「足、開くよ・・・」
「・・・はい」
仰向けに横たわる陽菜の膝の裏に手を入れると、膝を立てながら左右に割り開く。
足の間に身体を入れると、膝立ちになって陽菜の肩の傍に片手をつき、覆い被さるような体勢をとる。
そうして、少しずつ腰をおろしながら、もう片方の手で位置を調整する。
陽菜は我聞の顔だけを見て、ただその時を待つが・・・
「・・・んっ・・・あ・・・そこ、ちがいます・・・」
「あれ・・・ここかな・・・あ、あれ・・・」
なかなか狙いを定められず、我聞はあからさまに動揺している。
そんな我聞の "それ"に恐る恐る手を添えて、
「あ・・・動かないで・・・ここ・・・ここです・・・」
努めて冷静を装うが、自分のやってることと手に触れる熱い感触に、頭が破裂しそうなほど恥ずかしい。
でも、気を使われてばかりは嫌だから・・・二人で、したいから・・・。
腰の位置はそのままに、我聞は腕を曲げて上体だけを下ろし、陽菜に顔を近づける。
陽菜は我聞の背に腕を回し、ぎゅ、と力をこめた。
その腕がかすかに震えているのが我聞にも伝わるが、もう止めようとはしない。
「入れるよ・・・」
「・・・はい」
我聞はゆっくり、ゆっくりと腰を下ろしていく。
ほんの先の方だけはすんなりと入り、すぐに抵抗を受ける。
少しだけ逡巡するが、陽菜が促すように我聞へ微笑みかけるのを見て、我聞も頷き返す。
(國生さんの方が覚悟が決まってるな・・・情けない)
心を決めて、抵抗を破るように体重をかける。
我聞に回した陽菜の腕に、一気に力が入る。
それでも腰は止めない。
みち・・・みり・・・と、何かが破れる音が聞こえた気がした。
そのまま、陽菜の中に亀頭全体を埋め込んでいった。
「・・・ぅ・・・ぎ・・・」
陽菜の顔が苦痛に歪み、きつく閉じた目尻から涙がこぼれる。
さっきまで紅潮していた顔は、ほとんど蒼白になっている。
どれだけ覚悟していても、どれだけ濡れていても、どれだけ相手のことを思っていても、
それだけの痛みを伴うのだ。
そんな陽菜をみていて、我聞はこれ以上腰を進められなかった。
愛しい人と、互いを最も感じ合える行為のはずなのに、これでは傷つけているだけだ・・・
初めてだから、仕方ないのは分かっている。
そして、覚悟もした―――相手を傷つける覚悟を。
だが、声をかけずにはいられなかった。
「國生さん・・・大丈夫・・・じゃ、ないよな・・・」
大丈夫なわけない。
でも、心配かけちゃだめ、覚悟はしたのだから。
笑わなきゃ、だって、嬉しいんだから。
無理やりに、笑顔をつくって、それで我聞への答えにした。
我聞には、それは笑顔には見えなかった。
ただ、無理にでも笑顔を作ろうとしているのは、わかった。
情けない・・・俺は何度こう思えばいいんだ。
固く、固く拳を握る。
そして、最後の覚悟を決めた。
―――どんなに苦しもうと、痛がろうと、泣き叫ぼうと、俺は、國生さんを、抱く。
だから・・・
「國生さん、聞いてくれ・・・無理、しないでいい。
痛かったら、痛いって言ってくれ、暴れても、泣いて叫んでもかまわん。
・・・・・・・・・もう、迷わないから、途中で止めたり、しないから・・・」
苦痛とも取れる表情でそう言いきると、我聞は自分のモノを、陽菜に再び埋め込み始めた。
「しゃ・・・ちょ・・・お!? ひぎ・・・! い、いた・・・うあああああああ!」
我聞の言葉で作りものの笑顔が消え、直後にこれまで抑えに抑えていた感情のうねりが堰を切って溢れ出た。
「い、痛い、いたいいたいイタイ――――! しゃ、しゃちょおっ! うあ、うああ! しゃちょおお!」
ついさっき陽菜が上げていた快楽の喘ぎとは全く違う、苦痛の叫び。
ぼろぼろと涙を流し、首を振り乱し、我聞の背に爪を立てる。
耳を塞ぎたくなる、目を背けたくなるが、全て受け止める。
それが、俺の覚悟。
刺されている、いや、裂かれている。
本当に壊れてしまうとさえ思える。
