暖かな日差しも、穏やかな風も、
やわらかな香りも、優しげな気温も。
全てが輝いていて、全てが新鮮で。
今までとなんら変わりようのない生活である事を考えますと、少し不思議に思います。
いえ、仕事関係はキツくなりましたが、それでも不思議と考えてしまいます。
なんで、こんな風に感じるのかなっ、と。
答えなんてわかるはずもありません。
ただ、今わたしが感じていることは事実で、これが本当のことであることは確かです。
自分の中にあったどうしようもない不安や、どうすることも出来なかったモヤモヤ。
そんなものも全てまとめて、壊してくれました。
そう、わたし達の社長が。
真芝が壊滅して、わたしの手の届く範囲の問題は全て片付きました。
お父さんとしては問題山積みらしいですが、そこまでは頭が回りません。
自分の未熟さを痛感します。
それでも、残念な気持ちにはなりません。
狭い範囲ではありますが、わたしの周りには一点の陰りもありはしません。
不安定さはなく、しっかりと安定していてなんの悩みにもなりはしません。
どこまでも明るい、社長が照らしていてくれるから。
そういえば、あの時はまだ正式には社長ではありませんでしたね。
初々しさなんて感じるほど自分に余裕はなかったので、最初は少しイライラさせられましたっけ。
頑固で、意地っ張りで、すぐに誤解して、そのまま気付きもせずに猪突猛進。
眉間にどれだけ指が吸い寄せられたか、思い出せません。
無駄に消費してしまったため息と、一緒に遠のいた幸せは数知れず。
少し遠くを眺めて平常心を保とうと精一杯頑張ったものです。
ただ、そんな社長の短所や問題点は、わたしからしてみればやはり目からうろこ状態でした。
どこまでもまっすぐで、壁に直面しても即座に壊して、わたしの知らない道へと連れて行ってくれました。
きっと社長には八方塞なんて言葉はないんでしょうね。
今になって思えばどれだけ救われたことか、これまた思い出すことが出来ません。
きっとこれからも、ずっとずっと、わたしの手を引いてどこまでも連れて行ってくれそうですね。
軌道修正は任せてください、ナビゲートには自信があります。
ですから、目的地がどんなに遠くても安心してください。
社長の力とわたしの力、合わせればどんな所へでも行くことが出来ますから。
いつまでも、そう、永遠に……
恥ずかしいですが一緒に居たいです。
あの高い青空も、ゆったり流れる雲も、
優雅に泳ぐ鳥達も、その鳥達の楽しげな声も。
全てが幸せで、全てが微笑ましくて。
詰まるところ、わたしも幸せなのでしょう。
多分、そういうことなのでしょうね。
仕事に一区切りつけた社長がゆっくりと近づいてきます。
どうやら次の指示を出さねばいけないようですね。
さっそくわたしの出番です。精一杯頑張りたいと思います。
そう、さらに幸せな明日を手に入れるために