ゆっくりと解く俺の動きに気がついた千反田は、怖れの混じった声をもらしてバスローブの胸と前を腕で守ろうとするが、その間に俺は紐をほどいてしまう。そして胸をかばう千反田の手に優しく手を重ねる。  
 
「える、見せてくれ」  
 
興奮にかすれた声で囁く俺に、千反田は返事をせず、ただ、声を漏らした。あるいは絶望の声なのかもしれない。千反田は俺が望むなら自分を捧げる覚悟はできていると言った。だが、覚悟はあっても、羞恥が消えるはずもない。まだ高校三年生の少女にすぎないのだ。  
まして、育ちのいい千反田のことだ。よほどの恥ずかしさだろう。  
 
優しく握った手のひらは、ほっそりとして頼りない。何度か手をつないだことがあるが、俺の手とあまりに違うので最初の内は指が折れはしないかと本気で心配した。  
その手は、羞恥と、俺の望みに沿いたいという彼女の葛藤そのままのように、力ない抵抗を何度か見せながらも、結局は添えられた手に従って俺に襟元を明け渡す。  
 
明け渡された襟を見つめる。もう腰の紐も解け、俺を彼女から遮るのはこの白いバスローブだけだ。この襟をくつろげれば、千反田の肌を見ることになる。  
目を閉じて顔をそむけて横たわっている千反田の襟に手を伸ばす。小さな声をあげて、戸惑うように胸の手が襟へと延びてくる。その手をそっとつかんで元の位置まで戻してやると、俺は今度こそ襟をくつろげた。  
 
ゆっくりと襟をひろげると、千反田がのどの奥でかすれるような音を立てながら、身を固くする。襟からずらされて胸を押さえている手がせめてもの抵抗を試みているが、千反田本人に葛藤があるのでは抵抗にならない。右の襟は胸を抑えようとしていた右手ごと俺に広げられる。  
 
千反田の胸が現れた。色白だとは思っていたが、目の前に現れた彼女の胸は一層白くて、いっそ儚いとおもわせるほどだった。そしてその優しげなふくらみの頂上に、ほんの僅かばかり色づいた小さな乳首が顔をのぞかせている。  
激しく脈打つ俺の心臓から頭に、多すぎる血が流れこんでくる。  
 
もっと見たい。その気持ちのままに左の襟もくつろげる。二つの控えめなふくらみが、守ってもらうこともできず俺の前に現れた。千反田は言葉を出すこともできず、かろうじて左手で大切な部分が俺にさらされることを防いでいる。  
 
その左手に俺の手を伸ばす。ほとんど震えているように思える千反田の左手を優しくつかみ、そっと払う。痛々しいほど小さな声が漏れるのを聞きながら、ゆっくりとバスローブの左を開くと、彼女のすべてが俺の前に現れた。  
 
胸が震える。華奢な体だが痩せすぎではないと思う、柔らかな曲線に包まれている。モデル体型ではないが、はっきりと、俺なんかにはもったいないと思える体だった。そして、彼女の大事な部分を包んでいる茂み。  
正直言って、千反田の裸を夢想したことは何度もあるが、はたしてどんな茂みがそこを覆っているのかまったく想像できなかった。今、目の前に現れたそれは、想像していたよりもずっと広い。  
足の付け根からその部分にかけて三角形に蔽う茂みは、想像とは違って猥らさなど一片も感じさせなかった。俺はただ、妙な話だが、命のようなものを感じて胸を打たれた。  
 
千反田は今やバスローブを開かれて俺に包み隠さず体を見せている。左手は探せば救いが見つかるとでも言うようにシーツの上を所在無げに掴んだり、動いたりを繰り返している。彼女の感じている羞恥に胸を突かれながら、しかし、俺はどこまでも自分に正直だった。  
もっと、もっと千反田を見たい。  
 
仰向けに横たわって顔をそむけている千反田のバスローブの左肩にそっと手をかける。ぴくりと体を震わせる彼女から、ゆっくりとバスローブの肩を剥く。  
 
「ああぁ」  
 
俺の意図をはっきり理解した千反田が体を震わせて小さな声を漏らすが、それでもおとなしく俺に促されるままにバスローブから腕を抜く。続いて右腕を抜くと、もう、頭からつま先まで、千反田を覆うものは何一つなくなってしまった。  
 
