その頃、工具楽家・居間。  
 
「あ、あはははは、これで後はもう、本番を残すのみ! 我々の勝利は決まったも同然だよ果歩りん!」  
「・・・ちょっと・・・キケンな雰囲気が漂いましたけどね・・・」  
「あ、あははっ、まあ、ほら雨降って地固まるっていうし!  
 結果として二人とも乗り気なんだからもーまんたいよっ!  
 ・・・って、果歩りん大丈夫かい? もの凄い顔赤いけど・・・」  
「え・・・あ、へ、平気ですよヘーキ! こ、これからが本番ですし!」  
「まあ・・・確かに陽菜ちゃんも凄い感じ方してたから、おこちゃまには刺激が強かったかねぇ・・・」  
「そ、そんなこと無いですよ! あそこで真っ赤になってる控えめ胸なんかと一緒にしないでください!」  
「う、うるさいわね! あ、あんただって同い年でしょうが!  
 だいたい、自分の実の兄のあんなところ盗み見ちゃうなんて、どうかしてるわよ、このブラコン!」  
「な・・・あんたこそ真っ赤になって食い入るように画面見つめてたくせに!  
 大方、お兄ちゃんにああいうことされること考えて妄想でもしてたんでしょ!  
 まあ、見てのとおりお兄ちゃんと陽菜さんはもう付け入る隙など無いくらいにラブラブだからね!  
 妄想くらいなら許してあげてもよくってよ?」  
「こんのうす胸ぇええ・・・っく・・・ま、まだよ! 人の心は移ろいやすいものなんだから!  
 今日、そう、今からガモンの性癖からなにから研究しまくって、ハルナから奪い取ってやるんだから!」  
「略奪愛か・・・ふむ・・・それもまた面白・・・」  
「優さん・・・・・・何か?」  
「い、いや何でもないさあはははは・・・っていうか、本当にそんなことされたら、はるるんパパに何されるか・・・  
 うむ、そう言うわけで諦めたまえ桃子ちゃん!」  
「くッ・・・まあいいわ、バンジ! あんたもハルナに気があるんでしょ!  
 ここは二人で共同戦線・・・って、あんた大丈夫?」  
「ん? パンツマンがどうかしたの?」  
「なんかプルプル震えてるわよ? って、もしかして泣いてる?」  
「おーいどうした番司くん?」  
「も、もういい・・・もういいからよ・・・」  
「何泣いてるのよ、っていうか意味わからないんだけど・・・」  
「見えないのはもういいから! いっそ耳も塞いでくれ! っていうかこの際帰らせろ!」  
「あー・・・童貞のオトコノコにはちょーっと刺激が強すぎたかしらねぇ・・・  
 想い人のあんな声だけ聞かされつづけるのは流石に辛いかー・・・まあ、辛いだけじゃないかもだ・け・ど?」  
 
そして全く状況の意味がわかっていない果歩と桃子に気付かれないようにそっと番司の身体に目をやって・・・  
 
「・・・やっぱりねぇ・・・ま、君もオトコノコだから仕方ないわよねぇ、うふふふふ・・・」  
「んなっ・・・と、とにかくだ! いいからなんとかしてくれ!」  
「そうねぇ・・・ま、二人の続きを眺めながら、考えてみましょうかね〜♪」  
「こ、こらマテ、それじゃあ意味ねーんだよ!」  
「お・・・我聞君が服を脱ぎ出したねぇ、はるるんもはだけた上着を全部脱いじゃうつもりかな〜」  
「こ、こ、この鬼があああ!」  
「「うるさいパンツマン!」」  
 
ディスプレイの中だけでなく周りにも弄り甲斐のあるお子様達に囲まれて、優はそれはもう楽しそうだった。  
 
 
そして、まさかこんな人生の一大事を覗き見されているなんて夢にも思わない当の二人は、  
一旦互いに離れると服を脱ぎ、向かい合って布団の上に座り直していた。  
いざこうして向かい合って、相手の顔を見ながらこれからすることを思うと、  
火の出るような恥ずかしさに、互いに硬直してしまうが・・・  
 
(こ、ここは俺が・・・男として・・・っ)  
「こ、ここ・・・こくっ・・・こくそうっ・・・・・・」  
「・・・・・・ぷっ」  
「ぐっ、・・・こ、國生さんっ!」  
「・・・はい」  
「ええと、その、まあ、あれだ・・・いろいろと・・・よ、宜しく頼むよ・・・」  
「はい・・・ええと・・・こ、こちらこそ・・・不束者ですが・・・宜しくおねがいします・・・」  
 
