【新幹線ジャック再びですよ】  
前回までのあらすじ(嘘)  
 
 いろいろあってテロ犯によりジャックされる自動走行システム搭載の新幹線。  
 暴走する新幹線を止めるためには犯人の持つコントローラーを破壊した上で、コンピューター  
をハッキングする必要がある。新幹線の窓は全席、カーテンを下ろされていたが、車掌からの  
無線連絡で、犯人は6両編成の6両目最後尾の車両に貧相な男が1名であることを確認している。  
 
 これに対する作戦は、工具楽屋トレーラーが線路上を並走。外部との連絡を断つため、  
携帯電話及び無線に対しジャミングをかけてから、後方運転席から我聞、前方運転席から  
陽菜がそれぞれ突入。後方で我聞が特殊閃光音響手榴弾を用いて犯人及び乗客を無力化。  
窓のカーテンを開け、トレーラーに手旗信号を送るのを合図にジャミング解除、その後に  
陽菜がハッキング。本来ハッキングは優がやるべきではあるが、優を突入させると無駄弾  
で経費がかかるので、今回はバックアップ要員としてお留守番。  
 
 だが。犯人は1人ではなく複数だった。  
最初のうちおとなしく座っていた犯人に車掌は気づかなかったのだ。先頭車両で暴れだす  
犯人と車内のドア一枚を隔てて運転席に潜む陽菜。無線も通じない状況で果たして  
どうする!陽菜!!  
 
以上あらすじ。  
 
(無線は…通じないか…)  
 それは即ち、我聞が後方の犯人を制圧できていないことを意味する。遅い。遅すぎる。  
(向こうでも何かあったと考えるべきですね。)  
 以前の似たような仕事の時と違い、今回は陽菜の体調も万全。運転席と客室をしきる  
ドアの窓から犯人の挙動を見る限りは、おそらくその辺のチンピラレベルだろう。  
そいつ一人ならば陽菜一人で十分対応することができる。しかし。  
(…今の段階で私が犯人を取り押さえることは難しいですね…)  
 犯人はナイフを所持している。陽菜が犯人に駆け寄り、引っくり返すまでに恐らく犯人は  
人質をとってしまうだろう。  
 そうなれば八方塞がり。最終駅までまだ時間がある以上、動くのはまだ早い。  
 後ろからくる我聞が後方ドアから突入してくるのに呼応して陽菜も突入。  
これが最も成算が高い。それまでは我慢の一手だ。  
 
(信じています。社長。)  
 目を閉じて、運転席の壁に身体を寄せ、つぶやく。  
(今できるのは…情報収集だけか…)  
 ドアの窓から顔を見られるわけには行かない。窓の端にCCDカメラを設置、手元の携帯の  
画面でモニターすると共に、集音機を壁に設置。イヤホンで盗み聞きを開始する。  
 
『やぁぁぁ!!』  
『へへへへへ…意外にいい胸してんじゃねぇか?』  
 
 本来はテスト機材でも置くのだろう。運転席ドア後ろが広くスペースを取ってある。  
 そこに犯人は、恐らくは陽菜と同じくらいだろう若い女性をひきずリ出し胸をむりやり  
揉んでいる。  
(なっ!!!)  
 びりびりびりっ  
『いやああああああ!』  
 携帯の画面の中で、女性のブラウスが引き裂かれ、ブラも上にたくし上げられ、  
胸があらわになった。  
 あらわになった胸を更にもみしだき、舐め、吸う男。  
 
(こんなっ…)  
 同性が辱められている現場を見て、思わず飛びたしたくなるが、理性的な判断が優先  
される。  
 
(今…私が出て行っても…どうしようも…)  
思い直して唇をかみ締める。  
ドアの向うにいる彼女はどれだけつらいだろう。知らない男に…あんな…  
 合理的な判断であるのはわかっている。しかし、自分がここで我聞を待っていることが  
果たして正しいのか…  
 
 どたんっ  
(?!)  
 
