長いキスを終えると、陽菜はまた、今度は恥ずかしげにうつむいて、我聞の胸に顔を埋める。  
我聞も気恥ずかしくはあったが、それでも陽菜から目を逸らすことなく、少しだけ強く抱きしめる。  
リビングより少し冷えるこの場所で、二人はお互いの体温を確かめ合うように寄り添い、長い間動かなかった。  
 
どれだけそうしていただろうか、やがて、陽菜が震えはじめたのに我聞はすぐに気付いた。  
パジャマにカーディガンを羽織っただけの軽装なので、冷えてしまったのだろう。  
 
「國生さん、ここは冷える、部屋に戻ろう」  
 
顔を上げた陽菜は、まだ涙の跡こそ残しているものの、恥ずかしげだが安らいだ表情で応える。  
 
「・・・はい、社長・・・」  
 
我聞の身体から離れても腕は掴んだまま、二人一緒にリビングに戻る。  
さっきまで使っていたテーブルの傍のクッションには目もくれず、陽菜はそのままベッドに腰をかけ、  
我聞の腕を掴んだまま、その顔を見上げる。  
陽菜の意図がわかって、今度は我聞が少し照れたような顔をするが、すぐにその隣に腰を下ろす。  
そんな我聞に身体を預けるように寄り添い、陽菜は目を瞑る。  
 
ばくん、ばくん・・・  
ここへきて、我聞の心臓はどうしようもなく高鳴っていた。  
普段からは想像もつかないような陽菜の儚げな態度に、我聞は彼なりの精一杯で応えてきたつもりだった。  
こうして事ここへ至ったのだから、そこに多分間違いはなかったのだろう。  
 
が。  
女の子の部屋で、すがりつかれて、キスをして、二人で並んでベッドに腰をかける。  
これがどういうことか。  
どういう流れか。  
何を期待されているか。  
誰から見ても朴念仁の彼ではあるが、物事を知らないわけではない。  
保科さんにホテル街から云々言われれば「そんなミダラらなことを・・・」と返すし、  
理玖さんに手ぇ出したのかと言われたらしっかり赤面する。  
だから、分かってはいる。  
多分、期待されてて、多分、求められている・・・  
そして・・・俺も・・・  
 
(だが・・・いいのか・・・俺は社長で・・・國生さんは秘書で・・・だが・・・ここまできて・・・)  
 
情けない―――もっと心の奥の方から、そんな声が聞こえる。  
それは自分に対する言い訳だろう―――今の関係が壊れるのを恐れる俺自身への言い訳だ  
 
分かっている・・・だが・・・  
己の不甲斐なさに、ただ拳を固めるばかり。  
こんな場面で迷い悩む男など、そうはいないかも知れない。  
だが、良くも悪くも、それが工具楽我聞―――17歳の少年の、ありのままの姿だった。  
 
別に、我聞の心の声が聞こえた訳ではない。  
ただ、ドキドキしている自分の鼓動とは別の鼓動が聞こえたような、感じられたような気がしたから、  
すこしだけ目を開けてこっそりと我聞の顔を見た。  
 
真剣な顔をして、目の前の何も無い空間を見つめていた。  
やっぱり、悩んでいるんだ・・・  
 
陽菜だって、もちろん緊張している。  
ただ、我聞にすがり付いて、キスをして、今はこうして寄り添っている。  
自分は社長に受け入れてもらえた、そう確信できたから、あとは全てを彼に委ねようと思っていた。  
その“先”がしたくて、ここへ来たわけではない、ただ、我聞と寄り添っていたかったから、  
自然とベッドへ腰掛けることになっただけ。  
このまま、夜明けまで何も言わず、ただ寄り添っているだけで、陽菜にはそれだけで十分だった。  
 
―――でも、こうして二人きりでベッドに座り、寄り添うことがどんな意味を持つか。  
もし我聞が、このまま自分を押し倒すことがあっても、抵抗するつもりはない。  
我聞の全てを受け入れ、彼の望むままに身体を動かし、身体を震わせて、きっとはしたない声を上げるだろう。  
今だって、昨晩のことを思い出して、少しだけ身体は疼いてる。  
だが例え昨晩のことがなくとも、我聞が自分を求めてくれるなら、それは陽菜にとっては嬉しいことなのだ。  
 
我聞の表情は変わらない。  
社長だからとか、もしかするともうちょっと深いところで、迷いが吹っ切れないのだろう。  
でも・・・迷っている、悩んでいるということは―――  
 
「・・・社長」  
「!! お、ど、どうした國生さん・・・?」  
 
一瞬、激しく驚いたような表情を見せ、それでも雰囲気を破らないようにするためか、  
あくまで穏やかな顔を見せようとしている・・・のがありありと分かる。  
自分のことはひとりで抱え込んで、人には気を使うんだから・・・  
いつもそう、社長はいつだって、自分だけで抱え込もうとする。  
彼に心を開き始めたときから、それはよく、陽菜をもどかしく思わせた。  
社長は私を受け入れてくれた・・・だから、私も・・・社長を・・・社長の何もかもを受け入れたい。  
だから・・・  
 