自由になった両手で体の前面を掻き抱く千反田。ほっそりした右足を曲げて、懸命に俺の視界から大事なところを守ろうとしている姿を目に焼き付けたいと思った。  
 
そして千反田は、優しく促されて、とうとう胸を隠そうとしていた左腕も、大事な部分を隠そうとしていた右腕もほどき、何もかも俺の目にさらしてしまう。  
 
「奉太郎さん」  
 
声を震わす千反田は、前を隠すこともかなわず、今や両手でシーツをつかむことしかできないでいる。  
 
◇ ◇ ◇ ◇  
 
俺の前に、千反田がふるえながら横たわっている。ブラインドから漏れる柔らかい光が千反田の体の曲線を優しく包んでいる。白い胸は仰向けになっているからなのか高さをあまり感じさせないが、それでも優しい曲線を描いた膨らみだった。  
その控えめな高さのふくらみの上には、まるで千反田そのもののように、恥ずかしげな風で乳首がちょこんと乗っている。色の薄いそれは触れる前からどれほど柔らかいのか怖くなるほどだ。  
 
胸から腰にかけては女らしい曲線が描かれ、へそは縦に控えめにくぼんでいる。そしてその下の茂みはやはり命としか言いようのない気持ちを俺に抱かせた。  
体育の時間に遠目に見たことがあるだけだった太ももは目を焼くほどに白く、きれいな膝小僧へと続く。その向こうには、すねとふくらはぎがある。千反田は膝下が長いようで、俺は制服のスカートから覗く脚を時々盗み見ながら、長くてきれいだなと思っていた。  
 
下半身の強烈な突き上げを食らいながら、俺はそれでも千反田の体に見とれていた。シンプルに、美しいと思った。モデルなどとは比べるまでもない、ただの女子高生にすぎない千反田だが、それでも彼女の体は俺の頭に美しいという言葉しか刻まなかった。  
そして、下ネタに対する耐性すら全くないくせに、俺の気持ちにこたえるためだけに、恥ずかしさに身を震わせてくれた彼女が、ただただ、いとおしかった。  
 
古典部の扉をはじめてあけたあの日、窓を背に立っていた千反田の姿を思い出す。あの楚々とした姿の少女が、大きな目で俺を何度も騒動に巻き込んだ好奇心いっぱいの少女が、今、俺の前に恋人として体を横たえている。  
 
呆然と見ているうちに、羞恥に耐えられなくなったのか、千反田が震える両手を上げてやがて顔を覆ってしまった。  
 
「える」  
「はい」  
 
両手で顔を隠して返事をする千反田に苦笑しながら、なるべく優しい笑顔ができるように努力する。そうして、その両手首をつかんで顔を出させた。かろうじて顔が見える程度に開いた両掌の間から、千反田が恐る恐る俺の顔を見上げる。息をのんでいるのがわかる。  
 
「える。きれいだ。ものすごくきれいだ。許してくれ。俺がどれほどお前をきれいだと思っているか、どうやって伝えたらいいのかわからない。本当にきれいだ。俺はきっと、一生今日の事を忘れないぞ」  
 
千反田の手から力が抜け、目じりからぽろりと涙の粒が落ちる。そして彼女は頬を真っ赤に染めながら、  
 
「嬉しいです」  
 
と顔をくしゃくしゃにする。  
 
二人して、笑顔になると、もう一度唇を重ねた。千反田の両腕が俺の首に回される。二人を隔てる何もかもがもどかしい。左腕で体を支えながら、右腕で自分のバスローブの紐をほどき、右腕、左腕と交互に抜いてベッドの外に放り投げる。  
 
