真芝の追っ手から身を隠すために、  
やむなく愛しの我聞から離れて九州くんだりの静馬神社へ匿われた桃子だが・・・  
 
「もー信じらんない!  
 このか弱き天才少女になんて仕打ちなの!?  
 あんな肉体労働は低能どもの仕事でしょうに!!」  
 
匿われたとはいえ、要するに身分は居候。  
しかも受け入れたのは代々厳しいことで有名すぎる静馬家。  
当然の如く、それぞれに仕事が与えられる。  
とはいえ、肉体労働に向いたヒゲ兄弟と違い、きゃしゃな女の子である桃子にガテン系の仕事をさせるはずもなく、  
命じられたのは敷地内の各種清掃業務。  
―――とはいえ、広大な静馬神社の庭を掃いて、廊下を雑巾がけして、風呂を磨いて・・・と、  
普通に重労働。  
さすがにかなえに文句を言ってみたりしたものの、  
 
『静馬家当代当主たるわたしと、居候のあなた、上下関係、どっちが上?  
 そう、さすが桃子ちゃん、賢いわね・・・じゃあ、続き、よろしく、ね?』  
 
と、まあやんわりと、しかし絶対に反対できないプレッシャーで有無を言わさず撥ね付けられてしまった。  
 
「仕方ないだろ、居候なんだからそこは我慢しなきゃな」  
「それにしても限度ってものがあるでしょーが!」  
 
そんな訳で、溜まった鬱憤をキノピー相手にぶちまけているのである。  
 
「まァ、桃子もこれまで家事とかろくにやってこなかったからな、  
 ここでこういう経験するのもいいんじゃねーか?」  
「だから限度ってものが―――お、あったあった!」  
 
キノピー相手に愚痴を垂れながら持参したノートPCを弄っていた手が止まり、  
にや〜っと笑う。  
 
「おめぇ・・・何か企んでるな?」  
「ふふふ・・・カナエは上下関係って言ってたけど・・・この天才美少女より上に立とうとしたらどうなるか・・・  
 わからせてあげようかなー、って、ね・・・うふふふふふ・・・♪」  
「・・・まァ、あまり無茶はするんじゃねーぞ・・・」  
 
どうせ止めても無駄なのはわかっているので、せめてコトが大きくならないように願うばかりであった。  
 
 
 
数日後。  
 
静馬神社へとなにやら荷物が届く。  
宛名は『静馬 桃子 様』。  
 
「桃子ちゃん、あなた宛てなのかな、荷物が届いてるんだけど、これ何かわかる?」  
 
匿っている対象への荷物なので用心はするが、この宛名からして・・・  
 
「あ、それ私が頼んだ荷物―」  
「そう、ならいいけど・・・あなたも匿われてる身なんだから、あまり外とコンタクトとっちゃダメよ?  
 ―――じゃあ、荷物のことはもういいから、お掃除、忘れないでね?」  
「は〜い!」  
「ん、いい返事ね」  
 
踵を返して去っていくかなえの後姿に向けて、不吉な笑みを漏らす桃子であった。  
 
 
その晩。  
桃子はお盆にポットと茶器、茶菓子などを乗せて、かなえの部屋を訪れる。  
 
「カナエー、今ちょっといい〜?」  
「あら桃子ちゃん、平気よ、どうしたの?」  
「ネット通販でさ、良さそうなお茶が買えたから、一緒にどうかなと思ってさ〜」  
 
結構しらじらしい演技だが、かなえの方で用心する必要があるとは夢にも思っていないので、  
そんな不自然さには気付かない。  
 
「あら、桃子ちゃんそんな趣味があったのねぇ。 じゃあおばあ様も呼んで・・・」  
「あ、いや! ええと・・・これ、若いひと向けだから!」  
「そうなの? でも悪いわね、そんな気を使ってくれなくてもいいのよ?  
 ちゃんと働いてもらってるんだし・・・」  
「え、ま、まあ、ほほほほほっ、天才としてこれくらいの気遣いは当然だから、気にしないで!  
 それよりほら、お茶、冷めちゃう前に!」  
「そ、そう?」  
 
不自然、というよりは “ヘンな子”くらいにしか思わずに、桃子の勧めるお茶に口をつける。  
 
「・・・不思議な味ね・・・」  
「そ、そうかな、でも、美容にもいいし! ほら、ぐっと、ぐっと!」  
「う、うん・・・」  
 
マズイ訳でもないので桃子の勧めるままにぐーっと飲み干してみる。  
 
「ごちそうさま、ちょっと不思議な味だけど、まあおいしかったわね」  
「・・・・・・」  
「・・・? 桃子ちゃん?」  
「カナエ・・・飲んだわね?」  
「ええ・・・まあ、見てのとおりだけど・・・」  
「ふふ・・・ふふふ・・・」  
「と、桃子ちゃん? ・・・あ、あら・・・?」  
 
ぐらり、とかなえの視界がゆらぐ。  
 
「こ、これは・・・桃子ちゃん? これは・・・?」  
「ほほほほほ! かかったわねカナエ!  
 このお茶にはね、ネットで取り寄せた麻酔薬がたーくさん入ってるのよ!  
 超がつくほど即効性、しかも量にして、通常処方量の三倍ほど!」  
「な、そ、それ命にかかわるんじゃ・・・」  
「大丈夫よ、ギリギリの量は見極めてるから!  
 だ・か・ら、私の用意した趣向、存分に楽しんで楽しんでね、カナエお・ね・え・さ・ま♪」  
「な・・・なに、を・・・」  
 
身体を支えられず、たたみにぺたりと倒れこんでしまう。  
 
「桃子・・・ちゃん・・・なんで・・・こ・・・こんな・・・まさか、あなた・・・まだ・・・」  
「あらあら、この期に及んでまさか真芝なんて言うんじゃないでしょうね?  
 お仕事熱心なのは評価してあげるけど、もうあそことは縁は切ってるの。  
 それより、その可能性を考えながらおちおち仕掛けに引っかかっちゃうなんて、やっぱり低脳よね〜♪」  
 
