この日、早矢は、覚悟を決めた表情で厳しい顔付きで仕事した。
それだったらいつもの彼女らしく凛々しい表情に男達は惚れるのだが…
勤務が終わり、寺井達と引き継ぎをした両津、中川、纒、早矢の4人は署へ帰ろうとした時に、両津の手に紙があった。
それを見ると「今日の夜9時に、大正屋でお待ちします。」
これから、早矢の一番長い夜が始まるのである。
「何だよ。こんな時間にげぱるとババアをだますのが一苦労だよ。ハーハクション!寒い。ここ浅草一高い旅館でさすがのわしも入りにくいな。早矢来んかな!」
そこに白の絹の真っ白な着物を着た早矢が現れた。「エッ…」一瞬言葉を無くした両さん。
葛飾署へ配属後、いつも京美人の彼女を見ていたが、今の早矢が一番綺麗に見えた。
「両津様、私が今日は全部払いますから。まず中に入りましょう。」
「やった!夕食抜かれたけん。嬉しい。何が出るのかな?」
「あー!美味い!これもあれもみんな早矢どうした。今日はいつもよりも食うのが遅いな!」
早矢は今までの人生の中で緊張していた。
弓道の日本選手権の最後の一本を射つ前よりも緊張した。
両津はたらふく豪華料理を平らげ、風呂にもつかり、「おい!風呂やしょ…おい何だよこれは!」
超高級羽毛布団の寝床が並べられて、枕も二つあった。
「早矢!どういう事だ!わしも男だ!これがどういう意味かわかるか?輕はずみな行動はよせ!本気でお前を抱くぞ!」
早矢は両津の目を見て
「両津様、我が磯鷲家は3回り目の干支を迎える日の夜に、破瓜の儀式を迎えます。」
「ちょっと待て!二回り目がどうたらこうたらって何だよ!」「両津様申し訳ありませんでした。
24歳の誕生日に、磯鷲家の女性は、処女を喪失しないといけません。
本来なら、許嫁を決めて、24歳の誕生日に結婚式を挙げますが、私はまだ結婚したくないので、両津様に、最初の契りをお願いしました。
明日私は京都に帰って、父に、処女膜が破られているかどうか確認されるのです。
私を裸にして、中に指を入れるそうです。
磯鷲家の娘は代々伝わる儀式で拒めません。」