「それでは、裏工具楽家特別緊急会議改め、GHK緊急会議を始めたいと思います」  
蝋燭一本の明かりしかない薄暗い部屋に、工具楽家裏家長・工具楽果歩の声が静かに響き渡る。  
「今回集まって貰ったのは他でもありません。我々にとって大きなチャンスが訪れたのです」  
「はいっ!ツーアウト満塁とどっちがチャンスですかっ!?」ゴスッ  
次女の珠が横槍を入れた…と解説する間もなく果歩の鉄拳が炸裂した。  
息一つ乱すことなく、果歩は続ける。  
「我々三人、私・果歩、珠、斗馬がなんと全員同時に一泊二日の修学旅行に行くことになったのです」  
「しかし大姉上…、それの一体どこが大チャンスなのですか?  
 むしろ直接手を下せない分、ピンチなのでは?」  
「まだまだ甘いよ斗馬君…。我々三人、特に私が居ないのですよ。  
 つまり、工具楽家と工具楽屋には、お兄ちゃんと國生さん、優さんに中之井さん、そして辻原さんしか居ないのですよ」  
「その中の中之井さんと辻原さんは工具楽家に顔を出したりはしないし、優さんは我々の仲間…。つまーり!」  
 
「國生さんさえ言いくるめれば、工具楽家はお兄ちゃんと國生さんの二人っきりという夢の空間になるのです!」  
おおーっ!と、歓声を上げる二人。  
「名づけて、肉じゃがでビックリドッキリ作戦!!」  
 
 
 
っくし!  
「風邪でもひいたかな…」  
 
一人で書類をまとめている陽菜の元に、工具楽家長女、もといGHK総統・工具楽果歩が、ドス黒いオーラを振り撒きながら近づいてきた。  
「あ、果歩さん。何か用ですか?」  
「ああ、あのですね陽菜さん、頼みたいことがあるんですけど…」  
 
危うし國生さん!  
 

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