陽菜が布団の中でうずくまってからしばらくして・・・
さっきまで色んな問題があったハズだったが、それでもこうして床を並べると、
やはり “そういう気分”にならずにいられない我聞であったが――――――
流石に陽菜の様子からして、今日はおとなしく寝るしかないか、と思い直していた。
(まあ・・・國生さんってあのときの声、結構大きかったしな・・・果歩に聞かれたりしたら洒落にならんし・・・)
面と向かって言ったらひっくり返されるか凍らされること間違いなしなことをこっそりと思いつつ、
脱力して緊張をほぐすと、改めて布団へ身体を預けるように沈み込む。
陽菜は相変わらず布団を被ったままで寝息の聞こえようも無いが、
ピクリと動く気配もなく、もう寝たか、もしくは眠りにつこうとしているのだろうとぼんやり考えていた。
だが、寝る前に衝撃的なことが続いたせいか、普段ならとっくに眠っている時間なのにも関わらず、
なかなか眠気が訪れない。
仕方なく、寝返りをうつと陽菜の方を向き、布団を被ったままの彼女をなんとなく眺めていた。
それからしばらく経って・・・
「社長、起きてますか・・・?」
「ん? ああ・・・國生さん、起きてたんだ」
陽菜は布団を被ったまま、くぐもった声で話し掛けてきた。
「はい・・・あの、社長・・・」
「どうした、眠れない?」
「いえ、あの・・・」
しばし沈黙。
我聞も何も言わず、続きを待つ。
「あの・・・さっきは、すみませんでした・・・」
「・・・へ、さっき、って?」
「わたし、すごく感情的になっちゃって・・・どんどん抑えが効かなくなって・・・
社長に怒鳴りつけるみたいになっちゃって・・・」
「ああ、なんだ、そんなこと気にしてたのか、大丈夫、全然気にしちゃいないさ。
だって、國生さんは何も間違ったこと言ってないんだから」
「でも・・・」
「それに、これは國生さんが俺に言ったはずだぞ・・・二人のときは社長も社員も、秘書もないって。
俺と國生さんの間に、そんな遠慮、要らないはずだろ?
何も気にしなくていいよ・・・俺は感謝してるくらいだからね・・・
俺一人じゃ気付けなくて、間違った方向に突っ走ろうとしちゃうところを、
君は正してくれるんだ・・・さっきみたいに、ね
だからさ、これからも、よろしく頼むよ」
「・・・・・・・・・はい・・・・・・」
またしても沈黙した動く気配のない布団の山を、我聞は温かい眼差しで見つめていた。
さて、また眠る努力をしようか―――と我聞が思い始めた頃に。
「あの、社長、また、いいですか・・・?」
「ん、ああ、俺もなんか眠くならなくてさ、全然平気だけど、どうした?」
「あの・・・ええと・・・その・・・」
今度も我聞は何も言わずに続きを待つ。
「・・・そっちへ行って、いいですか・・・?」
「!・・・・・・」
その言葉に、我聞の鼓動は加速する。
不意打ちだった。
だが、不意打ちであろうとなんだろうと、断る理由などありえない。
「え・・・あ、ああ・・・・・・いいよ・・・おいで」
「・・・はい」
今までまったく動かなかった布団の山がもぞもぞと動きだす。
陽菜は布団から這い出すとそのまま我聞の方へと擦り寄ってくる。
我聞は心持ち後退して、布団の端を持ち上げて陽菜を招きいれる。
「・・・おじゃまします・・・」
灯りは消えているので、部屋は真っ暗で寄り添っても互いの表情はわからないが、
どちらも同じくらいに赤かったに違いない。
その顔を隠したいのか、陽菜は顔を布団に埋めてしまう。
我聞の顔は布団から出ているので、自然と目の前に我聞の胸がくる形になり、そこにそのまま顔を埋める。
