その日は7月1日、夏真っ盛りの蒸し暑い夜でした。  
ひさしぶりの本業はお父さん達の捜査網から逃げて来た真芝の残党狩り、  
新理論を持ってない人達なら社長の相手じゃありません!!  
そう思っていました・・・・・  
 
現に社長は相手が銃を撃ってこようがナイフを投げてこようが  
そんなものものともせずに次々と倒していきました。  
ですが情報よりも敵の数が多すぎます。  
10人との情報のはずがいざ攻め込んでみれば50人はいるでしょうか・・・  
また西さんがやってくれたようです。  
さすがの社長も5倍もの相手に気を使い果たしてしまったようで、  
その場を無力化させたときにはもうフラフラで・・  
 
 
・・・そこからの私の行動がいけなかったんです・・、  
私の軽率な行動が招いた最悪の事態・・・・・・  
『社長!大丈夫ですか!?』  
『国生さんっ!?まだきちゃ駄目だ!!』  
『えっ?』  
『危ない!!!』  
 
 
パンッ  
 
 
渇いた銃声の音がやけに響きました・・・  
完全に無力化出来てない人がまだ一人いたらしく、  
その人の撃った弾は、私に当たり・・・ませんでした。  
『ぐっ・・・』  
『しゃ、社長?』  
 
私の顔に何か赤い液体が垂れてきた・・・  
私の前にはいつものヘルメットをかぶった社長がいました・・、  
そして私に倒れ込むように崩れ落ちていって・・・・・  
『我聞君!!!』  
『社長!!!』  
私達がいくら呼び掛けてもまったく反応が無くて・・・  
『やったぞ!!、化け物を仕留めた!!!』  
敵がその言葉を言い終わる前には、辻原さんが一撃で黙らせました。  
 
『早く病院へ!!!』  
 
 
いつもの社長なら銃で撃たれてもすぐに仙術で止血すれば大事にはいたらりません・・・  
ですが気を使い切ってしまった今の社長にはそんな事が出来るわけもなく  
真っ赤な血が社長の服を紅く染め続けていきました・・・・・・  
 
中乃井さんが飛ばしてくれたおかげで以前お世話になったことのある病院に5分と待たずに着き、  
緊急のオペが始まりました・・・  
ここは内閣お墨付きの病院なので銃で撃たれたということも外部には漏れません、  
私達はただ赤く光った手術中のランプが消えるのを待ち続けました・・・  
 
 
しかしそれが消える前に扉から先生と看護士が出て来て、  
『先生!!社長は無事なんですか!?』  
『弾は取り除きましたが心臓の動きが弱まっています、このままだと危険な状態です・・』  
『そんな・・・・・、先生!お願いします!!社長を・・・』  
『全力は尽くします、あとは彼の生命力に賭けて下さい』  
『・・・・・・』  
 
 
 
 
信じられません・・、あんな誰よりも元気な社長が危険な状態なんて・・・  
しかもそうなったのは私のせい・・・・・  
 
『あなた・・秘書さん?』  
『あ・・・はい!!』  
『今があなた達の社長が生きるか死ぬかの瀬戸際なの!!  
一人ぐらいなら入っても大丈夫だから彼の手を握って話し掛けてあげて』  
『はい!!!』  
 
 
私は看護士のかたと一緒に手術室に入りました。  
そこには人工呼吸器をつけたいつもからは想像もつかない弱々しい社長がベットの上に横になっていて・・・  
『社長!!!』  
私は社長の手を握り必死に呼び続けました。  
『社長!!起きてください!!、  
あなたが守ってくれたおかげで私は今ここにいれます!!!  
早く社長にありがとうってお礼をいいたいんです!!  
寝たままじゃ伝わらないじゃないですか!起きて下さい!!社長!!!』  
 
 
『先生!!心泊数、血圧共に落ちてきてます!!』  
『強心剤を投与!!!』  
 
私の周りで皆さんが必死で社長のために頑張ってます、私も、もっと!!  
『社長起きて!!このまま会えなくなるのなんて私イヤです!!!  
まだ先代を倒してないじゃないですか!!私をお嫁に貰ってくれるんじゃないんですか!?  
私待ってますから!!社長がそういってくれるの待ってますから!!だから起きて!!!』  
社長の手がどんどん冷たくなっていく・・・  
 
『心泊数戻りません!!』  
『電気ショックを使う!!、危ないから下がって!!!』  
 
ちょうどそのとき、扉の向こうに果歩さん達や番司さんが到着したらしく・・・  
『工具楽!!!てめぇ陽菜さんを悲しませてんじゃねぇ!!!とっとと起きろ!!』  
『お兄ちゃん!!死んじゃヤダ!!!  
せっかくお父さんが帰ってきたのに今度はお兄ちゃんがいなくなるなんて私許さないから!!  
絶対許さないんだからね!!!』  
 
ドンッ  
先生が心臓に電気を流しますが社長の脈は戻りません・・・・・・  
『イヤです・・・こんなの・・イヤ・・・』  
 
 
『番司君、君はお姉さん達から教わってないのかね?』  
『教わるって何をだよ!?』  
『いや、知らないのならいいんじゃ・・・』  
 
ドンッ  
ドンッ  
何度も電気をしますが社長の脈はいまだ戻らず・・・・・・  
 
 
 
