壊してはいけなかったのだろうか。  
母さんが死に、親父が消え、俺たちは家に残された。  
四人で暮らす大きくて、小さかった家。  
家族を守るために積んだ修行。覚えた仙術。  
壊す。そのための力。  
だけど…俺は、こんなものを壊すために力を欲したわけじゃなかった。  
「おにい、ちゃん…」  
かけがえのない人。  
かけがえのない妹。  
壊れそうになった心を。壊れそうになった絆を。  
俺は。  
俺は、壊して、しまった。  
「ふぁ、おに、い、ちゃ……」  
俺の下で喘ぐ少女。  
家族という繋がりを、壁を、壊してしまった妹。  
離れない。離れたくはない。それだけで俺たちは貪りあう。  
快楽を求めることはなく、重なることだけをただ続けている。  
それは絆。  
壊れてしまった、強い、脆い、家族のキズナ―――  
 
 

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