◇ ◇ ◇ ◇  
 
もう、俺たちを遮るものは何もない。抱きしめあった体と体から感じるのはお互いの血肉だけだ。俺は全身から流れ込んでくる、千反田のほっそりとした暖かいからだの感触に脳髄を焼かれながら、夢中になって彼女の唇を吸った。  
繰り返し唇を吸い、項に唇を這わせ、柔らかい耳たぶを甘がみする。くすぐったそうに首をすくめるのをなだめ、耳元で名前を呼び、何度もきれいだ、好きだと囁きながらキスの雨を降ら続けた。  
 
そうして、うなじからキスの矛先をおろしていく。心臓はずっと前から破裂寸前で、熱に浮かされたような頭の片隅でこのまま死ぬんじゃないかなどとも考えてしまう。だったら、思い残すことがあってはならない。  
 
首の付け根から鎖骨へと唇を這わす。小さな声とも呼吸音ともつかない音を洩らす千反田がかわいくて、なんども指先でなぞってしまう。ほっそりとした鎖骨は優美なカーブを描いていて、その上にきれいなくぼみがある。  
鎖骨のくぼみがきれいだなどと言うのはこれまで全く理解できなかったが、たぶん俺は今日から趣旨がえだ。すくなくとも、千反田の鎖骨のくぼみは言葉にできないほどきれいだ。  
 
そうして美しい鎖骨の感触を指先と唇で確かめた後、俺は体を起して視線をさらに下におろす。そこにはついさっき初めて男の視線にさらされたばかりの白い膨らみが二つ、千反田の荒い呼吸に合わせて上下している。  
その胸に手を伸ばそうとして、ふと、固まる。触っていいのだろうか。  
 
かすかに色ずいた乳首は申し訳程度に膨らんでいるだけで、触れれば痛みすら感じるのではないかとこちらが怯えてしまう。まして、千反田の怯えはどれほどのものだろう。  
 
それでも触れていいのだと自分に言い聞かせる。千反田はその覚悟を決めている。体が震えるほどの羞恥を無理やり抑え込んで俺の望みのままに肌をさらしているのだ。  
それがわかっていて尚、その優しげな膨らみに触れることは、なにか繊細で大切なものを壊してしまう様な罪深いことではないかと、思わせた。少しの間逡巡して、結局触れずにいることなどできないのだと知った。そうして手を伸ばそうとして、俺はやはりそれをやめた。  
 
そして胸の膨らみにキスをした。  
 
千反田が小さな声を漏らして体を震わす。  
 
鎖骨から下がった位置から始まる、裾野の部分に唇を這わせる。その柔らかい感触に逡巡も何も吹き飛んで、結局右手も左の乳房に延ばしてしまう。頭の後ろがしびれるような柔らかさに、手のひらから先がそのまま融けていくような錯覚を覚える。  
止まらなくなった俺は、キスを乳房の上側の裾野から、横、下側の裾野へと夢中で移していく。唇の感触だけでは我慢できなくて、ついばみながら、舌をその肌に這わせる。  
千反田は声を漏らさないように我慢しているらしいが、キスをするたびに呼吸を振るわせる。肌にはわずかに汗の味があり、一層興奮を煽る。シャワーを浴びて汗を流してはいるが、きっとバスローブに着替えたあとにほんの少し汗をかいたのだろう。  
 
千反田の肌の味にしばし魅入られて何度も舌を這わせた俺は、顔をあげて、目の前の乳首を見つめる。先ほどよりほんの少し突き出しているように思える。興奮すると乳首が固くなるというのは本当だろうか。千反田も感じているのだろうか。  
声を漏らしているのは感じているからだろうか、それとも、羞恥に耐えられずに声を漏らしているのだろうか。  
 
霞のかかったような頭でそんなことを感じながら、俺はそっとその乳首に唇を寄せた。  
 
「奉太郎さん」  
 
小さく漏れる千反田の声を聞きながら、唇で乳首をついばみ、舌で優しく舐め上げる。千反田があふっ、と声を漏らし、体を震わせる。唇と舌に伝わる感触は、柔らかくて、頼りなくて、そのくせぷりぷりしていて、これまで知っているどんなものとも違っていた。  
唯一無二、千反田だけが許してくれるその感触に、千反田が俺だけに許してくれるその感触に、掌に続いて、心も体も融けて流れていく幻覚を見る。  
 