まともに考えることなんてできない。
だから、せめて呼ぼうと思った。
本当は名前を呼びたかったけど、慣れてないことをこの局面でできるわけがなかった。
だから、ただ社長、と呼んだ。
そうして、我聞は陽菜の中へ沈み込んで行き、やがて全てを沈め切った。
結合部からは、透明な蜜に混じり赤い筋がシーツへと伝っていた。
「・・・全部、入ったよ・・・」
「ひっ・・・ひん・・・・・・中で・・・ずくんずくんって・・・してます・・・・・・・・・あの、社長ぉ・・・」
「ん・・・?」
「私たち・・・いま・・・ひとつに、なってますよね・・・」
「ああ・・・俺と國生さん、今はひとつになってるよ・・・」
「・・・嬉しい」
顔はまだ苦痛で歪んでいたし、涙も止まっていなかった。
それでも今度は、ちゃんとした笑顔を作ることができた。
陽菜のなかに我聞が全ておさまってしまうと、それ以上は動かず、そのまま時を過ごした。
そうして陽菜が少しでもほぐれ、痛みが和らぐのを待ちながら、
後ろめたさを感じつつも我聞は陽菜の中の感触に酔い痴れていた。
あれだけ挿入することに抵抗を感じながら"それ"自体は全く固さを失わなかったのも、そのせいだった。
もともと濡れやすい上に異物を感知してますます溢れる愛液が滑らかさを増し、
キツい膣内でも(挿入する側としては)比較的スムーズに侵入できた。
陽菜の膣は蕩けそうな熱さで我聞のモノをきゅうきゅうと締め付け、油断すれば射精してしまいそうだった。
「あの、社長・・・私のなか・・・その・・・変じゃ、ないですか・・・?」
「へ・・・? い、いや、変どころか・・・凄く、熱くて、キツくて、気持ちよくて・・・
その、痛い思いしてる國生さんには悪いんだが・・・いや、ほんとに・・・」
本当に申し訳なさそうに答える我聞がおかしくて、笑ってしまう。
破瓜の痛みがすぐに消える訳も無いが、それでも少しだけ慣れて来たか、わずかに余裕が戻りつつあるようだった。
「・・・社長のも・・・熱くて・・・その・・・固くて・・・こんなに、大きいなんて・・・」
別に我聞のものが特別大きい訳ではないのだが、ろくに見ることも無く受け入れてしまい、
痛さもあってその存在感がやたら大きく感じられた。
「それに・・・脈うつみたいに・・・びくん、びくん、って・・・」
今はまだ、痛みと異物感しかない。
だが、我聞のモノが自分の中に入っている、その事実が、陽菜の心を少しずつ昂ぶらせ始めていた。
一度は血の気を失った顔色も、少しずつ赤みを取り戻している。
「社長・・・」
「ん?」
「あの・・・・・・キス、してください・・・」
「え!? あ、ああ・・・」
薄く目を閉じて、陽菜の顔へと顔を寄せる。
陽菜に体重がかからないように両膝と両腕で身体を支えていたので、
これ以上お互いを感じ合うために出来ることは、他に無かった。
今日四度目のキス。
そして三度目のディープキス。
今度は、陽菜の方から舌を絡めてきた。
これで少しでも痛みを紛らわそうとするかのように、執拗に、執拗に舌を寄せた。
「ん・・・ちゅ・・・むぷ・・・んん・・・んくっ、ぷぁ・・・、はむ・・・ん・・・むぅ・・・んぐっ」
絡み合う舌を伝って、我聞の唾液が下になった陽菜の口へ流れ込んでいく。
それを呑み込んだり、口の端から垂らしたりしながら、なかなか我聞の舌を解放しようとしなかったが、
「んむ・・・むぶっ! んむ、げほっ、ごほっ、ごほっ、ぷぁ、はぁっ、はぁっ・・・」
「だ、大丈夫!?」
「けほっ・・・は、はい、すみません・・・ちょっと気管に・・・」
「よだれが全部、國生さんの方に行っちゃったからなぁ」
「社長の・・・いっぱい、飲んじゃいました・・・」
照れながらわざと媚びるような陽菜の物言いに、おもわず陽菜の中にあるモノが、一際固くなったような気がした。
「・・・っ、 あ、動いた・・・」
「す、すまん! 痛かった・・・?」
「はい・・・でも、さっきよりだいぶ楽になりました・・・」
