「ン・・・ぁ・・・」  
 
陽菜の意識は、朦朧としていた。  
おそらくベッドのようなものに仰向けに横たわっているのだが、いまいち感触がはっきりとしない。  
 
(ここは、どこだろう。)  
 
自分の部屋・・・とも思ったが、風景が曖昧で、はっきりと分からない。  
周囲を見回そうとしても、身体がうまく動いてくれない。  
ただ、とても自分が疲労していることだけはわかった。  
身体も、心も、酷く消耗している気がする。  
そして、身体が変に火照っている気がする。  
 
(わたし、何をしていたんだっけ・・・)  
 
重い頭を無理やり働かせて、なんとか思い出そうとする。  
少しずつだが、記憶の片鱗のようなものが戻ってくる気がする。  
戻ってくるにつれて、目の前の、仰向けになった自分の上に “なにか”が現れてくる。  
ゆっくりと時間をかけて、その “なにか”が人影であると分かったとき、  
同時に自分が全裸であることに気付く。  
 
(や・・・恥ずかしい・・・)  
 
そう思うと同時に、胸の先端に、かすかな刺激を感じる。  
その刺激は、やはりかすかであったが、甘い痺れとなって陽菜の身体を巡る。  
 
(・・・んぁ・・・ぁ・・・)  
 
恥ずかしい、でもこの刺激とこの痺れは、覚えている。  
少しずつ、しかし確実に強くなる刺激と痺れ、そして同時に輪郭をはっきりとさせる人影。  
 
ほとんど顔が動かせないこともあり、かろうじて頭部くらいしか確認できないが、人であることは間違いない。  
しかし、その顔はなかなかはっきりせず、男性か女性なのかもわからない。  
ただ、刺激と痺れだけは着々と強さをましている。  
 
「ん・・・ぁぁ・・・だ・・・だれ・・・ゃ・・・」  
 
甘い痺れに浮かれながら、それでも目を凝らしてみるが、はっきりしない。  
いや・・・  
混ざっている。  
誰かと誰か、女性と男性。  
どちらにもきっと見覚えはあると思う。  
 
(誰が・・・こんなこと・・・)  
 
その顔、陽菜に覆い被さり、一方的に快楽を注ぎ込む主は、  
再び身体が火照りきって、心が昂ぶり尽くした時に、やっと像を結んだ。  
年長の同僚の女性、  
そしてその奥に、薄らと、もうひとり男性の姿が映った。  
 
「ゆう・・さん・・・・・・しゃちょ・・・ぉ・・・」  
 
 
がばぁっ!  
夢から醒めた陽菜は、ベッドから一気に上体を跳ね上げ、そしてぐらりと倒れこんだ。  
さっきまでよりは随分身体が動くが、まだ完全に自由にとは言い難い。  
 
そして、全て、思い出した。  
優とお酒を呑み、どうやら呑みすぎて、恥ずかしいうわごとを発していたと言われ、  
必死に否定したら、 “お仕置き”をされたのだ。  
・・・思い出したくもないくらいに、淫らなお仕置きを・・・  
 
陽菜の顔が真っ赤に染まり、身体が小さく震え始める。  
優のことが、信じられなかった。  
これまでは、職場の先輩後輩として、うまくやってこれていたと思う。  
同じ女性同士ということで、相談ごとをもちかけることもあったし、気を使ってもくれていた。  
だからこそ信頼し、気を許し、そして何ら警戒することなく今晩も部屋へ招き入れたのである。  
それなのに・・・  
優の言い分では、悪いのは素直にならない陽菜だし、そもそも自分が酔い潰れさえしなければ、こんなことは起こらなかった。  
 
(でも・・・でも・・・)  
 
ここまでされる必要があったのか。  
ここまでされなければならない程のことをしたのか。  
無理やりに半裸にされて、身体を弄ばれ、その上・・・。  
しかも、女同士で、なのに。  
 
確かに気を使ってくれてはいた。  
ファーストキスを気遣って唇を合わせては来なかったし、下半身までは手も伸ばさずにいてくれた。  
でも、それでも・・・  
 
「優さん・・・酷いです・・・あ・・・あんまり、です・・・」  
 
そのときの恥ずかしさ、怖さ、情けなさを思い出し、涙すらこぼれてくる。  
 
「どうして・・・どうして・・・」  
 
徐々にその声に嗚咽が混じり始めたとき  
 
「うーん、やっぱりはるるんが余りにもかわいかったから、かな〜、な〜んて♪」  
「――――――っ!!!」  
 
カーテンで仕切られた廊下の奥から、その声は聞こえてきた。  
もう、帰ったと思っていた。  
もう、これ以上はなにも起こらないと思っていた。  
でも、そこにはまだ、いるのだ。  
ガタガタと震える身体を懸命に動かし、毛布を引き寄せて身体を隠し、ずるずるとベッドの奥の壁際へと下がる。  
それで何が変わるか。何も変わらない、それは十分わかっている。  
だがそうせずには居られなかった。  
 
足音が近づき、カーテンが開き、声の主―――森永優が、部屋へと入ってきた。  
相変わらず笑ったような顔をしているが、それは、嗜虐の笑みなのだ。  
壁際でガタガタと震え、目尻に涙を浮かべ、小動物のように怯える陽菜を見て、優は満足げに微笑み、更に歩を進める。  
 
「ど・・・」  
「んー? どうしたの、陽菜ちゃん?」  
「・・・どうしてっ!」  
「んん?」  
「どうして、あ・・・あんなこと・・・あんなことをするんです!」  
 
ただもう怯えるだけかと思っていたが、意外にも、陽菜の心は完全に折れてはいないらしい。  
だが、それを受けて、優は却って嬉しそうに微笑むだけだ。  
 
「だーかーら、はるるんがあんまり可愛かったし、それに、お姉さんの言うこと聞いてくれなかったし、ね〜」  
「そんな・・・そんなことで・・・酷い・・・酷すぎます!」  
「え〜、でもそんなこといって、陽菜ちゃんさ・・・  
 
 気持ちよかった、でしょ?」  
 
「え・・・! あ・・・ぁ・・・」  
「あんなに声上げて、感じまくってたよね」  
「そ・・・そんな・・・こと・・・」  
「最後はちゃーんと、イっちゃったしね〜♪」  
「・・・いや・・・いわないで・・・いやあっ!」  
 