なんとなく、お互いに深々と頭を下げてしまう二人だった。  
 
なんともいえない微妙な間があってから、二人は頭を上げて、  
 
「っぷ・・・ふ、ふふ、ふふふっ・・・社長、緊張されてますね、うふ、ふふふ・・・」  
「くぅ・・・ここで笑わないでくれよな、凄い恥ずかしかったんだから・・・ったく」  
「うふふ・・・でも、お陰でなんだか、緊張がほぐれました・・・社長のお陰です」  
「はは・・・まあ、俺も開き直れてきた気がするよ・・・トホホって感じだけど」  
 
そう言う我聞も顔では笑っていて、やれやれといった感じでため息をひとつ。  
そんな我聞を、陽菜は曇りのない笑顔で見つめる。  
 
「まあ、深刻になりすぎても仕方ないか・・・じゃあ、その・・・・・・いいかい?」  
「・・・はい」  
 
適度に緊張もほぐれたところで最後の確認をして、二人は身体を寄せる。  
我聞は陽菜の肩に手をかけて、優しく、布団の上に押し倒す。  
そのまま陽菜の上に覆い被さって、片手で身体を支えながら、もう片方の手で陽菜の頬に触れ、  
その手を首筋、鎖骨、胸、脇腹と撫で降ろし、秘所に達する。  
 
「―――っ!」  
 
陽菜の身体がびくんと震える・・・が、その表情に恐れや苦痛はない。  
そんな陽菜の顔を見つめながら、我聞は指で入口を軽く撫で回し、  
改めて“そこ”が潤み始めたのを確かめると指を一本、その中へ潜らせる。  
 
「・・・っふぁ・・・ぁ・・・はぁ・・・っ」  
 
指を包む温かく、潤った、そして少し窮屈な感触と、陽菜の上気した表情、切なげな声によって、  
我聞の分身も次第に固さを増して、準備を整えていく。  
陽菜の今はまだ控えめな喘ぎと、荒くなりつつある呼吸のせいで開きっぱなしの口を自らの唇で塞ぎ、  
覚えたばかりの感触が癖になりつつあるキスで陽菜の口腔を優しく撫で回す。  
上の口を唇と舌で、下の口を指で愛撫されて、陽菜の身体には先の疼きが既に蘇っている。  
 
「ん・・・んん・・・んふ・・・っ・・・んぅっ・・・んふぅ・・・っ」  
 
陽菜の身体はふるふると震え、鼻から漏れる音は艶やかで切なげな響きに満ちている。  
その秘所は我聞の指を咥え込んで、いやらしいほどに蜜を滴らせているのが陽菜自身にもわかる。  
我聞と交わることで、激しい痛みがあることは知識として知っているし、正直そこにはまだ恐怖はある。  
でも今は、我聞と触れ合いたい、感じ合いたい、溶け合いたい・・・交じり合いたい・・・  
そんな思いに身を委ね、ただその時を待つ。  
 
そして、我聞の唇が陽菜の唇から離れ、秘所からは指が引き抜かれて、その時が来たと知る。  
我聞は片手を準備の整った己のモノに添えて、陽菜の入り口を探し当てると、そこにあてがう。  
陽菜にも、自分の秘所に指ではないもの、もっとずっと太いものがあてがわれたのが、感触でわかる。  
この体勢からだと、“それ”がどんなものなのか見えないが、  
見てしまうと怖くなるかもしれないから、あえて確かめようともしなかった。  
 
「國生さん・・・本当に、平気? その、少し震えてるけど・・・」  
「・・・何度も聞かないでください・・・平気ですから・・・怖くない・・・と言ったら嘘かもしれませんが・・・  
 でも、社長と・・・一つになれるなら・・・平気ですから・・・嬉しい、ですから・・・」  
「そうか・・・わかった・・・。 ねぇ、國生さん」  
「はい・・・?」  
「・・・・・・好きだよ」  
 
