あらすじ
花粉症に悩める陽菜に、悪魔の子との名を受けた果歩が接近したようです。
「最近辛そうですね、花粉症ですか?」
「えぇ、そのようです。ここ何日間、ずっとこのような状態で……くしゅんっ」
(くそ、かわいいな)
「どうかしまs……くしゅんっ」
「いえ……別に。それより治さないんですか? 花粉症」
「そんなk……くしゅん、治るわけ無いじゃないですか」
「何を今更。わたしも数年前は花粉症でひーひー言ってましたよ。そりゃあ春を喜んでお迎えできない位の重症でした」
「それは簡単な方法なのですか?」
「えぇ、上手くいけば簡単で一瞬ですね」
「どのようにすればいいのですか?」
「簡単ですよ、仙術使いに頼んで気を注入してもらえばいいんです」
「そのような使い方もあったんですね。それでどのような方法でですか?」
「そりゃもう、こう、ぶちゅっと」
「ぶちゅっと……」
「そう、ぶちゅっと」
「ぶちゅ……って、果歩さんっ!? 何を言い出すんですかっ!?」
「何って……花粉症の治し方ですよ」
「それより果歩さんも同じやり方で、ですか?」
「もちろんです。オヤジにこう、ぶちゅっと。だから陽菜さんも」
「なっ!? えぇっ!?」
「上手くいけばすぐですしね」
「でも、そんな……社長とそんなことは出来ませんし」
「誰も兄となんて言ってませんが、陽菜さんがどうしてもというなら頼み込んでみます」
「いや……えぇっ!? でも、それ以外には」
「別に静馬のおばーちゃんでも良かったですが、春のうちに会えるとも思えませんし……やはりここは兄しかいませんね」
「果歩さん!! って、そもそもその、キ、キス以外の方法は無いんですか!?」
「そうですね、例えば?」
「そりゃ、手でこう、流し込むようにとか」
「要するに……胸を揉めとっ!!」
「そんなことは言ってませんっ!!」
「じゃあなんなんですかっ!!」
「か、果歩さん。落ち着いて。どうどう」
「春ですなぁ〜」
「ねぇ〜」
ズズゥ〜っと茶を啜る音が暖かな春を謳歌しているようにも感じられる、普段通りの昼下がり。
もちろん、仙術にそんな使い方はありません。
間違った使用法にご注意ください。