そう・・・  
あれだけ嫌だったのに、怖かったのに、恥ずかしかったのに・・・!  
陽菜は、優の愛撫で感じ、昂ぶり、絶頂を迎えてしまったのだ。  
考えたくなかった、それを考えたら自分の抗議は全て戯言になってしまう。  
でも、それは、事実。  
 
陽菜は両腕で頭を抱えてベッドの端にうずくまるようにして、何度も何度も頭を振る。  
その目からは涙がぼろぼろとこぼれている。  
 
「・・・ぅ・・・うぅぅ・・・ぅぅ・・・・」  
「そんなに泣かなくてもいいじゃない、女の子は誰だってああされたら気持ちよくなるんだから、仕方ないの!  
 ・・・ま、たしかに、はるるんはちょーっと、ビンカンかもしれないけどねっ」  
 
優の口調はあくまで普段のように軽かったが、その言葉は鋭い刃となり、陽菜の心を刻む。  
認めたくない現実と、優の舌鋒から懸命に逃れようとするかのようにうずくまり、頭を振るばかり。  
 
「・・・・・・帰ってください・・・」  
「ん〜? 折角陽菜ちゃんのことが心配で戻ってきたのに、酷いことをい・・・」  
「帰ってください! お願いです・・・、もう帰って!!」  
 
嗚咽を漏らしながら、ほとんど叫ぶかのように言い放った。  
もう、ひとりにして欲しかった。  
何も考えたくなかった。  
だが・・・  
 
「残念だけど、それは却下、だねっ!」  
 
声が近い。  
優はいつのまにか、ベッドの傍まで来ていたのだ。  
ハッとして、陽菜は身体を硬くしようとして・・・  
 
がばっ、と。  
一気に毛布を剥ぎ取られてしまった。  
 
「ひ・・・い、いやぁっ!」  
 
陽菜の露出したままの胸が顕になり、優の目の前に晒される。  
先ほどの行為がより鮮明に思い出され、さらに激しく震えだした陽菜のあごにつぃと指をかけ、  
優は陽菜の顔を強引に自分に向けさせ、台詞の続きを吐く。  
 
「だって、陽菜ちゃんばっかり気持ちよくなっちゃて、わたしはまだぜーんぜんなんだもんね〜  
 これって、不公平じゃな〜い?」  
 
 
まだ・・・続けるの・・・?  
また・・・するの・・・?  
陽菜の心は絶望の淵に落ちてゆく。  
 
「それにさ・・・」  
 
あごに当てた手とは別の手が陽菜の首筋を撫ぜると、これまでの震えとは違う震えが、少しだけ、身体を走る。  
 
「陽菜ちゃん、まだ、足りないんじゃない?」  
 
どきん  
一つ、いやに大きく心臓が鳴った、そんな気がした。  
 
(足りない・・・何が・・・そ・・・そんなことない、足りなくなんてない!)  
 
「身体の火照り、まだ収まってないんじゃない?」  
 
必死で否定しようとした、声に出そうとした、だがその前に、言葉は陽菜に届いてしまう。  
身体が、意識してしまう。  
 
(ちがう・・・ちがう! そんなこと、そんなこと、ちがう! 絶対に・・・ぜったい、に・・・)  
 
「胸だけでイっちゃえるくらいにエッチなはるるんだもんね、ちゃーんと下の方も弄ってあげなきゃ、  
このままじゃ何時になっても眠れないよね!」  
 
意識が、下へ向かう。  
疼いて、疼いて、それでも触られるはなかったから、一度は意識から外すことができた。  
でも、もう駄目。  
開放されることなく溜め込んだ火照りが、疼きが、  
陽菜の心と身体を、覆い尽くす。  
 
「い・・・いや! 優さん・・・お願い、お願いです!  
・・・お願いだから・・・もう、やめて・・・せめて今日は、もう・・・お願いです・・・」  
 
そんなところまで責められたら、いったいどうなってしまうのか。  
想像がつかない、否、考えたくもない。  
自分が、自分でなくなってしまう。  
・・・こわかった。  
昨日まで自分として認識していた心と身体、それが、こんなにも自分を裏切り、辱めた。  
信じたくなかった。  
この、望まない快楽を受け入れてしまう心と身体、それが本当の自分だという現実を突きつけられつつあった。  
本当に、これ以上されたら・・・どうなってしまうんだろう・・・。  
 
優は、応えず、かわりに、手にもっていた箱をベッドの上に掲げるように差し出す。  
いつの間にこんなものをもっていたんだろう? 視界には入っていたが、陽菜に気付く余裕はなかった。  
その箱を空中でひっくり返すと、ベッドの上に、ぼとぼとっ、と、いくつかの “何か”が落ちる。  
 
「遠慮なんてしなくていいのよ〜?  
 今晩は、はるるんとついでにこのお姉さんが、完全に満足できるまで、遊んであ・げ・る♪  
 ・・・このおもちゃを使って、ね」  
 
おもちゃ・・・  
見覚えのないものばかり・・・けど・・・  
わかる・・・あまりに卑猥なカタチをしたあれは・・・  
・・・私をまた、責めたてるものだ  
 
「えっちなはるるんなら、どれもみーんな、お気に召してもらえると思うな〜  
 さ、夜はまだまだこれから! お姉さんと、楽しみましょう・・・」  
 
そう言って迫る優に抗う気力は、陽菜には残ってはいなかった。  
 
観念したようにうなだれる陽菜をみて満足げにうなずくと、  
優はおもむろに服を脱ぎ始める。  
衣擦れの音に顔を上げた陽菜が、驚いて声をかける。  
 
「優さん・・・? なにしてるんです・・・?」  
「んー? さっきも言ったでしょ?  
 陽菜ちゃんばっかり気持ちよくなっちゃって、わたしはずーっと欲求不満なんだからね。  
 こ・ん・ど・は、私もちゃーんと楽しませて貰わないとね!」  
「は・・・はぁ・・・」  
 