「社長は・・・私を・・・抱きたい、ですか?」  
「・・・・・・え・・・」  
 
今度は隠せなかったようだ。  
驚いたような、引き攣ったような表情で、思わず陽菜を見る。  
陽菜も我聞を見つめていた。  
顔は赤らんでいたが、その目は我聞の目を真っ直ぐに見つめている。  
怒っているのでもなく、呆れているのでもなく、ただただ、真剣な表情。  
 
見透かされている・・・  
我聞は、陽菜のその顔が、その視線が耐えられなかった。  
陽菜の視線を避けるように正面に向き直ると、  
 
「む・・・その・・・俺は、社長だから・・・社長として、社員と、秘書の君とそんなことは・・・」  
「関係ありません」  
 
途切れ途切れの我聞の言葉を遮るように、一言で言い放つ。  
静かだが、鋭く断定的なその一言に、我聞はまた陽菜の顔に向き直る。  
 
「あなたは社長だから、私を見舞ってくれたのですか?  
 ・・・あなたは・・・社長だから、私と・・・キスして・・・くれたのですか?  
 社長だから私を抱きしめてくれたのですか!?  
 私が秘書だから、こうして、寄り添ってくれているのですか!?」  
 
抑えが効かなくなる。 語調も、涙も。  
 
「わたしは・・・わたしはっ!  
 秘書としてここに居るんじゃないです・・・社長だからあなたに居て欲しいわけじゃないです!」  
 
涙が、とまらない。  
でも、言わなきゃ。  
 
「わたしは、あなたが、工具楽我聞だから、ここに居て欲しいんです・・・  
 あなたが、わたしの大好きな工具楽我聞だから!  
 ・・・あなたが・・・あなたが、好きだから・・・」  
 
このまま身体を預けて、ただ泣いてしまいたい。  
でも、まだ・・・ちゃんと、答えを聞かなきゃ・・・  
 
「・・・だから、教えてください・・・答えてください・・・  
 あなたの本当の声を・・・聴かせてください・・・  
 あなたのこと、ぜんぶ、何もかも、受け入れたいから・・・」  
 
もう限界だった。  
これ以上の気勢は張れなかった。  
また、我聞の胸に身体を預けて、泣いた。  
 
我聞はため息をつくと、陽菜の肩に腕を回し、彼女を抱きしめる。  
そのまま、泣き声が静まるのを待った。  
そして、陽菜の泣き声が聞こえなくなると、独り言のように呟き始めた。  
 
「社長とか、秘書とか、そんなのはただの自分への言い訳だ・・・  
 本当は、今の関係が壊れるのが怖い、それだけだった・・・本当に情けない男だな、俺は・・・」  
「・・・それは、こたえになっていません・・・」  
 
我聞の胸に顔を埋めたまま、陽菜がぼそりと言う。  
手厳しいな・・・我聞は思わず苦笑する。  
 
「正直言うとね・・・俺は、國生さんのこと、これまではっきり女性として意識してなかったよ。  
 ただ社長として、しっかりしなきゃってね、君の前では、そればっかり考えてた。  
 ・・・でも、今は違う。  
 楽しげな君から目を離せなかった。  
 寂しげな君を元気付けてやりたかった。  
 儚げな君を守りたかった。  
 ・・・君のことが、誰よりも、何よりも、愛おしいと思った・・・  
 だから、今、君とこうしているんだ・・・」  
 
陽菜は何も言わない。 ただ、言葉の続きを待っている。  
 
「で、だ・・・さっきのこたえだが・・・・・・・・・・・・・・・・・・抱きたい。」  
 
陽菜の肩が、ぴくっと震えた気がした。  
 
「守りたいとかなんとか、今言ったばかりで何を、と思われても仕方ないが・・・嘘は言いたくない。  
 男だったら誰でもとか、そんなことも言いたくない。  
 俺は、今君を、抱きたい、そう思ってる。  
 こうやってただ抱くだけじゃない、裸にして、君の中に入りたい・・・そう、思っている・・・  
 も、もちろん、無理やりそうしようとか、そんなことは絶対考えてない、絶対に!  
 君が嫌だと言えば絶対にしないし、帰れといえば帰る!  
 ・・・ただ、俺の、本当の気持ちは、こうだ・・・」  
 
「・・・・・・・・・・・・セクハラ社長・・・」  
「!? ・・・・・・んなっ!?」  
 
ただでさえ台詞の後半から引き攣りつつあった顔が、さらに引き攣ってしまった我聞を見上げて、  
陽菜は悪戯っぽく笑っていた。 涙を浮かべたその目は、とてもとても、嬉しそうだった。  
 
そんな陽菜の顔をみて、引き攣っていた顔が徐々に緩み、やれやれといった感じで苦笑を漏らす。  
 
「敵わないな」  
 
そして、そんな陽菜がどうしようもなく、愛おしい。  
ため息をつくと、陽菜の身体をぎゅ、と抱きしめる。  
陽菜は心地よさそうに目を瞑ると、ぼそりと呟くように言った。  
 
「・・・いいですよ」  
「・・・え?」  
 
本当に聞き取れなくて、聞き返す。  
しばし無言。  
大したことはないかと特に気にも留めず、腕の中の陽菜の体温を感じながら、我聞も目を瞑った。  
少し強めに抱いてるから、陽菜の鼓動がうっすらと感じられる。  
それが、心なしか強く、速くなった気がする。  
腕の中で陽菜が動く気配がして目を開けると、陽菜はこちらをじっと、見つめていた。  
 
「・・・いいですよ」  
「・・・え?」  
 
今度ははっきり聞こえた。  
何が・・・えーと・・・その・・・あのこと?  
 
