな・・・そうか、いや、折角再会できた娘が幸せそうな顔をしていたから、  
 ついつい期待してしまったのだが・・・そうか、いや、そうだな・・・残念だが・・・  
 孫の顔を見られると思えば危険な旅も必ず無事に遂げられると思っていたが、いや・・・そうか・・・」  
「あ、お、お父さん?」  
 
もの凄い凹んでます・・・ああ、どうしよう・・・無茶苦茶言ってるけど、でも、  
娘として親孝行しなくちゃいけないとも思うし・・・ああ・・・ええい、もう!  
 
「わ、分かりました、お父さんが次に帰ってきたときには、孫の顔をお見せできるよう善処しますから・・・」  
「な・・・ほ、本当か! 約束できるのか!?」  
「え・・・や、約束は・・・」  
「できないのか・・・」  
「し、します、約束します! ええと、では、その・・・の、納期は本日より2年、ということで・・・」  
「うむ、わかった。 納品数は多いほどいいが・・・まあ、数は規約からは外しておこう。  
 命名権も陽菜と我聞君に譲るから、いい名前を付けるようにな。 では、これで成約でよいかな?」  
「は、はい・・・」  
 
・・・とんでもない約束をしてしまった気がします・・・。  
社長・・・どうしましょう・・・  
 
「ふふふ・・・心配そうだね、はーるるん?」  
「ゆ、優さん・・・それは・・・その・・・ま、まだ、経験のないことなので・・・」  
「陽菜。 それでも、約束は約束。 約束したからには、全力を尽くさねばならんぞ、わかっているな?」  
「は、はい・・・」  
 
お父さん・・・昔から約束には厳しい人だったけど・・・こんなにズレてたっけ・・・  
 
「だーいじょうぶっ! はるるんも、武文さんも、ご安心ください!」  
「へ?」  
「む?」  
「陽菜ちゃんも我聞君も、私の大事な同僚だし、二人が結ばれてくれるなら工具楽屋としても万々歳!  
 そして私、不肖・森永優は言うなれば二人の姉のような存在!  
 人生の先輩として、あんなことからこんなことまで徹底指導して、必ずや二人を立派な大人にしてみせますとも!  
 それに、支援体制もばっちりですからね・・・ね、果歩ちゃん?」  
 
「もちろんですとも! 早速今晩からでも、陽菜さんを我が家に受け入れる体制は整っていますから!  
 ていうか、寮なんか引き払ってウチでお兄ちゃんと同棲しちゃいましょうよ、どうせ親公認なんですから!」  
「ええと・・・優さん・・・果歩さん・・・? ちょっとそれは急すぎ・・・」  
「お、おお・・・優くん・・・果歩くん・・・ありがとう!  
 陽菜、お前は良い友人に囲まれているな・・・ますます安心して旅立てるというものだ・・・。  
 二人とも、不肖の娘だが、どうか宜しく指導してやって欲しい・・・この通りだ、お願いする」  
「お任せください! 武文さんが戻られた頃には、何処に出しても恥ずかしくない夫婦にしておきますからね!」  
「そうそう! それじゃあ早速、陽菜さんのお部屋のお引越しから始めましょうか〜♪」  
「お、お父さん、なんか騙されてるから! そんな頭下げてないで!  
 っていうか、果歩さんそれちょっと早すぎですから!」  
 
なんで優さんと果歩さんはこんなに息があってるのでしょう・・・まるで、昔から準備してたみたいです・・・  
それにしてもお父さん・・・乗せられすぎです・・・絶対騙されてます・・・  
 
「あら、早すぎなんてことはないわよ〜? そもそも、夜の生活が前提になるお話なんだし、  
 二人が一つの部屋にいないことには、ねぇ?」  
「ですよね〜! それに、十月十日って言いますし、そんなに準備期間があるわけでもないんですから、ね♪」  
「うむ、果歩くんの言うとおりだ、若いのにしっかりしているな。  
 いいか陽菜、納期が長いからといって仕事を先延ばしにするのは悪い例の典型だぞ。  
 今日出来ることは今日済ます、それが仕事の基本だ。」  
 
気が付いたら、私vs優さん・果歩さん・お父さんになってます・・・  
味方になってくれそうな社長は・・・加勢してもらえる状況にないし、  
居てくれても・・・私と一緒に流されるだけ、だろうなぁ・・・  
 
「そ、それはそうだけど・・・でも、高校だってあるし・・・」  
「ふっふっふ、大丈夫、その点をこの優さんが考えてない訳がない!  
 ちゃーんと卒業式まではお腹が目立たない理想のスケジュールを、既にこの頭脳がはじき出しておるわ!  
 でもね、完璧な計画があっても、計画通りにこなすには、やっぱり準備が必要なのよね〜  
 スケジュールをこなすための予行演習、これは早いに越したことはない!  
 我聞君のスケジュールを組んでた秘書の陽菜ちゃんなら、わかるよね?」  
「そ・・・それはそうですが・・・」  
 
予行演習って・・・その・・・やっぱり・・・  
あわわわわ・・・  
 
「あらあら、はるるん今から真っ赤になっちゃって、これは仕込み甲斐がありますな〜?」  
「大丈夫ですよ、陽菜さん! 誰もが通る道なんですから!」  
 
いや・・・果歩さんはまだ、ご存知ないのでは・・・  
 
「じゃあ決着もついたみたいだし、引越し開始と行きましょうか!  
 珠、斗馬! それにお兄ちゃんものびてないで早速お仕事よ!  
 あ、それとも、陽菜さんの部屋で二人っきりで同棲、のがいいかしら?  
 ねぇ陽菜さんはどっちがいいです?」  
「え・・・い、いや・・・その・・・二人っきりは・・・あ、でも・・・うぅ・・・社長・・・」  
「よし、これで思い残すことはない! では二年後を楽しみにしているぞ、達者でな陽菜!  
 ほら、遊んでないで行くぞ我也!」  
「「いってらっしゃいお父さん〜!」」  
 
こうしてお父さんと先代は、旅立って行かれました。  
残されたのは、とても楽しそうな優さん達と、倒れ伏した社長たち、勝ち名乗りを上げる珠さんと斗馬さん。  
楽しそうに見守ってる辻原さんに、何故か終止果歩さんに羽交い絞めにされて口をふさがれていた桃子さん。  
ああ・・・優さんと果歩さんがとても楽しそうに話し込んでます・・・そして時々こっちをみて笑ってます・・・  
・・・・・・社長・・・私たち、どうなっちゃうんでしょうね・・・  
 
 

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