いまいち優の意図が呑み込めず、混乱しながら、優の着替えを目で追っていく。  
既にシャツは脱ぎ終え上半身はブラだけ、そして今、ジャージのようなズボンも脱ぎ終えた。  
続いてブラを外そうとする手の動きを追い、そこで目がとまる。  
年上とはいえ、自分より遥かに豊かな胸。  
いちいち他の人と比べたことはないけど、明らかに平均以上のサイズだと思う。  
・・・“小さいから敏感”“手のひらサイズ”  
そんなことを言われた気がする。  
それまで全然気にしたことはなかったし、体術を使うときなど、この方が都合が良いはずだった。  
だが、散々に弄ばれ、それがどんなものか意識してしまったせいか、つい気になってしまう。  
 
(男性は女性の胸は大きい方が好き、ってよくいうけど・・・)  
 
優がブラを外すと、その豊かな胸が柔らかそうにぶるんっ、と揺れる。  
陽菜は思わず自分の胸に手を当て、おずおずとその感触を確認してみる。  
 
「ん・・・っ」  
 
硬い、とはいわないけど、張りがあるし、  
優と同じようにしても揺れる、というよりは震える程度にしか動いてくれないだろう。  
 
(社長も・・・胸の大きな人の方が好き・・・なのかな・・・)  
 
「おや〜、陽菜ちゃん、もしかしておっぱいのこと、気にしてるの〜?」  
「えっ!」  
 
自分の胸に視線を落としているうちに、今度は優がこっちを見てニヤニヤしている。  
さっき、少しだけ声を出してしまったから、それを聞かれてしまったのかもしれない。  
 
「そ、そそそ、そんなことありませんっ!」  
「ふぅん、でも大丈夫よ、優さん調べによると我聞君はおっぱいの大小への思い入れは低いから!」  
「・・・そうですか・・・」  
 
少しだけほっとしたように言ってから  
顔がいきなり真っ赤になる。  
 
「ってななな、なんで、しゃ、社長がでてくるんですかぁ!」  
 
考えを読まれてしまったかのような恥ずかしさで、勢いよく言ったが、  
すぐにまた、その表情が曇る。  
優がパンツも脱ぎ、全裸になっていた。  
もう、準備は済んでしまったのだ。  
 
また・・・はじまる・・・  
 
「ねぇ・・・陽菜ちゃん?」  
「・・・」  
「胸のことね、少しはなんとかなるかもしれないよ?」  
「・・・え?」  
「だってね、今夜これから、お姉さんがいっぱいい――――っぱい、揉んであげるから・・・ね?」  
 
一糸纏わぬ姿となった優が、ベッドに乗り、陽菜に近づいてくる。  
もともとベッドの端の壁際でうずくまるような態勢だった陽菜には、少しも逃げ道はない。  
優は、持参のおもちゃにはとりあえず触れずに陽菜の横に座り、その頬を撫でた。  
 
「ん・・・・・・」  
 
少しだけ声を出しただけで、陽菜は顔をそむけるように首をひねり、身体を硬くする。  
指先で頬から首筋、鎖骨あたりを撫でるように触れ、耳の傍に吐息を吹きかける。  
 
「っ・・・・・・ん・・・」  
 
さらにその指が下がり、陽菜の小ぶりの胸を包みこみ、優しく揉みしだく。  
 
「ふ・・・ぁぁ・・・ぁ・・・んふぅっ」  
 
顔はそむけたままだが、声は抑えられなくなってきている。  
胸が敏感なのは間違いないようだ、が・・・  
 
(さすがにクスリの効き目も切れてきたみたいねぇ、さっきはこれでもうびくんびくん震えてたもんね・・・)  
 
クスッと笑って、胸への愛撫を止める。  
陽菜はすこしだけ安堵して、はっとしてだらしなく緩みつつあった口元を引き締める。  
 
(感じちゃだめ・・・だらしない声あげちゃ・・・だめ・・・)  
 
優が陽菜の悶え乱れる姿を “かわいい”と言い、楽しむなら、そんな姿を見せなければいいのだ。  
そう心に決め、必死で耐えようとする。  
そして、さっきよりも耐えられていると思っている。  
実際はクスリの作用が切れてきたからなのだが、目の前で同じモノを優が飲んでいるのを見ているため、  
それがクスリだとは気付けていない。  
 
(でもね、そんな健気な姿も、そそるのよ・・・)  
 
そむけてはいても少し覗き込めば、陽菜が必死で快感に耐えている表情が見て取れる。  
陽菜のような “お堅い”娘のそんな表情は、優でなくともその嗜虐心を煽られるに違いなかった。  
優は自分の足と足の間が、きゅんっと鳴ったように感じた。  
さっきパンツを下ろした時に、思った以上に自分のそこは濡れていた。  
この昂ぶりを静めたいがために、クスリの切れつつある陽菜に追い討ちをかけることにしたのだ。  
 
「ねぇ・・・陽菜ちゃん・・・」  
 
優の手が陽菜の手を取り、それを自分の方へと引いていく。  
まだ完全にいつもの調子ではなく、陽菜は優のされるがままで、そむけていた顔を不安そうに自分の手に向ける。  
 
「わたしのこと・・・たのしませて・・・」  
 
そう言って、陽菜の手を己の肌に触れさせ、さらに下へと引く。  
臍のくぼんだ感触があって、それでも更に下へ向かう。  
 
「ゆ・・・優さん、ちょっと・・・な・・・」  
 
その先を言う前に、陽菜の指は “そこ”へ到達した。  
やや濃い目の恥毛の感触を通り抜けたその先は、じっとりと湿った熱気を帯びていた。  
そこを・・・優の秘所を、陽菜の指で自ら弄りだす。  
 
「や・・・やだ・・・やめてください!」  
 
そこはますます濡れはじめ、すぐに “にちゅ、くちゅ”と、音を出し始める。  
 
「だめ・・・よ・・・んっ、うふふっ、はるるんの指、きもちい・・・い・・・」  
 
優の声はうわずり、呼吸もやや荒くなっている。  
顔は赤らみ、全身にうっすらと汗が光る。  
一方の陽菜は、優以上に顔を赤らめ、きつくあわせたふとももの付け根をこすりつけるようにして、もじもじと動いている。  
しばらくは必死に優にその “行為”を止めるように懇願していたはずが、今は下を向いて唇をきつく結んでいる。  
指から伝わる優の秘所の感触が、意識したくないのに、そのまま自分に投影されてしまうのだ。  
実際には触られてもいない陽菜の秘所が、熱く疼く。  
さっきからずっと、そこに溜め込んだ疼きは未だに開放されていないのだから。  
触られたくない、でも触って欲しい・・・  
心と身体、羞恥と肉欲の二律背反に、陽菜はただ耐えるしかなかった。  
 
