『蒼き水の想い出…』  
 
「なぁ、我聞!明日プール行かないかっ?」  
学校の放課後、佐々木が突然我聞に問いかけてきた。  
「明日は仕事だったかな…?」  
我聞はうやむやに返事をした。  
そんなとき、陽菜が訪ねてきた。  
「社長、先程連絡があって、今日はこれから仕事とのことですので」  
我聞の秘書・陽菜は学校でスケジュールの連絡を行う。  
「何か入れてある予定はキャンセルしてください」  
「國生さん。明日は予定あったかな?」  
「いえ、予定は特に…」  
陽菜はメモ帳を見ながら答える。  
「やったぞ!佐々木!!プールに行ける!」  
「あぁ、お前はどうでもいい。國生さんはっ!」  
佐々木が我聞を軽くスルーして陽菜に問う。  
「いえ、私は社長と違って経理の仕事もありますから。そんなことしてる暇ありませんので」  
陽菜は冷たく言い捨てる。  
「相変わらずキツいな。最近はそうでもなかったんだが」  
側にいた中村がつぶやく。  
「いや、このキツいところがいいんだっ!なぜわからんっ!?」  
佐々木が熱弁するが中村は「わかるかよ…」と一言。  
 
 
仕事を終えて我聞は家に帰る。  
「ただいまー!!」  
我聞が扉を開けると妹の果歩が出迎える。  
「おかえり、お兄ちゃん!」  
「おう」  
 
食卓に着くとテーブルには果歩の手料理が並べられていた。  
すでに次女の珠、次男の斗馬は席に着いている。  
「明日はどこかいくの?」  
果歩が突然問いかけてる。  
「あぁ、明日は佐々木とプールに行く予定だ」  
我聞は生き生きした表情で答えた。  
「へぇ。陽菜さんは?」  
「あ、國生さんは仕事が残ってるらしくて行けないと…」  
「えぇ!? 陽菜さん行かないの!?」  
我聞はコクリと頷いた。  
 
夜になる。微かに話し声が聞こえてくる。  
「もしもし、こちらデルタ2」  
『こちらデルタ1。OK』  
デルタ2こと果歩とデルタ1こと優の会話だ。  
「緊急なので集まれませんが、明日はお兄ちゃんがプールに行くと言うのですが、陽菜さんは仕事で行かないらしいのです」  
『なにっ、プール!?それはGHKにとって好都合。はるるんは私がどうにかしとくから大丈夫。じゃっ』  
会話を終えると優は陽菜の家へと足を進める。  
 
「はーるるん」  
優は陽菜の家の扉を叩き、開くと中に入る。  
「優さんですか。どうしたんですか?こんな遅くに」  
陽菜は夜中に訪ねてきた優に少し疑問を抱いた。  
「いや、はるるん最近、仕事ばっかで疲れるでしょ?たまには息抜きなんてどう?」  
 
「いや、そういうわけには…」  
「いいからいいから。たまにはねぇ、たまにはさ」  
「そうですか…?」  
「はるるんの仕事は代わりに中之井さんにやってもらうからさ」  
優は悪気のない表情で言う。  
 
ブルッ。  
「なんだか、いやな予感が…」  
そのころ、中之井は悪寒がして目を覚ました。  
 
「では、明日は息抜きさせていただきます」  
優が帰るときに陽菜は見送りに玄関に来て会話をしている。  
「うん。我聞くん誘ってどこかいけばー?」  
「あの、どういう意味ですかっ?」  
「ううん。なんでもなーい」  
優は陽菜の家を出る。  
 
(はぁ…プールか。行こうかな?)  
一瞬、陽菜の頭の中でプールの予定を思い出す。  
そう思ったあと、考え直し、首を横に振る。  
(いや、あれは社長の予定です。でも…私も一応、誘われたんだし…)  
 
翌日、陽菜は目覚めると会社に出向いた。  
すると、陽菜より先に我聞が来ていた。  
「おっ。おはよう國生さん!」  
「あっ。おはようございます。社長」  
その理由は陽菜の仕事を少しでも手伝おうとしたのだ。  
「あの、今日は仕事は…」  
「いや、今日は國生さんだけ遊べないなんて不公平だと思って。だから少しでも早く終わるようにと思ってさ」  
 