「・・・わたしのこと・・・好きにして・・・」  
「・・・國生さん・・・」  
 
恥ずかしいのを耐えるように、でも決して目を逸らさないで、陽菜は言い切った。  
 
「國生さん、ありがとう・・・でも、無理しなくていいん」  
「無理してません」  
 
決して我聞の目から視線を逸らさず、強く言い切る。  
が、陽菜を抱いている我聞には、彼女が震えているのが既に分かっている。  
確かに、陽菜のことを、抱きたいと、彼女と交わりたいと、思う。強く、思う。  
でも、そういうとき、女性の方に負担がかかるのは我聞とて知っている。  
愛おしい人に、無理はさせたくない、それが我聞の素直な気持ちだった。  
 
少し困ったような、なにより自分を気遣うような、そんな我聞の目を見て、  
陽菜は自分の心を見抜かれているのがわかった。  
 
(いつもは朴念仁なくせに・・・)  
 
それだけ自分を気遣ってくれてるという証だから、それはすごく嬉しいことだった。  
だからこそ・・・彼の思うようにして欲しかった。  
我聞の望むようにしてもらうことが、陽菜の望むことでもあったのだから。  
 
「・・・嘘です・・・ごめんなさい・・・本当は、わたし・・・怖いです・・・すごく・・・  
 でも! それでも! が・・・がも・・・ん・・・さんに、なら・・・!  
 あなたと・・・一つになれるなら・・・あなたがそれを望んでくれるなら・・・  
 わたしも、あなたと、その・・・・・・・・・したい・・・・・・です・・・」  
 
消え入るような語尾だったけど、それでも十分に聞き取ることはできた。  
先程ああ言った手前、社長と呼べないんだろうな、と苦笑する。  
 
よく、据え膳食わぬはなんとやら、とか言うよな・・・ふとそんな格言?が浮かぶ。  
女の子が、恥じらいも恐怖も抱え込んで、それでも自分を求めてくれている。  
それを断るのは彼女を辱めるようなもの、愛おしい相手を辱めるなど、まさに男の恥。  
もう、迷う余地はなかった。  
 
「社長、でいいよ」  
 
柔らかい笑顔を陽菜に向け、そう言った。  
 
「え・・・でも・・・」  
「そんなのはただの呼び名だ、呼びやすい様に、呼べばいい。  
 ・・・いつかは、名前で呼ばれたら嬉しいけどな  
 俺も國生さんのこと・・・陽菜って、呼べたらいいなと思う  
 でも、今から焦らなくてもいいよな、だって、俺たち、その・・・今日から始まったんだ・・・  
 先は、いくらでもあるんだから・・・」  
 
お互いに名前で呼び合えたら・・・想像したら、少し恥ずかしいけど、とても幸せな気持ちになった。  
それに、二人には先がいくらでも・・・  
 
陽菜の感じていた緊張も、恐怖も、消えてしまった。  
この人と知り合えて、好きになれて、本当に、本当に、よかった。  
陽菜は、また潤んできた目を隠そうともせずに、我聞を見つめた。  
 
「はい・・・社長・・・」  
 
そして、二人はまた、キスをする。  
今度は、口を開いたままの、大人のキス。  
 
 
「ん・・・」  
「ぅむ・・・ぅ」  
 
初めてのディープ・キス。  
なにぶん経験のない二人だから、最初から積極的にはできない。  
舌と舌が触れると、互いに思わず引っ込めて、それからおずおずと触れさせていく。  
お互いの舌が絡む感触に、背筋までぞくりと震わせて、離れそうになるのを慌てて押し付ける。  
それでも、こうすることが相手を想うことの証であるかのように、二人は執拗に舌を絡め合わせる。  
唇を吸い、舌を絡ませ、互いの唾液を混ぜ合わせる。  
はじめは恥ずかしさを隠し切れなかった二人だが、いつしかこの行為に没頭していく。  
 
陽菜は、昨晩のことを思い出さずにいられなかった。  
擬似男根を口に含まされ、舌を使った奉仕のことを仕込まれたこと。  
今、実際に口にしているのは、我聞の口、舌。  
でも、その生々しい感触は、昨晩以上の刺激となって身体を駆け巡っていた。  
びくびくと身体が震え、息が荒くなる。  
 
「ん・・・んふ・・・んぅぅ・・・」  
 
陽菜の漏らす声に艶がかかり、それが我聞を昂ぶらせる。  
快楽に震える身体を抑えようとして陽菜の舌の動きはやや緩慢になり、その分だけ我聞の舌が勢いを増す。  
陽菜の唇を貪るように吸い、舌を絡めとり、口内を弄り回す。  
 
