「大罪を犯す」から、題名「二人の間の大罪」  
・奉太郎xえる  
・18禁  
 
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 興味のない授業は、眠気をこらえるのが大変だ。ちょうど、シャープペンの芯が無くなっ  
たので、退屈しのぎに先端から1本補給しようと折れやすい芯を慎重に差し込んでいると、  
隣の教室から、竹刀か何かでバンバン黒板を叩いて苛立った教師の様子が聞こえてきたので  
ビックリして芯をポキッと折ってしまったじゃないか。  
 その後、淡々と授業を続けていたうちのクラスの歴史の教師も何事か?と中断するくらい  
教室がザワついた。  
 
 発作的な音や声は何度か続いた後、必死な女生徒の聞いことある声がして、奇妙な間があ  
った後、何事もなかったように授業が進み始めたようなので、うちのクラスの授業も授業が  
再開された。  
 
 何となく例の予感がしつつ、放課後になったので古典部室に向かった。  
 
「だから、何に対して怒ったのか、わたし、知りたいんです」  
 
 ドアを開けた途端に、これだ。おきまりのセリフに今日の部活が決定されたようなものだ。  
 
「どうしたんだよ、える。授業中の悲鳴みたいなの、もしかしてあれはお前だったのか?」  
 
 我が意を得たりとばかりに瞳の輝度を増す、えるである。  
 
「そうなんです、奉太郎さん!聞いて下さい、数学の授業が始まって、黒板に先生が例題を  
書いていったんですが、ノートに写しつつ、前回とかけ離れた内容に戸惑いました。  
 ちらちらと周りを見ても困惑していた人が多かったと思います。やがて、そのざわつきが  
先生を苛立たせ、いつものように生徒を指して、答えを求めました」  
 
「彼は答えられませんでしたので、先生はヒントを出したようですが、それもぴんと来ない  
様子で、別の生徒を指しましたが同じような感じで、黒板をばしばし叩いてなぜ判らないの  
かと先生も戸惑っていたようです」  
 
「えるは、成績優秀だから、予習してきたんじゃないのか?」  
 
「してきましたが、ヤマが外れたような感じで。それで、先生がそれ以上の恐ろしい何かに  
なりそうだったのでわたしは、とっさに立ち上がり、『先生、授業の進度を確認して下さい』  
と言ったのです」  
 
「ああ、それが俺の聞いた声だったのか。何か、事件が起きていたような切迫感があったよ」  
 
「それを機に先生は、はっとなって教科書を見直し、『あっ、すまんな、お前たちを試した  
んだ。数学には直感とかひらめきも大事で、もしかしたら、解けるヤツが居るかなとか』、  
わたし、どうみてもごまかしているような気がしました。でも、その後はこの前の授業の続  
きになったので矛を収めたわけですよっ。」  
 
 えるは、なんか得意げだ。  
 
「それで、えるちゃんは、怒ったんだって。ほーたろーは、何で怒ったか判るかい?」  
 
 里志は、相変わらず人ごとなのでお気楽な表情だ。  
 
「あたしは、えるちゃんが怒ったところ、見た事無いから何がイラって来たのか検討も付かないわ。  
里志に対してなら、あたしは言いたい事がいっぱいあるけどぉ?」  
「摩耶花、何で僕に矛先が向かうんだよ!だいたいさー…」  
 
 いつもの痴話げんかが始まったので、二人は居なかった事にして俺は、えるの横にイスを移動し、  
「えるは、授業を終えても、その怒りが収まらなかったんだろう?」  
「そうなのです。だから、どうしたらいいのかって…。」  
 
「一時的じゃなく、大事な事なんだろう。そうだな、分けて考えてみるか。  
 判らない内容で生徒をピンチにした件、これはどうなんだ?」  
「ちょっと腹が立ちますけど、それじゃない感じです」  
 
「苛立った先生が黒板をバンバン叩いたり、威嚇したのは?」  
「怖かったです。どうしちゃったんだろうかって。でも、違う感じ、です」  
「となれば、えるは、先生が『大罪』を犯しそうになったので恐怖したのかもしれん」  
 
「『大罪』って、キリスト教の傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、強欲、暴食、色欲の7つの大罪かい?」  
 
 摩耶花との痴話げんかに飽きた里志がさっと知識を披露する。お前は、Wikipedia(百科事典)か?  
 えるは、興味深そうな表情だ。  
 
「それだよ。いつもの先生が『7つの大罪』を犯し、何かに変わってしまうのを恐怖して、えるは、  
『7つの美徳』の勇気や正義で悪魔を祓おうと怒ったんだろう」  
 
「…あぁ、それです、きっと!やっぱり、奉太郎さんなら判ってくれると思ってました!!」  
 ぱぁっと笑顔になり、いつものようにきらきらした目に戻ったが、それもあまり続かなかった。  
 
「でも、もう少し…知りたいです。わたしが祓った悪魔とは、なんですか?」  
 ちょっとは自分で考えろよ、この○○!。い、いや、口に出かけてしまった。  
 
「そうね、悪魔というか脅威は、日常に紛れ込んだ不確定要素、かな。あたしなら、あの教師が  
気に入らないから、もっと追求してズバリとした糾弾しちゃいそうだけどさ」  
「たぶん、えるちゃんは性善説なんだよ。僕もあの先生は嫌いだけど、まあ、授業はちゃんとして  
ほしいから、先生の性根がどうであれ、まだ習ってませーんって言えるかな」  
 