ぴき、っとかなえは眉間にシワを寄せるが  
 
「あらあら、そんな顔してると、シワが増えちゃうわよ、お・ね・え・さ・ま♪」  
「くぅ・・・あなた・・・・・・じゃあ、いったい、なにを・・・っ」  
「わからない? 簡単なことよ? この天才美少女のわたしに、やれ掃除だやれ洗濯だなんて、  
 おこがましいとは思わない? 私のこの頭脳はね、もっと創造的なことにこそ役立てるべきなのよ!  
 だからね、そんな労働を私に強いる根幹の理由、上下関係ってヤツ?  
 それのね、正しい関係を、カナエにじっくり教えてあげようかな、と思ってね!」  
 
「あなた・・・そんなことで、くすりを・・・」  
「そう、でもね、そんなこと、これ大事なのよね・・・  
 私が肉体労働なんて、天才のプライドが許さないの。  
 そして、それを、やれ上下関係がなんだとか言って私に強要してくれたカナエ、あなたもね!」  
「それで・・・一体どうするつもり・・・?」  
「ふふ、シンプルよ? こうやってカナエの身体の自由を奪っておいて、  
 ちょこっと恥ずかしい写真でも撮らせてもらおうかなって思って、ね♪」  
「・・・なっ・・・」  
「良い方法でしょ? ネット上に保存しておけばあとから実力行使されてもネタは安全だし、  
 カナエさえちゃーんと新しい上下関係を認めてくれさえすれば、何の不都合もないんだし」  
 
倒れ伏すかなえを見下ろして、勝ち誇ったように笑みを浮かべる桃子。  
だが、対してかなえも、キッと桃子を睨みつけて目を逸らそうとしない。  
 
「あら、カナエ、まだ立場、わかってないのかしら?  
 あまり私のこと困らせるようだと、もっと恥ずかしい思い、してもらうわよ?」  
「・・・桃子ちゃん・・・今ならまだ怒らないから、すぐにその、間違った考え・・・捨てなさい・・・」  
「・・・そう、あくまで私の言うことは聞かない、そういういこと? うん、わかった」  
 
そう言うと、うつぶせに倒れたかなえをごろっと転がして仰向けにして、襦袢に手をかけると胸をはだけさせる。  
 
「あら、和服って下着は着けないって聞いたけど、ちゃんとブラはつけてるのねぇ」  
「と・・・うこちゃん? ・・・ほんとう・・・にっ、いい加減に、しないと・・・怒るわよ・・・」  
「カナエこそ、今の立場、わきまえた方がいいんじゃない? 賢そうなのに、低脳にしか思えないわよ?」  
「あなた・・・やっていいことと、わるいことと・・・区別もつかないような・・・ひうっ!?」  
 
麻酔で呂律の回り難い口で懸命に紡いでいた言葉が、自らの悲鳴で中断される。  
同時に、かなえの身体がびくんっ、と震える。  
かなえの胸に、桃子の手が伸びていた。  
 
「もう、あんまり聞き分けがないようだと、酷いわよ?」  
 
そう言って、手の中のものをかなえに見せる。  
それは桃子の手の平に納まるほどに小さいが、そのフォルムは・・・  
 
「それ・・・す・・・スタン、ガン・・・?」  
「そ、正解よ、この天才が自作した、超軽量小型のスタンガン! ただし、威力は半端ないわよ〜?  
 ま、今回はすっごく弱い電流にしてあげたけど、効いたでしょ? 感じちゃった?」  
「ば、馬鹿なこと、してないで・・・っ、本当に、やめなさ・・・あうッ!!」  
 
再びびくびくっ、と身体が跳ねる。  
 
「本当はこれは予備というか、護身用だったんだけど、ね・・・結構気に入ってくれたみたいねぇ、  
 カナエ、顔が赤いわよ?」  
「っく・・・い、いい加減に・・・っ」  
 
急所に連続で微弱な電流を流し込まれ、身体が火照るのを押さえることができない。  
だがそれでも、桃子を睨む目つきだけはまったく衰えない。  
その視線が気に入らず、桃子はため息を吐くと  
 
「ねぇカナエ、本当に理解できてないの? 身体も動かせないあなたが今、どんな立場にあるか」  
 
そう言うと、かなえの袴を下ろし、ショーツ越しにスタンガンを当てる。  
 
「さ、言って。 負けを認めるって。 別に私も、カナエを苛めたいわけじゃないんだからね、  
 その方が、私にとってもカナエにとっても得なんだから、わかるでしょ?」  
「桃子ちゃん・・・部屋に、戻りなさい・・・今ならまだ、許して・・・あげるから・・・」  
「・・・低脳」  
 
ひとこと、呟くと、スタンガンのスイッチを入れた。  
 
「っうああああああ!?」  
 
女性の最も敏感なところに、ショーツ越しにとはいえスタンガンの電撃を喰らわされて、  
かなえは普段からは想像できない悲鳴をあげ、のたうち回った。  
 
「っあ・・・・・・あぁ・・・・・・あ・・・っ」  
 
強気だった目は宙を彷徨い、涙を浮かべ、身体はまだ痙攣している。  
そして・・・  
 
「あーら、カナエおねえさま、ショーツにうっすらシミができてますわよ?  
 電流を流されておもらししちゃったのかな〜? そ・れ・と・も、敏感なところで感じちゃった、とか?」  
 
かなえは無言で顔を背けるが、その顔はさっき以上に赤く染まっている。  
 
「涙ぐんで恥ずかしがっちゃって、カナエも可愛いところあるじゃない、ね、そろそろ、参ったしない?」  
「だ・・・だれが・・・っ・・・ぅあ! や! ひ、やめっ! あああっ!」  
 
