室内は冷房が効いているにもかかわらず、
ぼくの身体はじっとりと汗が浮き始めている。
まさに今のぼくは蛇に睨まれた蛙という状況だろうか、
いや、まな板の上の鯉のほうがあっているのかもしれない。
この醜態を目の前にいる小佐内さん以外の人に見られたら、
ぼくは恥ずかしさとトラウマで嫌な夢リストがさらにもうひとつ増えることは確実だ。
「小鳩くん、おいしそう」
小佐内さんがいつになく潤んだ瞳でぼくの体表面を上から下まで凝視している。
「小佐内さん、言葉は正しく説明しないと。
ぼくが美味しそう、じゃないでしょ?」
「そうね、飛ばしてたわ。
小鳩くんの胸にくっつているマンゴープリンとレアチーズケーキと、
お臍の上のパンナコッタに下腹部のわらびもちがおいしそうね」
「早く食べないと温かくなるんじゃ」
「うん、いただきます」
彼女はいつもの笑みを浮かべると先の尖ったスプーンを
ぼくの乳首の上のマンゴープリンに突き刺し、
勢いあまったスプーンの先端がぼくの乳首と接触する。