我聞はそれだけ言うと、陽菜の返事を待たず、ゆっくり・・・本当にゆっくりと、腰を沈めた。  
 
「ひ・・・ぎ・・・い・・・うぁ・・・っ」  
 
陽菜は我聞の言葉に、自分の気持ちを、自分も同じ気持ちだということを返そうとしたが、  
そんな余裕はなかった。  
ゆっくり、ゆっくりと挿入される我聞の肉茎は、陽菜に叫び声すら上げさせてはくれなかった。  
息が詰まり、漏れる声にはどうしても苦痛の響きが混ざり、  
我聞の背に回した腕を力に任せて締め付けて、その皮膚に爪を立てた。  
陽菜の爪は我聞の背中を傷つけたが、陽菜の痛みに比べたらなんでもないことくらい、我聞にもわかった。  
それでも腰を止めることは無く、最後まで・・・互いの腰が密着するまで、我聞は己を陽菜の中に、埋めた。  
 
「國生さん・・・全部、入ったよ」  
 
あえて、“平気か?”と問うたりはしない。  
ただ、陽菜が求めていたことを完遂したこと、それだけを、伝える。  
苦痛に眉をひそめ、涙目の陽菜にもその言葉は伝わった。  
 
「は・・・いっ・・・しゃちょっ・・・・・・しゃちょお・・・っ」  
「なんだい・・・?」  
 
せめてもの気遣いのつもりで、やさしく、問い返す。  
それくらいしか彼女にしてやれることが無いことに、不甲斐なさを感じながら。  
 
「わたし・・・たち・・・いま、ひとつ・・・ですよ、ね・・・」  
「うん、そうだよ・・・俺と國生さん・・・今、一つに、繋がってる・・・俺、國生さんの中に、いるよ・・・」  
「・・・よかった・・・嬉しい・・・です・・・」  
 
痛々しい表情を少しだけ明るくはじけさせて、涙目で微笑む陽菜に応えるべく、  
我聞は再び彼女の口をキスで塞ぐ。  
優しく、だけど執拗に・・・痛みなど忘れるくらいに・・・と願い、届く範囲全てに舌を這わせ、  
舌の付け根から唇の裏から、歯の一本一本まで、陽菜の唾液を全て舐めとってしまうくらいの徹底さで、  
たっぷり時間をかけて陽菜の口腔を愛撫した。  
陽菜の身体の震えが和らいだのを感じて、銀色の糸を引きながら陽菜の唇を、舌を解放したとき、  
陽菜の表情からは少しだけ、痛々しさが薄らいだように見えた。  
 
「ふぁ・・・っ、しゃちょ・・・今のキス・・・すごかった、です・・・くち・・・溶けちゃいそう・・・」  
「ああ、ちょっとしつこかったかな・・・少しでも、気がまぎれればって・・・」  
「・・・うれしかった・・・です・・・きもち、よかった・・・から、楽に・・・なりました」  
「そか、よかった・・・でも、まだキツそうだね・・・しばらく、このままでいようか・・・」  
「いえ・・・しゃちょうが・・・きもち、いいと・・・思うように・・・どうぞ・・・動いてください・・・」  
「で、でも・・・それじゃあ・・・」  
「いたい、けど・・・いたいのは、いいんです・・・  
 だって・・・痛いっていうことは、私たちが繋がってるっていう、しるしだから・・・  
 だから、もっと・・・痛くしてください・・・私と、社長が一つになってるって、感じさせてください・・・  
 私の心・・・私のキモチ・・・社長で、満たしてください・・・」  
 
陽菜はそれ以上何も言わず、ただ我聞の顔を見上げる。  
彼女を苦しめたくはなかったが、それ以上に、彼女の望むようにしてあげたかった。  
だから、我聞は心を決めると、ゆっくりと、少しずつ、腰を使い始めた。  
 
「ひっ・・・く・・・ぅ・・・ん・・・・・・っ」  
 
今度は、爪を立てたりはせず、ただぎゅっと、我聞の背を強く抱いて、その肩に顔を押し付ける。  
まだ痛いのは変わらないが、少しは慣れた。  
だから、これ以上我聞に気を使わせずに済むように、せめてその表情を見られないようにした。  
 
我聞は、慎重に、ゆっくりと腰を動かす。  
まだ陽菜の声には痛々しさが感じられるし身体の震えも止まってはいないが、  
最初の挿入時に比べるとそこまでの痛切さは感じられず、少しだけ安心する。  
我聞を咥えこんだ陽菜のそこは絶妙なキツさで肉茎を締め付け、  
前後に動かす度に細かなヒダがねっとりと絡みつくようで、  
我聞は初めて知る女性の、陽菜の身体の中の感触に目眩のするような快感を覚えていた。  
 
