ある秋の夕暮れ、怪しい男二人組みが我聞達の通う御川高校に向かい歩いていました
「なぁ湧次郎、なんでいきなり番司を鍛えてやるなんて言いだすんだよ、訳分かんねぇぞ。
つーかなんで俺が手伝わなきゃなんねーんだ?」
「何を言うか、理来よ。番司君はまだまだ未熟、仙術使いの先輩としては鍛えてやって当たり前じゃろ?」
「そうかぁ?結構やるようになったと思うけどな」
「いや、真芝に捕まるなんぞ未熟の証だぞい」
「てめぇ俺も捕まったと知って言ってんだな?喧嘩売ってんのか!」
「おお!そういえばお主も捕まったんじゃったのう。一緒に鍛えなおすか、わっははははは」
「くわぁ〜ムカつく野郎だ。なにが鍛えなおすだ、どうせかなえちゃん絡みなんだろ?
番司を鍛えてポイント稼ごうってか?どうせ無駄だぞ?俺はもうあきらめたぞ」
「何を言ってるんじゃ!かなえさんのつれない態度。あれは今流行のツンデレという奴じゃよ。
プレイボ○イに書いてあったぞい。知らぬとはお主もまだ甘いのう、わっはははは」
「(う〜ん、壮大なカン違いだが面白いからほっておこう)プレイボ○イなんて読んでんのかよ!
まぁあれはもてる男のバイブルだからな(嘘)湧次郎もこれでモテモテか(笑)」
「妬くな妬くな。かなえさんとの結婚式には招待してやるわい!わっははは〜」
「そうか期待して待ってるぞ、わが友よ(笑)」
相方の妄想、いや夢を聞きながら光の仙術使い帖佐理来は
(我聞の野郎も同じ高校だったな。ついでにこの前のお返しをするかな)と密かな復讐心に燃えていた
一方鉄の仙術使い如月湧次郎は・・・何も考えてなかったりして(笑)
その頃、はた迷惑な理由で狙われているとは露知らず我聞と番司は國生さんと共に帰宅してるところです
「今日は現場の仕事は入ってませんので社長は仙術の特訓でもしていて下さい」
「いや國生さん、社長として書類整理を手伝おうと考え「仕事が増えるので結構です」
即答され凹む我聞、邪魔と言われないだけまだマシか?
「頼りない社長もいたもんだな。國生さんも大変ですね」
ここぞとばかりに我聞をせめる番司、これをきっかけに國生さんと会話を!とのささやかな願いは
「商売敵のあなたに心配される筋合いはありません」
この一言で砕け散り(ささやかな願いすら叶わないのか)と我聞と同じく凹んでしまいました
それに気付いたのは國生さんでした
「あれ、あそこにいるのはかなえさん、それに…私?」
「本当だ、國生さんも一緒にいるな。おーい國生さーん」
「違うだろ!工具楽!なんで國生さんが二人いるんだ、おかしいだろ!姉ちゃん!そいつ誰だよ!」
我聞達の前に巫女姿のかなえとスーツ姿の國生さんが現われ、不気味な笑みを浮かべ近づいて来ました
「番司気付いたか、この感じ、アイツ等…」「ああ、仙術使いだな…テメェ姉ちゃんじゃねえな、何者だ!」
「問答無用!いくぞい!」
偽かなえは番司目がけ襲い掛かるがその手は巨大な金槌に変化しており、番司の頭上目がけ振り下ろす!
「そいやぁ!必殺ハイパーハンマー!(如月仙術 撃・鉄槌)」紙一重でかわす番司!
「うおぉ、あぶねぇ!テメェよくも!食らえ、撃・大水弾!」偽かなえに直撃するも
「きかんわぁ!」「は、弾き返しやがった!化物か!」体を鉄化してるので効きません
「番司!今助け「おっと、お前の相手はア・タ・シよん」
我聞の前に立ちはだかる偽國生
「社長!」「大丈夫だ國生さん、危ないから離れていてくれ」
「そうそう怪我しちゃうわよん」「ふざけるな偽物!穿功撃!」
偽國生はなんなく受けとめ我聞にボディブローを打ち込み一歩離れ不適な笑みを浮かべ我聞を挑発しています
「ぐふ…これは、螺旋撃…な、何者だお前たち」
「誰でもいいじゃない。うふ、いくわよん!」
偽國生が二人三人と次々増えて我聞に襲い掛かるが我聞は攻撃をかわし反撃!
