「デルタ1、ターゲット来ましたよ」
あれから、優と果歩の二人は工具楽屋の事務所へと移動していた。
「用があるから事務所まで来て欲しい」というメッセージを珠と斗馬に預け、学校へと向かわせたのがついさっき。
どうやら、デルタ3、デルタ4とも最低限の役目はちゃんと果たしたようだ。
「OK。デルタ3とデルタ4は?」
「ターゲットと接触したら、ターゲット2(國生さん)の足止めするように言ってあります」
「うむ。GJだ、デルタ2」
にやり、と不敵な笑みを浮かべる、デルタ1こと優。
「さすがに、お子様に見せるのはちょっと問題あるしねー」
「…私はいいんですか?」
額に汗かきながら、呟くデルタ2こと果歩。
「ん? 逆に、『見たい』って顔してたのは誰だっけなー?」
「そんな顔してません!」
優は不敵な笑みのまま、果歩の顔を覗き込む。
果歩は大声で否定して、顔を背けた。だが、その顔が真っ赤になっているのは気のせいではないだろう。
やがて、入り口の方から階段を上る音が聞こえてきた。
「しっ! 来たよ。それじゃ、作戦通りに」
「…ラジャー」
果歩は何か言いたそうだったが、優の言葉にしぶしぶと頷くと、そのまま机の陰へと身を隠した。
果歩が隠れると同時に、ドアが開く。
「うぃーっす。用事って何ですか、優さん?」
今回のターゲットである我聞が、いつも通りの元気な声で聞いてくる。
「我聞くん、ちょっと前に身体を鍛えたいって言ってたよね?」
我聞に質問に、質問で返す優。
「市販のプロテインを改良したものを作ってみたんだけど、飲んでみない?」
「…ぷろていん…ですか?」
ポケットから薬のカプセルを取り出す優。それを、用意していた牛乳に数粒落とす。
ぐるぐるとかき混ぜて、全て溶けた事を確認してからコップを我聞へと渡した。
「そう。市販のよりも筋肉の付きはいいはずだよ」
「…はあ……じゃあ、頂きます」
いきなりの展開に戸惑う我聞。
すこし胡散臭そうにそのコップを見ていた我聞だが、やがて意を決したように一気に飲み干した。
「思ったよりも、美味しいですね」
「そりゃ、不味かったら誰も飲んでくれないしねー」
「…で、用ってもしかしてこれだけですか?」
「いや、もう一つあるんだけど……そろそろかな?」
「?…それって、どういう……あれっ!?」
ぐらり、と身体が崩れる我聞。
そのまま倒れこむように、椅子へと腰を落とす。
「あ、あれ? 身体が…」
「今だ、デルタ2!」
優の台詞を合図に、机の陰から果歩が飛び出す。
そして椅子にもたれかかっている我聞の両手を、準備していた手錠で拘束する。
「か、果歩! 何をしてるんだ!」
「ごめんね、お兄ちゃん」
我聞の抗議を無視して、両足も拘束する果歩。
我聞は椅子の上で、身動きが取れなくなる。
「うふふー、薬はちゃんと効いたみたいだね」
「く、薬?」
きらり、と優の眼鏡が煌く。
「そう。身体の自由を奪う、即効性の薬。どう、美味しかったでしょう?」
「な、何をするんですか、いきなり?」
「んー。もちろんナニするつもりなんだけどー」
「なんか、意味が違う気がするー!」
「気にしない、気にしない…えい!」
優は、どこからか取り出したギグボールを我聞の口へと装着する。
あわれ、我聞は抗議の声すら出せなくなってしまう。
「ふう。これで静かになった」
「んー! んー、んんー!」
「…静か?」
我聞のうめき声と果歩の呟きを聞き流し、優はズボンのチャックへと手を伸ばす。
「それでは、ご開帳〜♪」
鼻歌交じりの優の台詞と共に、チャックから顔を覗かせる我聞のペニス。
「んー、予想よりも大きいねー。さすがはこわしや」
「優さん、それ関係ない…」
果歩の呟きをまたもや無視し、優はペニスへと手を伸ばす。
「それじゃあ早速、お姉さんが色々と教えてあげるよ…むふふー♪」