そこからは我聞の鼓動がはっきりと伝わってきた。
「社長・・・すごく・・・ドキドキしてる・・・」
「あ、ああ」
男として出来れば余裕を見せたいところだったが、いきなり看破されてしまいちょっと恥ずかしい。
だが、
「でも、私はもっと、ドキドキしてます・・・・・・ほら・・・」
そう言って、布団の中の我聞の手を取ると、それを自分の胸におずおずと押し付ける。
陽菜の薄いふくらみよりやや上、そこから陽菜の鼓動と体温、そしてかすかに触れる胸の感触が伝わってくる。
「こ、國生さん!? ・・・・・・・・・ほんとだ・・・・・・すごく・・・でも、温かい・・・」
「は、恥ずかしかったんですからね・・・言うの・・・
今度は、その・・・社長の方から・・・誘って、くださいね・・・?」
早鐘のように鼓動を刻む胸と、恥ずかしさで消え入りそうな声で、
陽菜がどれだけ勇気を振り絞ってそれを言ったのかがよくわかる。
だが、そんなことよりも・・・
「わかったよ・・・悪かったね、恥ずかしい思いをさせて・・・・・・じゃあ、早速、今から・・・」
「え・・・ひゃ!」
手が陽菜の胸の麓にかすかに触れる“だけ”の状態に耐えかねて、陽菜の手を解くと、
その胸をぎゅ、っと掴む様に揉みほぐす。
反対側の手も、同じく反対側の胸へとあてがい、やや強めに揉みしだく。
「や、やぁ・・・ひぁ、そんなっ・・・いきなりっ・・・ゃあぁ・・・」
「・・・嫌だった?」
「ゃ・・・あ・・・あの・・・いや、じゃ・・・ない、です・・・けど・・・でも・・・」
「ふふ・・・まだドキドキしてるね、こうして胸の上から触っていてもわかるよ・・・」
「ぅ・・・ど、どうせ、ぁ・・・ぅ、薄いです、よ・・・」
「い、いや、そういうつもりじゃ・・・って、やっぱり気にしてるんだ?」
「そ、そ、そんなこと、ないです・・・っ
・・・しゃちょうも・・・ぁ・・・あの・・・このまえっ・・・好きって・・・言ってくれましたし・・・」
「そうだね、國生さんの胸って、触り心地がよくて、揉み心地もよくて、可愛くて、敏感で・・・
大好きだよ・・・」
「ひぁっ! や・・・うぁぁ、は、恥ずかしいこと、言わないでくださいっ!
・・・でも・・・ちょ・・・ちょっとだけ、うれしい、です、が・・・・・・あっ・・・」
そんな陽菜の物言いが可愛くて溜まらず、思わず布団から陽菜をなかば引きずり出すと、その唇を奪う。
「わっ! ちょ、しゃちょむぐっ・・・・・・!」
驚きで開いていた口を塞ぐと、躊躇無く舌を絡ませて、そのまま口腔内を思う様に蹂躙する。
絡めとった舌を吸い、歯茎の裏まで舌を這わせ、唾液を混ぜあって、それを呑みこませる。
服の上からの胸への愛撫よりも感じてしまうのか、陽菜の身体が震えだし、うめき声のトーンも高くなっていく。
それでも顔を離そうとはせず、むしろ甘い刺激に蕩けたように、どこまでも我聞の為すが侭にさせていた。
が、突如顔を背けようと、身体を離そうともがき出す。
なにか切迫したものを感じて我聞も陽菜を解放する。
「っはぁっ・・・ど、どうした國生さん?」
「ぷぁ・・・けほっ、はぁ、はぁ・・・す、すみません・・・あの、ズボン、じゃない、服・・・脱ぎたくて・・・」
「へ・・・あ・・・! ・・・なるほど、ね」
そこまで急ぐほどのこともなかろうかと思ったが、すぐに理由に思い当たり、ニッと笑って陽菜を見る。
できればはっきりとした理由を知られたくなかった陽菜だったが、
あっさりと見抜かれて恥ずかしさのあまり顔を背ける。