「ふーっ、ふっ・・・ふ・・・っ」  
 
我聞に思うさまに口の中を蹂躙されて、陽菜の身体の震えは更に激しくなる。  
びくびくと身体を痙攣させ、背筋を走る刺激に痺れるような快感を感じる。  
 
(ああ・・・わたし・・・社長に、くちのなか・・・犯されてる・・・)  
 
陽菜の中の被虐の花が、開き始めていた。  
犯されてる、そんな言葉を思い浮かべ、さらに陽菜の身体を熱く昂ぶらせていく。  
 
「んむ、んむぅ! ・・・む、むぅぅ・・・っぷぁっ! はぁっ、はぁっ・・・むぶ! ん、んんー!」  
 
息苦しくなって思わず口を離してしまうが、すぐにまた捕われて、再度蹂躙される。  
我聞が陽菜の口内を味わうのに満足して陽菜を開放した時、  
陽菜はぐったりと我聞の胸にもたれかかり、蕩けたような表情で我聞を見上げていた。  
恥ずかしさと愛しさとが混じりあい、それでいて、何処か物欲しげな、そんな表情。  
執拗なキスのさなかにあふれ出たのか、口の端から涎がこぼれた跡が残っている。  
 
誰もが美少女と認める少女が、こんな表情をしていたら、  
しかも、それが普段はクールで知的で、こんな顔をするとは想像もつかない少女であったと知るものなら尚更、  
手を出さずには居られないだろう。  
我聞だって、それは同じだった。  
 
だから、陽菜を、押し倒した。  
 
陽菜をベッドへ仰向けに押し倒すと、我聞は覆い被さるようにして陽菜の首筋に顔を埋め、  
キスを繰り返し、舌を這わせる。  
手は陽菜の胸を探り当て、やや乱暴に服の上から揉みしだく。  
 
「ひゃ・・・や、まって、しゃちょ・・・あ・・・ひあ! や、あ・・・ああ!」  
 
想像してたよりも激しくされて驚きの声を上げるものの、全く抵抗はしない。  
跡が残るくらいの執拗なキスも、胸へ荒い愛撫も、我聞にされていると思うと少しも嫌じゃない。  
ただ・・・  
 
「うぁ・・・あ、しゃちょ・・・ぉ・・・まって、ふく・・・あはぁ! はぁ・・・ふく、ぬがせて・・・ぇ」  
 
我聞は思わずはっとして顔を上げる。  
陽菜のあまりに“そそる”表情に、手順も考えずにむしゃぶりつくように押し倒してしまったのに、今更気付く。  
 
「ご、ごめん、國生さん、俺、焦っちまって・・・」  
「はぁっ、はぁ・・・いえ、あの・・・大丈夫ですから・・・・・・気持ち・・・・・・いいです、から・・・」  
 
そんな台詞に、またも襲い掛かりそうになる衝動を抑えて、陽菜の服に手をかける。  
着ているものがパジャマだったので、脱がすのに苦労はない。  
前のボタンを、上からひとつ、ひとつと外して行くだけ。  
緊張して少し時間をかけはしたが、5つのボタン全てを外し終えると、ゆっくりと前を開く。  
ブラジャーを残して、陽菜の上半身の肌が露わになる。  
それは、とても白く、眩しいほどだった。  
 
「國生さん・・・なんか、すごくえっちく見える・・・」  
「え!?・・・そ、そ、そんな! ・・・恥ずかしい・・・です・・・」  
「・・・合宿のときの水着と、露出はかわらないはずなのにね・・・全然、違ってみえるよ・・・」  
 
あの頃は、陽菜とこんなことになるとは思っても居なかった。  
お互いに勘違いからギクシャクしていて、我聞が陽菜を避けていた頃だ。  
だからしっかり覚えている訳ではないが、健康的な美しさの方が強調されていた白いビキニの水着よりも、  
同じ色で同じ様にしか肌を隠さないブラがパジャマの間から覗く様は、我聞にはどうしようもなくエロティックに見えた。  
 
「あ・・・あれは・・・今でも、ちょっと恥ずかしいんです・・・」  
 
優に説得されて自分で購入を決めたとは言え、男子部員の反応を思い出すと、やはり露出が激しかったなと思う。  
その中で例外的に反応を示さなかった者のひとりが我聞だったのも、今にして思うと少し残念に思ったりする。  
 
「・・・また来年もさ、海にいこうよ・・・この前の合宿は、ほら、なんかギクシャクしてたし・・・」  
「は、はい! えと・・・できれば・・・その・・・」  
「ん?」  
「あの・・・合宿ももちろん行きたいです! でも、それとは別に・・・・・・できれば・・・二人で・・・」  
「・・・ああ、そうだな・・・・・・上手く時間つくって、必ず行こう・・・」  
 
合宿には、別の、もっとおとなしい水着を用意しよう、あのビキニは・・・社長と二人のときに・・・  
状況を忘れて、しばし妄想にふける陽菜。が、  
 
「・・・きゃ!」  
 
我聞の手が、ブラの上から胸に触れ、思わず声を上げてしまう。  
そう、まだもう一枚残っている。  
当然ながらブラなど外したことの無い我聞、さり気無く外してやろうと思いつつも、構造が全然わからない。  
 