夢中になって乳首を吸い、ついばみ、舐め、指でその感触を確かめながら、それでも俺はそのあまりに儚い感触に恐れおののいていた。千反田は俺に乳首を愛されるたびに体と呼気を震わせ、時折小さな声を漏らしている。時折俺の後ろ頭にまわした手に力が入る。  
 
「える、痛くないか」  
「は、はい。大丈夫です」  
 
頭を起して問うと、千反田もやっとといった感じで上気した頭を起して返事をし、そのまま枕に頭を沈めてしまう。痛々しさ愛しさに心をかき乱され、それでも俺は名残惜しくてもう一度だけ、淡い色の小さな乳首を唇に含み、舌で優しく舐め上げた。  
 
◇ ◇ ◇ ◇  
 
ぴくりと千反田が体を震わせるのを感じながら、キスの場所を乳房から、裾野へと移していく。少し顔を離してみると、ふと、柔らかそうな脇腹が目に触れる。優しい感じに心持ちくびれたその部分に唇を寄せる。  
 
「あ、あ、」  
 
と声を上げて、千反田が体をくねらせる。  
 
「くすぐったいか」  
「はい、少し」  
 
本人がくすぐったいといっているのであまりいじめるのもどうかと思いつつ、そうはいっても脇腹の柔らかい感触が蠱惑的に過ぎて、俺は未練がましく右手で左の脇腹を優しくなでている。そのたびに千反田が細かく体を振るわせている。  
どうしてこんなに柔らかいのだろう。柔らかいだけならともかく、俺の手を吸い付けて離さない手触りにため息が出る。  
 
「ここは嫌か」  
「嫌ではありませんが、くすぐったくて……あふぅ」  
 
もう一度右の脇腹に吸い付く俺に千反田が声を漏らす。かわいくて仕方がない。愛おしくてたまらない。俺の頭が胸から去って押さえにくくなったせいか、千反田の両手は俺の首から離れ、今度は自分の口を押さえている。  
 
そんな事をしないでくれ、もっと俺に声を聞かせてくれ。  
 
脇腹から這い上がって、腹へと目を落とす。きれいな形に縦に窪んだへそが見えた。どんな仕組みであんな風に縦になるんだろう、そう思いながら、ぺろりと舐めてみる。  
 
「奉太郎さん、そんなところ」  
 
さすがに変だと思われただろうか。しかし、そんなところと言われても、俺はもう千反田の体中を余すことなく手で確かめ、唇を寄せ、舌を這わせたいという猛烈な衝動に突き動かされている。  
それを辛うじて抑えているのは、初めてのベッドでそんなことをしては、あまりに千反田がかわいそうだ、もっと大事にしてやりたいという一心からだ。  
 
俺の頭の中では千反田を大事にしたいという気持ちと、千反田の何もかもをあらゆる知覚で知り尽くしたい、どこに何をするとどんな声をあげて、どんな風に体を震わせるのか知りたいという欲求がぐるぐると渦をまいて、  
ともすれば何が何だか分からないことになりそうだった。そして今、その主原因と言っていい茂みが、文字通り目と鼻の先にある。  
 
あの楚々とした立ち居振る舞いの、どちらかというと線の淡い千反田にこんな茂みがあること事態、驚きを感じる。その逆三角形の茂みに衝動的に顔を埋めたくなって、俺はかろうじてとどまった。  
大事にしたい大事にしたいといいいつつ、あまりにも性急に事を進めている気がする。  
 
身を起こすと、もう一度千反田の横に添い寝するように横たわった、左腕で体を支え、右手は千反田のおなかにおいたままだ。  
 
千反田が両手で口を押さえたまま、俺を見ている。上気して、鎖骨の下から顔にかけてが真っ赤になっている。さっき俺が室温を上げたせいでもあるのだろう、いつも楚々としている千反田がすっかり汗ばんだ顔で俺を見上げる姿に、激しく心を揺さぶられる。  
 
◇ ◇ ◇ ◇  
 

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