(まだ痛いよな・・・もう少し、國生さんの痛みを紛らわせてやらないと)
つぃ、と、再び陽菜の顔に顔を寄せると、額へキスをする。
「ひゃ・・・社長?」
「嫌だったら、言ってくれ」
そう言うと、額からこめかみ、耳、首筋へ、戻って唇、頬、鼻、まぶた、髪の毛まで、キスの雨を降らせはじめる。
「きゃ、うわ・・・や、そんなとこ、ひゃ、んむっ、ふぁ! やぁ、はぅ・・・」
唇を軽く触れるだけだったり、ちょっと強めに吸われたり、舌先で舐められたり、
我聞の唇が触れていないところは顔中無くなるくらいに、キスの空襲は続いた。
制圧を終えて顔を離した頃には、陽菜の顔はとろんと呆けたようになり、すっかり紅潮していた。
「嫌じゃなかった?」
「・・・ふぁ・・・いっぱい、キスしてもらっちゃいました・・・うれしい・・・」
(うわ・・・か、可愛い・・・・・・だが、これは、やばい・・・)
自分のモノが、更に固くなるのを感じる。
陽菜の痛みを少しでも除いてやろうとやったハズなのに、逆にその痛みの元を凶悪にしてしまった。
それどころか・・・
(う・・・動かしたい・・・・・・い、いかん、何を考えている!)
「くっ・・・うぅ・・・っ」
陽菜が顔をしかめながら、もぞりと腰を動かす。
「す、すまん國生さん、また痛くさせてしまったか!」
「い、いえ・・・あの・・・痛いですが・・・少しだけ・・・ヘン、なんです」
「へ・・・変?」
「社長のが・・・中で、びくんっ、ってすると・・・痛いけど、でもちょっとだけ・・・気持ちよくて・・・」
痛みに耐えながらも、わずかに切なそうな表情を見せる。
「國生さん・・・無理はしなくても」
「無理じゃないです・・・だから、こうして腰を少し動かすと・・・くぅっ!」
「こ、國生さん!?」
痛みに眉をひそめてから、ため息をつく。
そのため息が、先程陽菜が何度も発していた、喘ぎに似た響きを帯びているのに我聞も気付く。
「痛いけど・・・まだ凄く痛いけど・・・でも、気持ちいい・・・わたし、社長ので・・・感じてます・・・
だから、社長・・・動いて、いいですよ・・・」
ぞくりとする。
その欲求を必死に抑えていた我聞には、悪魔の囁きのような、甘い言葉。
だが、確かに感じているのはわかるが・・・陽菜の表情から、決して軽くない苦痛の色はいまだ消えていないのだ。
「だが國生さん・・・」
「ずっとわたしの中にいて、キスしてくれて・・・社長も辛そうなの、わかりますから・・・
社長も、気持ちよくなってください・・・
私が社長を感じるように・・・社長にも、私のこと、いっぱい、感じて欲しいから・・・」
やれやれ、とため息をひとつ。
そして苦笑。
「俺たち、なんだかお互いに相手のことばっかり考えてる気がするよ」
「そうですね」
陽菜も笑う。
「でも、私、それで今、すごく嬉しいです・・・こんなに痛いのに、とても幸せです・・・」
痛みをこらえながら、それでも満面の笑み。
「そうか・・・よかった、その・・・・・・・・・・・・君のこと、好きになって」
照れくさそうに笑う。
「・・・・・・はい・・・」
満面の笑みのまま、涙が一筋。
そのまま、軽く唇を重ねて、すぐに離す。
それは儀式みたいなもの。
互いの心が重なったときの、二人だけの無言の儀式。
言葉に表せない気持ちが、唇を通して相手に全て伝わるかのような、そんな甘い幻想。
でも、それで十分だった。
「動くよ・・・」
「・・・はい」
始めは、陽菜の腰へ自分の腰を押し付けるだけの、密着したままでのわずかな動き。
目の前で固く目を閉じた陽菜の顔が苦痛に歪むが、もう止めるつもりはなかった。
しばらくゆっくりとその動きを繰り返しているうちに、結合部からわずかに水音が聞こえ出す。
くぷ、ちゅっ、こぷっ・・・
刺激を受けて、更に蜜が分泌され出したようだった。
それが痛みのためか、快感のためか・・・まだおそらく前者だろう。