「あの・・・うしろ、です・・・」  
 
そう言うと、少し胸を反るようにして上体を浮かせ、背中に手が回るようにする。  
我聞はあわてて陽菜の背に手を入れて、つなぎ目までは探し当てたが、やはり外し方がわからないらしい。  
いやに真剣な表情で、焦りが滲み出ている我聞に思わず笑い出しそうになるのをこらえて、  
自らの手も背中に回し、我聞の指を導くようにして、ホックを外した。  
 
あとは軽くずらすだけでブラは外れ、陽菜の胸は我聞の目の前で露わになった。  
小ぶりだけど、形のいい双丘。 触らなくても、その弾力に溢れる感触が分かるようだった。  
母親以外ではじめて見る成長した女性の、美しく均整のとれた胸に、  
我聞は我知らず、ごきゅ、と喉を鳴らして、改めて見入ってしまう。  
 
一言も発せずにただただ胸をじっと見られつづけては、陽菜としては流石に恥ずかしくて溜まらず、  
思わず両腕で覆ってしまう。  
 
「あ、あの、社長・・・そんなに見られたら・・・わたし・・・恥ずかしすぎます・・・」  
「あ! ・・・わ、わるい、その、すまん! あんまり綺麗というか、可愛いというか・・・  
 ついつい、見とれちゃって・・・」  
「・・・・・・どうせ小さいですよ・・・」  
 
可愛い、とはもちろん我聞の素直な感想だし、そしてもちろん誉め言葉のつもりだったが、  
陽菜は拗ねたように口を尖らせる。  
 
「え・・・あ、その・・・悪い、全然そう言うつもりじゃないんだが・・・・・・・・・・・・気にしてた?」  
「べ、別に! 大きくったって、邪魔なだけですから!  
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・社長も・・・大きい方が・・・いいですか・・・?」  
 
口を尖らせたまま、じぃっと我聞の顔を睨むように見つめ、無言のプレッシャーを発しているかのようだった。  
心の中で苦笑して、下手なことは言えないな・・・と思い、代わりに手を出す。  
 
「・・・きゃ!?」  
 
こそっと腕を伸ばすと腕のガードの下から手を潜らせて、両手で陽菜の胸をぐにぐにと揉みしだく。  
 
「ひゃ・・・や、あ! しゃ、しゃちょ、まだ、あん! や、はぁ・・・あぅ・・・しゃちょ・・・おぉ」  
 
まだ質問に答えてもらってない―――そう言いたいのだが、強く揉みしだかれて、  
身体の芯まで快感が走るようで言葉が上手く紡げない。  
 
「さっき服の上から触ったときに思ったんだけどさ・・・」  
「は・・・ぁあ! ・・・は、は? ひゃい・・・うぁ、ふああ!」  
「國生さんの胸って、こうやってさ、俺の手に、すっぽり収まるんだよね・・・丁度ぴったり・・・ほらね」  
「は・・・あぁ・・・ん・・・きゃふ・・・あ・・・ほん、と・・・あ・・・」  
 
少しだけ胸を揉む力を緩くして、胸全体に掌を被せるようにして、掌全体で軽く捏ねるようにする。  
昨晩の優の愛撫に比べると稚拙で無骨だが、力強くて何と無く暖かくて、とても心地よかった。  
 
「だから、さ・・・大きいとか小さいとか関係なくて・・・俺は、國生さんの胸、大好きだよ・・・」  
 
それだけ言うと、もう少し強く陽菜の胸を捏ねまわし始める。  
思ったとおり、陽菜の胸の弾力は素晴らしく心地よく、それを掌全体で味わいながら、  
時々指先を乳首に掠めてやる。  
 
「ふああぁ! そんな・・・ああ! ひあ・・・うれしい、です・・・」  
 
我聞の言葉で心が緩んだか、さっきより感じているようで、身体を捩り声を上げる。  
自分の愛撫で陽菜が感じてくれているのに安心すると、我聞は更に不意打ちをかける。  
 
「んあ、ああぅ! ひぁ・・・え!? や!ちょ、ちょっ、しゃちょ、や、ま、まって、あ、やああ!  
 だめ、ちょ、うぁああ! ひゃ、なめちゃ、だめっ! ふぁあ! むね、すっちゃ、やあああ!」  
 
ちゅ、ちゅぱ・・・ちゅる・・・  
 
胸の麓から舌を這わせ、乳首もろともその頂上を口に含むと、  
すっかり尖っている乳首を舌先で執拗にねぶり、強めに吸い上げる。  
 
「うああ! らめ、むねぇ・・・とけちゃ、とけちゃいますっ! もう、や、ひゃああ!  
 あ、ぅああ! や、もう、ああっ! しゃちょおっ! これ、こんな、きもちっ、よすぎてぇ! うぁ・・・」  
 
あられもない声を上げ、切なげに自分を呼ぶ陽菜に、我聞の身体も昂ぶってくる。  
そんな若い欲望の赴くままに、陽菜のもっと深いところを求め、肌を伝い空いた手を滑らせていく。  
 