しかし攻撃は体を擦り抜け当たらず偽國生の攻撃が我聞を捕らえ始めました
少し離れた場所で戦いを見ていた國生さんは気付きました
「攻撃が擦り抜ける…まさか、光の仙術使いの帖佐理来さん?」「正解!さっすがは陽菜ちゃん」
國生さんは驚いて声がした方を見ると、すぐ横に偽國生が立っており親指を突き立ててニヤリと笑い
「そっくりだろ?」と話し掛けてきました
「なぜ社長たちを襲うのですか!それにどうして私とかなえさんに化けてるのです!」
「いや、湧次郎が番司を鍛えるってきかないんだよ。かなえちゃんに少しでもアピールしたいんだろうな、
無駄なのによ。陽菜ちゃんとかなえちゃんに化けたのは面白いからだよ」
「面白いからなんて理由でマネするのはやめてください!番司さんを鍛えるなら社長は関係ないと思いますが!」
「我聞はついでだよ。まぁこの間かなえちゃんとこで殴られた仕返しかな。」
「あれは修業のための不可抗力です!」
「じゃこれも修業ということで。まぁタダだからいいだろ?そろそろ本気出してくるから応援ヨロシク!」
國生さんは少し考えて(仙術の修業でお金がかからないならいいかな)と思い直しました
見学しようと我聞たちの様子を見ると我聞はいつの間にか下着姿(Tバック)の偽國生にボコボコです
鼻からは大量の出血、鼻血ブーです
番司にいたっては、すでにやられて大の字で伸びてますが顔はニヤケてます。悔いはなさそうです
「なんで下着になってるんですか!理来さん!(怒)」國生さんマジ切れです
1時間後、工具楽邸で國生さんと果歩に手当てを受ける我聞と番司がいました
「しっかしお前らもまだまだ、だな。色んな意味で修行が足りねぇな」
「その通りじゃな。たかが下着姿の「湧次郎さん!余計なことは言わないで下さい!」
「陽菜さん、下着姿ってなんですか?」番司に赤チンを適当に塗りながら果歩尋ねますが
「何でもないです!ね、社長に番司さん?」國生さんの刺す様な眼差しに頷く事しか出来ない二人でした
「ま、いっか。にしてもハチマキ男もたいした事無いわね〜」
「ぐっ、工具楽もやられたろうが!」「プッ、お兄ちゃんに担がれて来たくせに」
「あ、あれは理来さんが「ププッ、言い訳ですか、負け犬パンツマ〜ン(笑)」
「てめ〜ぶっ殺「あ、手が滑った、ごっめ〜ん(笑)」先に謝り番司の目に赤チン塗りこみます
「ふんがるぁるぎゅありゅが「じゃ、晩御飯用意して来るね」ニッコリ笑い台所へと消えていきます
「鬼じゃな」「ああ、鬼だ」悶える番司を横に湧次郎と理来は工具楽家のボスが誰かを悟りました
「あ、そうそう、皆さんも晩御飯食べていきますよね。斗馬、肉じゃがだけじゃおかずが足りないから
惣菜でも買出しに行ってきて。理来さん付き添いお願いできますか?」
「お、飯食わせてくれるの?カワイ子ちゃんの手料理食べれるなら喜んで買出しいくよん」
「ありがとうございます。斗馬ちょっと来て」にっこりと微笑みながら斗馬を手招き耳打ちします
〈分ってるわね、これは陽菜さんとお兄ちゃんを2人っきりにする作戦よ。必ず寄り道してくるのよ〉
〈デルタ4にお任せを、大姉上。しかし大男とハチマキめはどうします?〉
〈大男はデルタ3に任せてハチマキは後で邪魔だから止めを刺して庭にでも棄てるわ〉
〈さすが大姉上、我が侭です〉〈では、作戦開始よ。幸運を祈るわ〉
果歩の作戦通りに湧次郎と珠は外で組み手などして遊んでます
番司は「味見よ」と無理やり食べさせられた優さん印の薬入り肉じゃがのせいでダウンして果歩達の部屋に
放置されてます。さすがに庭には棄てなかったみたい、鬼の目にも涙か?