(やだ・・・やだ・・・こえ・・・こえでちゃ・・・だめ・・・もうやめ・・・)  
 
自分を抑えようと必死になりすぎて、優がその行為を止めたことにすぐには気付けなかった。  
気付いたときには、すでに優はそんな陽菜のことをしっかりと観察し終えていた。  
 
「ひ・・・!」  
 
優は無言で陽菜の顔を覗き込んでいて、すべてお見通しとばかりにニヤっと笑った。  
こうして今日だけで、何度優の思惑に嵌められたことか。  
全てのことがはじめて尽くしの陽菜は優の手の上で踊るばかりだった。  
 
「うふふ、陽菜ちゃんも、そこ、触って欲しくてたまらないのね・・・真っ赤になっちゃって、かわいいわ・・・」  
「ち・・・ちがうっ、ちがいますっ!」  
「だって、まだそこ、もじもじさせちゃってるわよ・・・? もう、我慢できないって、ほらね?」  
「そ、そんな、これ、うそ・・・違、ちがうんですっ、なんで、とまらないの、なんでっ・・・」  
「人のあそこ触ってるだけでこんなになっちゃうなんて、陽菜ちゃんのえっちっぷりったら、  
 私の想像以上だね!」  
「そ・・・そんな・・・そんなぁ・・・」  
「ほんとはソコ、最後に苛めてあげようかと思ってたんだけど・・・もうはるるん我慢できそうもないわねぇ、  
 仕方ない! お姉さんが優しく苛めてあ・げ・る♪」  
 
陽菜の胸が、どきん、と高鳴る。  
一番恐れていることだけど、同時に一番してほしいこと。  
淫らな期待が鎌首をもたげるのを、陽菜は必死で抑えようとする。  
 
「・・・でも、その前にやることがあるのよね  
 私がぜーんぶ脱いでるのに、はるるんはズボンも脱いでないのって、ずるいよね〜?」  
「・・・!」  
 
はっとした表情で、空いてる方の手で折り曲げた両足を守るようにかき抱く。  
と、優につかまれたままのもう一方の手が、陽菜の顔に近づけられる。  
目の前に来た自分の手指は、優の愛液でぬらぬらと濡れ光っている。  
なんとなく恥ずかしくて目を背けようとした顔にその手が押し付けられ、優の蜜が顔中に塗りたくられてゆく。  
 
「ひゃ、やめ、やぁんむっ!?」  
 
思わず声を出した隙に、その指が口にまで突き込まれ、無理やりに優の蜜を味わわされてしまう。  
 
「ん! んっ! んン”―――っ!」  
「ね、どう・・・? 私のえっちな汁、おいしい?」  
「んむっ! んんんっ! んー!」  
「すごいでしょう、ちょっと弄っただけで、わたしのアソコ、こーんなに濡れちゃったんだ・・・」  
 
陽菜の口から指を引き抜き、今度はそれを自分の下でぺろりと舐める。  
 
「んふ・・・おいし・・・」  
 
「あれだけのことでこんなに濡れちゃうんだもん・・・さっき散々感じまくって、イっちゃったはるるんのあそこ、  
 どれだけ凄いことになってるのかな・・・お姉さんが、見てあげる・・・」  
 
自分の指で口の中を弄られ、すっかり混乱していた隙を突かれてしまった。  
不意に両足を掴まれたかと思うと、ずぃっと引っ張られて巻き付けていた手は解かれ、  
陽菜の足はまっすぐに伸ばされてしまっていた。  
優は揃えられた両足の膝のあたりに跨るように座り、しまった、という表情の陽菜ににんまりと笑みを向ける。  
 
「や・・・だめっ!」  
 
陽菜はズボンを下げられまいと、とにかく何処でもいいから掴もうと手を伸ばし、  
丁度両足の付け根、まさに秘所の上あたりの布をぎゅっと握り、  
その異様な感触に気付いて思わず放してしまう。  
 
そこは生温かく、ぐっしょりと濡れていた。  
 
「あらあら、本当にびっしょりねぇ、はるるん、おもらししちゃったみた〜い」  
「いや・・・いわないで・・・」  
 
優の手が膝にかかり、ズボンをなぞりながら徐々に上へと上がっていく。  
ふとももの半ばあたりから湿り始め、足の付け根までくる頃には、じっとりと濡れているのが分かる。  
「うふふ、ズボンまでこんなに濡らしちゃって・・・欲しくてたまらなかったんだね・・・  
 陽菜ちゃん・・・本当に、なんてえっちな娘・・・」  
「いや・・・いや・・・」  
 
陽菜は下半身を剥きだしにされそうなことも忘れたかのように、両手で顔を覆い首を左右に振る。  
 
「こんなびしょびしょのズボンいつまでもはいてたら、風邪引いちゃうからね、やさしいお姉さんが脱がしてあ・げ・る・・・」  
 
隙だらけの陽菜のズボンは、優によって呆気なく膝まで下ろしてしまう。  
 
「あ・・・・!」  
「やっぱり白かぁ、いかにもはるるんって感じでいいよ〜  
 ・・・でも、こんなに濡れちゃうと、すっかり透けちゃって、すごくえっちな感じ・・・  
 ん〜? それはそれでやっぱり、陽菜ちゃんらしいってことかな、あははっ」  
「そ・・・そんな・・・」  
「だってほらー、ヘアーなんてくっきり分かるし、ほらほら、アソコの形も・・・ね・・・」  
「だめ! 見ないで!」  
 
露骨なことを言われて、慌てて隠そうと手を伸ばすが  
優の手指の方が速く、下着の下に見える割れ目をつぃっと軽くなぞる。  
 
「ぃひゃぁぁぁぁあぁあぁっ!?」  
 
びくびくびくっ  
 
思わず陽菜の上体が仰け反る。  
期待通りの反応に気を良くして、優は布越しの愛撫を続けた ――― 少しずつ強く、少しずつ速く。  
薄布越しに、割れ目から湧き水のように愛液が染み出しているのが感じられる。  
 
