【今までのあらすじ(例によって嘘)】  
 いろいろあって両腕を怪我。入院する羽目になった我聞。  
 とりあえず果歩が身の回りの世話をすることになったが、家のこともあるので  
てんてこまい。入院準備をようやく終わらせた時、陽菜がとある提案をしたのだった。  
【今までのあらすじ(例によって嘘)おしまい】  
 
 
 果歩と陽菜は連れ立って我聞の病室を出た。両腕の怪我。生命に関わるものでは  
ないし、直ってしまえば後遺症の可能性もないという。ホッとした二人は並んで  
エレベーターへと歩いていた。しかし、怪我自体は命に関わるものではないとはいえ、  
両腕が動かせないともなれば、看護者への負担は大きい。もちろん看護師もついては  
いるが…  
 
「果歩さん。」  
陽菜の目に何かを決心したような光が宿っていた。  
「差し出がましいのですが、私も看病を手伝わせていただきませんか?」  
「え?それはお気持ちは嬉しいですけど…でも陽菜さんもお仕事とかあるんじゃ…」  
「いえ、社長のお世話は秘書の仕事でもありますし。社長が退院するまでは、  
 本業も入れられませんから、仕事も比較的暇です。それに、社長にも果歩さんにも  
 いつもお世話になっていますし。果歩さんのほうがずっと忙しいでしょう?」  
 なんのかのと理屈はつけているが、経理を兼ねる陽菜だ。暇なわけはない。  
陽菜の提案には果歩への深い思いやりが感じられた。  
(じーーーん…あぁ…なんていい人なんだろう…やっぱり嫁に…ん!?…)  
 
   キュビーン!!!(ニュータ●プのあれ)  
 
「…それじゃぁ、申し訳ないですが、うちの馬鹿兄の面倒を見てやっていただけます  
 か?」  
「はい!よろこんで。」  
「それで、陽菜さん。もしよろしければなんですが、看病の間、うちに泊まられては  
 どうでしょう?一人暮らしだと、看病で時間を取られて大変だと思いますから。」  
「え?しかしそれは…ご迷惑では」  
「迷惑だなんてことありませんよ。それにこれくらいさせていただいた方が…」  
 罠の奥へ奥へと誘い込もうとする果歩。その様子に陽菜も感じるところがある。  
(なんだかんだいっても社長がいなくて果歩さんも心細いのかも…年長者としてここ  
 は私が支えないと!)  
…素直な娘であった。  
「…わかりました。ご迷惑でないのなら、お邪魔させていただきます。」  
 こうして…罠は仕掛けられたのである。  
 
 
日付変わって入院2日目。晩御飯時の我聞の病室。  
こんこん  
ノックの音と共に、開いていたドアから制服姿の陽菜が入ってきた。  
「社長。晩ご飯のお時間です。」  
「な!?こ、國生さん?果歩はどうしたんだ???」  
「果歩さんは家事などもあって忙しいので、私もお手伝いさせていただきたいと  
 提案しました。ふつつかですがよろしくお願いします。」  
「い、いやしかし、國生さんにそんなことをさせては…」  
「…私ではやはり、だめでしょうか。…やはり、ご家族の方に…」  
        キーワード『家族』  
「なにいってるんだ。國生さんもうちの家族みたいなもんだといったじゃないか!  
 國生さんには悪いけど、看病お願いするよ。」  
「はいっ!それでは。」  
 満面の笑顔で答えた陽菜は、我聞の脇のテーブルに夕食の載ったお盆をおいて、  
バッグを抱えて部屋の隅の衝立の陰に行く。  
「…?國生さん?何を?」  
「あ、すみません。少し着替えさせてください。」  
「お?おぉ…」  
 
    ごそごそ…ぱさ…ごそ…ぷちぷちっ…ごそごそ  
 
 微妙に薄い布製の衝立は、部屋の西側の窓近辺に置いてある。強い西日を背景に、  
制服を脱いでいく陽菜のシルエットが我聞のベッドから見えた。  
(おぉ!?おおおおおっ!!?)   
          じぃぃぃーふぁさっ  
 ファスナーをおろす音の後に、スカートから片足ずつ足を抜く陽菜のシルエットを  
食い入るように見つめていた我聞はふと我に返った。  
(い、いや、社長としてこんな破廉恥な!)  
と思いつつも目が離れない思春期の健康な男子高校生である。  
 
「すみません。着慣れないものですからお待たせしました。」  
「こ、コクショウサン?!」  
声が裏返る。それも無理はない。陽菜が着ていたのは  
 
ナース服(白。ちょっとミニっぽい)だったのだ!!  
 
「こ、コクショウサンその格好は…」  
「あ、はい、果歩さんから工具楽家では入院患者が出ると必ず付き添いはこの格好と  
 お聞きしましたので…」  
「そ、そうなのか?(俺は聞いたことがないが…)」  
別に後ろめたいこともないのに後ろの方は小声になる。  
「そ、それで、この格好で病院内を歩くわけには行かないのでここで着替えさせて  
 いただきました。申し訳ありません。」  
 ナース服が恥ずかしいのか、陽菜の顔は真っ赤だ。ここで着替え中のシルエットが  
見えていたことなどをいえば、なおさら陽菜に恥をかかせることになる。  
(くっ、そんなことはいえない。社長として!これ以上秘書に恥をかかせるようなこと  
 はできん!)  
(あ…社長…怒ってる?…やっぱり…)  
「あ、あの…似合わない…でしょうか…」  
「!!?い、いやそんなことはない!」  
「似合わないのでしたら…、はっきりおっしゃっていただければ」  
「いや、本当に。似合ってるよ。まさに白衣の天使というか…」  
          にぱっ  
 