そう判断しながらも、それを合図に、少しだけ、少しだけ腰を引き、そして押し付ける動きに切り替える。
「ひぎ・・・あぅ!・・・くぅぅ・・・ううう! あぐ・・・ったぁ・・・しゃちょぉ・・・あぅぅ・・・」
振幅の小さい、緩慢な抽送は、我聞にも苦痛となる。
もっと速く、激しく動かしたい、陽菜の中を思い切り味わいたい、という欲求を必死に抑えていた。
だが、決して焦ってはいけない、そのことを何よりも意識していたから、欲求には負けなかった。
気持ちよくなるのは、陽菜と一緒に。
我聞の中の、決して動かざる決意。
「い・・・ああぁ・・・ひぐ・・・くぅぅ・・・あ、はぁっ、はぁ・・・あぁ・・・しゃ、しゃちょぉ・・・」
陽菜の声に艶がかかってくるのを感じると、少しだけ抽送のペースを上げて、動きを大きくしていった。
その度に陽菜は苦痛の声を上げて、だが徐々にそれは和らいでいった。
そんな地道な手順を二人は何度も、何度も繰り返して、そして少しずつ、前に進んだ。
我聞は、とてつもない長時間にわたる抽送の間、一度も射精しなかった。
それはもはや、苦痛というより苦行のような辛さを伴うものだったが、
仙術修行の賜物か、なんとか精神力で押さえつけることができていた。
長時間に渡る二人の努力は、少しずつだが、着実に効果を上げていた。
「はぁっ・・・しゃ、しゃちょ・・・お・・・っ、しゃちょう・・・しゃちょお・・・うぁ・・・あ・・・」
陽菜は何度も自分を勇気付ける為に、喘ぎながら"社長"と繰り返していた。
だが、今度のそれは、本当に我聞に呼びかけているように思えて、腰を止める。
「國生さん、どうした、また痛みが・・・?」
「はぁっ、はぁっ、はぁ・・・はぁ・・・あ、あの・・・しゃちょう・・・」
「大丈夫? 随分時間かけたし、キツいなら無理しなくても」
「ちがうんです・・・あの・・・もう少し、動いてくださって・・・たぶん、平気です・・・
・・・いえ・・・あの、その・・・動いて、いただけますか・・・」
「!? だ、大丈夫なのか? まだ、痛そうだけど・・・」
「痛いのは・・・まだ痛いのですが・・・あの・・・身体が・・・疼いて・・・熱くて・・・」
羞恥に顔を赤らめながら、それでも言わずにはいられない・・・。
身体の疼きに耐えかねて懇願するような、そんな言い方だった。
「お願いです・・・社長の・・・もっと、動いて・・・感じさせてください・・・
もう、痛くてもいいです・・・我慢、できません・・・社長の、もっと、ほしいです・・・」
我聞は答えずに、少し引いていた腰を、ずんっ、と陽菜へ打ちつけた。
「ひぎ!! ――――っ・・・っはぁ、あぁ・・・・」
上がった声は苦痛に喘ぐそれであったが、同時に腰から伝わる陽菜の身体の震えは、
これまでの愛撫で何度となく我聞が肌で感じてきた陽菜の快楽の震えそのものだった。
「痛い・・・痛いけど・・・ああ、なんで・・・わたし、変です・・・やっぱり、気持ち・・・いいです・・・
社長の・・・ああ・・・社長のが・・・わたしの中で・・・うごいてぇ・・・ああ、もう・・・やぁ・・・」
涙目で喘ぐ陽菜の声に、我聞も心を決めた。
・・・というより、この一言が我聞の理性を決壊させたと言うべきか。
「・・・國生さん・・・」
「は、はい・・・?」
「痛かったら・・・本当に痛かったら、すまん、今のうちに、謝っておく・・・たぶんもう、止められないから・・・」
「は・・・はい」
そして、我聞は腰を使い始める。
いきなり全力で、ではないものの、先程までとは明らかに違う、大きくて激しい動き。
「ぎ・・・うぐ! あ、あああ! ひ、あ、や! あが・・・うぅぅぅぅぅ! や、はぁ、あああ!」
陽菜の顔がどれだけ苦痛に歪もうが、決して弱めたりしない。
陽菜も、どれだけ痛かろうが、我聞の背に回した手を絶対に離そうとはしない。
「あ、あああ! 痛い、痛いイタイいたいいい! っ・・・のに、なんでぇ! あ、うあああっ!