「やあっ、だめっ! ゆうさっ、や、やめ! だめ、ほんとだめ! あ! あぁあぁぁっ!  
 い、いひゃ、もう、もうやっ、あはあああぁぁっ! らめっ、あ! らめ、らめぇぇっ!」  
 
陽菜はもう身体を自分の意志で動かすこともできず、ただびくんびくんと震えながら、ただ叫ぶしかできない。  
その叫びも、今はほぼ意味を成さない喘ぎ声に変わっている。  
陽菜の限界が間近に迫っていることを見て取った優は、容赦なくとどめを刺すことにする。  
何度も往復している指を少しだけ上までずらし、そこにあった小さな突起に、濡れそぼった布越しに爪を立てる。  
 
「ひあぅ! やぁぁあ! ―――っ!!? ひゃぁああああああああああああぁああぁっぁあっぁぁぁぁぁ!!!!」  
 
快感の絶叫を声を上げ、限界まで仰け反って身体を痙攣させ、  
陽菜はこの夜二度目の絶頂を迎えた。  
 
 
今度は、意識は失わなかった。  
腰を頂点に反り返り痙攣していた身体は徐々に落ち着き、  
今はベッドの上で時々小刻みに震えながら放心したように横たわっている。  
 
その様子を見た優は、一旦陽菜から離れると、持参の “おもちゃ”を眺め、なにやら考えているようだ。  
一つ一つ掴んでは、「うふふ」とか「にひひ」とか笑っている。  
これらを使って、どう陽菜を嬲り尽くしてやろうか、そう思うと笑いが抑えられないらしい。  
やがて考えがまとまったのか、そのうちの1つを掴むと、陽菜の方をちらと見やる。  
陽菜はまだ回復しきれていないのか、さっきと変わらぬ態勢で荒い息を繰り返していた。  
 
優は手にしたプラスチック製の容器の蓋を開けると、中身を手のひらに落としていく。  
透明の、粘性の高い液体・・・優が独自の調合で作成した、絶妙なヌメりを誇るローションであった。  
たっぷりと手にとったそれを両手で軽く捏ねるようにしてから、優はそれを自らの身体に塗りつけはじめる。  
首から肩、上腕に塗り、豊かな胸には念入りに塗りたくる。  
 
「・・・ん・・・・んふっ・・・んん・・・あ、はん・・・」  
 
更にその下へ進み、下腹部から腰、秘所まで塗る。  
 
「ふ・・・あっ・・・んん・・・あは・・・くふ・・・」  
 
最後にふともも、ここにも念入りに塗って、  
準備完了とばかりに息を吐くと、容器をもって陽菜に近づいていく。  
陽菜は二度目の絶頂を迎えて放心していたが、優がなにやら動いたりくぐもった声を上げているのは気付いていた。  
何をしているのかは見当もつかなかったが、再び自分を覗き込む優の表情で、  
まだ自分が解放されないことだけは悟ることができた。  
 
「まだ・・・するんですか・・・」  
 
助けを求めるような、救いを請うような、弱々しい、か細い声を上げる。  
度重なる衝撃的な快感と羞恥、そして絶頂を叩き込まれた陽菜の声からも表情からも、  
いつもの毅然とした態度は消えうせている。  
そんな陽菜の様子が、さらに優の嗜虐心を煽っているのだが、陽菜はもちろん気付かない。  
 
「あったりまえ、でしょ? だって、はるるんはもう2回もイってるのに、わたしまだ全然だも〜ん」  
 
恥ずかしげに顔を歪める陽菜に、優はゾクゾクするような快感を覚えてしまう。  
これまで自分にサディストの気があると自覚したことはなかったが、もはや否定はできないと思う。  
 
(これも・・・陽菜ちゃんのせい、だよね・・・だから、きっちり責任、とってもらわなきゃ、ね)  
 
「だ・か・ら、今度はお姉さんも気持ちよくさせてもらうわよ〜」  
 
それが開始の宣言であったかのように、優の手が陽菜の身体に伸びる。  
再びたっぷりと手に取ったローションを、陽菜の首、肩、胸と執拗に塗りつけていく。  
 
「やっ!? な、なんです、これ!? いや、ヌルヌルしてる、ひっ、やめてぇ・・・きもちわるいですっ!」  
「気持ち悪いなんて、酷いなぁ、折角の優さん特製ローションなのに  
 ・・・ま、えっちなえっちな陽菜ちゃんなら、すぐにこれの良さを分かってくれると思うけどね!」  
 
顔を赤らめて横を向く陽菜を楽しそうに見やりながら、  
自分にしたのと同じように陽菜の胸にも念入りにローションを塗りこんでいく。  
 
「・・・!? ひっ! だめ、むね、だめぇっ! ぅあああっ!」  
 
陽菜の胸はこれまで未開発だっただけに、弄ぶ度に感度が増しているかのようだ。  
陽菜の期待通りの敏感な反応に満足しつつも、胸全体にローションを塗りこめるとそれ以上は責めることなく、  
さらに下へと塗り進めて行く。  
 
「おや、そういえば、まだ一枚残ってたっけ」  
 
ローションを塗りたくりながら両手を陽菜の下腹部まで進めて、  
陽菜がまだ最後の一枚身に付けたままだったことに気付いた。  
 
「あ〜あ、すごい濡れ方・・・私の手でこんなに感じてくれちゃうんだから、お姉さん感激だな〜  
 でも、私たちの裸のツキアイには邪魔だからね、排除しちゃおっと!」  
 
そう言い放つや、陽菜の最後の砦たる下着の両端に指をかける  
 
「やだっ、だめだめだめ!」  
 
陽菜も必死になって足に力をいれ、ぎゅっと閉じ膝を立てて抵抗する。  
既に散々に弄ばれていても、やはり己の秘所を人目に晒すのは耐え難かった。  
女同士とはいえ恥ずかしいし、なにより今の優にそこを晒してしまうのは、あまりに無防備すぎて怖かった。  
が、足を閉じしまっては、ほとんど抵抗の意味はなかった。  
足を開いた方が下着を下ろしにくいのは明らかなのだが、優の前で足を開くなど、陽菜には考えられるはずもない。  
 