半ば快楽の波に呑まれかけていた陽菜も、その手の感触ははっきりとわかった。  
その手の向かう先が、今、我聞の為すがままの胸よりも、さらに敏感なところだから。  
 
「や! しゃちょおっ、そこ、そこはだめ、だめえ! まって、や、いや! ひゃ! だめ! さわらないでええ!」  
 
取り乱したように、必死になって叫ぶ。  
敏感になりすぎてるから、というのもある。  
でも、それ以上に知られたくないことがあった。  
 
パジャマの上ははだけさせたが、下の方はまだズボンもパンツもつけたまま。  
だが、我聞の指は構うことなく下着の下へと滑り込む。  
いや、滑り込もうとして、途中で止まる。  
・・・そこは、じっとりと・・・いや、びっしょりと、湿っていた。  
パンツだけでなく、パジャマのズボンまですっかり濡れてしまって、シーツにも染みができている。  
 
「國生さん・・・凄く濡れてる・・・」  
「ひあぁ・・・しらないっ、や、あぅ・・・あ! しらない・・・です・・・ぅぅ」  
「胸弄られて、感じちゃったんだね・・・國生さんの胸、凄く敏感なんだ・・・やっぱり、可愛い・・・」  
「そ、そんなぁ・・・ち、ちがいま・・・あぅ! ひゃああ!」  
 
我聞の口から片方の胸を開放されて、喋る余裕はできたものの、あまりの恥ずかしさに顔は更に紅潮している。  
本当は、我聞とのディープ・キスの時から既に濡れていた。  
舌で口の中を犯されている感覚、それだけでもう既に、身体は昂ぶってしまったのだ。  
 
(やだ、どうしよう・・・社長にも・・・えっちな娘だって・・・はしたない娘だって・・・思われちゃう・・・)  
 
昨晩何度も優に指摘されて、何度も恥ずかしい思いをさせられた。  
我聞にまでそういう目で見られてしまったら・・・考えると恥ずかしくて死んでしまいそうだった。  
 
「・・・國生さん、俺のこと、こんなに感じてくれてるんだ・・・嬉しいな・・・」  
「ぁあ・・・あぅぅ・・・ んぅ・・・・・・へ・・・?」  
「俺、えーと、初めてだから、さ・・・國生さんに、痛いとか、気持ち悪いとか、苦しいとか・・・  
 嫌な思いさせてたら、悪いなと思ってたんだが・・・」  
「あ・・・! その・・・だ、大丈夫、です・・・その、あの・・・すごく・・・・・・きもち・・・いいです、から・・・あの、  
 社長に、その、されて・・・こんなに、なっちゃうくらい・・・・・・」  
 
最後は消え入りそうな程の小声で、それでも正直に答えてしまう。  
 
(なんで・・・こんなに恥ずかしいのに、フォローしてるんだ・・・わたし・・・  
 わたしの・・・恥ずかしいところ・・・変な風に言わないで、喜んでくれたから・・・かな?)  
 
相変わらず恥ずかしくてたまらないけど、なんだか安心できた気がする。  
そして、相変わらず自分を思いやってくれる我聞に、ついつい自分もそうしてしまうのだろう。  
そんな気持ちのやり取りを思うと、ちょっと嬉しい気分になれた。  
 
「じゃあ・・・続き、するよ・・・」  
「え・・・ひゃ! やああ!」  
 
陽菜の言葉に安心したのと、何よりもこれだけの蜜を滴らせる ”そこ”へ早く触れてみたいのとで、  
我聞は陽菜の返事を待たずに手を進め、蜜の絡まる薄い恥毛を擦り下げて、蜜の源泉へ手を添えた。  
びくんっ、と陽菜の身体が震える。  
指で秘裂を探り当てると、表面をなぞるように2、3度上下に指を滑らせてみる。  
 
「ひ!・・・や、ひあ!・・・ぁ・・・ぁああ!」  
 
動かす指に少しずつ力を加えて、徐々に徐々に指を秘唇の間に埋めてゆき、  
秘裂に溜まった蜜を掻きだすように上下動を繰り返す。  
 
「やあっ! しゃちょっ、だめ! そこ、そんな、ひゃあああ! つよっ、ふああ! つよく、しちゃ、だめぇ!」  
 
いちばん感じやすいところをぐりぐりと責められて、身体中がびりびり痺れるように感じてしまう。  
指の動きに合わせて身体はびくびくと震え、声が抑えられない。  
 
我聞には陽菜の声が聞こえてはいたが、責めを弱めることはせず、むしろ、今度は指の動きを速め始める。  
指先を包む、生温かくぬめるような感触はどうしようもなく淫靡で、  
それがいつもクールな陽菜のスーツの、あるいは制服のスカートの下に隠されていたと思うと、  
我聞は興奮せずにいられなかった。  
指の動きを速くして、秘裂の蜜を掻きだしても掻きだしても、絶えず溢れ出すそれは決して尽きることはなく、  
ただ陽菜の身体と声だけが、激しさを増すばかり。  
 
「らめ、らめらめらめぇ! ひゃああ! つよ、うぁああ! つよすぎますっ、こんな、ああっ! こんなのっ!  
 や、いやあ! だめ、らめえ! しゃちょお、おねがっ、もっと、よわっ、ひあああ!」  
 
