葛飾区・葛飾警察署一階・・・
昼休み。あいかわらずこの時間帯の警察署は込んでいる。
免許の更新、車庫証明、その他のいろんな手続きでたくさんの人たちが警察署に訪れる。
受付には5,6人並んでいる。署員たちは全員忙しく動く。
待合いのベンチににも2,3人座っている。
その中に一人の少年の姿があった。ちょっとおどおどしていて頼りない感じだ。
彼の手には「警察官採用試験申し込み書」が握られている。
「ちょっとわかんないところあったから聞きに来たんだけど・・
ふう、また今度にしようかな・・申込期限はまだまだ先出し」
ベンチから立ち上がって帰ろうとする少年。
そのとき入り口から一人の女性警察官が入ってきた。スレンダーなタイプで
髪をポニーテールにしている。ぎぼしまとい巡査だった。
入り口のすぐ横の自販機でダイエットコークを買っている。昼休みらしい。
少年はおもいきってその婦警に聞いてみることにした。
「あの、すいません」
「はい。なにか?」
「警察官採用試験申込書でちょっとわからないことがあったので・・」
「どこ?」
「写真の裏に生年月日と氏名書けって書いてあるけど・・本当に裏でいいんですか?」
「ああ、これね。写真がはがれた時困るからね。その為なんだよ」
「そうなんですか・・」少年はほっとした感じで言った。
「ありがとうございました」
「何かわからないことがあったらまたきなよ。私で良かったら教えてあげるから」