ある日のこと。  
両津と寺井の二人が派出所で待機していた時の事。  
滅多に鳴らない電話がなり、カップラーメンを啜っている寺井の代わりにマンガを読んでいた両津がその電話に出た。  
 
 
『お父さんがね、入院しちゃったんだよ。過労でね・・・・』  
 
 
涙を堪えるような母の声に、両津は珍しく絶句した。  
無駄なまでに元気だった父親が倒れたという事実に、両津は前々から考えていたことを実行に移すことにした。  
 
 
「署長、本日まで本当にお世話になりました」  
「な、何を言っておるんだね両津君?」  
 
 
署長の目の前には、両津直筆の辞表と頭を下げる両津。  
普段の無法かつ奔放な彼からは想像出来ない事態に、彼の頭はとうにパンクしていた。  
 
 
「俺は、家業を継ぎます。親父が倒れた今やらないといけない気がして」「・・・そうか。解った。今まで長い間お疲れだったな」  
 
 
署長は何故か忌々しいはずの両津の思い出が懐かしく思え、少し笑い・・・ため息をついた。  
 

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