「は〜い、ご開帳〜!」  
 
ずるるっ!  
っと、下着は呆気なく膝まで下ろされてしまい、優の眼前に陽菜の秘所があらわになる。  
優のより遥かに薄い、陽菜らしい控えめな恥毛、  
ほとんどスジ同然に細いが、これまでの責めで蜜を垂れ流し続けた為か少しだけ緩んでいる割れ目、  
その上端にあり、小さいがぷっくりと膨らみ存在感を示す肉芽。  
優はそれらのいかにも“陽菜らしい”パーツを、目と指で愛でていく。  
 
「い・・・やっ! だめ、みないで、さわっ・・・らないでっ! ひゃ! にゅ、るにゅるしてっ、あ!  
 ひゃ!・・・ひゃあぁっ!」  
 
優の目と指から自分の大事なところを守ろうと手をしたが、刺激が強すぎて力が入らず、  
結局またしても優の蹂躙を許してしまった。  
恥毛に粘液をじっとりと絡め、そのまま腰に沿って手を後ろに回すと、  
 
「ふっ・・・はっ・・・あ・・・ぁ・・・」  
 
陽菜のこちらも小ぶりの尻肉を手で包むように揉みしだきながら粘液を塗りたくる。  
 
「ひ・・・ひゃぁ・・・あぁぁぁぁ・・・」  
 
更に手を伸ばし、尻の谷間にまでローションを行き渡らせると今度は下へ手を進め、  
 
「ひゃ! そ、そこっ きたなっ! い、ぁあ!・・・っぁぁあっ・・・あ・・・」  
 
ふとももから膝の裏までぬるぬるに汚し、更に外側、内側、前面とふとももをくまなく撫で尽くす  
 
「ふ・・・んふっ・・・は・・・あぁ・・・」  
 
最後に手を上に運び、今度は下着越しでなく、直接に割れ目と肉突起に触れ、ローションを塗りつける。  
 
「ぁ・・・ぁぁあああ! やっ、だめ、だめっ! も、やめっ! あ! んぁあぁぁあああっ!」  
 
先ほどの下着越しの責めに比べると弱く、優しい愛撫だが、  
ローションをにゅるにゅると塗りこむ指の動きは呆気なく陽菜を昂ぶらせ、  
薄く開いた秘所からまた新たに “とぷっ”と蜜が漏れてくる。  
 
「んもう、はるるんのアソコ、えっちな汁が多すぎてすぐにローションが流れちゃうよ〜  
 ほんと、困ったえっち娘なんだから」  
「あっ・・・・ああぁ・・・ち、ちが・・・あぁ・・・んんうっ!」  
「こんなになってもまーだ否定しちゃうんだから、強情な娘だねぇ、まったく」  
 
秘所の割れ目をなぞるようにローションを塗りつけ、肉突起にもしっかりと塗りこんでいくが、  
決して強くは刺激せず、割れ目の中へ指を入れたりもしない。  
そして、優が満足するまで塗り終えると、呆気なく手を離し秘所を開放した。  
陽菜は乱れる意識で少しだけ安心するが、今度はすっかり火がついてしまった秘所の疼きでかき乱されてしまう。  
 
(ぁぁ・・・やめて欲しかったのに・・・今度は触って欲しい・・・苛めてほしい・・・どうしてぇ・・・)  
 
そんな恥ずかしげで物欲しげな陽菜の表情を読み取ったのか  
 
「うふふっ、どうしたの、そんなモノ欲しそうな顔しちゃって・・・またイかせて欲しかった・・・かな?」  
「!! いや! ちがう、ちがいますっ!」  
「もう、無理しちゃって〜 でもね、そこはしばらくお・あ・ず・け♪」  
「え・・・」  
 
そう言いながら、優は仰向けになっている陽菜の膝のあたりを膝立ちでまたぎ、  
上体を優の体に向けて倒し、陽菜の肩の傍に両手をつき、陽菜に覆い被さるような体勢を取る。  
 
「さっきから言ってるでしょ〜、今度は私も楽しませて貰うって!」  
 
言うと一気に身体を下ろし、正面から陽菜と抱き合うように密着してきた。  
 
「きゃっ! や、ゆ、優さん・・・!?」  
 
いきなり裸の身体に密着され、驚いて身体をずらそうとするが、  
 
にゅるにゅるにゅるっ!  
 
「ひゃっぁぁあっ!?」  
「んんんっ!」  
 
ローションでヌルヌルになった身体同士が擦れ合い、お互いの裸身を刺激してしまう。  
陽菜は驚いて身体を硬くするが、対照的に優はうっとりした表情で、  
その快楽の刺激を欲して密着した身体を小さく揺らしはじめる。  
 
「んふぅ、あはぁ・・・ああ・・・いいわ・・・陽菜ちゃんの身体・・・きもちいいよっ・・・あぁっ・・・」  
「やっ、だめ、っぁあぁっ、優さん、いや、恥ずかしぃ、ああんっ!」  
 
互いの身体を使った愛撫はローションの感触も相まって、二人を快楽の高みに押し上げていく。  
上になった優は自由に身体を動かし、陽菜の身体を思うままにむさぼり快感を高めていく。  
下になった陽菜は身体中をねっとりと弄られ、無理やりに快感を刷り込まれていく。  
にちゅ、ぬちゃ、くちゅ・・・絡みつくような水音と、二人の喘ぎ声が部屋に響く。  
絡みついた腕は首筋やうなじを撫で、豊かな胸は小ぶりな胸を押し潰す。  
火照った肌の熱がローションを介して伝わり、互いの肌を更に焦がす。  
 
「あ!・・・ぁぁあ・・・だめ・・・ゆう・・・さん、も、動かさな・・・で・・・んぁ! ひゃ・・・  
もう・・・や、あ、はぁぁ・・・だめ・・・っ ほんとに、もう、あぁぁ・・・」  
 
ローションを塗られながら感じてしまい、そのまま抜けない疼きに加えて一度に全身を責めるこの愛撫で、  
陽菜は再び全身をぐずぐずに煮溶かされるような緩慢で深い快楽に支配されつつあった。  
口では拒絶しようとしながら、身体は新たな、更に強い刺激を求めていた。  
 
「あっああ・・・陽菜ちゃんの・・・肌・・・んぅ・・・いい・・・きめ細かくて・・・  
んぁあ・・・張りがあって・・・すごい・・・いい・・・気持ち・・・いい・・・っ!」  
 