拒絶の言葉を吐くと同時に、胸にチクチクと微弱な電撃を繰り返しお見舞いされる。  
その度に身体は跳ね、手足の指先までがびくんと震える。  
 
「ほらほら、だんだんシミが広がってるわよ? 本当に気持ちよくってわざとやってたりして〜?」  
「・・・桃子・・・ちゃん・・・」  
「ん、なぁに、やっと降参?」  
「・・・ここまでに・・・しておきなさい・・・これいじょう、したら・・・本当に・・・許さないわよ・・・?」  
 
ぴきっ、と、今度は桃子の眉が釣り上がる。  
 
「カナエ・・・あなたこそ、いい加減にしなさいよ?」  
 
ずる、とかなえのショーツを下ろし、そこにスタンガンをあてがう。  
 
「すぐに今の言葉を取り下げて負けを認めなさい? さもないと、ここに強烈なのを直にお見舞いして、  
 そうね・・・あとはオリマーとジィルにでも任せるかしら、  
 特にオリマーはカナエのこと気に入ってるみたいだし、頑張ってくれると思うわよ?  
 ・・・・・・さ、問答はこれで最後、どうする、カナエ?」  
「・・・・・・・・・桃子ちゃん・・・あなたこそ、覚悟なさい・・・」  
「えい」  
「っ! ――――――――っいひいああああああああああぁぁぁぁぁぁぁあああああっ!!!」  
 
裏声のような高い悲鳴をあげてブリッジをするかのように身体を反らせ、全身で激しく痙攣すると、  
数瞬の後に全身を弛緩させて再び畳の上に仰向けで倒れ伏した。  
その目は見開かれてはいたが、何も映されてはいないようで、端から涙がつぃ、と流れ落ちるのみだった。  
 
「あ〜あ、だから言ったのに、仕方ないわねぇ・・・ま、いいわ、この際だし、  
 あの二人に徹底的に躾てもらっちゃおうかしら、ね!  
 ・・・強気な女性は魅力的だと思うけど、度が過ぎるとナマイキなだけよ? ね、カナエお・ね・え・さ・ま♪」  
 
自分のことは完全に棚に上げて勝ち台詞を吐くと、  
半裸で横たわるかなえをそのままに、足取りも軽くヒゲ兄弟の部屋へと向かうのであった。  
 
 
「な、なんですか姐さん、かなえさんのところって一体・・・?」  
「あんたたちは何も気にしないでいいから、さっさとついて来る! いい思いさせてあげるから!」  
「は、はぁ・・・」  
 
と、急かしはするものの、もう勝利は既に決まったようなもの、余裕の足取りで悠々と歩く。  
広い静馬家で、男性と女性の部屋は可能な限り離れているとは言え、  
さすがにものの5分やそこらでかなえが回復するはずもない。  
二人の下っ端を率いて、楽しげにかなえの部屋まで引き返すと、  
 
「カナエー、二人を連れて戻ったわよ、入るわね〜」  
 
今ごろ意識を取り戻していたら、どんな顔をしているだろうと想像すると楽しくてたまらない。  
ニヤニヤと微笑みながらふすまを開けると――――――  
 
「あら桃子ちゃん、御帰りなさい、お二人もこんばんは」  
「へい、どうも・・・」「ど、どうもこんばんは・・・」  
「・・・へ?」  
 
そこには果たして、普段どおりの巫女装束に身を包み、座布団の上で正座してお茶をすするかなえがいた。  
 
「・・・あら、どうしたの桃子ちゃん、狐につままれたみたいな顔しちゃって」  
「えっと・・・いや、その・・・・・・・・・なんで?」  
「桃子ちゃんは真芝や我聞君のところで、仙術のこと、あまり聞いていなかったのかな?  
 まあ、真芝には知られていない方がありがたいんだけどね、  
 仙術ってものの基本、基本にして究極は、己の肉体のコントロールにあるの。  
 それは外部への作用だけじゃなくて、己の内部も然り。 たとえば、新陳代謝の促進、とかね」  
 
天才を自称する桃子だけあって、それで全て悟る。  
そう、そもそも強力な麻酔薬であるはずなのに、かなえは最後まで眠りはしなかったのだ。  
 
「そ・・・んな・・・だ、だけどいくらなんでも!」  
「桃子ちゃんも科学者なら、現実を見るべきじゃないかしらねぇ・・・  
 さて、それよりも、さっきの私の言葉、覚えているかしら?」  
 
それまで穏やかだったかなえの顔が、にやーっとした笑みを浮かべる。  
 
「え、ええと、カナエ・・・さん、あの、目許が笑ってないわよ? 折角の美貌が台無しよ?」  
「あらそぉお? ご丁寧にありがとう、でも大丈夫、これからとっても楽しくなる予定ですから」  
「あ、あら、それはよかったわね、おほ、おほほほほ・・・・・おほ・・・お・・・  
 お、お、オリマー、ジィル、ヤッチマイナー!!」  
「「は?」」  
「い、いいから早く! 私を守りなさいっ!」  
 
おもわず顔を見合わせる二人。  
と、その顔に向かって何かが物凄い勢いで飛来する。  
ばしゃしゃっ!  
ばたばたっ。  
 
「え!? な、なに!?」  
 
水が弾けたような音がして、二人の大柄な男が呆気なく崩れ落ちる。  
 
「へぇぇ、ほんと、すごい効き目だったのねぇ、このお茶。  
 こんなものが簡単に手に入るなんて、最近のネットは怖いわねぇ・・・ねぇ、桃子ちゃん?」  
「な、いったい、なに・・・?」  
 
