時刻は既に夜に達していたが、真夏の暑さは派出所内を支配していた。派出所にある
冷房器具は年代物の扇風機が一つ、部屋全体を冷やすには明らかな力不足であった。
肝心の扇風機から流れてくる風は生温かく、まるで効果がない。
「あち〜、これじゃやる気もでんぞ」
両津は既に制服を脱ぎ、シャツとパンツ一枚の格好で顔だけを上げ机に伏していた。
「いつも以上にやる気が出ん。くそープラモを作るのも面倒だ」
「先輩、とりあえず制服を着てくださいよ」
「こんな暑いのに、よくお前も麗子も我慢できるな、汗が止まらん」
両津の言う様に夜だというのに、ジメッとした高い湿度に覆われ中川の額からも汗がこぼれる。
隅で書類の整理をしている麗子も例外ではないようで、暑さの為か眉が僅かにつり上がり、少し
苦しそうだ。いつもより大きく開いた制服の胸元から見える肌にも汗が滲み、どことなく扇情的
な雰囲気である。