恥ずかしくて仕方ないのか我聞に背を向けると、陽菜は布団のなかで慌てたようにパジャマを脱ぎにかかる。
「そんな慌てて・・・果歩のパジャマを汚しちゃうくらいに濡れちゃった?」
「し・・・知りませんっ!」
「・・・じゃあ、確かめさせてもらおうかな」
「え! や、やだ、だめっ! ひ・・・やああっ!!」
背後から手を伸ばすと、下着の上から陽菜の秘所に触れる。
そこは既に “ぐちゅ”と水音がしそうなくらい湿っていた。
「思ったとおりだ・・・國生さんって、やっぱり感じやすくて、濡れやすいよね」
「そ、そんな、ことっ、うぁあ! しゃ、社長が、あんなっ・・・え、えっちなキス・・・するからぁ・・・」
「キスでこんなに感じちゃったんだ・・・可愛いなぁ、國生さん・・・もっと、苛めたくなっちゃうよ・・・」
「へ・・・や、あぁ・・・っ、そ、そんなこと、いわないでぇ・・・・・・!? ひあ!!」
“そこ”を弄る手を一旦離すと濡れた下着の奥へ指を滑り込ませ、秘裂の蜜を指で掻き出すように動かす。
「すごいよ、國生さんのここ・・・いくらでも湧き出してくる」
「ああっ! だっだめですっ! ちょ、ちょくせつさわっちゃ、いやあああ!」
我聞の愛撫に反応して、身体がびくびくと震えている。
我聞は空いた手で布団を自分と陽菜の頭の上まで引き上げると、その手で再び陽菜の胸を揉みしだき、
耳の後ろやうなじ、首筋へとキスの雨を降らせ、ねっとりと舌を這わせる。
その愛撫はどれもまだ粗く、痛さやくすぐったさが混じる未熟な、拙いものだったが、
それでも我聞に ”されている”と感じるだけでそんな些細な感覚は突き抜けて、
陽菜の身体の奥深くまで甘い刺激が刻み込まれていく。
「ぅく・・・ぁ・・・・・・っふぅ・・・ぅぁああ! は・・・あ・・・っ・・・ぅ、ぅぁ・・・あひっ!」
我聞が布団を引き上げた意図を読み取って、懸命に声を抑えようとするが、どうしても甲高い喘ぎが漏れてしまう。
我聞が指や舌での刺激に少し変化をつけてみたり、ちょっと強くしてみると、
陽菜の身体は敏感に察知して、大きく震えたり、仰け反ったり、抑えようとしている声が漏れたりする。
自分が陽菜の身体を支配しているかのような錯覚を覚えて、我聞は興奮せずにいられない。
「國生さん・・・本当に感じやすいね・・・ほら、もう、ここ、溢れて止まらないよ・・・」
「ぅぁ・・・ぁぁぁ・・・ゃ、いわないで、くださいぃ・・・、ぁぁあっ! はずかしくて・・・ぇ・・・
しゃちょお、わたし・・・っ、やだぁ・・・こんなっ・・・うぁ・・・はずかしい・・・」
「いつものクールな國生さんとは大違いだね・・・でも、嬉しいよ・・・
それだけ、俺のこと・・・感じてくれてるってことだから」
「そっ・・・んな・・・あ・・・ぁ・・・ほんと・・・ですか、わたしっ、こんな・・・ぁ・・・はしたなくて・・・
うぁあ・・・嫌いに、ならないで・・・・・・くれますか・・・」
「なんだ・・・そんなこと気にしてたんだ。
俺は、昼間の冷静で仕事ができてちょっと厳しい君も、今、俺の手で乱れて喘いでる君も、どっちも大好きだよ・・・
それに、昼間の君はみんな知ってるけど・・・今の君は、誰も知らない、俺だけの國生さんだから・・・」
「・・・しゃ・・・しゃちょうだけの、わたし・・・」
そのひとことが、甘い毒のように陽菜を侵していく。
こうやって・・・社長に抱かれて・・・弄られて・・・声をあげさせられて・・・
身も心も、全て我聞に委ね、支配され、思うさまに蹂躙される。
甘く、優しく、ときに粗く、強く・・・
