『レッツ・キャンプ!の巻(100-7)その後』
「やかましくて寝ておれんな」
部長はそう言うと,テントから這い出た。
「おい,両津。ビールがまだ残ってたな?」
「そこにありますよ。もう冷えちゃいませんがね。」
周りの騒音に呆れた両津と中川もテントには戻ろうとしなかった。
「先輩,ここはうるさすぎて寝られませんね。」
「そうだな。お前のF40の中で寝る方がよっぽどマシだ。」
二人は車に向かった。
本田は一人,テントの中に取り残された。
そこに同じく寝付かれなくて散歩に出ていた菜々がやってきた。
「うるさくて寝られないわ,とても」
テントに入ってきた菜々に続いて部長がビールを抱えて戻ってきた。
酒があまり得意ではない本田にとって,あまり飲みたいものではなかったが
既に残っているのはぬるくなってしまったビールだけだったので,
仕方なく飲むことにした。
テントの中で3人でビールを飲みながら話をしていたが,本田は慣れない
ビールで早くも酔っ払い,会話もろれつが回らなくなっていた。
そんな本田をよそに,部長と菜々の会話は盛り上がっていた。
「・・・は,・・・だったよな?」
「ハ…,ハイ」
「・・・なのよね?」
「そ…,そうだね」
本田は既に二人が何をしゃべってるのかわからないまま,
ただ相槌を打つだけだった。
…それからどれぐらい時間がたっただろうか。
なぜ,こんな状態になっているのかわからない。
でも,酔い潰れて動くことすらままならない
本田にはどうすることもできなかった。
翌朝,目が覚めると周りには丸まったティッシュが散乱し,異臭を放っていた。
「こんなことになるなら,菜々ちゃんをキャンプに連れてくるんじゃなかったよ〜」