「社長…!」  
陽菜は我聞の気遣いが嬉しくなり、笑顔で仕事を始める。  
 
「ふぅ…一応、間に合いましたね。社長」  
「うん。國生さん、プールの用意した?」  
我聞が尋ねる。  
「いえ、まだ…」  
「じゃあ、オレもついてくよ」  
「はい」  
 
部屋で陽菜が水着を探してる間、我聞は部屋を見回していた。  
「あれ…ない。見つからない…」  
「どうかした?國生さん」  
「あの、水着がないんです」  
「オレも手伝うよ」  
我聞もそう言うと引き出しを開ける。  
「あっ、そこはっ!!」  
陽菜がそう言ったときはもう遅かった。  
我聞の開けた引き出しには陽菜のブラジャーが入っていた。  
「……その…これはわざとじゃっ!」  
我聞はとっさに引き出しを閉めると、弁解する。  
「……。わかってます…」  
陽菜と我聞は部屋中を探した。  
途中、我聞の開けた引き出しに陽菜のパンツが入っていて我聞は平謝りした。  
我聞が近くの引き出しを開ける。  
「あっ、これじゃない?」  
我聞は陽菜の白いビキニを手に取り、両手で掴む。  
「……。社長…その…いい加減にして下さい」  
さすがに陽菜も恥ずかしくなる。  
「ご、ごめん!」  
(ヤバい。これじゃ本当にセクハラじゃないか…)  
我聞は反省し、少し落ち込んだ。  
 
待ち合わせ場所。  
佐々木と中村、恵と住もいる。  
「ごめん!國生さんの家で水着探してたら遅くなっ…。あっ!!」  
「社長…」  
陽菜は顔を赤くしている。  
「なんだと我聞ー!!國生さんの家へ行っただとぉ!?」  
佐々木が我聞の肩を揺さぶる。  
「行ったと言っても…一緒に水着を探しただけ…」  
我聞はさらに気を落とした。  
 
一同はプールに着く。  
更衣室でのこと。  
陽菜と恵の会話。  
ちなみに2人とも着替え中なので下着姿だ。  
「るなっち、家でくぐっちとなんかあった?」  
恵が尋ねる。  
「いえ、別に…」  
陽菜は顔を赤くして俯いた。  
「なんかあったんでしょ〜。わかりやすい。言ってみ!」  
「はい。その…水着を探してるとき、下着を…その…ブラジャーとパンツを見られて…」  
陽菜は顔を紅潮させながら恥ずかしそうに話した。  
「ふぅん。くぐっち…なかなかやるわね」  
恵がそう言った。  
「あれ…?そう言えばるなっち、胸が大きくなったんじゃない?」  
「え、そうですか…?」  
陽菜は胸に手を添えて触れてみる。  
「くぐっちに揉ませた?」  
「何言ってるんですかっ!?」  
陽菜は顔が真っ赤になる。  
 
「ほら、だってさ揉むと大きくなるって言うじゃない」  
恵が得意げに言う。  
「そうなんですか?」  
陽菜が尋ねる。  
「そう。覚えときな。言ってみ『揉むとおっぱいが大きくなる』って」  
「…え…?」  
「ほら、言ってみ」  
「…揉むとおっぱいが大きくなる…」  
陽菜は自分の胸を見ながらそう言った。  
「早く着替えちゃお。みんな待ってるよ」  
「はい」  
陽菜はブラジャーを外す。  
(うひょー!この瞬間を待ってたんだ!)  
佐々木は更衣室のドアの隙間から陽菜の着替え姿を覗く。  
(写メ写メ)  
パシャ。佐々木は陽菜の半裸姿を携帯に残し撤退した。  
 