倒れ伏した二人の男から視線を上げた桃子にもひと目でわかる光景  
 
桃子が持ち込んだお茶の、ポットに残った方から、かなえの手に向けて細い水柱がゆるゆると登っていた。  
 
「さ、それじゃあ桃子ちゃん、先ほどの続き、しましょうか」  
 
相変わらず口元に形だけの笑みを浮かべて、ゆらりと立ち上がるかなえ。  
欠片ほども笑っていない目は、桃子にしっかりロックされている。  
 
「え、ええと・・・」  
「なぁに?」  
 
つぃ、とかなえが近寄ると、ずず、と桃子があとずさる。  
 
「さ・・・」  
「さ?」  
「さよならー!」  
 
緊張に耐え切れず、くるりと回れ右して駆け出そうとする  
・・・が  
 
ばたーん。  
 
「へぶっ! あぅぅ・・・あ、あれ・・・なんで・・・っ」  
「あらあら、そんなにはしゃがなくてもいいのに、おてんばねぇ」  
「か、からだ・・・どうして・・・」  
「思うように動かない?」  
「か、カナエ、まさか・・・」  
「あら、あなたみたいに仕込んだりはしないわ、偶然よ?  
 たまたま、あの二人に当てた水弾がはじけた後に霧散したものが、あなたの顔の傍に漂ってたってだけ」  
「た・・・漂わせたんでしょ!」  
「ま、ご想像にお任せするわ、さて・・・」  
 
倒れ伏す桃子。  
見下ろすかなえ。  
立場、大逆転。  
 
「そうねぇ・・・桃子ちゃんには、すこーしばかり、教育が必要かしらねぇ・・・」  
「い、いらないっ! この天才に教育なんて必要なわけないから! え、ええと、結構でございます!」  
「あらそお? なかなか遠慮深いじゃない、じゃあ、そうねぇ・・・  
 学校では教えてくれないこと、特別に教えてあげようかしら、ね・・・  
 特にあなた、頭脳労働派って言ってたし、身体動かすの苦手でしょ?  
 良い機会だわ、いろいろ教えて、あ・げ・る♪」  
 
桃子の全身からさぁっと血の気が引いて、冷や汗が噴き出す。  
さっき自分がかなえにした仕打ちを考えると、どんなことを身体に教えようとしているか、想像に難くない。  
 
「え、ええと、折角だけど結構だから! ほら、居候だし、そんな手間かけさせちゃうの悪いから、あははは!」  
「いいのよ、そんな遠慮はしないでも、だって一つ屋根の下で暮らしてるんだから、もっと楽にしなさい?  
 あら、随分あせかいちゃって、そうねぇ、折角だから一緒にお風呂、いきましょう」  
 
お風呂・・・有り余るほどの、水。  
考えただけで、桃子はめまいがする思いだった。  
そんな桃子をひょい、と抱えあげると、  
 
「じゃ、行きましょう、人とお風呂するなんて久しぶりだから、楽しみだわ〜、ね、桃子ちゃん?」  
 
桃子に向けて笑みを浮かべるかなえの顔は、今度は目元も笑っていたが、  
その笑顔は桃子にとって、先ほどまでの笑っていない視線より余程恐ろしかった。  
 
「ひっ、やめ、やめてっ!」  
「ふふ、真っ赤な顔しちゃって、女同士なんだから恥ずかしがらなくてもいいじゃない、  
 それとも、お洋服着たままお風呂入る?」  
「い、いいっ! お風呂いいからっ! おねがい、これ以外ならなんでも言うこと聞くから!  
 掃除でもなんでもするからっ!」  
 
かなえに風呂まで連れて行かれた桃子は、無理やり服を脱がされてしまう。  
もともと素手で争うにはあまりに不利過ぎる条件ばかりなのに、麻酔の霧で身体すら自由にならない。  
余りにも絶望的な状況だった。  
 
「あら、可愛い胸。 桃子ちゃん、向こうの人の血を継いでる割には、なんていうか・・・そう、スレンダーねぇ」  
「わ、わ、悪かったわねっ! これから育つのよ!」  
「ふふ、それは楽しみね・・・じゃあ、お手伝いってことで、今日は沢山、揉んであげるわよ?」  
「い、いらないわっ、結構よ!」  
「遠慮はいらないわよ? さっきのビリビリする刺激も素敵だったけど、私の水も、悪くないわよ?」  
「み、水!? なにする気なの!?」  
 
そんなこんなで有無を言わさず着衣を全て脱がされて、またしても抱え上げられるとそのまま風呂場へ連行されて、  
 
「ちょ、やだ、カナエ、おろして、おろしなさいー!」  
「まったく本当に元気ねぇ、その気の強さには恐れ入るわ」  
 
いよいよピンチに陥って、強気、というか破れかぶれになってくる桃子。  
そんな桃子にいちいち構うだけ無駄と判断したか、湯船の真上に抱え上げると・・・  
ざぷーん。  
 
「ぶはっ、ごほごほごほっ! ひっどーい! なんてことすんのっひうあっ!?」  
 
風呂桶に落とされた桃子が文句をいいながら暴れようとするが、思った以上に身体が動かない。  
だが、麻酔による不自由とは違う、違和感がある。 これは・・・  
 
「や、やだ、なにこれ! 水が、絡み付いて・・・ひ、や、やああ!」  
 
湯船の湯が足といわず腰といわず、体全体に絡みつくかのような不自然な水圧をかけ、  
自分の意志で動くことができない。  
本来、ただの湯船ではありえない現象も、目の前に立ちはだかる女性の能力を考えれば何の不思議もない。  
桃子は静馬家の広〜い湯船を存分に使って、かなえの仙術で翻弄される。  
 
「ちょ、ちょっと、カナエっ! や、やめなさいよっ! ほ、ほんとうに、おこ、うぁ! おこるわよっ!」  
「あらあら桃子ちゃんったら、お風呂で暴れるなんてお子様みたいで恥ずかしいわよ?」  
 
さっきと真逆の立場で、圧倒的優位のもとに余裕のかなえだったが  
 
「う、うるさいわね年増のくせにっ!」  
 
ぴき。  
 
「う・・・うぁぁ! ごぼっ! ・・・んぷっ! もがっ! ・・・げほっ! やめ! いやああ!」  
 
桃子の許しがたい暴言に言葉で返すかわりに、  
かなえは湯を仙術で支配すると、桃子の身体全体を湯船に沈める。  
 
「と・う・こ・ちゃん? 女同士とはいえ、言っちゃいけないことってあるの、わかるわよ、ね?」  
「んぶっ! ごほっ! わ、わかる、わかったから、ぶばっ! おねが、もう、おぼれっ! ごぼぼっ!」  
 