(だめ・・・溶けちゃう・・・・・・でも、いい・・・溶けちゃって、いい・・・)
我聞の腕の中で自分を溶かして、与えられる快楽にただ酔い痴れるだけ。
我聞とは、お互いに支え合って、助け合って、一緒に歩いていきたい。
でも、今だけは・・・このときだけは、全部預けて、甘えたい、溺れたい・・・
(すみません、社長・・・さっき、背負われるだけは嫌って、言ったけど・・・
これの、このときはだけは・・・溺れさせてください・・・)
「っふぅぅ・・・ひぁ・・・ゃ・・・ぁぁ・・・しゃちょお・・・きもち・・・いいです・・・ぅ」
陽菜の反応が変わったのは、我聞にも明らかだった。
さっきまでの恥ずかしさを懸命に堪える様子が消え、与えられる快楽を抵抗無しに受け入れ、
そしてそのことを隠そうとしなくなった。
声を抑えることだけは続けていたが、合間に漏れる声は一層甘くかすれ、我聞に媚びるような響きさえあった。
そんな陽菜の痴態は、既に昂ぶっていた我聞から最後の余裕を奪う。
「國生さん・・・俺、もう・・・いいかな・・・」
「・・・え・・・? ぁ・・・! は、はい・・・きて・・・っ、ください・・・しゃちょうの・・・わたしの、なかに・・・」
答える陽菜の声が艶を帯びて、我聞の征服欲を嫌がおうにも昂ぶらせる。
一旦陽菜の身体を離すと、布団を出て手早く服を脱ぐ。
その間に陽菜も脱ぎかけのパジャマと下着を脱ぐと再度仰向けに寝そべり、我聞を待つ。
我聞が陽菜の足を開かせても、その膝を立てさせて秘所を無防備に晒しても、陽菜は抵抗しなかった。
その開かれた秘所の目の前に座ると、陽菜の曲げた足の、膝の下に足を通し、両手で陽菜を抱き起こす。
「ひゃ・・・ど、どうするんですか・・・」
自分は足を開き膝を立てて、我聞も足を開き正面から向かい合って座っている。
自分の秘所を我聞の目の前に晒すのはやはり恥ずかしかったが、
それよりも眼前の、いきり立った我聞のそれから、目を逸らすことができない。
(この前はよく見なかったけど・・・あんな形・・・してるんだ・・・あれが・・・私のなかを・・・)
暗くてシルエットしかわからないが、それでもその、不自然なまでにそびえ立ち反り返ったそれが、
どれだけ熱くて固いか、陽菜の身体は覚えている。
そして、それが自分を溶かしてしまうくらいに強烈な快楽を与えてくれることも・・・。
陽菜が想像に胸を高鳴らせ、秘所をより一層湿らせる間に、我聞は陽菜の腰を抱え、浮かせる。
「きゃ・・・!」
上体がぐらりと揺れて、思わず我聞の背に腕を回し、そのまましがみつく。
「そう・・・そのまま、そうしていて・・・この格好なら、國生さんのくち、塞いであげられるから・・・」
「え・・・?」
「じゃあ、いれるよ・・・」
「え、あ、このまま・・・!? っ! う、わ、あああああっ!」
抱えていた陽菜の腰を手前に引き寄せると、己の上に陽菜のそこが来るように位置を合わせ、
少しずつ腰を下ろしていく。
「く・・・ぅ・・・っ」
「あ! ああ! ふっ、ふかっ、うぁぁぁぁぁぁぁっ、しゃちょっ、これっ! ふかいっ、ふかいですぅっ!」
「・・・ふぅっ・・・國生さんのなか、やっぱり熱くて、キツくて・・・すごく、気持ちいいよ・・・」
「ひぁ・・・しゃ、しゃちょうのもっ・・・あぁ・・・おくに・・・あたってる・・・ぁぁ・・・きもちいいです・・・」
「痛くは、ない?」
「まだ、ちょっと・・・でも、へいき・・・きもち、よすぎて・・・っ・・・よくわからない・・・です・・・ぅ」
足を伸ばして座った我聞の腰に、陽菜が跨って腰を下ろし、互いに向かい合う対面座位で二人は今、結ばれた。
