「や、やめろって勘吉、まだ勤務中、ぁっ……!」
ごつごつした毛深い指が纏のスカートをたくし上げ、ゆっくりと、またある時は性急に陰部を撫でる。
「纏、ワシが最果て派出所に飛ばされてた一ヶ月間、お前も『飲まず食わず』だったんだろ?」
「う、うるさい、くっ……ぁっ、はぁン……!」
太く武骨なくせにどんな細かい作業でもできてしまう器用な指先はまるでそれぞれの指が別の生き物であるかのように緩急をつけて蠢き、纏の雌性を奏でた。
こちら葛飾区亀有公園前派出所。
とある平和な昼下がり、派出所の奥では両さんが纏を背後からおいしくいただいている最中だった。
日本の治安行政上の課題に不在交番の解消というものがあるらしいが、逆にいえばそれだけ不在交番が多いということだ。
多くの市民はそのことを知っているので、この派出所におまわりさんがいないのは警邏中だからだろうと別段怪しまれることもない。
このような心理トリックのおかげで、両津勘吉という性獣は日常的に美人警官の媚体を貪ることができる。
両さんという日本警察の良心的人物が恐れるのは市民の目ではなく部長の目だけである。そしてその部長は研修のため管内にはいない。
そういう次第なので両さんはこうして気兼ねなく纏のうなじに唾液たっぷりの舌を這わせることができるのだった。
「ぅっ!? くっ、おい勘吉っ、人が、来るだろ……」
背中に取りついて、カラダをいいように弄ぶケダモノを振り返る。
本人は睨みつけているつもりなのかもしれないが、その眼光にはいつもの強い意志力はなく、なし崩しにカラダを許してしまうのは既定路線のように見える。