頃合と見て、かなえが指をひゅっと動かすと、桃子の身体は浮力を取り戻し頭が湯の上に出る。  
 
「がはっ! かはっ、けほっ・・・ごほごほっ・・・ぅぅ・・・ひどい・・・」  
「ふふ、ちょっとやりすぎちゃったかしら、ごめんねぇ?  
 じゃあ、今度はお詫びに、桃子ちゃんのこと、気持ちよくさせてあげるわね?」  
 
「ひ・・・! や、やめっ! やだぁ! カナっ、やめ・・・いや、やああ!」  
 
桃子を取り囲む湯に絶妙な弾力を与え、首から下のあらゆるところでぬるぬると滑らせ、ぐにぐにと揉みしだく。  
初めは懸命にかなえに食って掛かっていた桃子だったが、ものの3分も経った頃には、  
既に強気の表情も言葉も消えうせ、年に似合わぬ切なげな声を上げるのみであった。  
 
「どう、桃子ちゃん、可愛い顔になってきたわよ?  
 生意気なあなたも悪くないけど、やっぱり子供は子供らしく、しおらしくしてるほうが魅力的よ〜?」  
「ひはっ・・・やぁ・・・おねがい・・・もう・・・やだ・・・カナエ・・・あやまるからぁ・・・もう・・・」  
「ふふふ、いい娘ね、じゃあ・・・もっと気持ちよく、させてあげる♪」  
「え・・・い、いや!やだ! っひ!? い、いや、やああ!」  
 
桃子に絡みつく湯が、一斉に激しく動き出し、桃子の未熟な裸体に過剰な快楽を擦り付ける。  
人肌よりやや温かい湯で既に十分に愛撫され敏感になった桃子の身体は、それに耐えられず・・・  
 
「や、だめ、カナエっ、もう、やめ、ひぐ・・・うぁあ!」  
 
びくびくと身体を震えさせてから、浴槽の縁にぐったりと身体を預けるようにもたれ掛った。  
 
「ぐったりしちゃって・・・桃子ちゃん、もしかして軽くイっちゃった?」  
「・・・そ・・・そんな・・・こと・・・ぉ」  
「ふぅん? じゃあ、そろそろ本格的な “教育”に入ろうかしら?」  
「え・・・まだ・・・あるの・・・?」  
 
ぐったりとしていた桃子の表情が、絶望に歪む。  
そんな表情がかなえの嗜虐心を余計にくすぐるとも知らず。  
 
「・・・う、うわ、きゃ! やだ、な、なに!?」  
 
桃子の身体を、再びありえない水圧が襲う。  
但し、先ほどまでの全身を覆うものとは感触が違う・・・紐状、いや、太さ的にロープというべきか、  
それが桃子の身体に巻きついて・・・  
 
「う、うわ、お、降ろしてぇ!」  
 
水に巻き付かれた身体は、そのまま風呂桶から空中へ持ち上げられてしまう。  
桃子を持ち上げた水は、まさにロープの如く桃子の胴体に巻きついており、  
少しの危な気もなく桃子の身体を湯船の外へ、かなえの足元へ運ぶ。  
 
「こ・・・これ以上、どうするのよ・・・」  
「そうねぇ・・・じゃあ、ヒントをあげるわ、これを見て、どうなるか想像してごらんなさい?」  
「・・・ひ・・・」  
 
ぞぞぞ、と抑え目の水音が背後の湯船から上がり、自分の身体を束縛しているものと同じ水のロープが、  
一本、二本、三本、四本、いや、もっと・・・  
太さのまばらな無数の水のロープが、海中を泳ぐタコやイカの足の如く、獲物を待つイソギンチャクのごとく、  
ゆらり、ゆらりとたなびきながら、しかしその先端は常に桃子の身体に向けられている。  
その様は、もはやロープではない。  
意志を持ち、捕らえた獲物を品定めする、水の触手・・・  
 
「やだ・・・やだ・・・ね、カナエ、謝るから・・・なんでも仕事するから・・・これ、やめて・・・お願い・・・」  
 
これまで裸にされても愛撫されても軽く絶頂を味わわされても決して見せることの無かった“恐怖”の表情。  
単なる怯えを通り越したそれが、桃子の顔を覆う。  
水触手のゆらめく動きへの生理的嫌悪感はどうしようもなく強かったし、  
さっき湯船の中でされたことを思えば、この触手達が今から自分の身体を如何しようとするか・・・  
想像するまでもないし、したくもなかった。  
 
強気の仮面を剥がされて、怯えた顔つきの桃子に満足した様子のかなえであったが・・・  
 
「しおらしくしちゃって・・・・・・でもその方が可愛いわよ・・・  
 ほんと、苛めたくなっちゃうくらいに・・・  
 ・・・ね、桃子ちゃん、この水糸に囲まれて、どんな想像したの? 私に教えてくれないかしら?」  
「べ、べ、別に・・・何も・・・ただ、き、気持ち悪いかなって・・・」  
「そお? 天才美少女なんて自称するにしては、ちょっと想像力が貧困じゃないかしら〜?」  
「そ、それは・・・その・・・」  
「ほ・ん・と・は、想像してたんでしょ? この水糸・・・いえ、水触手で、身体中をまさぐられて・・・」  
「い、いや! やだ! 言わないで、そんなのやだ! ・・・お願いだから・・・カナエぇ・・・」  
 
思わず涙目になって、必死で懇願する桃子。  
だが、そんな態度を取れば取るほどに・・・  
 
「あらあら、泣いちゃって・・・でもね、桃子ちゃん・・・あなたがそんな顔すればするほどね、  
 ・・・・・・どうしようもなく、苛め倒したくなっちゃうのよね♪」  
「ひ・・・や、やだ! いやああああああ!」  
 