や、あ、あああ! しゃちょおのがっ、しゃちょおのがああ! なかで、あ、ひゃあぁぁあ!」
苦痛と快楽、同時に湧き上がる二つの感覚に、陽菜は翻弄されるがままだった。
そのままどこかに流されてしまわないように、愛しい相手に絡めた腕だけは、何があっても離すまいとした。
陽菜が痛みに泣きじゃくり、同時に快感に喘ぐ姿を目の当たりにして、
我聞の理性は本能に完全に抑え込まれた。
やや遠慮していた腰使いも、今は欲望の赴くままに、組み敷いた陽菜を犯しているような錯覚に陥るくらいに、
強く、容赦ないものになっていた。
「やああ! いたい、いたいのにいいい! うああ、しゃちょおのがぁ! 中で、や、うあ、あああ!
こすれてっ、えぐれてぇ・・・あ、うぁあ! ひぁ・・・、あ、らめ! そんな、やあああ!」
さっきまでは陽菜を感じさせるためにしていたが、今はもう、自ら快楽を貪るために動いていた。
相変わらずキツいが、それでも大量の蜜で滑らかな陽菜の膣の感触を、存分に堪能していた。
「くっ・・・國生さんのなか、キツくて、あつくて・・・っ、ホントに、すごい・・・きもちいいっ・・・!」
「ひゃ・・・やあ! やだ、そんな・・・うぁあ! いわないでっ、くださ、あああ! や、いやぁ・・・
あぅ、わたしっ、や、だめ! はげしっ! あ、もう、や、らめ、かんじちゃ、うああぁ!」
我聞の固く熱い肉塊が、狭い膣内をえぐり、先端が子宮口を叩く。
その圧倒的な存在感は、鋭い痛みと、そして徐々に強烈な快楽を生み出していた。
陽菜は、我聞が己の中にいると思うと心が喜びに震え、痛みに抑圧されていた快感は解放されていく。
それはいつしか痛みを凌駕して、身体の芯から響く甘く激しい刺激に身体は支配されていく。
陽菜の身体が快感にがくがくと震え、それが我聞の肉茎に響き、我聞をも昂ぶらせる。
(まだだ・・・まだ耐えろ・・・俺が先にイくなんて、それだけは男として避けねば・・・!)
そう思いつつも、腰使いは緩めない。
我聞自身が陽菜の感触に酔い痴れているのも勿論だが、
陽菜にこうまで求められて、手抜きなど出来るハズもなかった。
「ひああっ、もう、もうらめっ、らめええ! わたし、あ、あああっ! もう、しゃちょっ、しゃちょお!
らめれすっ、ふかくてっ、あああ! おくにっ! おくにひびいてっ! や、もう、あ、あ、あああ!」
もともと感じやすい陽菜のこと、きっかけさえあれば、快楽に呑まれるのは早かった。
望んだ相手と結ばれて、その相手のモノで体内を責めたてられて湧き上がる快楽に抵抗する気など、
陽菜にはもとより無かったから、昂ぶり始めたらあとは上り詰めるのはすぐだった。。
「あああ! きちゃう! きちゃいます! しゃちょおっ、わたし、わたしぃ! もう、あ、や、らめ!