いつもスーツに身を包み、凛とした表情で仕事をこなす陽菜と、  
今、自分の手によってあられもなく乱れ、はしたなく声を上げる陽菜。  
表と裏のような、二つの陽菜像が重なって、そのギャップに、我聞の胸にぞくりとするような感情が湧き立つ。  
 
(もっと・・・國生さんの乱れるところが見たい・・・えっちな声が聞きたい・・・)  
 
もう、止まらなかった。  
更に指を速く、強く動かし、舌と口を使った胸への責めも再開する。  
 
「ぃひっ!? ひゃ、らめ、ほんとらめ、もう、ああ、うあああ! むね、むねもだめぇ!いや、きちゃう!  
 もう、ああ、あああ!ひ、ひゃちょおっ! もう、や、あ、ほんとに、きひゃ、きちゃいますうう!」  
 
乳房を甘噛みし、乳首を吸い上げ、舌先で転がし、軽く歯を立てる。  
秘裂を弄る指はそのままに、他の指で秘唇を撫で摘み、肉芽を指先で軽く捏ねる。  
くちゅ・・・ぐちゅ・・・にちゃ・・・  
濡れそぼった下着とパジャマに阻まれてなお、秘所からはくぐもった水音が聞こえる。  
 
「きひゃ、や! あ! うあああ! らめ! しゃちょ、もう! あ、ああ! くる、きちゃ、ああああ!」  
 
身体は常に細かく痙攣しながら、びくんびくんと跳ね続ける。  
陽菜の叫びにも近い喘ぎと動きから、半ば本能的に限界が間近だと悟ると、用意していたとどめを陽菜へ与える。  
 
つぷ。  
 
秘裂を弄りつづけていた指を、尽きること無い蜜の源泉に、第一関節のところまで、突き入れた。  
 
「ぅああ、もうっ! ほんと、きちゃ、う――――――――!?  
 ひっ・・・・ひゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁあっぁああああぁあ!!!」  
 
ついに絶頂を迎えた陽菜は、限界まで背を仰け反らせて上体をベッドから浮かせ、  
かん高く快楽の悲鳴をあげながら、がくがくと激しく痙攣する。  
それは、我聞が自分の指を締め付ける陽菜の秘所の感触に満足し、指を引き抜くまで続いた。  
 
数秒のあいだ絶頂の高みに捕われ続けた陽菜は、そこから開放されると糸の切れた人形のように脱力し、  
仰向けにベッドへ倒れこんだ。  
絶頂の余韻で身体はびくびくと痙攣し、甘い痺れがまだ全身を覆っている。  
荒い息をつきながら、陽菜はその余韻に浸っている。  
 
(イっちゃった・・・社長の前で・・・社長に、イかされちゃった・・・あんなに大きな声を出して・・・)  
 
たった今の出来事を、回想する。  
イヤだって言ったのに、どんどん強く、あそこを擦られて・・・胸も溶ける位に舐められて、吸われて・・・  
それで、少しだけ指を深く、いれられて・・・  
かぁっと、顔が真っ赤になるのが分かるくらいに、恥ずかしくなる。  
慌てて回想を振り切って、少しだけ醒めてきた身体の方へ意識を戻すと、顔を覗き込んでいる我聞と目が合った。  
 
「わ・・・しゃ、しゃちょ・・・」  
「國生さん・・・大丈夫?」  
「あ・・・あの・・・ひあ・・・あ! は、はい!」  
 
(呂律が!呂律があ!!)  
 
「あは・・・気持ち、よかった・・・?」  
「え・・・あ、あの・・・恥ずかしい・・・かった・・・です・・・・・・」  
「・・・・・・イヤだった?」  
「え、そ、そんな! あの、イヤじゃ・・・なかった、です」  
「そ、そか、よかった・・・」  
 
昨日は、何度も何度もイかされてしまった。  
身体は気持ちよくなかったといえば嘘になるけど、  
気持ちでは絶対に受け入れたくなかったから、行為の間中はずっと泣き通しだった。  
今日は・・・凄く恥ずかしかったけど、身体も、気持ちでも、感じるままに受け入れることができた。  
我聞にイかされて、嬉しいとすら、思えた―――恥ずかしいから言葉にはできないが。  
 
そんなことを思って、少し照れながら、陽菜はその相手に目を向ける。  
その相手―――我聞は、なにやらそわそわしているように見えた。  
 
「社長? どうかなされましたか・・・?」  
「あ、いや、その・・・  
 ・・・続き、していい、かな・・・」  
 
(続き・・・でも、もうあと、することって・・・)  
 
陽菜のそこは、もう十分過ぎるくらいに湿っている。  
それではじめての痛みが和らぐかどうかわからないけど、でも、準備はできてしまっている。  
あとは、もう・・・  
 
怖い?  
正直、怖い。  
やっぱり、嫌?  
それは違う。全然嫌じゃない。  
じゃあ、覚悟を決めなさい、わたし。  
 
「・・・社長」  
 
どきどきする。  
でも、これで・・・社長と一つになれる・・・  
覚悟は、決まった。  
 
「・・・優しく、してくださいね」  
 
我聞の手がパジャマにかかり、下着と一緒にずるりと下ろす。  
ぐっしょりと濡れた下着から開放され、秘所が外気に晒されて、その冷たさにぞくりと震える。  
その動きを察知したか、我聞の手が一瞬だけ止まるが、何事もないと見ると作業を再開しする。  
陽菜は全く抵抗せず、パジャマは下着ごと足から引き抜かれる。  
もう下半身を隠すものは無く、陽菜は父親以外の男性に初めて、その秘所を晒した。  
 