かなえの言葉を合図に、蠢く触手の群れが一斉に桃子へと襲い掛かる。  
恐怖と痺れで抵抗できない桃子の身体に群がり、  
首筋を、うなじを、手足の指の一本一本を、二の腕を、脇腹を、ふくらはぎを、ふとももを、胸を、そして秘所を、  
身体中をくまなく覆い、うねうねと絡み、にゅるにゅると這い、ぐにぐにと揉みしだく。  
 
「いや、やめて、いやあ! カナエっ、おねがい、もういやああぁむぐ! んむむ―――!!」  
 
必死で助けを求めるその口にも触手が突き込まれ、言葉は封じられて意味をなさないうめきだけが漏れる。  
絡みつくには少々控えめなサイズの胸には触手の先端がぐりぐりと押し付けられ、  
麓の傾斜が緩やかな分だけ一際目立ってしまう先端の突起には、細い触手がきゅっと絡んだり突付いたりして、  
桃子の脳髄までスタンガンさながらの刺激を叩き込んでいく。  
 
両足の間には、正面から背中にかけて一本の触手が通されていて、  
宙に浮いた桃子の体重のほとんどを受け止めることで、  
秘所から尻の谷間までその一本の触手がぎちっと喰い込み圧迫する。  
その上、その触手は水ゆえの滑らかさで常に前後に動きつづけ、桃子の秘所へ容赦ない愛撫を続ける。  
その触手と密着した秘唇にも糸のように細い触手が群がり、  
無理やりに隙間をこじ開けて入り込むと秘唇や肉芽をちくちくと突き弄る。  
 
「―――――っ! んむーっ!! ん、ん、ンんん―――っ!!!」  
 
あらゆる急所を同時に刺激されて、先ほどの湯船の中での愛撫など比較にもならない快楽に翻弄されて、  
桃子はブロンドの髪を振り乱し、身体をガクガクと痙攣させて、手や足を突っ張らせて震えさせる―――  
触手に絡め捕られた身体のわずかに自由になる部分をいっぱいに使って、悶え喘ぎ続けた。  
 
少女の身体を持ち上げる力強さと、正確に、絶妙に、そして徹底的に急所を弄る細やかさ。  
普通の人間にも、機械にも絶対に真似できない、熟練した水の仙術使いだからこそ可能な、人外の愛撫。  
性に未熟な14歳の少女にとって、それは一瞬たりとも耐えることなどできるはずの無い、  
淫靡な天国、快楽の地獄。  
 
そして桃子は見開いた目から涙を流し、口の端から涎をこぼし、秘所からとめどなく蜜を滴らせ、  
声すら上げられないまま二度目の絶頂を迎えていた。  
 
 
こぷっ、と音を立てて桃子の口から糸を引いて水触手が引き抜かれる。  
 
「はぁ・・・はぁぁ・・・っ・・・ぅぁ・・・ぁぁ・・・・・・っ・・・ひっ・・・ひぐ・・・ぅあぁ・・・」  
 
桃子はうつむいたまま、だらしなく開いた口から糸を引いて涎が垂れるのもそのままに、  
嗚咽とも喘ぎとも取れる声を漏らすばかり。  
かなえはそんな桃子の頬に手を伸ばし、  
涎で汚れるのも厭わずに顎へ指を這わせると顎を引き寄せて紅潮した桃子の顔を正面に向かせる。  
 
激しすぎる絶頂を経て顔は淫らに蕩けきり、  
涙を浮かべた半開きの目に弱々しい瞳、端から涎を垂らすだらしなく開いた口、額や頬に貼り付いたブロンドの髪。  
それは、14歳という年齢に相応しくないほどの色気を湛えた表情だった。  
―――同性のかなえですら、ぞくり、とするほどの。  
 
「ごめんなさぃ・・・ごめんなさいい・・・ゆるして・・・もう・・・ゆるしてぇ・・・」  
 
そんな表情と似つかわしくない、子供のような泣き声で、謝りつづける。  
強烈すぎる快楽は身体を天国へ誘っても、性に未熟な心には恐怖を植え付けた。  
お仕置きとしてはこれで十分、上下関係もこれ以上ないくらいに叩き込まれたと言って良い。  
―――――――――が。  
 
「ふふ、やっと分かってくれたみたいね、桃子ちゃん・・・嬉しいわ」  
「うん・・・わかったから・・・もう、言うこと聞くから・・・謝るから・・・ゆるして・・・カナエぇ・・・」  
「そうね・・・でもね、桃子ちゃんばっかり気持ちよくなっちゃって、不公平だと思わない?」  
「・・・え・・・?」  
「桃子ちゃんのその表情見てると、私も気持ちよくなりたくなってきちゃって・・・半端に刺激されたままだしね・・・、  
 私のことも桃子ちゃんが気持ちよくしてくれたら、許してあげるわ、ね、いいでしょ?」  
「そ・・・んな・・・わたし、気持ちよくなんて・・・ない・・・いやなのに・・・」  
「あら、素直じゃないわねぇ、そんなえっちな顔して・・・それとも、まだ物足りないのかしらね?」  
「え、ち、ちがう! もういや、もう、本当にもうイヤなの、お願いカナエ、許してぇ!」  
「・・・ダメね、上下関係を教えてあげるときは、二度と上の人間に逆らうことのないように、  
 歯向かおうなんて欠片ほども思わないくらいに徹底的に教育するのが私のやり方なの。 だから、ね・・・」  
「そ、そんな、やだ、やだやだやだ! おねがい、カナエ、カナエぇえ!」  
 
絶望的な色を浮かべて必死で懇願する桃子の表情が、かなえの嗜虐心を余計にくすぐる。  
再び “ぞぞぞ”、と音がして、背後の浴槽から新たな水触手が生成される。  
それは桃子の足の下を潜り、下から桃子の顔を、秘所を覗き込む。  
どれも今までの触手よりやや太く、形が少し違う。  
先端付近で少しだけくびれ、その先はかさを張ったように太く、それはまさに・・・  
 