 
 
・・・何故か先生は急にやめてしまいました・・・何故か!?  
・・本当はその理由を心の中で理解してしまって・・・・・・でもそんなの!!!  
『いや!!!やだ!!!』  
『はぁ、はぁ・・・・・・、午後10時28分、御臨終です・・』  
先生も看護士のかたも頭を下げる・・・  
 
 
 
『いやああぁぁぁぁ!!!』  
 
その瞬間私の心は粉々に砕け散りました・・・・・  
 
 
 
 
『お兄ちゃん!!お兄ちゃん!!!』  
『嘘だろ・・・オイ工具楽!!ふざけてんじゃねぇぞ!!!とっとと・・・起き・・・ろよ』  
『我聞くん・・・そんな・・』  
『社長!!起きて下され!!!』  
 
そして先生達が手術の片付けを始めようとしていたとき・・・  
 
バンッ!!  
 
誰かが勢いよく扉を開けて入ってきました。  
それは私もよく知る人物で・・・  
 
『・・・ぐすっ・・・かなえ・・さん・・・・・』  
『どうやら間に合ったようね』  
『もう遅いです・・・社長は・・・もう・・』  
『いいえ、まだ間に合うわ。番司、ちょっと手伝って。それに陽菜ちゃんもね』  
『・・間に・・・合う?』  
『オイ姉貴!!何をしようってんだよ!!工具楽の心臓はもう止まっちまったんだぞ!!!  
これ以上陽菜さんを悲しませんじゃねぇ!!!』  
『だからその心臓を動かそうっていってんの!!ほら、早く!!!』  
 
私は耳を疑いました・・・  
だって病院の先生だってダメだったのにそれを・・・・・  
でももしも社長が生き返る可能性があるんだったら・・私!!  
 
 
『かなえさん、私は何をすればいいんですか!?』  
『陽菜さん!?』  
『さすが陽菜ちゃん、このバカと違ってものわかりがいいわ。じゃあ今から説明するわね』  
 
かなえさんの話によると、静馬の技は水を操る技故に人の身体に流れる血液も操る事が出来るそうです。  
だからかなえさんの仙術で社長の血液を循環させて心臓をもう一度動かさせるらしいのですが・・・  
『でもこの技にはひとつ欠点があるの』  
『欠点!?』  
『ええ、それは血液循環の中心である心臓に負担がかかり過ぎてしまうこと。  
だからこのままやれば我聞君の心臓は私の技に耐え切れず破裂してしまうわ』  
『じゃあどうすれば・・・あっ』  
『ホントにあなたものわかりがいいわね。そう、あなたの反仙術で心臓のところ  
にくる私の気を消しながら心臓マッサージをしてほしいの』  
『私の・・・反仙術で・・・』  
 
『ちょっと待て姉貴!!俺はそんな技しらねぇぞ!!!』  
『当然よ、これは人の命を簡単に奪うことの出来る技、  
半人前のあんたなんかに教えられるもんじゃないわ』  
『じゃあ姉貴だって今までにやったことがあんのかよ!?』  
『一度だけ・・・・・でも失敗したわ・・』  
『なっ!?』  
『我聞君のお母さんが暴走の事件に巻き込まれたとき、私もそこにいたの・・・、  
その時は武文さんがいたから私と武文さんでこの技を・・・  
武文さんは完璧だった・・・・・でも・・私の気が・・・途中で切れてしまったから・・・』  
かなえさんの瞳から涙が零れ落ちました・・  
『私はあれから一日たりとも仙術の修業を怠った事は無い!!  
だから今度こそ絶対に成功してみせるわ!!!あとは陽菜ちゃん、あなたしだいよ』  
『でもよ〜陽菜さんにそん『番司さん邪魔です!!』ぐわっ!』  
『あなたは人を殺してしまうかもしれない覚悟はある?』  
『そんな覚悟いりません、絶対に成功させて見せます!!  
私は・・社長のためだったら何だって出来ます!!!』  
『陽菜さん・・・』  
『はるるん・・・』  
『そう・・・ならもう時間も無いしいくわよ!!』  
『はいっ!!!』  
 
本当は自信なんかなかった、反仙術だってまだしっかりと使えない・・・。  
でも社長を助けられるのは私だけだから!!  
また笑顔の社長に会いたいから!!!  
 
『陽菜ちゃん、もうすこしだから頑張って!!』  
『は・・い』  
頭が痛い・・・目の前が暗くなってきた・・・まだ、もうすこし・・  
心臓が動き出すまで・・社長!!・・・社長!!!  
 