 我聞の素の笑顔。見ている陽菜のほうが照れてしまう。  
「そ、そうでしょうか、す、すこしサイズが小さいみたいですけど…」  
「関係ないさ!きているのが陽菜さんならなんだって似合う!」  
 力いっぱい言ってから照れる我聞。  
しばし顔を夕日よりも赤くした二人がうつむいて向き合ったまま時間が過ぎていった。  
 
「あ…あ、あの、ご飯にしますね?」  
「お、おう、頼む」  
    くるりっ  
と。気を取り直した陽菜が振り向いた瞬間。  
「ぶっ!」  
「?どうかなさいましたか?社長?」  
「い、いや、なんでもないよ。」  
 なんでもなくはない。振り向いた陽菜の白衣の背中とお尻の部分は、薄い生地を  
通して、下着の筋がくっきりと見え、あまつさえ、ブルーの下着の生地が透けて  
見えていたのだ。  
(くっ…こ、國生さんにこれ以上恥をかかせるわけにはっ……そうか…青なんだ…  
 いや、いかん!俺は一体何を!!)  
 
 人知れず心の葛藤をしている間に、食事の用意が出来たのか、ナース姿の陽菜が  
お盆を持ってくる。  
「では、社長。口を開けてください。」  
「い、いや、自分で食べられるからいいよ。」  
「…その両手でですか?」  
 二人の視線が包帯でグルグル巻き&ギブスで固められた我聞の両手に注がれる。  
「…お願いします。」  
「はいっ!なにから食べたいですか?社長?」  
「え、えーと、じゃぁスープを…」  
 照れがちな我聞に対して陽菜はやる気満々。スープの皿をもってスプーンですくう。  
     かちゃかちゃ  
「はい。あーん?」  
「あ、あーん…あちっ」  
「あ!も、申し訳ありません。」  
「い、いや、大丈夫だ。社長たるもの…」  
「…そこに社長は関係ないと思いますが?」  
 ふっとほほえんで、スプーンを自分の口元に持っていく。  
「ふー…ふー…」  
ナース姿の陽菜は口をすぼめて、スプーンのスープを冷やすと、  
「はい、あーん?あっ!」  
 スープを持ったままで陽菜がぐらつく。スープ皿を持ったままなので、体を支える  
すべもない。  
 とっさに我聞がギブスをした手で陽菜を抱きとめる。  
       むににゅっ  
ささやかな感触。  
「あっ!」  
「やぁっ!」  
(む、胸を触られ…で、でもわざとじゃないし)  
「す、すまん國生さん!!」  
「い、いえ、あ、お怪我はありませんか?社長。」  
 倒れつつも、スープ皿を保持した状態で、ナースキャップをつけた陽菜が上を  
向いて確認する。  
「お、おお、なんともない」  
 ふっと、自分の足元の方を見やると、そこにはぴちぴちのナース服のスカート部分  
に包まれた陽菜のお尻(withブルー)  
「コ、コクショウサンコソダイジョウブカ?」  
「…声、裏返ってますよ?社長。」  
 
 お互いに怪我がないのを確認した陽菜はそのままずずぃと我聞に近寄る。  
「な、なにかな國生さん?」  
「いえ、さっきは遠くて失敗しましたので…」  
 我聞の胸に肩があたりそうな近距離で、しきりなおし。  
「はい、あーーん?」  
「あ、あーーん…」  
         ぱく。ごくん。  
「おいしいですか?」  
「あ、あぁ…」  
(國生さん…いい匂いだな…シャンプーの匂いか?)  
「あーん?」  
「あーん」  
二人きりの夕食はつつがなく進んでいったのだった…  
 
数刻たって、工具楽邸。  
ガラガラガラ…  
「おじゃまします。」  
「あ、陽菜さん!やだなぁ…ただいまって言ってくださいよ!」  
「え、え、あ、えーと……た、だいま。」  
「お帰りなさい」  
満面の笑みで答える果歩。  
(あぁ…いいな…こういうの…)  
 しみじみと感じる陽菜はこれがなし崩しのうちに嫁にしてしまう果歩の罠など  
とは想像もつかない。  
「あの、陽菜さん。兄はどうでした?」  
「ええ、元気そうでした。ご飯も一杯食べられて。」  
「…それだけ?」  
「?それだけですが…なにか?」  
「あぁ、いいえ、なんでもないんでございますことよおほほほほほ…あ、お茶入れ  
 ますわね〜」  
「??」  
異様に軽やかに台所に去って行く果歩を、見送る陽菜だった…  
 
『こちらデルタ2。どうやら進展ない模様』  
「えぇ、こちらでモニターした範囲でもそんな感じ」  
『くぅ〜…陽菜さんナースコスプレ&生着替えが効かないと言うのか!』  
「衝立の位置を我聞くんに悟られないように移すの結構手間だったのにねぇ…」  
『わざわざ薄い布地のミニスカナース服を探すのも、結構大変だったのに!』  
「やっぱりピンクだったかなぁ」  
『でもそれだといまいち下着が透けにくいし…』  
「ま、ともかく次の作戦ね」  
『よろしく〜。こちらも次の手を打ちます』  
 
…例によって陰謀の夜はふけていく…  
 

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