ほんとに、ああ、もう、もう、らめ、らめええ! くる、きちゃう! や、あ、あああぁぁぁあぁあ!」
びくびくびくっ、と震え、弓のように背を仰け反らせて、陽菜は絶頂を迎えた。
が、我聞はお構いなしに責め手を緩めることなく腰を動かしつづける。
「・・・っひ!? や、あ、ああああ! らめ、らめ、らめえええええ! いまはっ・・・ぁああ!
しゃ、しゃちょっ、わたしっ、まだっ、イったばかりでっ、うぁ、あ、かんじすぎちゃいますっ!」
「くっ・・・もうすこしっ! もう少しだからっ、もう少しで俺もっ・・・! っくぅ!」
「ぁあぁっぁああ! らめ、らめ! こわれっ! こあれちゃううう! またきっ、きひゃ、きてるうう!
あ、ああああ! しゃちょおおっ!もう、もうや、やああぁ! おかひく、おかひくなっひゃ、うあああああ!」
絶頂を迎えて最大限に敏感になった膣内を容赦なく擦りあげられて、陽菜は身も世も無く乱れ狂う。
そんな陽菜のあられもない姿と、大切な女性を弄り倒す背徳感、絶頂を迎えて更にきつく締め付ける中の感触に、
我聞も限界を悟った。
「國生さんっ! 俺っもう、もう出る・・・っ、出すよっ!」
「ひゃ! あ! うぁあああ! き、きてえ! あ、ひゃああああ! や、しゃちょ・・・うあああ!
もう、あ、あ、ああああ! っしてぇ! わたしの、あ、あああ! なかっ! なかにいい!」
「く・・・・・・っ 國生さん、國生さん! 國生さんっ!! ――――――っおお!!」
どくっ! ・・・どくんっ! どく、どくどくどくっ!
「あ! あ! ああああああああっ! ひゃあああ、なかに、あ、あつ、あついいいぃぃいい!
うあ、や、あ、ああああああ!! や、いっぱい、いっぱいくるっ! いっぱいでて、うああぁぁぁ!」
我聞の分身は陽菜の中で何度も何度も跳ね、その度に大量の精を吐き出した。
灼熱の粘液を繰り返し撃ち込まれ、陽菜は絶頂の高みで悶えつづけた。
「あついのがっ、あついのがあぁぁぁっ! おくまでっ、あ、や! しゃちょっ、まだどくどくしてぇ・・・
うぁ、うあああ! おく、までぇっ! や、またでてぇ・・・うぁ・・・もう、わたしっ、らめ、やあぁぁ・・・」
やがて長い射精を終えると、我聞は手足の力を緩め、陽菜の身体に密着するようにして少しだけその体重を預けた。
陽菜は絶頂の余韻から醒めぬまま荒く息をついていたが、それでも我聞の肌と重さが心地よいのか、
猫のように彼の頬に自分の頬を擦り付けて甘えるそぶりをした。
そうして二人はしばらく、絶頂の余韻に浸っていた。
お互いがお互いを感じ、感じさせ、共に絶頂を迎えて、そして果てた。
心地よい、余韻だった。
しばらくして、呼吸も落ち着いた頃、我聞は陽菜の腰に手をかけ、陽菜もろともごろりと転がる。
二人はベッドの中央で横になって向かい合った。
「ごめん、びっくりした?」
「え、いえ・・・平気ですが・・・・・・両手、空きましたね」
「ん、そのためにこうしたからね」
そう言って、陽菜の背に両手を回して、ぎゅ、と抱きしめる。
陽菜は期待どおりの行動に、嬉しそうに微笑む。
「・・・中で、出しちゃったね・・・」
「すごく、熱かったです・・・それに、たくさん・・・」
「・・・怒らない?」
「・・・先のこと、とか考えられなかったから・・・わたしも・・・その、夢中で・・・。
それに、あまり覚えてないですが・・・自分からそうして欲しいって・・・頼んだ気もしますし・・・
そ、それにあの、今日は・・・えーと・・・安全日だから、多分・・・大丈夫ですから・・・」
言っててどんどん恥ずかしくなり、我聞の胸に顔を埋めて照れを隠す。
「痛いのは、もう平気?」
「あ・・・まだ痛いですが・・・だいぶ、慣れました。さっきは完全に、忘れちゃってましたし・・・」