 
次の瞬間、私は目の前が真っ白になって後ろに倒れていくのをどこか遠くに感じました・・・  
 
 
 
(さん・・・、国生さん・・・)  
頭の中で誰かの声がする・・・私はその声のするほうに腕を伸ばして・・・  
 
『・・ん・・・ここ・・は・・?』  
『あっ陽菜さん気がつきました!?』  
『果歩・・・さん?』  
『心配したんですよ〜!?なにせ陽菜さん3日も目を覚まさないんですもん』  
『3日・・・・・・・・』  
ふと横を見ると真っ白なシーツが敷かれた空のベットがある。  
・・・社長!!、社長は!?  
 
『そ、そんなことより社長は!?果歩さん社長は!?』  
『お、落ち着いて下さい。陽菜さんだってまだそんなに元気になってないんですから』  
そのとき、病室のドアの向こうから夢の中で聞いた声がしてきました。  
『お〜国生さん起きたか』  
『しゃ、社長・・』  
『な〜にが起きたかよ。陽菜さんがこうなっちゃったのはお兄ちゃんのせいじゃない』  
『うぐっ、まあそうだが・・・って国生さんどうした!?どっか痛いのか!?』  
『社長が・・生きてて・・ぐすっ・・・・ホントに・・・よかった・・  
私、えぐっ・・・社長・・・死んじゃったとき・・・ホントに・・ひっく、ホントに・・  
・悲しくて・・・・・社長』  
『いや!?ほら・・・国生さん!!おかげで俺今こうして生きてるから、ね?』  
そういって社長は私の頭を撫でてくれました。  
人に頭を撫でてもらうのって何年振りだろう・・・  
暖かくって・・嬉しくて・・気持ちいい・・・  
 
 
しばらくそうしていると病室に先生がはいってきました。  
『工具楽君!、病み上がりなのに動いちゃダメじゃないか!!それに女の子まで泣かして』  
『いや、これは・・・』  
『お兄ちゃんが泣かせたんでしょ〜』  
『ぐっ!?まあそうかもしれんが・・・』  
『社長・・・ぐすっ・・・・社長・・』  
『それはいいとして工具楽君、君の身体はどうなっているんだね!?』  
『もう平気ですけど・・』  
『そういう意味じゃない!!、どうしてあんな重傷がたった3日で完治するんだね!?』  
『さぁ・・うまれつきなもんで』  
もちろん仙術ということは秘密だ。  
『現代の医学では考えられん!!まあ、とりあえずはそこの君のせいで3日も寝込ませてしまった秘書さんに感謝するんだな』  
『はい!!なんたって俺の嫁さんですから!!』  
『ぐずっ・・・・・えっ?』  
 
 
一瞬その場の空気が止まった。  
『『嫁さん!?』』  
『ちょ、ちょっとお兄ちゃん何いってんのよ!!(キャ〜お兄ちゃんナイス!!!)』  
『社長!?ど、どういうことですか!?』  
『いや、その・・声が聞こえたんだ、どこか遠くから。  
国生さんが嫁にもらってくれるの待ってるって、もしかして俺の聞き違いだった?』  
『いえ・・確かに言いましたけど・・・それは・・社長に意識を取り戻して欲しくて思わずいったことで・・その・・』  
『そっか、でもそのとき決心したんだ、国生さん、俺の嫁さんになってくれ!!』  
『っっ!!!』  
 
しゃ、社長が!?私を!?  
嬉しい、嬉しくて幸せだけど嫁さんって!?  
ホントに私を・・・お嫁に!?  
そう理解した瞬間、私の顔は火がついたように熱くなり、恥ずかしさのあまり俯いてしまいました。  
『そ、そそ、そういうことは人前で言うもんじゃないんじゃないんでしゅか!?』  
んぐ・・・うまく口がまわらない。  
『でももう誰もいないよ?』  
『えっ?』  
ホントだ・・・気付けば果歩さんもこんな事態を生み出した先生もいなくなってる、ってことは社長と・・・二人きり・・・。  
『で、でも私達まだ高校生ですし・・せめて高校を卒業してから・・・なら・・・』  
『も、もちろんちゃんと卒業して責任がとれるようになってからだ!!一人前の社長にもなってみせる!!!』  
『はい・・・待ってます・・ずっと・・・・幸せにしてくださいね!!!』  
『ありがとう国生さん、約束するよ・・・』  
 
 
真っ白な病室に幸せな雰囲気が漂います・・・  
 
 
 
『ところで社長、今日が何日かご存知ですか?』  
『む・・・ここ2、3日忙しかったからな、よくわからん』  
『ふふ・・社長らしいですね、今日は7月7日、社長の誕生日ですよ』  
『あ、そうか』  
『でも私今起きたばかりで何もご用意できてないんです、だから少しの間目を閉じていて頂いてもよろしいですか?』  
『う、うん。わかった』  
 
ここまで話して目をつぶったのに社長は何をされるのかわからない様子でびびってます。  
はぁ・・・、どこまでこの人は鈍感なのか・・・・・なんでわからないかな?  
 
そう心の中で思いながら私は彼の顔を両手で引き寄せて・・・・  
『こ、国生さん!?』  
『社長・・・誕生日おめでとうございます!!!』  
 
 
                  解体業者[工具楽屋]  
                   勤務評価報告書  
 
 
                GHK様おめでとうございます  
 
 
 
 
                      終  
 
 
 

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