我聞のそれを身体の深くまで迎え入れ、その熱さと固さ、そして脈打つ感覚まで全てを感じ取って、
それだけで陽菜はもう昂ぶらずにはいられない。
しかも、その愛する相手は目の前にいて、こうしてすがり付いていられるのだから。
「國生さん・・・じゃあ、動くよ・・・ちょっと、乱暴になるかもしれないけど・・・」
「は、はい・・・きて・・・ください・・・」
早く溶けたい・・・早く溶かしてください・・・
陽菜の理性は、早くも蕩けはじめる。
すこし後ろに反らせた上体を両手で支えながら、足と腰だけを使って、我聞の身体にしがみつく陽菜を上下に揺さぶる。
「ぅあ! やっ! ひああ! は、はげしっ、うあああっ!」
「國生さんっ・・・声・・・っ」
「ぅぅっ! ぅあ・・・っはぁ・・・あ、あ、あああっ! だめ・・・こえっ・・・とまらない・・・だめぇ・・・!」
足と腰のバネで跨る陽菜を勢いよく突き上げて、少しだけ浮いた陽菜の身体が我聞の腰へと落ちてくるところを見計らい、
再び突き上げる。
ストロークこそ短いものの、我聞の筋力で繰り返し突き上げられると、
その度に結合部から、じゅぽっ、じゅぷっ、と、水音が上がり、陽菜の愛液が垂れ流される。
陽菜のそこから湧き出る蜜は我聞の腹の上で水溜りを作り、両脇腹へと滴り落ちてシーツを濡らしていく。
正常位の時より深く挿入された肉の楔を何度も何度も秘所の深奥へと打ちつけられて、
快感の喘ぎを抑えるなど、陽菜には無理な注文であった。
少しずつ、少しずつ、声が大きくなってくる。
「あ! あ! あああっ! ひっ! うぁ・・・ああ! や! だめ、しゃちょっ・・・もっ、こえ・・・っ
らめっ・・・おさえっ、ひぁあ! とまらなっ! ひゃああ!」
「・・・やっぱりダメか・・・じゃあ國生さん、口、塞ぐからね」
「うああぁ・・・ふぇ・・・くち・・・ふぁ・・・あ! やぁ・・・! どうやって・・・むぶ! んむ――――!!」
身体を支える腕の一本を陽菜の頭に回して押さえると、その開きっぱなしの口を自らの口で塞ぐ。
もちろん、ただ塞ぐだけではなく、陽菜の口腔内を存分に舐め回し、しゃぶり尽くし、混ぜ捏ねる。
「ん――――――っ! んむ! むぶっ! んむ――――――――!! っぷあっ、あ、ああ! あむぶっ!」
上の口を蹂躙され、下の口を突かれまくり、上下両方同時に犯される感覚は陽菜を滅茶苦茶に昂ぶらせ、
一気に絶頂近くまで押し上げる。
身体は制御を失ったように震え痙攣し、我聞に押さえられている頭も彼女の意思に関係なくガクガクと揺れる。
息苦しさも相まって口が離れることもあるが、すぐに我聞によって塞がれる。
極度の快楽が自律神経を狂わせたかと思うほどに汗を流し、涙を流し、口の端からはだらしなく涎をこぼす。
休むことなく腰を突き上げ、上体だけで乱れ狂う陽菜の身体を支え、そして執拗に口腔を弄る。
それだけのことを同時にしても、鍛えに鍛えた我聞の身体はまだ安定を失わない。
試しに身体を支えていた残りの腕を離してみても、腹筋だけで陽菜の身体を支えることができた。
ならば、その手を使わない手はない。
陽菜が我聞に身体を預けるなら、我聞は全身で陽菜に快楽を与える。
全力で、執拗に、徹底的に。
それが裸の陽菜に対する嗜虐欲を満たし、裸の陽菜の被虐欲を満たすことを彼は理解していた。
だから、空いた手は迷うことなく陽菜の胸を掴むと、徹底的に揉みしだき、執拗に乳首を責めた。
「んんんっ! んむ、んむむっ! むー! むぶっ! んんん――――――っ!!」