 何かが転倒した音にいつしか目をそらしていた携帯の画面に注意を向ける。  
 画面内では女性が床に押し倒された所だった。足を突っ張って抵抗しようとするが、  
あえなく足を広げられ、下着を切り裂かれ、下半身をあらわにされる。  
『おぉ?濡れてんじゃねえのか?』  
『い、いやぁ、ちがう!』  
『そうか、んじゃこのねとねとはなんだろうなぁ?おっと。動くと使い物にならなくなんぜぇ?』  
 ここからでは女の下半身は見えない。それはそうだ。男は他の乗客から見えるように  
わざわざそちらに向けているからだ。しかしよく見えないながら、男が右手のナイフで女の  
秘部を嬲っているのが動きでわかる。  
 
(あんなところをナイフで…!しかもみんなに見せながらなんて…何てひどい!)  
だが、まだ動けない。動くわけには行かない。  
 
(私がもし…あんなことをされたら…)  
被害者の身になって考えて唇を悔しさにかみしめる。  
 
(私の…胸をムリヤリ見られて…)  
 画面の中の周囲から集まる視線。同情のこもったものもあるが、乗客のほとんどを占める  
男性からのねっとりと嘗め回すようなものが多い。脂ぎった中年の親父が今にもむしゃぶり  
つきそうな視線で見ているのがここからでもわかる。  
 
(私の…あ、そこを…見られて…)  
 実際に見られているのは扉ひとつむこうの女。しかし、画面の中の乗客に自分が見られて  
いるような錯覚。  
 
(ナイフが…あそこに…)  
 冷たく、薄い刃が当てられることを想像する。画面の中で上下動するナイフに、思わず自分の  
指がシンクロする。  
 意識せず、陽菜は自分の胸と股間をスーツの上から触っていた。客室の視線から自分の  
体を隠すように…  
 
(ん…やだ…)  
自分の体が熱くなってきたことを感じ始めたとき、聞こえてきた叫び声に又、画面に意識を  
戻される。  
 
『いやぁっぁぁぁぁぁぁぁ』  
『おぉっ!処女かと思ってたけど、だいぶこなれてんじゃん!締まりもいいぜぇ〜』  
 
(!!)  
 ついに。挿入されてしまった。乗客の好奇の目に晒されたままで。おそらく結合部は  
乗客から丸見えだろう。  
目の前で行われる陵辱。それを見過ごしてしまう結果となった。  
 そんな自責の念とは別に、目の前で行われる性行為に体がうずく。  
 
(あんなに…あんなにおおきいんだ…んっ…)  
 幼い頃父親のモノを見て以来、男性の局部など見たことがない。まして、実際に性行為を  
行っていることを見たことなどない。  
 陽菜の目は、女性にたたきつけるように動く男の腰にくぎ付けになった。  
 
(みんな…ああなのかな)  
 自分の意識の外で動く指の刺激。それは執拗にスラックスの縫い目、そしてその下の  
割れ目をなぞる。  
『んっ!やぁ!いやぁぁぁ…見ないでぇ…はぁ…』  
 画面の女の声がだんだんと嫌悪から、快感の混じったものへ移り変わる。  
その声を聞きながら、陽菜の身体も熱くなる。  
 
 股間に指を立てるように、ぐりぐりと押し付ける。  
(はぁ、うんっ、やぁ…そこ…だめ…)  
 特に感じる一点に押し付けたかと思うと、次の瞬間には割れ目の中に指をおしこむ。  
(はんっ…んぁ…しゃちょう…もっと…)  
 
 身近な男性が、自分の中に入ってくるイメージ。  
もう、陽菜の目は画面を見ていない。  
 犯される女性が自分。それを犯す男が我聞。そんな倒錯したイメージのまま、一心に胸と  
股間をいじりつづける。  
 
