部屋に着くなり俺は千反田を部屋の真ん中に促し、カンボジアの飢餓難民が分厚いステーキを目の当たりにしてもこうは
いくまいという勢いでガチャガチャとズボンを脱いだ。シャツも脱いだ。つまりエコだった。
目を見開くや否や、ぼっと顔が炎上し、四の五のいいながらあわてて両手で顔を隠し、そむける千反田は燃費が悪かった。
「よし、千反田、そこに座れ、正座な正座!早く!シッダウン!」
「わ、は、はい、こんな感じでよろしいでしょうか!?」
突然の豹変に千反田は驚いた様子だったが、命令に反することをよしとしない保守的な家風が躾けた
素直さと従順さによって、彼女は忠実なワン公を思わせる機敏さでそこに正座した。
そして、そのような突発的対応にも関わらず、その正座の姿は育ちの良さを表さずにはいられない、
凛とした美しさを湛えた田園に浮かぶ木造平屋建家屋だった。
解体業社たる俺はパンツの上から自分の怒張したいちもつをさすりながら、
正座を続ける千反田をゆっくりと周回し、囁きかけた
「里志と伊原も多分こういうことしてんだろうな。伊原はフェラ上手そうだよな。」
「ど、どういうことでしょうか?」
千反田は頬を赤らめながら視線をあっちこっちに泳がし、ばつがわるそうにしてる。
「摩耶花は精液を飲み込んでくれるのか。なぁ千反田、お前どう思う?」
「わ、わ、わたし、さっぱり分かりかねます…折木さんが何を言ってるのか…」
必至の作り笑いをし、決して目を合わせようとしない。相変わらず顔からは火が噴き出しそうだった。
支配者側がパンツ一丁ということを除けば、それは出来の悪い生徒を補習する先生、
あるいは万引き学生を尋問する店主のような構図でもあった。どちらも優秀たる千反田には無縁なものであったが。
脈打つペニスの高度はいや増すばかりであった。収穫の時期は近い。
俺は千反田の背後に立つと、その首と肩の間に猛々しい氷菓を突き出した。
「あ」
おびえたようなかすれ声が響き、千反田のからだがびくっと一瞬震える。しかし抵抗はなかった。
「千反田って…髪美しいよな…これってエコだよ。うん、エコ事業だよ。」
「よくわかりませんけど…わ、わたしは折木さんが喜んでくださるなら、それがt…嬉しいです」
どうでもいいけど、千反田が喋るたびにちんこに心地よい振動が響く。
「そういうことじゃねぇんだよ!!」部屋に怒号が響く。許せ千反田。愛情とはすなわち厳しさなのだ。
「わ、わ、ごめんなさい!!」千反田の体が縮こまる。
「これは罰だ」
俺はパンツの中に隠し持っていた包丁でさっと千反田の背中をなぞった。
「あぅっ」
大丈夫だ千反田、こう見えても板前を目指していた時期もあるんだ。
薄手のシャツはあっけなく裁断され、千反田の白いブラ、そして陶器のような、透き通った白い背中が露わになる。
その姿はウィリアム・アドルフ・ブグローの絵画のような神々しさであった。思わず生唾を飲み込む。
これ本当に好き勝手しちゃっていいのだろうか。いや、ひるんではいけない。
―義を見て為さざるは、勇無きなり
「お気に入りのシャツだったんですよ…特別な日にしか着ないんです…」
「なぁ、「折木さん」じゃなくて「ほうたろう」だろ?ほら、「奉太郎の喜びが私の女としての幸せです」、言ってみろ!」
「…ほ、ほうたろうのよろこびが…おんなとしての…わたしの…しあわせです…」
その声は混沌と恐怖と悲哀、わずかながらの興奮に彩られているにもかかわらず、不思議と明瞭性、重さを孕んでいた。
千反田は平常、快活なお嬢様って感じだが、時折、一人の女性として比類のない色気を発する瞬間がある。今がまさにその時だった。
「よし、お前の好きな推理ゲームをやろう、千反田」
「推理ゲームですか?」
ぱっと振り向いたその瞳には、例の好奇心による輝きが差し込んでいる。
客観的にはひどい状況であるが、密室が作り出す興奮と効果的な恫喝が千反田から思弁や判断をすっかり奪い去ろうとしていた。
「そうだ」
俺は千反田の呼気や二人の汗でべとついている首筋のペニスをとうとう露出させると、千反田の右肩肩甲骨にぺちりとあてがった。
瞬間、千反田の温もりが伝わる。
「ふぁっ!」
千反田が体をわずかにそりかえさせる。
こちらもたまらず鈴口から若干の先走がもれ、彼女の髪にひっかかる。黙っとこう。
「いいか千反田、これからお前の背中に特殊な筆で、ある文字を書いていくからな、
そう難しいのは書かんが…それを当ててみるんだ。」
「面白そうですね、勝負です!」