折木を誘惑。  
とにかくホテルまで送り込められれば私の勝ちな訳だけどそれだけじゃつまらない。  
 
あいつって、昔は私よりも小さくて、友達も少ない寂しい奴だったのに、いつのまにか私よりも大きくなった。  
おまけに推理が得意だったなんて、ちょっと見直した。  
 
折木が古典部を辞めない理由はちーちゃんの存在はもちろんあるけど、私の存在も...あるわけないか。  
 
昔は良くからかっていたから、あいつに嫌われてるのは確かね。  
謝りたいなって思うけど、それって私らしくない。  
だから、ふくちゃんが、私は折木の天敵みたいに言うのは認める。  
 
それにしても、ちーちゃん。ううん、あえて千反田さんと呼びたい。  
あのナイスバディ。身体検査や水泳の時に嫌でも見比べる。  
胸なんかブラ外す時プルンと揺れる。体操の時もゆさゆさと揺れるの。  
見てるこっちが変な気持ちになりそう。  
 
触ったら気持ち良さそうね。  
乳輪も小さくて、薄いピンク色。  
大きさはたぶん90のC、私なんかまだ75のAだもん。  
 
一度見惚れちゃって、  
「摩耶花さん、何か付いてますか?」て聞かれて  
おもわず「凄いの付いてるわよ」って切り返したんだけど、  
キョトンとしてるの。  
 
自覚が無い、天性の男性キラーだわ。  
実際、ちーちゃんに言い寄る男子は、沢山いる  
でも、「せっかくですが、お断りします。」でぜんぶ見事に拒否  
 
さらに、あの名前をすぐ覚える特技ね。  
あれも男子を誤解させてる。  
 
これで折木との仲が他に知られたら、折木またいじめられる。  
ちーちゃん、それを知ってるかなあ。  
今度、注意しなくちゃ。  
 
周りが私を置いてどんどん大人になってくな。  
お姉さんは寂しいぞっと。  
 
まあ、ふくちゃんは貧乳好きと言ってたから、大丈夫ね。  
 
でもね。そんなちーちゃんも恋に悩む乙女、恋愛は私の方がずっと先に行ってる。  
それが今日はっきりした。うふふ、可愛い。  
 
恋はね。体型だけじゃ決まらない。  
その事を実践で教えてあげるわ。  
 
デートの前日、父に明日の初めての外泊許可を頂きました。  
お友達の家に泊まりますと、初めて嘘をつきました。少し良心が痛みます。  
 
当日の朝、迷った末にいつもの白いワンピースとピンクのカーディガンに着替えました。  
もっと目立つ服もあるのですが、父や母に怪しまれると困りますので。  
でも当然下着は下ろしたてです。  
 
替えの下着も忘れずに持ち、出掛ける直前に、濃い赤のルージュで仕上げです。  
 
待ち合わせの場所に付くと、すでに福部さんが待っていました。  
「遅くなってすみません。今日はどうぞよろしくお願いします。」  
「こちらこそよろしくね。千反田さん、それじゃ、行こう」  
「はい」  
「奉太郎は、この先のゲームセンターで摩耶花と待ってるはず。  
千反田さん悪いんだけど。入口近くになったら手を繋いでくれる?」  
「あっ、はい」  
福部さんはいつもは雄弁ですが、今日はほとんどしゃべりません。  
「あのう、緊張してらっしゃいますか?」  
「そりゃ、千反田さんの様な美人と一緒なんだから、緊張しない方が無理」  
「え、お世辞でも嬉しいです。実は私もです」  
「それって...」  
「あっ、はい。今日折木さんと過ごす夜の事考えて...」  
「...あ、そ、そうだよね。」  
 
すぐにゲームセンターに着きました。  
福部さんが左手を寄せて来ましたので、予定通り手を繋ぎました。  
福部さん、急にそわそわします。  
「落ち着いて下さい。今日の作戦の要なのですから。」  
「ああ、ごめん。きちんと演技しなきゃね」  
「ええそうです。入りますよ」  
建物の中に入るとゲーム台の間にお二人が待って居ました。  
 
摩耶花さんは、いつものTシャツにオーバーオールではなくて、両肩と背中を大胆に出した紺色のホルターキャミソールに白のフレアスカートです。  
少し寒そうですが、摩耶花さんてスレンダーで肩のラインがきれいだから、凄く魅力的ですね。  
 
折木さんはというと、いつもの服装です。あっ目が合ってしまった。昨日も一人で慰めてた事を思い出し、急に恥ずかしくなりました。  
今日、いよいよするんです。どうか拒絶されませんように。  
 