これまで一方的に快楽を与えながら、陽菜の悶える姿に欲情し続けていた優は、  
やっと巡ってきた自ら快楽を貪る機会を最大限に利用すべく、存分に陽菜の身体を弄ぶ。  
身体の動きをどんどん大きく激しくすることで、少しでも強く快感を得ようとする。  
・・・でも、それだけでは足りない。  
陽菜も上半身全体同時の愛撫に絶え間なく喘ぎつづけてこそいるが、また絶頂に向かうにはすこし足りない、  
そんなもどかしさを上気した顔に浮かべていた。  
 
「陽菜ちゃん・・・ねぇ・・・もっと、気持ちよく、なりたくない・・・?」  
「あ、ひゃ・・・あ・・・・・・? あぅ・・・ふぇ・・・?」  
 
陽菜の耳元に顔を寄せてそう呟くと、陽菜の身体から離れ、もとの膝立ちの体勢に戻る。  
悶えながらも煮え切らない快感を与えつづけられていた陽菜は、思わず “どうして?”といった顔で優を見上げる。  
 
「ね、陽菜ちゃん・・・もっと気持ちよくなりたくない・・・? わたしはもっと気持ちよくなりたいの・・・  
 陽菜ちゃんもそうでしょう・・・? だから、わたしの言う通りに動いてみて・・・」  
 
そう言うと優は陽菜の背中と首に腕を回し、陽菜の身体を引き起こす。  
陽菜も燻り続ける快楽に逆らえず、優の身体を求めるように上体を起こしてしまう。  
 
「うふふ・・・いい娘ね・・・じゃあ、膝を曲げて・・・そう、少しだけ足を開いて・・・うん、そう・・・」  
 
陽菜は優に導かれるままに身体を動かし、すこし膝を開いた正座のような格好でベッドの上に膝立ちしていた。  
焦らされ続けた身体はふらふらと安定しないが、それを優の腕が支えている。  
その優も同じような体勢で陽菜と向かい合うようにベッドの上に膝立ちしている。  
 
「ゆうさん・・・、なに・・・?」  
 
訳がわからず優の導きにまかせてこんな体勢をとらされて、陽菜の心は不安を、身体は期待を募らせ、  
潤んだ目で優を見つめている。  
そんな陽菜をいとおしむように見やり、  
 
「さ、陽菜ちゃん、一緒にもっと、気持ちよくなろ・・・」  
 
言うと同時に膝を進め、陽菜の少し開いた膝の間に割り込ませる。  
 
「・・・!?いひゃあっ!」  
「んんんっ!」  
 
優の膝とふとももが陽菜のすこし開いた足の間に割り込み、その間にある秘所をずりっと擦りつける。  
自然と互いに膝と膝を割り込ませる形になるので、同時に優の秘所にも陽菜のふとももが擦り付けられる。  
 
「あっ、あはん、ね、はるなちゃ・・・ん、うふぅ、キモチ、いいで、しょっ・・・んあぁ・・・」  
「ひ! あっ! あひゃぁっ! や、ゆうさ・・・んっ! だめっ、こんなっ・・・のっ・・・んあ!」  
 
優が前後に小刻みに動き自分と陽菜の秘所を同時に責めつけ、上体は上下に動かして互いの胸を執拗に愛撫する。  
 
「あ! だっだめ! や! あ! ぅああっ! んあぁぁぁああああ!?」  
 
既に登りつめたくて登り切れなかった陽菜の身体は、待ち望んでいた刺激に素直すぎる反応を示し、  
その意図に関わらず一気に登り詰めていく。  
 
「あははっ、はるるん、いいのねっ、もっと、もっと感じさせてあげるから、もっと、もっと感じさせてぇぇぇ!」  
「んぁぁっ! ひゃ、らめ! らめぇっ! まって、まってぇぇぇぇっ! もう、もうらめ! いひゃ!  
 あ! あああ! あはぁああぁっぁぁぁぁああああ!」  
 
やっと昂ぶり始めた優と、既に絶頂が見えつつある陽菜では同じ刺激でもその感じ方は当然のように違い、  
陽菜は既に限界を迎えようとしていた。  
だが自分の欲望を満たそうとしている今の優はそんなことを意識しない。  
 
「あ! あ! いやっ! もう、ん! いやああああぁぁあはああああぁぁぁぁああぁぁぁぁっぁぁっ!!」  
 
三度目の絶頂を迎えびくびくと身体を震えさせる陽菜に構うことなく、その身体で快楽を貪り続ける。  
当然、同じだけの刺激が陽菜にも強制的に与えられる。  
 
「!?・・・ああっ・・・ひ! いや! らめ! おねがっ、もうっ・・・ あぁぁあっ! やすませ・・・てぇ  
 だめ・・・だめぇ・・・っ こわれちゃ・・・ほんとに・・・っ んあぁあ!」  
 
イった直後の敏感な身体に休む間もなく愛撫を与え続けられ、火照り切った身体は冷めることを許されず、  
すぐにでも次の絶頂を迎えてしまいそうに追い詰められていた。  
とどまることのない激しい喘ぎ声と、身体を震わす痙攣で息は乱れ、自然と空気を求めて口は大きく開かれる。  
そこに絶え間なく刺激を受けるので、息を吸ったかと思うと喘ぎとともに吐き出してしまう。  
陽菜は息苦しさに眉をひそめ、目尻からは涙をぼろぼろとこぼしつつ、それでも・・・  
 
「あ・・・また、また! あ! らめっ! き、きちゃっ、きちゃうっ! きひゃあぁっぁあっぁぁあああっ!」  
 
息が足りなくてさっきより声は小さかったが、先ほどからたいした間も置かず、4度目の絶頂を迎えてしまった。  
身体を合わせて陽菜に絶え間のない愛撫を送りつづけている優にもそれはすぐに伝わる。  
小さくともそのときだけは一際高くなる声や、何より優の性感を一気に昂ぶらせる短いけど激しい痙攣が、  
そのことを優の身体に刻み込んでいく。  
 