低い、くぐもったうめき声ではあるが、それでも結構な大きさ、高さになってしまう。
もしかしたら果歩達に少し聞こえているかもしれない。
だが、もう止められない。
「んむ――――――!! んぷぁっ、あぁああ―――むぶっ!!!」
陽菜の背がビクンと仰け反り、激しく痙攣する。
一瞬口が離れて高い喘ぎ声が漏れかかるが、すぐに引き寄せて唇を塞ぐ。
下と上の口を犯され、あれだけ感じまくっていたところに胸まで責められたのだ、
イってしまったとしてもおかしくないのだが、口を塞いでるので、我聞にはまだはっきりとわからない。
(ごめん國生さん、もうちょっと・・・もうちょっと我慢してくれ・・・俺はまだ・・・もう少しだから・・・)
陽菜にはもはや強烈過ぎる突き上げも、ストロークが短い分だけ、我聞には正常位のときより快感が少ない。
更なる快楽を得ようと、ピッチを少しだけ落とし、その分だけより深く、奥の奥まで突き上げる。
(こえ・・・声、出したい・・・叫びたいです・・・しゃちょお・・・)
秘所と口と、両方を同時に激しく弄られて、身体中を駆け巡り暴れ回る強烈すぎる快楽の刺激に、
陽菜は破裂してしまうのではないかと思わずにいられなかった。
あられもなく声を上げ、うめき、叫ぶのは恥ずかしいとも思っていたが、それらは自然に出てしまう声。
それを無理やり押さえるとどうなるか、今、身をもって感じていた。
気持ちいいから出る声が出て行かないで頭の中に残る。残った声はそのまま頭の中でぐるぐる回る。
そこに、新しい声が入ってくる。それも、一緒に回る。
また、入ってくる。
どんどん、入ってくる。
しゃちょうのがっ、ふかくてっ、突いて・・・くちが・・・舌が・・・激しくて・・・つば、流れ込んできて
また奥まで突いて・・・そんなとこ・・・歯の、裏側、舐めちゃ、や・・・舌、吸われて・・・声、だしたい・・・
またあそこがびりびりって痺れてぇ・・・突くのっはやすぎです・・・気持ちよすぎて、こわれちゃう・・・
だめ・・・っ、舌、とけちゃう・・・しゃちょうに、たべられちゃう・・・また・・・突いて・・・ふかいぃ・・・
声、こえ、だしたい、ガマンできないっ! 頭が、ハレツしそうです・・・っ、アソコも・・・もう、だめ・・・
そんなに突かれたら、こわれちゃう・・・こえ、出させて・・・しゃちょうっ、ちょっとでいいから・・・
・・・・・・あ、もっと、ふさがないで、意地悪しないでぇ・・・舌、また吸われちゃう、溶けちゃいます・・・
だめ、もう、あそこがジンジンしすぎてっ、なにか、きちゃう、本当にっ、深すぎて、しゃちょうに、すごくてっ
こわされちゃうっ、くる、きちゃう、ズンズンされてっ、やだ!胸までさわられたら! だめ! 摘まないで!
あ、そこも! そんなに突いたら! くる! きちゃう! きちゃいますっ! しゃちょお! もう、もうもう、
くちもだめっ!むねもっ!そんなに突かれたら、また、また突いちゃ、また、またまたまたっ!しゃちょおっ!
もう、こわれる!こわれちゃう!いく!いっちゃう!いく!いくいくいくイくイク―――――――――――!!!
・・・・・・・・・
あたま・・・まっしろです・・・
や・・・しゃちょお・・・なんで、まだ・・・うごいて・・・や! だめ・・・いま、そんな、動かれたら!
待って!待ってくださいしゃちょっ、だめええ!!いく、またイっちゃう、いっちゃいますうぅ!
・・・・・・・・・
・・・うそ・・・まって、ほんとうに、まって・・・わたし、まだイってるのに、まって!しゃちょお!
わたし、まだ、あ、だめ!だめええええええええええ!