そして、なんとなくもじもじと落ち着かなげな態度をとる。
「ん・・・、どうかしたの?」
「え・・・あ、その・・・あれだけ、いっぱい出たのに・・・社長の、まだ、お元気なものですから・・・その・・・」
「・・・あ」
我聞のそれは、未だに陽菜の中にあり、固く大きく、その存在を主張し続けていた。
「いや、その・・・國生さんのなか、気持ちよくて・・・出してすぐにまた、その、ね・・・」
「じゃあ、あの・・・も、もういっかい・・・・・・します・・・?」
「い、いいの?」
「は、その・・・わたしも・・・社長のがずっと中にあるから・・・その、また・・・」
確かに陽菜の声は、また少しうわずっていた。
愛しい相手と交わることの気持ちよさを覚えたばかりの二人には、一度では物足りなかった。
「國生さんてさ」
顔を上げた陽菜に軽くキスをしてから
「実は、えっちだよね」
「・・・セクハラ社長・・・」
少し間をおいて声を上げて笑って、また二人の世界へと没入していった。
―――翌朝。
陽菜はカーテンの隙間から射し込む朝日で目を醒ました。
寝不足だったか寝覚めが悪く、ぼんやりとしている。
ふと、思い出したように隣を見ると・・・・・・そこには誰もいない。
(夢、か・・・)
いやに生々しくて、恥ずかしくて、痛くて、でも、気持ちよくて、そして、とても幸せな、夢。
「はぁ・・・そうよね・・・」
残念そうにため息をついて、ベッドから降りようと足を動かして
「――――――っぎ!!?」
一気に目が醒めるほど痛い。足がまともに広げられない・・・夢・・・じゃない!?
じゃあ、社長は・・・?
と、キッチンから人が入ってくる気配がして―――
「お、國生さん起きたか、おはよう!・・・って、大丈夫か・・・なんか、ひきつってるけど・・・」
「お、おお、おはようゴザイマス・・・って、社長、なにを・・・?」
「いやぁ、いつもの早朝トレーニングの習慣のせいか早起きしちまってね、シャワー借りて、ついでに朝飯でもと・・・
國生さんも、シャワー浴びた方がいいよ。 その、昨日ので、色々とアレだから・・・」
「あ、そ、そ、そうですね! しゃ、シャワーお借りしますっ!」
「いや、ここ君の部屋・・・」
改めて昨晩のことを思い出して、恥ずかしすぎて我聞の顔がまともに見れなかった。
しかも昨日のままなので全裸。
可能な限りの最速で着替えを用意して、しかし痛みのためによちよち歩きで、シャワールームへ飛び込んでいった。
ざああああああああ・・・・・
熱いシャワーを浴びて、やっと人心地ついた気がした。
改めて、昨晩のことを振り返る。
あのあと、二人はほとんど言葉も交わさずに、ただお互いを求めつづけた。
何度も何度も絶頂を迎えて、何度も何度も射精された。
全部中で受け止めたから、途中から入りきらなくて溢れ出してたっけ・・・
最後に射精されたときには、私はもうイきすぎて朦朧としちゃってて、
社長も限界だったみたいで、固くならなくなったそれを引き抜いて、最後にまた、抱きしめてくれた。
そして、おやすみのキスをして、ちょっと照れくさそうに笑って、抱き合ったまま眠ったんだ・・・。
「どうせなら、起きるまで抱きしめてくれてたらよかったのに・・・」
口を尖らせて独り言を言ってから、くすりと笑う。
それは、また今度お願いしようかな、と。
二人分の体液でべとべとになっていた身体をすっかり洗い清めると、
新しい下着をつけて、制服を着る。とても清々しい気分だった。
相変わらず痛くて足はあまり開けないけど、今日は体育もなかったし、なんとかなるかな・・・
そんなことを思いながら髪を整えてシャワールームを出ると、既に我聞は朝食の準備を終えていた。