(はんっ…んっ…しゃちょうが…はいって…かき回して…)  
 運転室に自分の匂いが濃くなっているのを感じる。加速してしまった指は止まらない。  
 
「はっ…はっ…」  
 
 息が荒い。快感にずり落ちそうな身体を、客席との間の壁に押し付けて支える。  
 声が出てしまいそうな唇に右手を持っていく。  
 
(私ったらこんな時に…でも気持ちいい…)  
「あっ…んっ」  
 
 口に当てて声を抑えるつもりの指を、陽菜の口がくわえ込み、ナメしゃぶる。  
その間も左手はスラックスの縫い目を上下し続ける。  
 
(どうしよう…もう…ダメ…イク…イっちゃう…)  
 
 快感の絶頂に向けて、股間に当てた左手の動きが速く、力強く…  
 
「あんっ」  
 
陽菜の目の前が白く…まさにイク直前。  
 
はっ!  
 
ふと、人の気配に気がつき振り返る。  
 
「…」  
 
 そこには立ち尽くす安全帽。  
目が点。  
 
「…」  
 
 それを見て陽菜も立ち尽くす。目が点。  
先ほどまでの快感の余韻が身体に残っている。呼吸が荒い。顔が熱を持っている。とろんとした目で見つめる先には、唖然としている我聞の顔。  
 
(しゃちょう……社長?!!)  
「國生さん!!」  
「はひっ!?」  
(…まさか…見られていた…)  
自慰の余韻で顔に上る血が、同時にさぁ…っと引いていく。  
 
「國生さんしっかりしろ!だいじょうぶか!?」  
「…え?」  
 
 さすがというべきかなんというべきか。我聞は、車両後方に二人潜んでいた犯人グループ  
を、バックアップで突入してきた優(デンドロビウム状態)の援護を得て無力化。  
その後、犯人グループの人数を聞き出し、先頭車両にまっしぐら。  
 ズボンを出して丸出しの犯人(3人目)を殴り倒し、その拘束と女性の保護を優(ステイメン状態)  
に任せ運転席までやってきたのだ。  
 
もちろん。まさか陽菜が自慰中などと考えても見ない。だって我聞だし。  
 
ぴとっ  
 我聞の手が、陽菜の額に当てられる。  
「んっ…」  
 快感がまだたゆっている身体に男の手が当たって、反応する陽菜。  
(しゃちょうのて…あったかくてきもちい…)  
 
「すごい熱じゃないか、大変だ!」  
 すっと、陽菜の額をなぞった我聞の右手が、そのまま頭を撫でるように掠め、うなじを  
とおり、背中に向かい、背中をなぞって腕の下に回る。  
「ふぁ…」  
(あ…胸に…あたってる…)  
 我聞には全く他意はないのだが、まだ快感のうちにある体はしっかりと反応する。  
 
「今、運ぶから。もう大丈夫だ。」  
 我聞の左手が陽菜のお尻から太腿のあたりに当てられ、急に持ち上げられた。  
 もちろん、ただお姫様抱っこされただけなのだが、今、陽菜の身体はイキかけていたところ  
にいきなりお尻を愛撫されたようなものだ。  
 
「え?やぁっ…んっ…」  
 ぐずるように身体を揺らしたのがよくなかった。  
「お?っと。」  
 バランスを崩した我聞の左手が、陽菜の右足を掴み損ね、  
 
むぎゅっ  
 
 もろに陽菜の股間を思い切り持ち上げる。  
 
「んぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!!!」  
 ビクビクッ  
「な!?國生さん大丈夫かっ!?」  
 
 ご丁寧にぐぃっと陽菜を支え直す我聞。これがトドめとなった。  
「あ…ふ…はぁ…しゃ…ちょ…ん…」  
 完全にイってしまった陽菜…もはや身じろぎもしない。  
 
「國生さん!國生さん!?…息も荒い…これは重傷だ…待ってろ國生さん!傷は浅いぞ!!」  
 
 イった余韻で全身の力が抜け、くたぁっとなった陽菜を抱えなおし、トレーラーへと急ぎ戻るのであった…  
 
………  
「…えーと。ハッキング用ディスク。はるるんが持ってるんだけど…新幹線はどうするんだろうねあっはっは…」  
 
 

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