「んああぁっ! い、いいっ! 陽菜ちゃんすごくいいよっ! でも、まだ足りないの・・・  
 もっと・・・もっと、もっとイって、もっともっと感じさせてえっ!」  
「ひ・・・や・・・やだ・・・・・・ああっ・・・もう、ほんと、だめっ・・・っああっ!  
 くるしっ、・・・苦し・・・です・・・ああ、おねがっ・・・いっ・・・もう・・・や・・・はぁっ!」  
 
陽菜が苦しそうにしているのは優にもわかっていた。  
だが、やっと昂ぶってきた身体を静めたくはなかったし、なにより優の嗜虐的な性感には、  
普段は冷静でお堅い陽菜が悶え、喘ぎ、苦しみ、それでも感じてしまう姿がたまらなかった。  
それに・・・  
 
「陽菜ちゃん、苦しそう・・・どう、もうやめてほしい・・・?」  
 
優しげな声と共に、全身への愛撫が止まった。  
優の突然の行為は明らかに不自然だったが、陽菜にそれを考える余裕はなく、  
絶え絶えな息をこらえて返事をしようとする、が・・・  
 
「・・・っ!  ・・・っはっ、は・・・」  
「そんなこと、ないわよね〜?」  
「!?   ・・・ぇ・・・?」  
「だって陽菜ちゃん、苦しそうになればなるほど、ココの濡れ方、どんどん激しくなってるもんね!」  
「ぇ・・・そ、そんなこっ・・・!?ひああぁあぁあぁあっ!!」  
 
言うと同時に全身愛撫を再開し、陽菜の股下に割り込ませた膝をぐい!と上げる。  
不意の刺激に、陽菜の身体がまたもびくびくと痙攣する。  
 
(またイった、かな・・・?)  
 
優の膝からふとももを、陽菜の秘所から湧き出した新しい愛液が濡らしていく感覚が、はっきりとわかる。  
 
「ほぉら、またいっぱい出てきたよ・・・陽菜ちゃんって、ほんとに苦しければ苦しいほど感じちゃうんだから・・・  
 これからは、マゾっ娘はるるん、って呼んじゃおうかな〜♪」  
「あ・・・はっ・・・あぁぁ・・・ そ・・・んな・・・イヤ・・・です・・・うぅ・・・」  
 
がくがくと震えながら、イヤイヤと力なく首を振る。  
そんな姿が、さらに優の嗜虐欲を逆撫でするとも気付かずに。  
 
だが、そんな風に陽菜を言葉で弄りながらも、当の優も絶頂に近づいてきていた。  
陽菜が小さく繰り返し “イく”度に全身がびくんびくんと震えるので、その刺激で優の身体も昂ぶらされるのだ。  
 
(ああ・・・イイ・・・イける・・・そろそろ・・・イク・・・っ)  
 
不意に陽菜を抱きしめる優の腕の力が強くなったかと思うと、腰を浮かして身体を動かすペースがいきなり上がる。  
 
「ひっ! や、ぁああっ! だめっ! こんなのっ、は、はげし、はげし・・・すぎっ・・・っあああ!  
こ、こわ、こわれ、ちゃ・・・んああああ!?」  
「イイのっ! 陽菜ちゃん、すごくっ、すごくいいのっ! もうちょっとイけそうだからっ! んんぅぅぅっ!」  
「あ!   ・・・は!   ・・・っ ら・・・めぇ・・・っ!   ひぎ・・・いはああぁぁっ!!」  
 
さっきまでの愛撫にさえ何度も達してしまう程に昂ぶっていた陽菜の身体は、  
更に強く容赦ない刺激に耐えられるはずもなく、文字どおりの “イきっぱなし”になってしまう。  
喘ぎ喘ぎになんとか紡いでいた言葉もほとんど意味を成さない嬌声だけになり、  
その声も、息と一緒で絶え絶えになりつつあった。  
ただ、身体の痙攣だけはますます強くなり、一際大きく動いた膝が優の秘所をえぐるように突き上げた時―――  
 
「イクっ! もう、もうちょっとでっ! イっ!? ――――――――――っくぁあああああああああっ!!!」  
 
優が激しく身体を震えさせて絶頂に達し  
 
「・・・ひっ ・・・はっ・・・ っ?!!! ――――――――――――ひあああああああああああ!!!」  
 
その刺激で陽菜も大きく絶頂に達し  
 
二人は抱き合ったままベッドへと倒れこんだ。  
 
「・・・ふぅっ・・・」  
 
優はうっとりとした表情で満足したようにため息を1つ吐くと、陽菜の背に回した腕を解き、  
仰向けに寝そべってしばらくは絶頂の余韻を楽しんでいた。  
腕を解いたことで陽菜も同じように仰向けになっていたが、常に登りつめ続けたあとに激しい絶頂を迎えたため、  
そのショックで今は意識を失っているようだ。  
やがて乱れていた呼吸も整い、優は身体を起こすと壁にもたれるように座りなおし、陽菜の方を見る。  
陽菜の方も息はだいぶ整ってきているが、その顔は相変わらず紅潮し、額には汗で髪の毛が張り付き、  
涙や涎で穢れてしまっている。  
だが、そんな陽菜の顔は優にはたまらなく魅力的に見えるのだ。  
嗜虐的な人間ならではの美意識・・・被虐の中の美。  
 
(はぁ・・・我聞君さえいなかったら・・・全部、わたしのものにしちゃうんだけど・・・な・・・)  
 
陽菜の大事なものもはじめても全て奪い、思いつく限りのあらゆる手段を用いて陽菜を陵辱できたら、  
どんなに素敵だろう。  
たとえ陽菜がどれだけ抵抗しても、絶叫のような悲鳴をあげて泣き叫んでも絶対に許さないで・・・。  
きっと陽菜はこれまで以上に怯え、羞恥し、絶望し、そしてそれでも最後は快楽に負けて堕ちてしまうだろう。  
 
「はぁ・・・」  
 
それは優の嗜虐的欲求を大いに満たす想像だった。  
だが、また1つため息をつくとその考えを追い出すように軽く頭を振り、仕方なさそうに笑う。  
 
「ま、その分、もう少しだけ付き合ってもらおうかな・・・お姉さん、まだちょっと足りないからね・・・」  
 
少しだけ優しげに陽菜の顔に笑いかけると、その表情と似つかわしくない “おもちゃ”の方を向き直り、  
吟味を始めた。  
 
 

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