「ごめんホータロー! この埋め合わせは必ずするから!」
手を合わせて頭を下げる里志に俺はため息をつく。
その向こうでは同じように呆れた表情をした伊原の姿が見える。
「俺は別に構わんが……何というか、もう少ししっかりしろ」
ダブルブッキング、というわけではない。
ただ単に放課後に俺に買い物に付き合ってくれと昨日頼んできた里志が伊原との約束を忘れていただけだ。
「ごめんね折木。ふくちゃんがホントに」
すまなそうにする伊原に特に気にしてないように肩をすくめてみせ、さっさと行くように促す。
苦笑いしながら伊原に引きずられる里志を、俺はひらひらと手を振って見送った。
さて。
思わぬ暇な時間ができてしまった。
何となく帰宅する気にもならないので、部室にでも行くことにしよう。近いうちに提出する課題もあることだしな。
(おや?)
部室の鍵が借りられている。
消去法で借りたのは千反田だろうが、俺が今日行かないことは昨日のうちに言ってあるし、里志も伊原も先ほど伝えたと言っていた。
誰も来ない部室で何をしているのやら。まあ俺と同じように課題か復習でもしているのだろう。
(校舎の端の端なんて誰も来ないしな)
周囲にまったく人の気配を感じないまま俺は部室の前にたどり着く。
ここで声をかけるなり、あるいはノックをするなりしていればこの後の展開はまた違うものになっていただろう。というかいつもの日常が繰り広げられていただけの話になるはずだ。
だが、俺は無造作に、何も考えずに、千反田がいるはずの部室のドアを開けた。
「…………っ!」
中にいた千反田が驚愕し、信じられないものを見るような目でこちらを見る。
その時俺の表情はどんなだっただろうか。
少なくともこれまでの人生で最も狼狽したことは間違いない。
何せ。
『女生徒の自慰行為』など今まで目にしたことなどないのだから。
制服の裾から手を突っ込んで胸を揉み、スカートを捲り上げて下着の上から指を押し当てる行為など自慰以外の何物でもない。
二人ともしばらく固まっていたが、いち早く冷静さを取り戻したのは俺の方だった。
そのまま部室に入り、後ろ手にドアを閉める。
このまま見なかったことにして部室から去ることも考えたが、あの体勢ではもはやごまかしようがない。せめて机に突っ伏しながらとかならまだ言い訳のしようもあったろうに。
ならば何らかのフォローが必要だ。
俺が近付いていくと、今更ながらに千反田はばばっと服の乱れを整え、顔を俯かせる。
椅子を引いて座るとびくっと千反田は肩を震わせた。
「お、折木さ……」
「鍵もかけずに不用心なことだな」
「う……え、えと、まさかいらっしゃるとは思わなかったもので……」
それにしたってなあ。
まだ俺だから良かったものの、気まぐれでいつ誰が訪れるかわかったものじゃないというのに。
前々から思っていたが、千反田には危機感が足りないのではないだろうか。少しお灸を据えてやる必要があるかもしれない。
「あ、あの……このこと、だ、誰にも言わないでください!」
「……さて、どうするかな」
「お、お願いします! 何でもしますから!」
「そうか……じゃあさっきの続きをしてみてくれないか?」
「え……」
千反田が顔を上げて戸惑った表情を見せる。
が、俺は構わずに続けた。
「普段からどんなふうにしているのか教えてくれ」
「っ! …………うう」
顔を真っ赤にして再び俯いてしまった。
もういいだろう。
『冗談だ。もう二度と学校でこんなことはするなよ』
俺はそう続けようとしたつもりだった。
しかしそれより先に。
「わ、わかりました」
千反田から放たれた言葉に俺の口から出掛かった言葉と思考が止まる。
え?
今何と言った?