トーストに、ベーコンを添えた目玉焼きに、サラダにコーヒーとミルク。
「悪い、また勝手にキッチン使わせてもらったよ」
「いえ、わたしこそ、昨晩といい今朝といい、すみません、食事作ってもらってばかりで・・・」
「気にしないでよ、ほら・・・國生さん、まだ、痛そうだし・・・学校、いけそう?」
「え、あ、はい! ゆっくり歩けば、多分平気ですから・・・」
「そか、じゃあちょっと早めに出たほうがいいな」
「社長、家には一旦戻られないので?」
「んー・・・今、いや後でもそうなんだが・・・果歩と顔合わせたら何を言われるか・・・」
「そ・・・それは・・・そうですね・・・」
「ねぇ國生さん・・・昨日の夜のことはともかくとして・・・俺たちのこと、黙っていた方がいいのかな」
「ん・・・優さんにバレたらずーっとからかわれそうですし、中之井さんは怒るかもしれませんね・・・」
「・・・最後までしたことバレちゃったら、俺、中之井さんに撃たれるかもしれん・・・」
「まさか、そこまでは・・・あは、あはは・・・」
「卓球部の連中には少しでも知れたら刺されかねん・・・」
「あ、あはは、そんな、いくらなんでも、あは、ははは・・・」
冷や汗だらだらの我聞と、笑いが引き攣ってる陽菜。
「隠さなきゃな」「隠しましょう」
「問題は・・・やはり果歩達か・・・」
「そうですね・・・失礼ですが、社長ひとりで果歩さんの尋問に耐えられるとは思えません、
今晩は、わたしもお邪魔させてください、その、料理も、習いたいので・・・」
「む・・・情けないが心強いな、頼りにしているよ、國生さん!」
「・・・くれぐれも下手なことは口に出さないように、お願いしますね」
いつのまにか真剣に話し合ってしまっていたのに気付いて、二人して顔を見合わせて、笑う。
そんな風にして食事を終えてさっさと後片付けを済ませ、いつもより余裕を持って部屋を出る。
「そうだ、優さん起こしてあげた方がよくないか?」
「・・・いえ・・・優さんには、もう一日くらい、痛い目をみた方が今後のためでしょう」
「そ、そうかな・・・まあ、國生さんがそういうなら・・・」
やっぱり厳しい・・・俺も気をつけねば、と改めて思う我聞。
陽菜としては、厳しい態度には勿論理由がある。
(一昨日の晩はひどいことされたけど・・・お陰で今、すごく幸せですから・・・これで許してあげます)
そう思って、くすっと微笑む。
「さ、社長、いきましょう!」
「あ、ああ!」
二人は寄り添うようにして、ゆっくりと学校への道を歩く。
あまり喋りはしなかったが、お互いが傍にいるだけで、今まで感じたことのないような幸せに浸ることができた。
河川敷に出たところで、ふと互いの手が触れ合う。
その手を握りたい欲求に陽菜が駆られた時には、既に我聞がその手を握っていた。
「・・・・・・学校の奴等に会うまで、な」
「はい・・・」
ぎゅ、とその手を握り返す。
胸が破裂しそうな程の幸福感を空へ発散させるように、陽菜は上を向いた。
初秋の空は晴れ渡り、暖かな日差しと涼しい風が心地よかった。
河川敷の空は広くて、どこまでもどこまでも続いている。
手を握っていられる時間は、あと数分もないだろう。
学校についたら、別の教室に分かれなくてはならない。
でも、
はじまったばかりの二人の道は、どこまでも続いている―――この空のように。
離した手は、また繋げばいい、会いたくなったら、会いにいけばいい。
すこし離れることはあっても、絶対に別れることはない、二人の歩く道。
でも今は、この手に感じる暖かな体温が愛しくて、
もう一度、ぎゅ、と握り締めた。
(了)
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