「っく・・・っふ・・・ぁ・・・っ・・・」  
「は・・・はっ・・・・・・っはぁ・・・っ」  
 
二人は荒い息遣いの合間に、それぞれ未だ残る痛みと初めて味わう快感の喘ぎを漏らしつつ、  
お互いの感触を更に更に、求めつづける。  
陽菜の中の感触に酔い痴れるあまり、我聞は自分の身体の制御が少しずつ困難になる。  
抑えようと思いつつも身体は陽菜を貪欲に求め、その身体を更に貪ろうと徐々に動きを速め、  
ぢゅぷぢゅぷと卑猥な水音を立てながら、次第に強く、速く、深く、陽菜の中に己の分身を突き入れる。  
 
「っく・・・す、すまん・・・國生さん・・・っ」  
「はっ・・・い・・・しゃ・・・ちょう・・・?」  
「俺・・・自分が、抑えられなくなって・・・國生さんのなか・・・気持ちよくて・・・よすぎて・・・っ」  
「ふっ・・・、いえ・・・それ・・・嬉しい、ですから・・・、社長が・・・私で・・・  
 気持ちよくなってくれるなら・・・っつ・・・もっと・・・動いて、いいですから・・・」  
「國生・・・さん・・・」  
「それに・・・あの、わたし・・・、なんだか、その・・・っ・・・あそこが・・・  
 しゃちょおので、ぐりぐりされて・・・痛いのに・・・いたいけど・・・なんか、ジンジンして・・・ぇ・・・」  
「大丈夫・・・なの?」  
「わかんない・・・わからないです・・・でも、痛いけど、いたいのに・・・なんか、変・・・です・・・」  
 
痛みでかすれていたはずの陽菜の声は、いつの間にかさっきの、我聞が一方的に弄っていたときのように上擦り、  
そしてさっき以上に潤ったような、甘い響きを帯びつつあった。  
その声が我聞の理性を浮き足立たせ、より一層、身体の制御を危うくさせる。  
否・・・もはや、制御しようという意思自体が薄れ、我聞はただただ陽菜の身体を貪ろうという一心で、  
彼女の秘所に己の肉茎を突き立てる。  
そして陽菜の身体は、痛みを感じながら尚、我聞から与えられる刺激から快楽を貪ろうとしていた。  
一突きごとに大きくなる我聞のそれの存在感は、陽菜により強い痛みをもたらすはずなのに、  
それ以上に強烈な別の感覚が、痛みを覆い隠すように陽菜の身体を支配していく。  
 
「っ・・・ふぁ・・・ひぅ・・・あ・・・っ、しゃちょ・・・しゃちょお・・・っ、ふぁあ・・・」  
「・・・? 國生さん・・・?」  
「わたしっ・・・へんです・・・、しゃちょおので・・・痛いはずなのに・・・気持ちよくなってきてる・・・」  
「・・・・・・」  
「わたし、感じてます・・・しゃちょおのでっ、ずぶずぶされてぇ・・・っ、感じてますっ!」  
 
我聞のモノを受け入れたところから感じる甘い痺れは、もはや気のせいではなかった。  
さっき同じところを我聞の舌で愛撫されたときよりも遥かに鋭い刺激が、  
舌よりも太く、長く、固く、熱く、いやらしいもので、身体の一番奥の疼くところへ直接に送り込まれる・・・  
いや、叩き込まれる感覚は、一度それを快感として認識してしまうと、  
その他の痛みとか恥辱とか、そういった快楽を貪るのに邪魔な感覚を全て覆い隠してしまい、  
陽菜は再び、官能の濁流に呑み込まれる。  
そして今度は、我聞の肉茎で突き崩されつつある理性も、それを拒絶しなかった。  
 
「ね・・・國生さん・・・顔・・・みせて・・・」  
「え・・・? は、はい・・・しゃちょお・・・」  
 
恥ずかしくて顔を見られないように、陽菜は顔を我聞の肩に押し当てたままにしていたが、  
そんな意識が希薄になりつつある彼女は、我聞の言葉のままに彼の逞しい肩から顔を離し、我聞に晒す。  
紅潮した頬、快楽で蕩けきった口元、薄く開いた潤みきった目と、目尻からこぼれる涙、乱れた髪・・・。  
そして、絶え間なく漏れる荒い息遣いと、甘く、切なく、喘ぎ続ける声。  
 