・・・・・・しゃちょぉ・・・もう、おねがい・・・また、またイっちゃう・・・あぁ、だめぇ・・・
また、イっちゃった・・・まだ、まだつづくの・・・しゃちょぉ・・・こわれちゃう・・・
あ、また・・・や・・・あたま、かすんできました・・・でも、まだうごいてる・・・
くちも、むねも・・・止まらないの・・・あ、また・・・イく・・・
もう、わからない・・・また、イっちゃう・・・
また・・・イく・・・
また・・・
・・・
あ・・・びくんとした・・・あ・・・出てる・・・しゃちょうのが・・・なかに・・・っ
あぁぁ・・・あついの、いっぱいぃ・・・
わたしも、イきます・・・いっしょに・・・
ああ・・・あたたかいです・・・
もう、まっしろ、です・・・
しゃちょ・・・お・・・
「・・・ん・・・ぁ・・・しゃちょぉ・・・」
「國生さん! 大丈夫!?」
身体中がべとつくけど、裸体に柔らかい布団が気持ちいい。
シーツも乾いてるし、隣の布団かな・・・。
なかなかはっきりしない頭でぼんやりと取りとめの無いことを考えながら、
やはりなかなか焦点の合わない目で、目の前にいるはずの我聞を見る。
やっと焦点が合った目の前の我聞は、心配そうに、済まなそうに陽菜を覗き込んでいた。
「大丈夫か・・・その、すまん、國生さん・・・」
思い出してきた。
社長にすごく激しく抱かれて、声も出せなくて、イかされても抱かれつづけて、
イってイってイキまくって、頭の中が真っ白になって、焼き切れたみたいになったんだ・・・。
そんなに心配そうにしなくていいのに・・・
怖かったけど、ちょっと辛かったけど、壊れちゃうくらい、死んじゃいそうなくらい、気持ちよかったから・・・
でも・・・声は出したかったかな・・・
「しゃちょお、今日の・・・すごかったです・・・壊れちゃうかと思った・・・です・・・」
「す、すまん、まさか気絶させてしまうとは・・・ほんと、すまん・・・俺、自分のことばっかり・・・」
「いえ、その・・・壊れちゃうかと思うくらい、おかしくなるかと思うくらい・・・気持ち、よかったですから・・・
私は・・・平気です、あんなふうにされて、嬉しかった、から・・・」
「え・・・そ、そうか、な、ならよかった・・・のか?」
「でも・・・声は、出したかったです・・・声出せなくて、本当におかしくなりそうだったから・・・
あの、今度、料理作りますから、うちに来て下さいね・・・またそのときに、今日の、もういっかい・・・」
だんだん意識がはっきりして、落ち着いてくるにつれて羞恥心も戻ってきたか、少しずつ声が小さくなる。
「あ、ああ、呼んでくれればいつでも、喜んで!」
心配そうだった我聞がだんだんいつもの表情に戻るのをみて安心すると、再び疲労感に襲われる。
「じゃあ・・・ごめんなさい、社長・・・わたし、今日はもう・・・ちょっと、疲れて・・・」
「ん、じゃあ、ゆっくりお休み、俺は今のうちにちょっと・・・後片付けを・・・」
「・・・だめ」
「え?」
「一緒に寝たいです・・・社長に抱かれて、ぎゅってされながら、寝たいです・・・ダメ、ですか・・・?」
いつぞやの意識しての上目遣い(失敗)と違う、ナチュラルな上目遣いで、しかもこの台詞。
これでオチない男などいない。
思わずごくりとつばを呑んで、その音の大きさに自分で驚いて、
「わ、わかった!わかったから!」
一人慌てふためいて陽菜を混乱させるが、陽菜としては願いが聞き届けられたからそれ以上は何も思わない。
今度は陽菜が広げた掛け布団に我聞が潜り込み、正面からぎゅっと抱きしめる。
裸のままの肌に陽菜の肌が触れ、再び身体は昂ぶろうとするが、
早くもうっとりとした表情でまどろみはじめる陽菜を見ると、そんな邪な考えも霧散してしまった。