俺が混乱から抜け出せてないまま千反田は脚を開き、スカートを捲り上げた。
程よく肉の付いた太ももがあらわになり、千反田らしい真っ白な下着が晒された。が、その中心部は先ほどの行為による染みができている。
その光景に俺はごくりと生唾を飲み込んだ。
「わ、わたしがするときは、む、胸を揉みながら、こんなふうに下着の上からいじったり、します」
そう言って裾から片手を入れて胸を揉み、下着にもう片方の手を寄せて指を押し当て、先ほどと同じような姿勢になる。
そのまま小刻みに動かしだし、声を堪えるかのように唇をきゅっと結んだ。
もういい、止めろ。誰にも言ったりしないから。
そう言おうとした俺の口から発せられた言葉は。
「どんなことを考えながらしているんだ?」
だった。
理性が効かない。
千反田の切なげな表情に嗜虐心が頭をもたげてくる。
「う……お、男の人に、胸を揉まれたり、身体中をさわられたりっ……します……」
それは。
「こんなふうにか?」
手を伸ばし、制服の上から空いた方の胸を鷲掴みにする。
「ん……は、はい」
ブラがずれているのか、思った以上に柔らかな感触が俺の手に伝わる。
そのままむにゅむにゅと揉みしだくと千反田がびくっと身体を反応させながら眉根を寄せた。
それを見られている事に気付くと慌てて顔を逸らそうとするが、俺は空いた手で顎を押さえ、真っ正面からじっと見つめてやる。
「千反田、続けろ」
「っ! ……も、揉まれるだけじゃなくて……先っぽを摘んだり、指で弾いたり、してきてっ……ああっ!」
俺は直に服の中に手を突っ込み、その言葉通りにしてやる。
ぴんぴんに尖って固くなった乳首を二本の指で挟み込んでくりくりと刺激すると、甘い嬌声が千反田の口から漏れ出た。
その声をもっともっと聞きたくなり、顎を押さえていた手を下腹部に持っていき、千反田の手を掴んでぐっしょりの下着の中に両者の指を突っ込ませる。
すぐに敏感な陰核を探り当て、二人でそれを弄くり回すと更なる嬌声が発せられた。
さすがに外に聞こえたらまずいので一旦動きを止める。
「はあっ……はあ……っ」
イったわけではないようだが思った以上の快感に体力を消耗したのか、千反田はぐったりしていた。
そんな姿を後目に俺はドアに向かい、施錠を確認する。
まあ念のためだ。
もうここまで来たなら俺も止まれない。行けるところまで行くつもりだ。
俺が再び千反田に近付くと、千反田はのろのろと椅子から降りて俺の前に座り込む。
そのまま俺のズボンに手をかけ、脱がそうとしてきた。
「ち、千反田!?」
「……わたしの身体を弄くったあと、男の人は、自分の服を脱いで」
どうやら先ほどの妄想の続きのようだ。
やがてギンギンに固く反り返った肉棒が千反田の目の前に晒される。
それを見て千反田は目を見開いたが、すぐに言葉を続けた。
「男の人の……が、無理やり、わたしの口に……」
そう言って口を大きく開き、はむっと先端をくわえ込む。
柔らかくて暖かいぬるぬるとした感触に思わず声を上げそうになったが、何とか歯を食いしばって堪える。
俺はそのまま千反田の頭を両手で押さえ込み、腰を揺すって口内を肉棒で陵辱し始めた。
唇の輪っかが先端から根元を幾度も滑り、とてつもない快感を俺に与えてくる。
このまま射精したい誘惑をなんとか断ち切り、俺は口内から肉棒を引き抜いた。
「あ……」
千反田が名残惜しそうな声をあげるが、それを無視して千反田を立たせて上半身を机に伏せさせる。
ちょうど尻をこちらに突き出すような格好だ。
スカートを捲って下着を下ろし、しとどに濡れた女性器を露わにさせる。
千反田に何の言葉も抵抗も発させないまま俺は焦点を合わせて腰を突き出し、一気に蜜壷の最奥部まで肉棒を埋めた。
「ああっ……!」
「くっ……」
千反田が仰け反りながら声をあげ、俺の口の端から呻き声が漏れる。
ぎちぎちに締め付けてくるのに柔らかいという相反する感触が肉棒を包み込む。
俺は本能のままに腰を振って千反田を犯し始めた。
「んっ……ああっ! すご……ほんもの……きもちいっ……ああああっ!」
ほんもの。
千反田は男を受け入れるのは初めてなのだろうか。スムーズに挿入できたのもこんなに敏感なのも自己鍛錬の賜物か?