「國生さん・・・すごい・・・えっちな顔、声・・・可愛いよ・・・本当に・・・可愛すぎるよ・・・」  
 
「ひぁ・・・そん・・・な、ふぁ・・・あ・・・恥ずかしいです・・・よぉ・・・」  
 
薄れてきたとはいえ、やはり面と向かって言われてしまうと流石に恥ずかしい。  
だが、そんなことを言ってもらえるのが嬉しくもあり、もう顔を隠そうとはしない。  
上気した顔を見つめあいながら、二人は高まり続ける快楽に身を任せ、交わりをより強く、激しくする。  
互いの目には相手の顔しか映らず、頭からは相手以外のことが消えてなくなる。  
 
「く・・・っ、こく・・・しょうさんっ・・・國生さんっ!」  
「はっ・・・しゃちょお・・・っ、ふぁ、あ! ひぅ・・・しゃ、しゃちょお・・・ん、んちゅ・・・むぷ・・・」  
 
互いの名を何度も呼んで、どちらともなくその唇を塞ぐと、  
少しでも強く相手を感じたくて、今度は陽菜も積極的に舌を伸ばして我聞のそれと執拗に絡みあう。  
我聞の動きに既に遠慮はなく、はちきれんばかりの肉茎を陽菜の身体の奥へ奥へと突き込むと、  
陽菜の膣は我聞を貪欲に咥え込み、涎のように蜜を垂らしながら肉茎をきつく締め上げてまとわりつく。  
いつの間にか、陽菜も自ら腰を使い、無意識に積極的に我聞を求めていた。  
さっきまでは童貞と処女だった17歳の二人は、今は性欲を剥き出しにして、  
獣のように性器を交合させ、唇を吸い合い、絡み合っている。  
陽菜はより強く我聞を求めて彼の背を抱き締め、足は彼の腰に絡めて逃すまいとしているかのよう。  
我聞も身体を支える腕を一本にして、空いた手で陽菜の胸を激しく揉みしだく。  
お互いを全身で感じ、感じさせ、二人はただひたすらに求め合い、感じあい、愛し合った。  
自分の全てを相手に明け渡して、かわりに相手の全てを独占して、そのまま溶け合って一つになるくらいに、  
密着して、突き込んで、咥え込んで、絡み合った。  
 
我聞は仙術修行で鍛えた体力をそのまま陽菜の身体にぶつけ、容赦も加減もない抽送で陽菜の膣をかき回し、  
膣内で攪拌された陽菜の蜜が泡立ってじゅぶじゅぶと卑猥な音を立てる。  
陽菜を責めれば責めるほど、同時に我聞にも快楽は湧き上がり、射精したい欲求が高まる。  
仙術の修行をしていなかったら、既に何度射精したかわからない、とすら思うくらいに、  
陽菜のそこは我聞をきつく包み込み、ヒダの一つ一つがねっとりと絡みつき、甘すぎる快楽を与えてくれる。  
激しく突き込めば突き込むほどに陽菜は悦びに身体を震わせ、我聞自身も蕩けるような快楽を得る。  
そんな行為に没頭し、ただひたすら陽菜に己の肉茎を突き立てた。  
 
陽菜はそんな我聞をひたすらに受け入れて、強烈な快楽を絶えることなく与えられ、  
際限なく高まり身体中を駆け巡る官能の悦びに酔い痴れていた。  
その悦びは駆け巡るばかりで一向に収束せず、次から次へと与えられつづけ、陽菜の身体中に蓄積すると、  
やがて陽菜の決して大きくない身体中に満ち溢れ、今度は出口を探して身体を内からかき乱す。  
身体はがくがくと震えだし、強烈過ぎる快感に耐えられないとばかりに頭を振り、髪を振り乱し、  
その勢いで絡んだ舌と唇が外れてしまうと・・・  
 
「っあ、ふぁあ! しゃちょ、しゃちょおっ! もう、わたし、だめ・・・らめえ!」  
「っはぁっ、國生さん・・・、俺も・・・そろそろ・・・っく!」  
「わたし、もう・・・変になっちゃう、おかしくなっちゃう・・・気持ちよすぎて、こわれちゃいますっ!」  
 
顔中に艶を溢れさせ、色気に満ちた泣き声のような喘ぎ混じりに、頭に浮いた言葉を考えずにそのまま叫ぶ。  
止めて欲しいわけでもなく、ただ気持ちいいこと、気持ちよすぎることを、口に出す。  
 