大切な人が、腕の中で安らいだ顔で眠りに落ちていく。
それだけのことがどんな幸せなことか・・・身に沁みて感じずにはいられなかった。
二人で支え合って助け合って歩いていこうと誓ったけど、それでも・・・
この安らかな寝顔だけは、俺が一人で守ろう―――と、そう思った。
「しゃちょお・・・」
どんな夢を見ているのか、陽菜が寝言で我聞を呼ぶ。
それに答える変わりに眠る陽菜の額へ軽くキスをすると、嬉しそうに顔を我聞の胸に押し付ける。
そんな陽菜を少しだけ強く抱きしめて、彼もまた、幸せな眠りへと落ちていった。
翌朝。
「お兄ちゃんどうしたの、朝っぱらから洗濯機回して? 洗濯なら私がまとめてするのに」
「い、いや、ちと昨日な、あのあと、布団にお茶こぼしちゃって・・・シーツとかかさばるもの洗いたくてな・・・」
「もー、なにやってるのよ! まさか・・・調子に乗って陽菜さんに手ぇ出そうとして、
ひっくり返されてこぼしたとか、そんなんじゃ、ないでしょうね!?」
「ち、ちがう、そんなことはないから!」
「そ、そうですよ! ただ、ちょっと緊張して、お茶をこぼしちゃっただけで!」
「へぇ・・・緊張? ま、まあ、陽菜さんがそう言うなら、そうなのかもしれないけど・・・ところで」
「な、なんだ?」「な、なんでしょう・・・」
「シーツ洗って布団干さなきゃならないくらい濡れちゃったってことは、当然、そこじゃ寝れないわよねぇ?」
「え、まあ、さすがにあれじゃあな・・・」
「・・・あ・・・」
質問の意図を理解して固まる陽菜だが、遅かった。
「じゃ、一つの布団で二人で、って、こ・と・か・し・ら?」
果歩、想定外の楽しい事態に、朝っぱらから小悪魔全開。
「ぐ・・・い、いや、その・・・」
「あ、あの! か、か、果歩さん! そ、それは、あの、その・・・!」
「陽菜さん、お兄ちゃんにヘンなことされたり、しませんでした〜?」
「い、いえ別に! ふ、普通に・・・その・・・はい・・・」
「普通? 普通って・・・」
「普通は普通ですっ! ただ社長と寝ただけで!」
「・・・お兄ちゃんと、寝た・・・」
「!!! そ、そんなやましい意味じゃないですから! 別にキスしたり胸触られたりしてませんから!」
「へぇぇ・・・これはまた、具体的な話が・・・」
「あ・・・も・・・もう・・・その・・・し、知らないですっ!」
これ以上ないくらいに真っ赤になって、どたばたと逃げていってしまった。
陽菜、完全敗北。
「果歩・・・おまえ、國生さんあまり苛めるなよ・・・」
「いやぁ・・・あんまり陽菜さんのリアクションが可愛くて、つい・・・」
「まあ、気持ちはわからんでもないが・・・」
「ほほう、お兄ちゃんもそういう気持ちになる、と」
「ぐ・・・今度はこっちか・・・」
「そりゃーもう! 陽菜さんと違って、手加減しないから、ね♪」
折角の休日の朝から、とてつもなく疲れる羽目になりそうだった。
庭には、まるでおねしょでもしたかのように湿った布団が干されている。
斗馬だけはなんとなくその理由を察していたが、ここは黙っておくことにする。
と、そこへ珠がやってきて・・・
「ねぇ斗馬、これね、お茶じゃないんだよ」
「なッ・・・! あ、姉上、一体、何をご存知で・・・」
「昨日ね、夜中になんか音がするから、兄ちゃんたちの部屋覗いてみたんだー!」
「・・・・・・み、見られたのですか・・・」
「うんー、暗くてよくわからなかったけど、プロレスしてたみたい、だからね、これ汗だよ!」
「・・・・・・・・・姉上・・・」
「ん? なーに?」
「わざわざ夜中に隠れてやるプロレス故、それを見たことは、誰にも言わないのが男の心意気かと・・・」
「そうかな、うん、わかった! 男と男の約束だね!」
誰も知らないところで気苦労の絶えない、斗馬であった。