気になった俺は千反田の背中に覆い被さり、耳元で囁くように尋ねる。
「随分と感じているみたいだが、自分でするよりいいのか?」
「は、はいっ……初めてなのに、すごくっ……ああっ!」
俺は両手を千反田の胸に回し、揉みしだきながら乳首を摘んだ。
「ここもこんなに固くして、お前淫乱な女だったんだな。名家の娘が聞いて呆れるな」
「ごめんなさいっ……ごめんなさいっ……でも……ああっ!」
千反田は謝りながらも自ら腰を揺すって快感を得ようとしている。
俺は身体を起こして千反田の腰を掴み、膣内に出し入れする肉棒の動きを速めた。
「なら、そんなお嬢様には罰を与えないとな。このまま中で全部出してやる」
「えっ!? だ、ダメです折木さん! 赤ちゃんできちゃいます!」
「いいぞ、妊娠しろ、俺の子を孕め。それにお前の妄想でも男は中出ししたんだろ? ならお前はそれを望んでるってことだ」
「そ、それは……ああっ! そこは、ダメですっ! ああっ!」
膣内で千反田の感じる箇所を見つけ、俺はそこを重点的に責める。
俺の言葉でさらに締まりがきつくなったあたり、千反田は相当な被虐趣味気質のようだ。
「お願いします折木さん! 何でもしますから、中には出さないでください!」
「俺もそうしてやりたいんだがな。お前のココが『離したくない、中で出して欲しい』って締め付けてきて抜けないんだよ」
事実どんどん締まりは良くなっているし、口ではああ言いながらも腰を振るのを止めないでいる。
身体は正直、というやつだろうか。
「折木さんっ! 折木さんっ!」
「イきそうなんだろ? イっていいぞ」
俺は再び耳元に口を寄せ、絶頂へ導くように囁く。
右手を結合部付近に伸ばして陰核をいじり、大きな声を出さないように左手で千反田の口を覆う。第三者からしたらレイプしているように見えるかもしれない。
千反田の身体がぐううっと仰け反る。
「イけ、イってしまえ」
そう言って耳たぶを少し強めに噛んだ。その瞬間。
「んふぅっ! んうううううううっ!」
びくんびくんっと千反田の身体が大きく痙攣し、俺の手の下の口から悲鳴のような声が吐き出される。
肉棒を包み込んでいる襞が様々な動きで収縮し、より一層の快感を与えてきた。
もう俺にも余裕がない。ギリギリまでその中を味わい、射精寸前で引き抜く。
「うっ! ううっ! く……うっ」
自分の手でしごき、大量の白濁液を千反田の形のいい尻にぶちまける。
その白く綺麗な尻が汚れていくさまに更なる興奮を覚えながら全てを出し切った。
「はあ……はあ……っ……」
俺は肩で息をしながらティッシュを取り出し、自分と千反田の下半身の後始末をはじめる。
千反田は気を失った、というわけではなさそうだが、どこか目が虚ろで反応が鈍く、体勢も変わらない。
予想以上に激しく達してしまったのだろう。
下着もしっかり穿かせて着衣の乱れを整えてやった。
そうこうしているうちに外はすっかり暗くなり、完全下校時間の放送が流れはじめる。
終始千反田は夢うつつのような状態だったので手を引いて駐輪場から千反田の自転車を回収し、ゆっくりと歩きながら千反田家まで送ることになった。
到着するころには平静を取り戻したようで、顔を赤面させながら俯いている。
そんな千反田に自転車を渡しながらそっと一言囁き、俺はそそくさと帰路についた。
* * *
次の日。
登校して下駄箱付近で千反田に会った。
千反田はきょろきょろと周りを確認したあと、人目がない隙をついて俺の手を取り、自分の胸に押し当てる。
むにゅ、と柔らかな弾力が俺の指を押し返した。
「い、言われた通り今日はブラをつけてないです……こ、これからも何でも言う事を聞きますから……今日もお願いしますね」
顔を真っ赤にしつつもどこか嬉しそうに言ってきた。
その笑顔に心を奪われながらも俺は曖昧に頷く。
昨日のことで千反田は蜘蛛に捕らわれた蝶のようだと思ったものだが、ひょっとして捕らわれたのは俺の方だっだろうか?
俺はそんな益体もないことを考えた。