水着に着替えた陽菜と恵が駆けつけ全員が揃った。  
「あれ…?社長は?」  
我聞の姿がない。  
「くぐっちは…?」  
「あ、あそこですね…」  
我聞は子供用プールの滑り台に頭から滑り、ダイブしていた。  
「何してるんですか、社長」  
「おう。國生さん!」  
我聞が手を振る。  
「國生さぁぁぁぁぁーん!!!」  
佐々木がダッシュで駆けてくる。しかし、恵に足かけされて躓き、倒れた。  
「滑るから気をつけてくださーい」  
プールを見張っている監視員に注意される。  
「なにすんだ!!」  
 
「あんた…あの2人邪魔しちゃダメでしょ」  
恵は我聞達の方を見て言う。  
我聞と陽菜は仲良く笑みを浮かべながら会話している。  
「いい雰囲気だしさ〜」  
「だからこそ邪魔したくなるんだよ」  
佐々木が言う。  
「どういう理由だよ…」  
中村が突っ込む。  
「あの2人は2人きりにしとこうよ」  
これは住の提案。  
「そうね、そうしよっか」  
佐々木を引きずりながら少し離れたところに行く。  
ところで、中村と住…出番が少ない…。  
 
「社長、あまりはしゃぎすぎないでください」  
「大丈夫。オレの体のことなら、丈夫だから!」  
我聞はニコニコ笑いながら言う。  
「いえ、プールの周りの人たちに迷惑ですので」  
「そういうことか…わかったよ。気をつける」  
我聞はため息をつき、答えた。  
「では、そろそろ私も泳いできます」  
陽菜はプールサイドまで歩き、入ろとすると、足を滑らせた。  
「わっ!!」  
「っと、大丈夫?國生さん」  
我聞が陽菜の身体を受け止めた。  
「はい。ありがとうございます。では、失礼します」  
陽菜は頭を下げて泳ぎだした。  
「國生さん、もしかして水着探しのときのこと、まだ怒ってるのかな?」  
我聞はここに来る前のことを思い出し、反省する。  
 
(なんでだろう…今日は社長の近くにいると妙に変な感じがする)  
陽菜は考えごとをしていた。  
(ドキドキというか…)  
陽菜が泳いでいると恵たちのところへ行き着いた。  
「あれ?るなっち、もうくぐっちと一緒じゃなくていいの?」  
「はい。私もたまには羽をのばしたいので…」  
恵が尋ねると陽菜は答えた。  
 
そのころ、我聞は佐々木達のところにいた。  
「佐々木…さっきから携帯ばかりみて何してるんだ?」  
我聞が尋ねる。  
「それより、プール内に携帯持ち込むなよ」  
中村が言う。  
「フフフ、これを見て驚くな!」  
佐々木はさっき撮った写真を見せる。  
「これは…っ!?」  
もちろん、その携帯のディスプレイには半裸姿の陽菜の何も付けていない胸が映っている。  
「國生さん?」  
「お前、どうやって!?」  
「さっき更衣室を覗いたんだよ。他にこんなのも!」  
携帯には胸に手を当てて赤くなる陽菜が映っていた。  
「合成写真?」  
陽菜らしからぬ姿に疑問を抱いた中村が言う。  
「いや、紛れもなく本人だ!」  
「じゃあ、オレ聞いてくる!」  
我聞が走りだそうとすると、中村が止める。  
「バカ、セクハラだぞ!」  
「何!?本当か…」  
「それにこれはオレの宝だ!バレては困る!」  
 
「しかし…」  
「わかったよ。あとでプリントしてお前にもやるからさ」  
佐々木が不適な笑みを浮かべて言う。  
「いや、そういう意味じゃ…」  
 
そのころの陽菜たちは「ねぇ、いいじゃんるなっち!」  
恵が陽菜に手をのばす。  
「やめなよ恵ー!」住が止める。  
「ちょっとくらい揉ませてよ!」  
恵の手が陽菜の胸に触れる。  
「よっしゃ、タッチ!」  
恵は手を動かして陽菜の胸の感触を楽しむ。  
「んっ、やめてくださいっ」  
「柔らかくて気持ちいいから…もうちょいだけ〜」  
「ぁんっ!」  
陽菜は堪えきれず声を漏らしてしまった。  
「今のは國生さんの喘ぎ声っ!」  
佐々木は駆け出した。  
「全く、なんなんだ今日はみんな…」  
中村はため息をつく。  
 