「ひ・・・っ! い、いやいやいやあああ!」  
「あら、お気に召さなかったかしら? あなたのお友達のキノピー君に似せてあげたんだけど?」  
 
もちろん嘘。  
 
「カナエっ、ほんとに、ほんとに許してえ! こんなのが初めてなんてイヤあ!!」  
 
涙をぼろぼろと流し、ブロンドの髪を振り乱して必死に訴える姿が、ますます嗜虐心に火をつける。  
 
「こんなの、なんて酷いわねぇ、ちゃんと優しくしてあげるわよ? 下手な男なんかよりよっぽど、ね」  
「いや、いやいやいや!」  
「あらそぉお? もしかして、はじめてを捧げたい人でもいるのかな?」  
「え・・・そ、それは・・・その・・・と、とにかくイヤ!」  
「ふぅん・・・教えてくれないんじゃ、気の使いようもないわねぇ?」  
 
そう言い放つと、するすると触手伸びてきて、既に濡れそぼった桃子の秘所にあてがわれ・・・  
 
「や、やだああ! 言う、言うから! だからお願いやめてえええ!」  
 
秘唇を掻き分け、まさに突き入らんとするところで、水触手は止まる。  
秘所を圧迫されて、再び分泌された蜜が触手を滴り流れ、そのまま触手に溶けてゆく。  
 
「そうよ、桃子ちゃん、何事も素直がいちばんよね。  
 で、何処のどなたなのかしら、あなたみたいな美少女に初めてを捧げたい、なんて思わせる色男さんは?」  
「その・・・あの・・・・・・っひぅ!?」  
 
ぐに、と秘所を圧迫する力が強まる。  
 
「桃子ちゃん? 答えるなら、ちゃーんと答えないと・・・分かってるわよね?」  
「わ、わかってるから! やめ、やめて! ・・・その・・・・・・・・・モン・・・です・・・」  
「ん? ちゃんとはっきり言わないと、聞こえないわよ?」  
「うぅ・・・・・・・・・ガモン・・・です・・・」  
「へ・・・へぇぇ、そうなの?  まあでも、わかるわ・・・あなたを真芝から助け出してくれた人だものね・・・  
 でも、我聞君は陽菜ちゃんと・・・」  
「まだ何も無いもん!」  
 
一瞬、かなえがうろたえるくらいの語調で、この一瞬だけ、強気の桃子に戻る。  
 
「まだ・・・私にだって・・・チャンスは・・・あるもん・・・だから・・・」  
 
すぐに、もとの弱々しい声に戻ってしまうが・・・。  
 
「ふふ・・・桃子ちゃんも、女の子ね・・・大変だろうけど、応援してあげるから・・・がんばりなさい・・・」  
「ほ、本当!? じゃあ・・・」  
 
桃子の顔が、ぱぁっと晴れる。  
 
「ええ・・・あなたの初めては大事に取っておくといいわ・・・  
 桃子ちゃんは、ちゃんと処女のままで犯してあげるから、ね・・・」  
 
晴れた顔が、そのまま固まる。  
 
「・・・え・・・?」  
「ふふ・・・桃子ちゃんは知ってるでしょ? 膜とは言っても、実際は隙間があるからね。  
 変幻自在の水の仙術で生成したこの触手なら、処女膜はそのままで中まで入って行くなんて、訳もないことなの。  
 だから、安心して、たっぷり犯されなさい?」  
「え・・・い、いや、やだ・・・やめ、やめていやあああああああ!」  
 
必死で口にする拒絶の言葉すら言い終わらないうちに、  
秘所にあてがわれていた触手はずるり、と桃子の体内へ侵入した。  
それは怖いくらいに痛みもなく、抵抗もなく、呆気なく桃子のいちばん奥まで達してしまう。  
ただし、膣内を擦り進む感触だけは、どうしようもなく。  
 
「ひぎ! い、いあああああ! や、うあ、ひあああああああっ!」  
 
触手の侵入は止まらず、ずぶずぶと入り続ける。  
膣壁も襞も擦られ続け、そして先端は内部でぐりぐりと動き回る。  
 
「ぁああ! あぁっ! ああああ〜〜〜〜〜ッ!!!」  
 
限界まで開いたまま閉じられない口からは、そんな声しか出ない。  
身体のいちばん深いところからぐりぐりと削られるような刺激が、天才少女の脳髄を淫靡な快楽で焼き尽くす。  
 
「ふふふ・・・処女のまま犯されるなんて、それも触手でなんて、素敵な体験でしょ・・・?  
 こんな風に中からぐりぐり動くような愛撫なんて、愛しの我聞君にだって出来ないことよ、堪能しなさい・・・  
 でもね、桃子ちゃんひとりで気持ちよくなるのもずるいから、私も気持ちよくさせてもらうわよ?  
 私が満足したら、今日は終わりにしてあげる・・・」  
 
かなえの声は、桃子に届いてはいた。  
が、どうやってそんなことをすればいいのか、かなえを満足させると言われても、何もわからない。  
考えること自体が無理に等しい現状で、身体の自由も利かず、桃子には何もできない。  
そんな桃子に構わず、かなえは袴を脱ぎ、ショーツも脱ぎ去る。  
 
「心配しないで、桃子ちゃん、今のままのあなたでも簡単にできるようにしてあげるから・・・  
 今は好きなだけ感じて、好きなだけイってくれればいいから・・・」  
「あ・・・! っひ、あ、ああああ! っはあ、あ、あ! ぅあああ!」  
 
答えることもできず、ただ喘ぎ声を上げつづける。  
身体中を愛撫され、身体の中をかき回され続けて平衡感覚も何も無いようなものだったが、  
目に映る景色が変わっているのがわかる。  
目の前に、かなえの秘所がある。  
そこが近づいてきて・・・  
 
