「お、おい、やめとけって」  
「い や よ。こういうことは最初にはっきり言っておかないと。」  
「…何のこと(だい)?」  
ここは九州、静馬邸。  
 眉をしかめる静馬の先代と当代を前に、もめる番司と果歩。  
 
「実は私たち。」  
「お、おい待てって!」  
「お付き合いさせて頂いてます!」  
 
『…』  
(あちゃぁ…言っちまいやがった…)  
 
「…果歩…あんた本気かい?」  
「…果歩ちゃん…あなた正気?」  
 
「そこまで言うこたねえだろ肉親。」  
 
「本気ですし正気です。一応。」  
二人のプレッシャーにも負けず真っ向から見据える果歩。  
 
「ふ。どうやら錯乱しているわけでもないらしいね」  
納得するさなえの横で  
「番司…あんた…」  
ゆらぁっと立ち上がるかなえ。  
「よそのお嬢さんになにしたの?きっちり話なさい」  
その手には既に水糸が編まれている。  
 
「ちょ、ちょっと待ったアネキ!俺はまだなにも…いや、手くらいは握った  
 けど」  
「キスもしたわよね。」  
「ちょ、果歩!!てめぇ!どっちの味方だ!」  
「あと、あんなことやこんなことも…痛かったな…初めてだったのに…」  
何もない遠くを見つめて語りに入る果歩。  
 
「な、な、な…」  
わなわなと震える姉に番司は死を覚悟する。  
(短い…人生だった…)  
「なんばしょっとかこんばかたれがぁぁぁ!」  
 
 
「で、果歩。あんたなにされたんだい?あの馬鹿たれに。」  
「まぁ、き、キスはともかくとして。あとは格闘技の練習つけてもらいました。  
初めてなのにあの馬鹿、手加減がなくって…」  
「なるほどねぇ。あぁ、お茶のお代わり飲むかい?」  
「すみません、いただきます。」  
とぽとぽとぽとぽ…  
『ずずずずずずっ』  
 姉弟の死闘の横、(死闘の余波はさなえがさりげなく防いでいる)和やかな  
雰囲気が漂っていた。  
 
10分ほど後  
「じ、自分が処女だからってぎゃふ…」  
 止めを刺された番司の上に正座したかなえが、果歩に正対する。  
「ま、冗談はともかく。」  
「…冗談なんですか。今の。」  
「番司と、そ、その、お付き合いをするということであれば、見せて  
おかなければならないものがあります。果歩さん、よろしいですね」  
「は、はい」  
 目が完全マヂなかなえ。ちょっとだけ足ががくがく震えながらも果歩は  
しっかりとその目を見返し、答えた。  
 
 30分ほど後。番司が目を覚ました。  
「…くっ…うぅ…ここ…は……そうだ!果歩!たしか姉ちゃんに連れられて!!」  
 
 水糸で手足を拘束され、足のつかない高さの三角木馬に乗せられ、水刃でずたずたに服を切り裂かれる果歩。さらに水糸が触手のように透き通った肌を容赦なく嬲る…  
 横で高笑いする二人の鬼。  
 
 番司の脳裏を、そんな光景が横切る。  
「…そ、そんなことは!」  
 
「させん!!果歩!!!無事かっ!!」  
 愛の怒りに燃えて次の間に飛び込んだ番司を待っていたのは…  
 
「?何よパンツマン。」  
「あら、あんたやっと起きたの?」  
「未熟だねぇ…」  
 
3人の女どもの冷たい視線だった。  
 
「…なんだ…仲いいじゃねえか」  
「今、番司のアルバム見せてもらってるのー」  
「これねーなつかしいわー。私の修行に付き合ってた小5の番司がおしっこ漏らしたところねー」  
「だあああああああああ!!!!」  
「こっちは小3の頃おねしょをした布団を干しているところだねぇ…この子はいつまでもおねしょの癖が抜けなくて」  
「へぇぇ…」  
「うわぁぁぁーーーーやめろーーーやめてくれーーーーー」  
「あぁ…この写真。小4のときに初恋の相手の同級生のゆきちゃんにこっぴどく振られて  
泣いて帰ってきたときの写真ねー。」  
「なんでそんな写真撮ってあるんだぁぁぁ!!!」  
 
『番司!!』  
「は、はいっ」  
祖母と姉のきつい視線に錯乱状態の番司が正気に戻る。  
「あたしたちはねぇ。何も嫌がらせでこんなことをしようってんじゃない。」  
「そうよ。17年間、彼女はおろか女友達の一人もつくれなかったあんたと  
付き合ってくれるという奇特な女の子に、あんたの真の姿を知った上で、  
末永いお付き合いをお願いしたいという肉親の情よ。」  
「…ばぁちゃん…アネキ…」  
 
「と、いうことで」  
「果歩ちゃん次、どれみたい?」  
「えっとぉ…あ、あの鎖で巻いてあるファイルは何ですか?」  
「あぁ、あれかい。ありゃぁ番司の人様には見せられない点数の通信簿  
やらテストやらさ。」  
「でも、相手が果歩ちゃんだし、この際全部見てもらいましょう。」  
 
「たのむぅぅぅぅぅ!!!!やめてくれええええええええええ!!!!」  
血の涙を流してもだえる番司であった…  
 

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