「ヤバい。逃げろ!」  
恵はそう言うと、陽菜の手を握り走る。  
「ふぅ…ここまでくれば平気ね」  
陽菜達はプールの端まで来た。  
「しかし、るなっちのおっぱい気持ちよかったよ」  
この言葉は誉め言葉として受け取っていいのか陽菜にはわからなかった。  
「はぁ…」  
「また揉ませて!」ムニッムニュ。  
「んっ…ぁん…あの、やめてください…」  
「ゴメンゴメン」  
恵は悪ぶれる様子もなく謝る。  
 
「我聞って國生のこと、どう思ってるんだ?」  
中村の突然の質問。  
「えっ!?それは秘書としても優秀だし、とても頼りになる!」  
我聞は陽菜に対する信頼を伝えた。  
「それだけか?」  
中村が聞き返す。  
「あぁ、とりあえずそれだけだ」  
我聞は一言だけ、そう言った。  
「そうか。我聞、あの娘、大事にしろよ」  
中村が重い口調で我聞に言った。  
「ん?ああ…」  
我聞も返事を返した。  
そして、恵と明るく話している陽菜を見つめた。  
 
「よし佐々木!クロール勝負だ!」  
我聞が佐々木に勝負を申し込む。  
「やったる我聞!勝った方が國生さんをもらうってのはどうだ!」  
佐々木が条件を付けようとするが  
「いや、そういうのは本人の問題だから」  
我聞が言う。  
 
そして、陽菜をかけた(?)勝負が始まった。  
「うぉぁぁ!!」我聞の方がわずかにスピードがあった。  
(やむを得ん!奴の足を!)  
佐々木は我聞の足を掴み引っ張る。  
「ん!がはっ!足が!」  
我聞は引きずり落とされる。  
「社長っ!」  
陽菜がとっさに飛び込み我聞を助ける。  
「水を飲み込んでます」  
我聞は苦しそうにしている。  
「仕方ありません…人口呼吸を…」  
 
 
「人口呼吸をするしか手はありませんね…」  
陽菜が我聞に近づきつぶやく。  
「とりあえず…水を吐かせなきゃ」  
陽菜が我聞の胸に手を置き、ギュッと数回押す。  
すると我聞の口から飲み込んだ水が吐かれた。  
「がはっ、ハァ…ハァ」  
「何はともあれオレのせいだ。人口呼吸ならオレがする」  
佐々木がにそう言うが、陽菜は  
「いえ、止めずに見ていただけの私に責任があります」  
陽菜は我聞がこうなったことに責任を感じていた。  
(なんで我聞なんかと…)  
佐々木は心の中でつぶやく。  
「私のミスですから…」  
陽菜は我聞の口に顔を近づける。  
お互いの唇が触れ合おうとすると我聞は目覚める。  
「ん!オレ、寝てたか? って、うわっ!!」  
「えっ!?」  
陽菜は急に恥ずかしそうに顔を赤くする。  
「國生さん…えーと、どうかした?」  
我聞が何事もなかったかのように尋ねる。  
陽菜は黙ってしまい、思ったように動けない。  
「はぁ……」  
陽菜は気を失い、そのまま倒れる。  
「えっ!?」  
周りが突然のことに驚く。  
陽菜の身体は我聞の顔にのしかかる。  
「んぁぁぁ!!」  
我聞が悲鳴をあげる。  
「てめぇ、國生さんの身体に触れてるからって…」  
佐々木が言う。  
 