(お兄ちゃん男見せなさいよ、せっかく舞台を整えたんだから。しっかし優さんの薬ってホントよく効くわね。
さすがは番司撃退薬!いざという時のためお願いしてて良かったわ。10粒は入れすぎたかな?)
何食わぬ顔をして優さんから貰った優さん印の書かれたビンをポケットに入れ料理を続けます
その頃優さんは会社で中之井さんに得意げに話していました
「ホントですってば、その薬を飲めば誰でも初恋のときめきを取り戻せるんですよ。薬を飲んだ後、最初に
見た人を一目ぼれですよ!あの甘酸っぱい感覚が蘇るんですよ!」
「そんな都合のいい薬なんてありえないじゃろ」
「いえ、この優さんの手にかかれば不可能こそがありえない!真芝のテキストを研究して作った薬はマウスでの
実験には成功済み!中之井さんもどうですか?さなえ様に飲ませればラブラブでっせ!」
「恐ろしいことを言うない!しかしマウス〔には〕成功、ということは人ではまだ試しとらんの?
わし等で試そうとしたんじゃろ、人体実験するつもりじゃったな(怒)」
「ま、まあそうとも言うかな〜」「優君!悪ふざけも過ぎるぞい(怒)そんな薬、没収じゃ!」
「断固拒否しま〜す」「なら國生君に言って給料ボーナスカットじゃな」「そんな〜ご無体な〜」
優さん肩をガックリと落とします。給料ボーナスカットは痛すぎです
「何処にあるんじゃその薬は」「この引き出しの中に・・・あれ?ない、なんで?」
「ないじゃいかんじゃろ優君!」「あれ、この薬ビン・・・あ、番司撃退薬と間違えて渡したんだ」
「なんじゃい、その撃退薬ってのは?」「あはは、こっちの話ですよ。薬は果歩ちゃんに預けてます」
「果歩君ならむやみに使わんじゃろうから安心じゃな。後でワシが回収するからの」
「横暴はんた〜い!」「給料カットとどっちがいいんじゃ」「薬は差し上げますのでどうか・・・」
「うむ、今回は國生君には黙っとくが次はないぞい」「はは〜、キモに銘じときます」
優さん中之井さんに完敗です(笑)
そんな危険な薬を飲ましたとは露知らず果歩は調理を終えて襖のあいだから我聞達を覗いています
(何やってんのお兄ちゃん!そこは抱きしめて熱いキスでしょ!)「おい」
(何のほほんと喋ってんのよ、手ぐらい握りなさいよ!)「こらっ無視すんなっ、くそアマ!」
いつの間にか復活した番司が果歩の背後に立っており顔は怒りで震えてます。当たり前ですね(笑)
「わっ!もう復活したの?邪魔だからこっちへ来なさい!」強引に番司を自分の部屋に連れて行きます
「てめぇこら、赤チン目に塗りこんだあげく、なに食わし・・・」
言葉に詰まり果歩を見つめる番司。果歩から目が離せません
(なんでクソアマから目が離せないんだ?胸もドキドキするし・・・変な物食わされたせいか・・・)
正解ですよ番司君。君は知らないうちにほれ薬を食べるという人類史上初の体験をしたんですよ(笑)
「今お兄ちゃん達は大事な話し合いしてんのよ邪魔しないで、って顔真っ赤じゃない!大丈夫?」
流石に薬を盛った事に罪悪感があるのか体調を気遣って熱を測ろうと番司の額に手を当てます
「うをっ!きゅ、急に触るんじゃねえ!こ、心の準備ってもんが・・・」
「はぁ?何言ってんの?変な物でも食べたんじゃないの?」一服盛っといてそれはないでしょ(笑)
(おかしい、なんで熱計られたぐらいでドキドキするんだ?なんでこいつが急に綺麗に見えるんだ?)