「國生さん・・・っ・・・いいよ・・・こわれちゃって・・・」  
「ふぁ・・・そんなぁ・・・! わたし、ほんとに、ほんとにぃ!・・・ひぅっ!」  
「俺も、國生さんの中・・・キモチよすぎて、溶けそう・・・こわれそうだから・・・さ・・・」  
「しゃ、ちょおも・・・私の中・・・気持ち、いい・・・ですか・・・」  
「ああ・・・っ、だから・・・一緒に、こわれちゃおうよ・・・ね・・・」  
「ひぅ・・・っああ!・・・はい・・・いっしょに・・・こわれちゃいます・・・っ!・・・」  
 
それでもう、二人は考えることをやめる。  
互いが限界近くまで昂ぶってるのが分かったから、あとは一緒に、最後まで行くだけ。  
 
「っ! 國生さんっ!」  
「しゃちょおっ! しゃちょ・・・ふぁあ! こわして・・・もっと・・・うぁ、あああっ!」  
「もうすぐ、もうすぐだからっ・・・っはぁ、くぁ・・・っ」  
「わたしもっ、もう・・・っ、だから、もっと・・・あ、ふぁ、こわして・・・めちゃくちゃにしてえ!」  
「ああ・・・、もっと俺を感じて・・・っ、俺も、國生さんのこと・・・、もっと、もっと!」  
「あ、ひああ!? いいのっ! しゃちょおのっ、すごい・・・あ、もう、もう・・・きちゃう!」  
「っ、國生さん・・・俺も、もう・・・っ」  
「わたしも・・・もう、もう・・・来てる・・・きちゃうの・・・イく・・・イっちゃう! イっちゃいます・・・」  
「俺も・・・もう、く、すぐ・・・っ、國生さん・・・一緒に・・・」  
「はい、もう、わたし、イく・・・イっちゃう! はやく、しゃちょおはやくっ、もう、わたし、わたしぃっ!」  
 
二人の声は大きく高く響き、どちらも限界間近なのは明らかだった。  
我聞はただもう全力で腰を陽菜に突き込み続け、そしてついに限界を悟り、  
 
「國生さんっ! ・・・俺もイくよっ、出る・・・國生さんの中にっ! 出すよ!」  
「出してぇ・・・わたしの中に・・・ぜんぶだしてえ! わたしも、もうイく、イっちゃいます! イっちゃう!」  
 
最後に大きく腰を突き込んで密着させて  
 
「イくよっ! 國生さん・・・こくしょうさんっ!」  
「きて、きてきてきてええ! しゃちょお、しゃちょおっ! わたしも、わたしもイくから、イっちゃうから!」  
「――――――っく!」  
「―――!? あ、出てる、あ、ふぁあ! あ、ああ! イく、あ、イ、い、うあああああああ―――――っ!!?」  
 
びゅくん! ・・・びゅる! ・・・どぷ、どくっ!  ・・・びゅぷっ! ・・・どぷぷっ!  
 
我聞は身体を支えることすら忘れ、陽菜の膣の中に、思いきり射精した。  
身体の奥深くに、熱い粘液が勢いよく大量に注ぎ込まれる感触・・・  
それがとどめの刺激となって、陽菜も頭が真っ白になるくらいに、激しい絶頂を迎えた。  
 
深く深く突き込まれて、我聞の体重までかかったそこから激しく打ち出された我聞の精液は、  
陽菜の膣に、子宮に、断続的に叩き込まれ、そこをドロドロした熱さで満たしていく。  
 
「ぁあ・・・でてる・・・まだ・・・でてます・・・ぅ・・・しゃちょお・・・の・・・あついの・・・っ」  
 
我聞の肉茎が陽菜の中でびくんと震え、精液を奥まで注ぎ込まれる感触が続く。  
それが数回繰り返される間、その刺激の度に陽菜は喜悦の絶頂に押し上げられ、イき続けた。  
普段は透き通るように白い、だが今は赤く染まった首筋を思い切り反らして、  
我聞の身体に巻きつけた腕と足を思い切り締め付けて、  
我聞の射精が済むまで身体をがくがくと震わせ続けて、  
全てが済むと・・・身体を弛緩させ、その余韻に浸った。  
覆い被さる我聞の重さも、膣内に注がれた我聞の精の熱さも心地よく、  
何も考えることなく、そのまま目を瞑った。  
 
我聞も射精後の気だるい脱力感と愛すべき人の中に己の精を存分に放った満足感に浸りながら、  
交わっている陽菜の中の感触、肌の柔らかさ、暖かさにしばし酔い痴れていた。  
そのまましばらくぼんやりとしてから、今の状況に気付き  
 