「嬉しそうに大声あげるな!!」  
(えっ!?違っ!)  
我聞はそれより、陽菜の身体が心配だった。  
(多分、昨日も残って仕事してたみたいだし、疲れてたんだろうな…気が抜けて眠ってるみたいだけど)  
我聞は陽菜の疲労に気づけなかった自分を責める。  
(くそっ、オレがもっと早く気づいてれば…)  
「我聞!黙ってないで國生さんの胸から離れろぉ!!」  
我聞の頭には陽菜の胸が押しつけられていた。  
「あ!あぁ!!」  
我聞が起きあがり、陽菜の身体を支える。  
「とりあえず、國生さんはオレがどこか落ち着いた場所に連れてくよ」  
我聞が陽菜を背中に乗せて言う。  
「うん。くぐっち、頼んだ」  
恵がそう言うと我聞は陽菜を連れて走り出した。  
「でも、水で濡れたまま寝かせてたら風邪引いちゃうよな……」  
我聞が独り言をつぶやく。  
「とりあえず、何か着せるものがないとな…」  
そう言って我聞は男子更衣室に入る。  
我聞は陽菜をイスに寝かせる。  
気が引けたがタオルで陽菜の身体の水を拭き取り、ロッカーから自分のTシャツを取り出して陽菜に着せる。  
「上着だけでも少しは違うかな…」  
 
「とりあえず、ここで休んでるか」  
我聞はそのまま、陽菜の寝ているすぐそばに座る。  
 
「くぐっち達、どうしたかな?」  
恵が尋ねる。  
「確かに遅いね」  
住が心配する。  
「我聞は更衣室の方に走ってったよな」  
中村が言う。  
「まさか、女子更衣室へ行って國生さんの下着をっ!?」  
佐々木が興奮している。  
「それはないよ。くぐっちにそんな勇気ないって」  
 
そのころ更衣室。  
「へくしっ」  
我聞がくしゃみをする。  
「オレのほうが風邪引いたかな…?」  
我聞はチラッとすやすや眠っている陽菜を見る。  
「國生さん、起きないな…。よっぽど疲れてたんだな」  
 
そのころプール。  
「遅い!更衣室を見てくる!!」  
佐々木が叫ぶ。  
「あんたは心配だからね〜。中村、男子更衣室見てきて」  
恵が言う。  
「あぁ」と中村が返事をして走り出す。  
「まぁ、くぐっちに限って女子更衣室には入ってないだろうしね」  
 
更衣室に中村がたどり着く。ガチャ。  
「我聞ー?いるかー?」返事はない。  
「我聞ー?」  
我聞は陽菜の寝ている横で座ったまま寝てしまっていた。  
「ふぅ…このままにしといてやるか」  
中村は2人の微笑ましい光景を後にして更衣室をでる。  
 
「どうだった?」  
「やっぱりいたよ」  
中村が恵の質問に答えた。  
「それで?」  
「2人とも…寝てたよ」  
「ふぅ…。じゃあ2人はほっといて遊ぼうか!!」  
「おう!!」  
 
更衣室では、陽菜が目覚めた。  
「私…寝ちゃったんだ…」  
横に寝ている我聞を見つめる。  
「社長…ずっとここにいてくれたんだ…」  
陽菜は自分の着ている服に気づく。  
「これ…社長の…」  
自分のよりも大きい服に違和感を感じながらも我聞の気遣いが嬉しくなる。  
「……社長がいてくれたのなら、私もここにいよう…」  
陽菜は我聞の隣にちょこんと座る。  
「………」  
静かな空間。  
プールから笑い声が聞こえてくる。  
時計が目にとまる。まだ帰る予定の午後5時まで3時間ある。  
「社長はまだ起きないし…」  
陽菜はまた眠りについた。  
我聞と陽菜は肩を寄せ合うようにお互いの身体をくっつけあいながら眠る形になっている。  
陽菜が再び目を覚ませば、横にいたはずの我聞がいなくなっていた。  
「社長!?」  
「ん?どうかした、國生さん」  
我聞は名前を呼ばれて振り返った。  
「社長…ずっといてくれたんですよね?」  
「え? あ、ああ」  
「その…ありがとうございました」  
陽菜は我聞に明るい声でお礼を言う。  
 