 里志と摩耶花の見解に、えるはうなずきまくりで、すっかり得心がいったようだ。  
 といったところで下校時間となったので部室を退去して、校門で里志たちと別れ、  
「さて、帰るとするか」と帰ろうとしたら「あの、今日は山の方に行ってみませんか?」  
「天気も良いし、行ってみるか」「はい」といった感じで高校の裏手の山の方に向かって、俺たちは  
上っていって、しばらく走った後、えるは自転車を止めた。  
 
「ここで止めて、歩きましょう」「ああ、何か当てがあるのか?」「ええ」  
 
 夕方の木立の中をさくさくと二人で手を繋ぎ、歩いている。爽やかな風と木々の精気というか、  
フィトンチッドだっけ?気持ちが洗われるかのようだ。そして、ぽっかりと開けたようなところが。  
 
「ここなんですが、どうですか?奉太郎さん」  
 
 いつもとは違った神秘的な雰囲気のえるが問いかける。  
 
「不思議な場所だな。静かで、落ち着けるよ、える」  
 
 倒木に腰掛け、目を閉じてみると林と一体化したような気持ちになれる。  
 えるは、自然と俺にもたれかかって、お互いを不思議な温かさで包んでいた。  
 
「奉太郎さん、えるをどう思いますか?どうしたいですか?」  
「最初は迷惑だと思っていたが、それは俺の怠惰に歪んだ心が抵抗していたのかもな。それは、える  
自身と交わるようになり俺を灰色から変化させ、楽しめるようになってきた」  
 
 自然と俺は、えるを抱き締めている。その存在を確かめるように。  
 
「そして、俺とえるの間に生まれる温もりのように、何かが生まれないか?とさえ、期待してる。  
あ、子供とかじゃ無いぞ、それはまだ早すぎる」  
 
「はい。そんな奉太郎さんの思いにわたしの心が疼き、気になります、が増えてる気がします」  
「それは、他人にはわかりにくいものとなるよな?」  
「そうですね。わたしと奉太郎さんの間から生まれるものですから」  
 
「ふーむ。そういうものは『大罪』になるのかな?」  
「『大罪』にも『美徳』にも、成らないとおかしいです。一面だけの物なんて、ダメです」  
 
「ああ、そんな弱い物じゃダメだよな。こうして、お前を見つめて」俺は、えるの可憐な唇にキスを。  
「奉太郎さんから、受け取り、そして、わたしからも」えるからもキスをされ、お互いの舌が唾液を  
絡ませて甘い蜜を作り、二人を夢中にさせていく。俺の上着を落ち葉の上に引き、えるをそっと寝か  
せて、日が落ちつつある木漏れ日の中で裸にするとまるで妖精のようだ。俺も裸となり、少しひんや  
りした肌のえるの上に重なり、空の下で抱き合った。  
 
 いつもと違った香りのする首筋、鎖骨に唇を滑らし、両手で乳房を愛撫してえるの気持ちを揺らし、  
乳首を弄って、やさしく吸い上げて、その奥にあるものを呼び覚まし、えるの甘い吐息を生む。  
 以前より濃くなってきた股間の茂みに唇を寄せ、扉を開いていく。えるが俺を誘うように潤いが  
生まれて、俺はそれを確かなものにするように愛撫を続けると喘ぎ声が止まらなくなってくる。  
 
 えるが俺の物をまさぐったので跨ぐように体勢を変えたら、えるは俺のを舐めはじめ、咥えている。  
 お互いが循環するような快楽が流れを生み出し、やがて、高みを迎えようとする前に、俺はズボン  
の財布からコンドームを取り出し、装着した。  
 
 正常位に戻り、漲った俺のをえるの熱くほてった膣口に当て、抱き締めながら、腰を入れてぐっと  
挿入したら、温かい肉壁が俺を迎え、奥へと誘う。痺れるような気持ちの良さだ。  
 外のせいか、いつもと違う肌感覚で時折吹く風と相まって、爽快な気分の中、二人はお互いを求め、  
高まっていく。  
 
 やがて、俺とえるのエネルギーがひしめき合うように高まり、快楽に耐えきれず、しがみついてくる  
えるに抗うように俺は、えるに打ち込み続け、えるの泣くような喘ぎ声と共に俺は、何度も強く弾けた。  
 
「特別な感じが生まれたよ、える」  
 俺は、えるの吸い込まれそうな瞳を見つめながら、キスを。  
「わたしもそう感じました。奉太郎さんとより深く繋がって出来た感じです。」  
 
 えるを抱き起こして、裸で向き合うと、ここで生まれ変わったような気分だ。  
 
「これからも、えるの思いに応えられたら、と思う」  
「奉太郎さん、こんなえるですが、よろしくお願いします」  
 
 すっかり暗くなってきたので慌てて服を着て、携帯の画面の明かりを頼りに自転車のとこまで戻って、  
俺は千反田邸までえるを送って、夕飯に間に合うように立ち漕ぎして全力で帰宅した。  
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おわり  
 
 

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