「熱はないみたいね。少し横になってたら?(いいところなんだから邪魔させないわよ)」
(なんて優しいんだ。よく見ればエプロン姿じゃないか。よく似合ってるな、ああ抱きしめたい・・・ん?
抱きしめたい?何考えてんだ俺は!こいつはいっつも俺の邪魔を・・・けどよく見ると可愛いよな・・・
料理も上手だし・・・綺麗な髪してるし・・・っていかんいかん!体調不良で頭がおかしくなってんだな)
「こらっ聞いてんの?布団敷いとくからしばらく寝とけば?」
「だ、大丈夫だ、ありがとう。優しいんだな(俺みたいな奴になんて優しいんだ・・まるで天使だ)」
「へ?あ、当たり前よ(何言い出すのコイツ。変な物でも食べたんじゃないの?)」
だから食べさしたのはあなたでしょ(笑)
(当たり前だなんて・・・俺は今まで何を見てたんだ。こんなにいい子を目の敵にしてたなんて・・・)
「どうしたの、ぼーっとして。ホントに大丈夫?」
番司の体調が不安になり果歩は首を傾げて顔を覗き込みます
(か、かわいい・・・だめだ、興奮して頭が・・・抱きしめたい・・・我慢・・できない・・・)
番司は思わず果歩を抱きしめてしまいました
「ちょっ何すんの!この!離しなさい!このパンツマン!」ポコポコと番司の頭を叩きます
叩かれて正気に戻った番司は果歩の両肩に手を置き語ります
「聞いてくれ、どうやら俺はお前に・・・工具楽果歩に・・・惚れちまったみてぇだ。お前が・・・好きだ」
突然な番司の告白に果歩は最初キョトンとして次にアワアワとしだしました
「あ、あんた絶対変な物食べたでしょ!あ、頭おかしいんじゃないの!」いや、だからあなたが[以下略]
「違う、今までの俺がおかしかったんだ。お前をぜんぜん見てなかったんだ。今日はっきり分ったよ」
真剣な眼差しで果歩を見つめます
「冗談にも程があるわよ!ふざけてるのなら「冗談でもねぇし、ふざけてもねぇよ!」
番司は果歩を抱きしめ語ります
「俺が好きなのは・・・愛してるのはお前だ、果歩。愛してる、好きだ・・・付き合ってほしい」
番司は思いを込めて力強く抱きしめます
「な、なんで私なの・・・急に言われても困るよ・・・信じられないよ・・・」
「俺だってワカンネェよ!けどお前しか考えられねぇんだ!お前しか見えねぇんだ!お前が・・・好きなんだ!」
抱きあったまま数分が過ぎました
「・・・浮気・・・許さないからね・・・絶対だからね」
「えっ・・・てことは・・・」
「そう、OKよ。こんな情熱的な告白受けたらOKするしかないでしょ?」
ニッコリと微笑みながら番司に顔を近づけます
「こんな可愛い彼女なんだから大事にしなさいよ」
「あたりまえだろ?俺の最初で最後の女だぞ」
「絶対だよ・・・もう一度・・・言って・・・」
「ああ、何度でも言うぜ。愛してる果歩。お前が好きだ・・・お前が最初で最後の女だ・・・」
「番司・・・」「果歩・・・」
2人の顔が近づいていきは2人は初めてのキスを交わしました・・・・覗かれてるとも知らずに・・・
(番司・・・果歩をよろしく頼むぞ(涙)・・・)
(うわっ果歩さんキスまでして・・・私もいつかは・・・社長と・・・)
隣の我聞を見つめる國生さん・・・しかし我聞は果歩の幸せを祈り泣きじゃくりです
(はぁ、私は前途多難、だな・・・優さんに惚れ薬でも作ってもらおうかな・・・)
その頃会社では・・・
「ところで優君、惚れ薬というのはどのぐらいの期間持つんじゃ?」
「あ〜マウスで2週間ぐらいだから人だと飲む量にも変わりますけど一粒3日ぐらいかな?」
この日から数年後、この日、工具楽邸にいた男女で3組のカップルが誕生してました
それぞれのカップルに色んな波乱がありましたがすべて乗り越え幸せに暮らしたそうです
ただ湧次郎は相方に「ロリコン野郎」と言われ続けたそうです
終わり