「・・・あ、す、すまん、重かったろう國生さん・・・悪い、ぼーっとしてた!」  
 
慌てて身体を腕で支えなおすと、陽菜の横へ転がる。  
そして一度は離れかけた二人の身体だが、すかさず陽菜が手を伸ばして抱きついて、すぐに一つに戻る。  
 
「いえ・・・心地いい重さというか・・・社長のこと、感じられましたから・・・よかったのに・・・」  
「・・・そうか、でも、だったらこれでもいいだろう?」  
 
そう言って、我聞もまた陽菜の背に腕を回し、ぎゅ、と抱き締めた。  
陽菜は嬉しそうに、ぎゅ、と抱き返した。  
 
 
しばらくそうして、二人は無言で互いの身体を抱き締めていた。  
それぞれの “はじめて”の余韻を大事にしたくて、二人は同じ思いを抱いたまま、黙っていた。  
しばらくして、目を開けた我聞は、陽菜の耳元に顔を寄せると、静かに語りかける。  
 
「國生さん・・・俺、君の心・・・満たせた、かな・・・?」  
 
陽菜は薄く目を開くと、恥ずかしげに・・・そして、心から嬉しそうに、やはり我聞の耳元で、呟く。  
 
「はい・・・もう、いっぱいです・・・胸も・・・心も、それに・・・あそこも  
 ・・・社長で・・・社長ので・・・あふれそうです・・・」  
 
聞いた我聞も顔を赤くして、だがやはり嬉しそうに微笑んで、  
少しだけ身体を離すと、陽菜と顔を向かい合わせる。  
二人とも同じように赤面して恥ずかしがり、同じように、幸せそうな笑顔を浮かべていた。  
 
「もう、入らない?」  
「ううん・・・社長が注いでくれるなら・・・いくらでも、はいります・・・  
 注いでくれないと、すぐ、空になっちゃうから・・・  
 これからも・・・ずっと、いつも、注いでくださいね・・・」  
「ああ・・・わかった・・・じゃあとりあえず・・・・・・また、いい?」  
「え・・・あ・・・・・・どうぞ・・・社長の、思うように・・・」  
 
何を、とは敢えて言わなくても、陽菜にも我聞の言うことはわかった。  
表向きは顔を真っ赤に染めて恥ずかしがるそぶりをするが、  
嬉しくて、気持ちいいこと・・・好きな相手と身体を重ねることの味を知ってしまった陽菜が、  
この申し出を断わるわけがなかった。  
そして二人は、今日だけで何度目かも忘れてしまったキスをして、  
再び二人の世界に、快楽の海に、沈んでいった。  
 
 
その前後、工具楽家・居間。  
 
ディスプレイの向こうでよく知る二人が普段からは考えられない乱れた素振を見せて、  
行為の後は聴いてるだけで身体が痒くなるような甘々の会話までされて、  
ギャラリー(約一名はオーディエンス)はそれぞれ、胸中になんともいえない思いを抱いていた。  
だがその中にあって、一人だけ妙に嬉々とした顔の女性が一人。  
・・・この中で唯一(年齢上は)オトナの女性、森永優である。  
 
(ああ・・・まさか二人がここまでしてくれるなんて・・・後半マニュアル無視されたのはちょっと癪だけど、  
 良い絵は撮らせてもらったし、一応はGHKの目的も武文さんとの約束も果たしたしねぇ・・・  
 あの二人があんまりらぶらぶべたべたしちゃうから、正直ちょっと私も疼くものはあるけど・・・)  
 
そこまで考えて、斗馬が見たら、“悪そうな顔だ”と評するに違いない邪悪な笑顔で、残りの三人を見渡す。  
特に、果歩と桃子。  
GHKだとか想い人だとか理由はあれど、初めから興味津々といった様子で見守っていた二人だが、  
今は顔を真っ赤にして画面に釘付け、初めて目の当たりにした世界にどっぷり、といった様相。  
その様子を見て改めてにぃ、と無言で笑う様は、まさに獲物を見つけた飢えた狼。  
 
「うふふふふ〜、二人とも、食い入るように見入ってるねぇ、えっちなことに興味湧いちゃったかな〜?」  
「「え!?」」  
 
まさに “ギクッ!”って感じで驚いたように優の方を振り向いて、  
 
「そ、そそ、そんなことないですよ! ただGHKとして、ちゃんと・・・最後までほら、見届けないと!」  
「わ、わ、私だって、ハルナからガモンを略奪するの諦めてないんだから・・・そう、研究よ、研究!」  
 