「別に、いいよ。國生さん…疲れてたみたいだし…」  
我聞が照れくさそうに言う。  
「でも、せっかく皆さんと遊べる時間を…」  
「いいんだ。オレが國生さんの側にいたかったから、いただけだから」  
我聞がきっぱりと言う。  
「え? いたかったから…?」  
陽菜が聞き返す。  
「いや、やましい意味じゃない! 國生さんの身体を触ったり、変なことはしてない!」  
我聞が聞かれてもいないことを弁解する。  
「社長…?触りたかったんですか?」  
「え?いや、そういうわけじゃ!」  
「触ってもいいんですよ?」  
陽菜が微笑みながら言う。  
「えっ!?」  
「こんなふうに」  
陽菜は我聞の手を取り自分の胸に当てる。  
「……」  
我聞は顔を真っ赤にして黙っている。  
「今日、側にいてくれたお礼です」  
陽菜はそう言うが、我聞には抵抗があった。  
「ほら、どうしたんですか?手を動かしてください」  
「う、うん」  
我聞は陽菜に言われて手を動かし、陽菜の胸を揉む。  
「っ、ん…」  
「國生さん…気持ちいい?」  
我聞が胸を弄びながら尋ねる。  
「はっ、やっ…あっん…は…い…」  
陽菜は喘ぎながらも答える。  
 
頬を赤くしている陽菜をみて我聞は  
「國生さん…可愛い…」と一言。  
我聞は陽菜の唇をふさぐ。  
「んっ…ちゅ…」  
しかし、胸への責めも休まない。  
「あっ、ぁぁ…ん」  
陽菜の喘ぎ声が響く。  
「その…脱がすよ…いい?」  
我聞が尋ねると陽菜はコクリと頷いた。  
我聞は陽菜のTシャツに手をかけ、胸の部分まで捲り上げる。  
そして、陽菜の水着を剥ぎ取る。  
すると、綺麗な胸が現れる。  
先端の突起はすでに尖っている。  
我聞は右胸の突起にしゃぶりつき吸う。  
「あぁぁぁ…ん!」  
陽菜は今までのなかでもとくに大きな声をあげる。  
我聞は左胸の突起を指先で転がす。  
陽菜の身体がビクンと仰け反る。  
さらに我聞は陽菜の尻に触れる。  
下の水着にも手をかけ、スルスルと脱がせる。  
「社長ぅ……ん…ぁっんぁん…」  
我聞は陽菜の胸をさらに強く揉む。  
「國生さん…気持ちいいよ…」  
「私も…ぁっ…気持ちィ…いい…」  
「國生さん…その…そろそろ…」  
「あっ、はい。い、いい…ですよ…」  
我聞は陽菜の返事を聞くと海パンを脱ぎ、自分のモノを出す。  
「じゃあ、いくぞ…」  
「は、はい…」  
 
我聞は陽菜の濡れている秘部にモノをどんどん沈めていく。  
「あっ、やあ…ぁ、ぁ…ぁ、ん!!」  
我聞と陽菜が1つになる。  
「どう?國生さん」  
見ると陽菜の秘部の接合部からは血が漏れていた。  
「ィ!…痛い…です…あっ、ぁ…や!ん…んぅ…」  
我聞が腰を動かすと陽菜は答えるように激しく喘ぐ。  
「ゴメン、痛いんなら…やめるよ…」  
我聞が腰を動かしながら、重い口調でそう言うと  
「いえ、ここまで…した…ぁっ…ん…ですから…ぁあっ!…最後まで…ぁんぁっん…して…ください…!」  
「わかった」  
我聞は陽菜の胸に手をかける。  
陽菜の胸を揉みながら腰を動かす。  
「あっ、ゃっ、気持ち…い…いィ、あぁぁぁん!」  
我聞はさらに、陽菜の胸の突起を吸い上げる。  
「ぁっ…ぁぁん、社長ぅ…ぁ、あぁぁぁん!!」  
「いいよ、國生さん!!」  
我聞は陽菜の片胸を撫でるように弄り、もう片方の胸の先端の突起を舌で転がす。  
「ゃっ、はぁ…んっ、やぁんっ!あぁ…あっ、ぁん!」  
「い…いい…よ、國生さん!」  
陽菜の秘部は我聞のモノを強く締め付ける。  
「あぁぁ、國生さん…オレ…もう、その…」  
「はい!」  
我聞は自分の精液を陽菜の膣内に放出した。  
 