「あ、ああああっ・・・あはっ!? はっ! はあっ! あはあっ!?」  
 
細い水触手が舌に絡みついて、他の身体同様に愛撫を始める。  
愛撫しながら、少しずつ口の外に引っ張られて、舌の先が何かに触れ、そこを上下に舐めさせられる。  
少ししょっぱくて、すこしすっぱくて・・・  
身体自体がそこへ引き寄せられて、今度は桃子の唇全体がそこに触れると、舌は解放される。  
 
「んぷっ! ぷあ、あ、あああっ! あぶっ! むぅうっ! ぷあ、ああああぅ!」  
「んっ! ・・・ふふ、そう、いいわ・・・そうやって、私も気持ちよくして頂戴・・・  
 そう、無理に舌を動かそうとしなくても・・・あっ・・・あぁ・・・あなたが声を上げるだけで、  
 十分に感じられるからね・・・さ、だから・・・存分に感じて、もっと鳴きなさい・・・」  
「ん! んぶ! ん、ん!んんん! んあ! あああああ〜〜〜っ!」  
 
もう、何も考えられなかった。  
膣内には限界まで水触手を押し込まれ、膣壁をえぐるようにぐるぐると暴れている。  
秘唇も肉芽も乳首も、感じるところは全て水触手が這い、突付き、絡み、限界まで快感を引きずり出される。  
かなえの秘所に押し付けられた口はその温かくぬめる割れ目に犯されているかのように錯覚し、  
口中にかなえの蜜を流し込まれて咽び、溺れた。  
 
何度も何度も絶頂を迎え、その頻度は短くなり、その度に意識は白濁としていった。  
そして、最後―――これが最後だと、のこったわずかな意識で桃子は悟った―――の絶頂を、迎えた。  
 
「あ! んぶっああああ! やあああああああああああああああ!」  
「ん! んふっ・・・う、うぁあ、桃子ちゃんっ! 私も・・・いいっ、イ、イくっ!!」  
 
桃子は四肢をぴん!と張り詰め背筋を限界まで仰け反らせ、がくがくがくっと震えて、  
かなえは桃子の頭を抱え込むように背を丸めてびくびくっと震えて、  
二人は絶頂を迎えた。  
 
「はぁ・・・はぁ・・・ふふ・・・桃子ちゃん・・・気持ち、よかったわよ・・・」  
 
荒い息遣いに満足そうな艶やかな笑みを浮かべ、ゆっくりと桃子の身体を降ろすと、全ての水触手を解除する。  
ごぽっ、と、これだけの量が本当に膣内に入っていたのかと思うほどの水を吐き出して、最後にびくん、と震え、  
桃子はかなえの足にしな垂れかかり、  
 
「ぅぁ・・・・・・カナエ・・・ぇ・・・」  
 
それだけ言うと、そのまま意識を失った。  
 
 
翌朝。  
 
いつものようにさなえとかなえ、そして以前はそこに番司がいた食卓に、  
今は代わりに桃子とヒゲブラザーズの二人が席を同じくしている。  
もともとさなえの同席しているだけで漂ってくる雰囲気の中で比較的静かな朝食なのだが、  
今日は不自然なくらいに静かである。  
 
「かなえ、醤油をとっておくれ」  
「はい、おばあさま」  
「「・・・・・・」」  
 
ヒゲブラザーズは、別に雰囲気に気圧されているわけではなく、ただもう一人の同席者が気になって仕方がない。  
 
(アニキ・・・うちのボス、昨日あのあとどうしたんだろ・・・なんか、今日は虚ろというか・・・)  
(うむ・・・かなえさん、怒ってたよな? 姐さん、きっとさぞかし恐ろしい目に・・・)  
 
「オリマーさん、ジィルさん?」  
「「はははいい!?」」  
「今日のご予定はどのように?」  
「あ、は、はい! 今日も昨日に引き続き、同じ現場で土木作業であります!」  
「であります!!」  
「あら、そうですか、ではお気をつけて行ってらしてくださいね?」  
「「アイアイサー!!」」  
「桃子ちゃんは、今日もお掃除を頼むわね?」  
「・・・・・・」  
「・・・桃子ちゃん?」  
「!! あ、う、うん・・・、はいっ!」  
「ふふ、別に “うん”で構わないわよ、一応はお客さんなんだし、そこまで気を使わなくてもいいわよ?」  
 
と、かなえは普段と同じようにそれなりに優しく声をかけてはいたが、  
同席するもの皆が、二度目に呼びかけたときの微妙な雰囲気の違いに気付いていた。  
 
朝食が終わり、片づけを任されている居候三人組が台所へ去ると、  
 
「かなえ・・・おまえ、何かしたかい?」  
「いえ、別に・・・桃子ちゃんに、すこし我が家のルールを教えてあげただけです」  
「そうかい・・・ま、居候のことはおまえに任せるからね・・・あまりやりすぎるんじゃないよ?」  
「はい、おばあ様」  
 
さなえとも別れ、自らの部屋へ戻ると、その前にブロンドの少女がうつむいて佇んでいる。  
 
「あら、どうしたの桃子ちゃん・・・?」  
「・・・・・・」  
「ふふ、黙ってちゃわからないわよ? ・・・昨日の仕返しかしら? それとも・・・」  
「!! ち、ちが! え、ええと・・・あの・・・その・・・」  
 
顔を伏せてもじもじと、言葉を濁してしまう。  
そんな桃子を見下ろして艶のある笑みを浮かべると、桃子の髪に軽く手を当てて撫でてやり、  
 
「夕飯の後なら、大体部屋にいるからね・・・用事は、その時に聞こうかしら?」  
「う、うん・・・・・・カナエ・・・おねぇさま・・・」  
 
それだけ言うと、うつむいたままで振り返り、ぱたぱたと自分の部屋に駆け去っていった。  
 
「可愛い娘・・・ここにいる間、毎晩可愛がって上げるわ・・・そうね、我聞君のことなんて、忘れちゃうくらい・・・」  
 
艶のある、というよりむしろ淫蕩な笑みを浮かべたかなえは、  
自分の身体の芯がぞくりと喜びに震えるのを感じていた。  
 
 

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