「ふう〜ん? ま、いいけどね〜  
 ところでさ・・・私としては、ちょ〜っとこの二人のあまりのラブラブっぷりに、少し疼くものがあってねぇ」  
「は、はぁ・・・」「・・・疼く?」  
「そ、まあ、平たく言うと、えっちな気分になっちゃったかな〜♪ ってことなんだけど」  
「え、ゆ、優さんも?」「ユウも!?」  
「ほう、“も”、とな・・・」  
 
優のツッコミに、二人は同時に慌てて口を塞ぐ素振を見せる。  
その発言と素振に、優は二人が自分の手のひらの上にいることを確信すると、  
 
「実はそれでねぇ・・・丁度いいことに、ここにはイキのいい欲求不満のオトコノコも、いるのよねぇ?」  
「「・・・・・・えええ!?」」  
 
それまで動かなかった、緊縛された上に目隠しまでされた男の身体が、びくっと揺れる。  
 
「ちょーっと可愛そうなことしちゃったし、お姉さんがお詫びに気持ち良いコトしてあげようかと思うんだけど、  
 もし興味があるなら、果歩りんと桃子ちゃんもご一緒にどうかにゃ〜、なんて、ね♪」  
「な」「な・・・」「何ィいいいいい!?」  
「マニュアルをあげてもいいんだけど、やっぱりこういうのは実践が大事だからね!  
 さ、どうする〜? お姉さんが、手取り足取り、教えてあ・げ・る・わ・よ?」  
(な・・・きょ、興味はあるけど・・・でも・・・ぱ、パンツマンで・・・?)  
(それは、その・・・教えて欲しくはあるけど・・・でも、ガモン以外の人で・・・いや、否!)  
「わ、わかったわ、ユウ・・・だ、大事なモノは絶対にあげないけど、  
 ちょ・・・ちょっと触ったりするくらいなら・・・」  
「ちょ、桃子、あんた正気!?」  
「う、うるさいわね、ワタシは形振り構っていられないのよ! それよりお子様はもう寝たら!?」  
 
桃子の挑発、これも優の想定通り。  
 
「んな、お子様ですって・・・あんた私と同い年でしょうが!」  
「ふーん、覗き見は出来ても実践はできないなんて、まだまだおこちゃまよね!」  
「な、なんですってぇこの控えめ胸! あんたこそ緊張しまくってる癖に、偉そうな態度とるんじゃないわよ!」  
「おいクソガキ、挑発に乗ってんじゃねぇ! それよりこれ早く解いてくれ! 俺の貞操がヤバい!」  
「ふぅんパンツマン・・・あんたまでガキって言うんだ・・・いいわ・・・」  
「お、おい!?」  
「優さん! 私もやるわ! こんな控えめ胸やパンツマンに、どっちが子供か教えてやるんだから!」  
「おお・・・果歩りんまで! お姉さん嬉しくて泣いちゃうよ!」  
 
大袈裟に顔に伏せて、感動のあまりに泣き出す・・・素振をする。  
もちろん、伏せられた顔を満たす満面の邪悪な笑みを隠すため。  
そして、顔を上げた優の眼鏡が、“キラーン!”と輝いて、  
 
「それでは果歩りん、桃子ちゃん・・・実習を始めようか!  
 番司くん、君も辛かったでしょう、かわいそうに・・・今から、お姉さん達が可愛がってあげるから、ね♪」  
「ちょ! ちょっと待て! 落ち着け! お前らこの人を止めろ!」  
「じゃあ、まずは二人で番司くんの窮屈そうなズボン、脱がしてあげるところから、やってみようか〜!」  
「・・・おい、ちょっ、待て、お前ら騙されてる、騙されてるから、・・・うぉ、やめろおおお!?」  
 
果歩と桃子は勝手に炊き付け合ってくれるので、動きだしたらもう後は指示さえ出せば先を争ってやってくれる。  
二人が準備を整えたら混ざることにして、とりあえずは傍観を決め込んでお茶など啜ってみたりする。  
 
(我聞くんと陽菜ちゃんが順調に片付いちゃったらそれはそれで退屈かと思ったけど・・・  
 どうやら、まだまだ楽しめそうだねぇ、うふふふふ・・・)  
 
既に優の頭は、これから先、この二人と哀れな生贄の羊をどう絡ませるか、その計画のことでいっぱいに。  
そんな彼女の個人的欲求解消と悪戯心の為に、唐突に貞操の危機に陥った静馬家第二十五代目当主予定、  
静馬番司の明日はどっちだ!?  
 
 

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