摩耶花さんと作戦通りに声を掛け合って、次の場所に移動します。摩耶花さん、あの口上はらしくないですよ。  
 
動物園に入り、ニホンザルのサル山に行きます。  
昔は、あちこちに居た珍しくない動物だったそうですが、人口増加による宅地化などで棲家を追われ、動物園でしか見ることが難しい動物になったそうです。  
福部さんがボスザルの見分け方とか、若いオスザルは群れを追われ、別の群れに入る話しとかしていただけました。  
授業で習わない話が即興で出来るなんて、やはり凄い人です。  
福部さんも話しが弾んで、緊張が取れてきた様です。  
 
そこへ、例のお二人が来ました。  
摩耶花さんが折木さんの手を引っ張っています。  
二人が私達の向こう正面で、こちら向きに立ちました。  
 
こちらの様子をみた後、摩耶花さんがクルっと折木さん方へ向き直し、両手を首に廻して背伸びします。  
まさか、やり過ぎです。  
長いです。あの本にあったように、舌を絡めてるのかな、見てて私も恥ずかしくなりました。  
福部さんは、もう茫然自失です。  
 
放心状態の私達を残して、お二人は最終目的地へ行ってしまいました。  
やっと落ち着いてきましたので福部さんに声をかけて、お二人の跡を追いました。  
 
ラブホテルに着くと、そこには摩耶花さんだけ、もう折木さんは中で待っているそうです。  
先ほどの件が気になりましたので、聞いてみましたら、  
「迫ったけど、拒否されちゃった。」  
私の折木さんがそんなに簡単に落ちたりしませんよ。  
 
お二人に御礼をすると、その場で便箋に走り書きをされ、折木さんに渡すよう言付けされました。  
これからが、本番です。もう助けはありません。  
まず謝って、それから私の思いをぶつけます。  
 
あの本によれば、最初はペッティングという体の触り合いをしましょうと有りました。  
それが、二人の気持ちを通じあわせる最初の儀式であり、同時に最後の儀式ともなるらしいです。  
どうするのか、決まった手順がある訳ではありません。  
お互いの了解の元、気持ちよくなるようにするだけです。  
 
部屋の明かりを消して、  
お互いにガウンを脱ぎました。  
 
薄明かりの中、私がベッドに仰向けになり、横に座った奉太郎さんに、私の体を触ってもらいます。  
「なあ、える。触っては困る所があるなら、今言ってくれ。」  
「どこを触っても構いません。奉太郎さんの思うようにしてください」  
「分かった。俺も初めてだから、痛くしたら、ごめん」  
彼の指先がぎこちなく動いて、私の頬から首筋へ、凄くいい。  
両肩から二の腕へ、産毛にそっと触れるかどうかわからない位にやさしくなでてもらいます。  
 
それから、しばらく躊躇うように肩の辺りを触ってから、胸の双丘を麓から頂上まで、掌で丸く何度も。  
私、だんだんと息が上がって来ます。乳首が立ってるのを感じます。  
それからおへその辺りの両脇、次に股間へ。  
 
「舐めても良いか」  
「はい」  
熱い息が私の股間に掛かります。  
はうう。いい。  
ヌルッとしたものが股間にあふれてきます。  
 
シャワーで奥まできれいに洗ったので臭いはしないと思いますが  
恥ずかしい。でももっとしたい。  
「あの、奉太郎さん。」  
「どこか痛かったのか?」  
「いえ、そうではなくて、その...お尻の方もして欲しいです。」  
 
時計の秒針の音だけ聞こえます。  
どうしましょう。  
奉太郎さんの溜め息が3回しました。  
 
ああっもうこれで終わりかなと思った時、  
急に体を持ち上げられて、クルンと腹這いにされました。  
 
両足の付け根の敏感な部分をなんども触られ、その手が少しずつ、あの場所に近づきます。  
周囲の敏感な部分だけを撫で、その部分には触れずに、彼は言いました。  
「少し匂うかな」  
「いじわる。さっき、奥まで洗いました。」  
「どうして欲しい?」  
「うーん、できたら舐めてほしい」  
「ああ、お前のならどこも汚くないからな」  
あの場所に彼の舌が差し込まれる感覚がします。何か変な感じです。  
私はシーツを掴んで、歯を食いしばります。  
 
何か来る。  
そう思った瞬間に、背筋に電気が走る感覚がして、私は気を失いました。  
 
 
 
 

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