その後、2人は行為の後始末をした。  
「はぁ…後始末終了っ!」  
我聞が元気よく言う。  
2人とも、何事もなかったかのように水着を着て更衣室を出ようとする。  
気付けば時刻は4時30分。  
「もう着替えて帰るころですね」  
「うう…」  
我聞が落ち込む。  
「とりあえず、着替えてきますね」  
「…うん」  
「あっ、社長…借りてたTシャツ…濡れてますけど…」  
陽菜が気付いたように言うと  
「えっ!?あっ、あれしか着替え…ない!」  
我聞は落ちている、びしょ濡れになった東方不敗の文字が刻まれたTシャツを見て落ち込む。  
「あの、こうなったのは私の責任ですし、私の服を代わりに…」  
陽菜はそう言うと我聞からTシャツを受け取り、更衣室を出る。  
ガチャ。  
陽菜が更衣室に戻ったときには、佐々木と中村、さらに知らない人たちまでいた。  
陽菜は顔を紅潮させ、我聞に手招きしてシャツを渡すとそそくさと退散する。  
「なんだったんだ?」  
 
帰りの出来事。  
「るなっち、それくぐっちのTシャツじゃない?」  
「え? ホントだ」  
「はい。あの、私が寝ちゃってたとき、社長が貸してくれたんです」  
 
「へぇ〜。なんだかんだでさ。るなっち、くぐっちとラブラブじゃん」  
恵がそう言うと陽菜は顔を真っ赤にして俯く。  
「冗談、冗談。でも、私はるなっち達がお互い気を使いあってるような仲より、2人とも気軽に話し合えるようになって欲しいよ」  
「はい!」  
陽菜は明るい表情で答える。  
 
そのころ我聞は、佐々木に怒鳴り散らされていた。  
「なんでお前が國生さんの服を着てるんだー!!」  
「そんなこと言われても!」  
 
「じゃ。オレ送ってくよ」  
我聞が言うと陽菜は「はい」と一言。  
我聞と陽菜は2人で並んで歩く。  
我聞は帰りに買った缶ジュースを飲みながら歩いている。  
「ところで社長…その…責任とってくれるんですよね?」  
陽菜がそう言うと我聞は「え? なんの?」と振り返る。  
「その…今日のセックスのことです」  
そう言うと我聞は口に含んでいたジュースを吹き出した。  
「ゲホッ、ゴホッ…何を言い出すんだ?國生さん!」  
「だって、社長…中に出すから…赤ちゃんできたら…どうするんですか?」  
陽菜が頬を赤くさせ腹部を撫でる。  
「嫌…だった?」  
我聞が聞く。  
「いえ、むしろ…嬉しかったです」  
 
「え?」と我聞が驚く。  
「私は嬉しかったです。社長と1つになれたことが…」  
陽菜はまっすぐ我聞を見つめて言う。  
「オレも…嬉しかった…國生さんのこと…好きだから」  
「私も…好きです」  
2人はお互いの顔を寄せ合い、唇が触れ合う。  
沈みかけた夕日が2人の姿をオレンジ色に照らしている。  
「じゃあ、早く…行こっか?」  
「はい!」  
我聞が手を差しのべると、陽菜はそれに答えるように手を握った。  
陽菜の家まで着く。  
我聞は陽菜を家まで送ると、颯爽と走り出す。  
陽菜と行為に及んだことを思い出すと、恥ずかしくなり、落ち着いていられなくなったのだ。  
工具楽家の扉を開く。  
「ただいまー」  
「おかえりー!」  
果歩が出迎えると我聞の手を引き、誰もいない我聞の部屋に連れていく。  
「陽菜さんと、何かあった?」  
「え? いや、何もやらしいことはないぞ!!」  
「別に『やらしいこと』なんて聞いてないわよ?何その慌てっぷりぃ。何かあったんでしょ?」  
果歩が鋭い指摘をして我聞を追い詰める。  
「う…」  
我聞は果歩に今日あったことの全てを話した。  
(やった!予想以上の結果!)  
果歩は小さくガッツポーズをとる。  
こうして我聞と陽菜の恋が始まった。  
 
〜終〜  
 

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