「こんな風になってるんだ・・・」  
 
先程散々に指で弄り倒しはしたものの、女性器として完成したそれを見るのは初めての我聞は、  
またしても思わずそこに見入ってしまう。  
 
「そ、そんな、じっくりみないでください・・・」  
 
恥ずかしさは胸を見られるときの比ではない。  
自分でだってそんなまじまじと見たことは無いのだ。  
そんな陽菜の声が聞こえていないのか、我聞は陽菜のそこへ顔を寄せる。  
 
「ちょ、ちょっとしゃちょ・・・ひぁあ!」  
 
膝の少し内側あたりのところへ軽くキスをすると、そのまま舌を上へと滑らせていく。  
ゾクゾクとするような快感に陽菜が怯んでいる間に、舌は足の付け根へ辿り付き、秘所へ至る。  
 
「やっ! そ、そんな急に、や、あ、あ! いひゃあああ!」  
 
我聞の舌は秘唇の縁を沿うように舐め、肉芽の先端を軽くつつき、秘裂をえぐり、口を当てて蜜を吸う。  
 
「ひゃああ! だめっ! そんな、とこっ、きたなっ! や、やああ! らめ、ひゃあああ!  
 すわっ、吸わないでぇえ!」  
 
さっきまでの硬くて力強い指とは違う、温かく柔らかい舌の感触が、陽菜を簡単に高みへと導いていく。  
我聞にそこを舐められている―――そんなどうしようもなく恥ずかしい状況が、一層淫らな気分を盛り上げる。  
 
「や! ああぁ! らめ、や、もうっ! ほんと、あああ! また、また、い、イっちゃいます、やああ!」  
 
―――と  
つと、我聞の顔が陽菜の足の間から離れる。  
上り詰める途中でいきなり放り出された陽菜は、状況が飲み込めず、ただ身体を持て余す。  
 
「は・・・はぁっ、はぁ・・・しゃ、社長・・・? あ、あの・・・」  
 
(もう少しなのに・・・なんで・・・もっと、もっとして欲しいのに・・・)  
 
口にはとても出せないはしたない思いが、それでも口に上ってしまいそうなほどに、身体が疼く。  
そんな陽菜の紅潮した顔を見て、我聞はうなずいたようなそぶりをすると・・・  
 
「國生さん・・・じゃあ、その・・・準備は大丈夫そうだし・・・するよ・・・」  
 
そう言って、自らの服を脱ぎ始める。  
 
ああ・・・そういうことか・・・  
一度イっちゃって、すこし醒めた私の身体を、また・・・  
初めての心細さが、その気遣いでどれだけ救われるか。  
改めて陽菜は思った―――この先どんなことになろうとも、絶対に、絶対に今日のことは後悔しない、と。  
社長と一緒なら、どんなことになっても、大丈夫だから、と。  
 
我聞が全て脱ぎ終えて、陽菜へ向き直ったとき、陽菜もはだけさせたままだったパジャマを脱いでいた。  
一糸纏わぬ姿となった二人は、互いに照れを隠せなかったが、それでもそのまま、抱き合ってキスをした。  
互いの肌で互いの肌を感じながら、互いの手で互いの髪や首筋や肩、背中から腰まで撫であい、  
その間ずっと、唇を離さなかった。  
 
我聞の背中は、思っていたよりずっと広かった。  
体格は決して大柄じゃないけど、鍛えられた筋肉で引き締まった身体は、凄く頼りがいがあるように思えた。  
触れるだけで分かる傷跡が、たくさんあった。  
私を庇ってつけた傷もいっぱいあるんだろうな・・・。  
そう思うと、そんな傷の一つ一つまでが、愛おしく思えて、その傷跡を指先でなぞった。  
 
陽菜の背中は、思っていた以上に華奢だった。  
いつも厳しくて冷静で、危険な仕事のさなかでも毅然とした態度を滅多に崩さない陽菜のことを、  
実在の彼女より大きく強い存在として見ていたのかもしれない。  
少し力を込めたら折れてしまいそうな細い身体は、風に吹かれ危なげに揺れる、一輪の花を思わせた。  
腕の中のその小さく可憐な花を、傷つけないギリギリの力で、強く抱いた。  
 
この背中に、ずっと身体を預けていられたら・・・  
 
この背中を、ずっと守ってやりたい・・・  
 
そんな気持ちが、軽いくちづけを少しずつ過激にしていく。  
口を広げて入ってくる我聞の舌を受け入れるように自分の舌で絡めて、  
あとは好きなようにさせる。  
我聞の舌が自分の口内を蹂躙する感覚が、たまらなかった。  
守りたいはずの相手の口内を陵辱するような行為が、背徳的な昂ぶりを加速させた。  
 
そうして、二人が唇を離したとき、  
心も身体も、最後の準備を終えていた。  
 

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