「それで折木さん、お話というのは一体なんなのでしょう」
「ああ、そのことなんだが」
話を切り出しかねた俺は、千反田の脚に目を落とした。
薄手のスパッツに包まれた太ももは、ほっそりとして健康的に引き締まっている。
ご存知の通り、千反田は制服と私服のどちらでも、膝がすっかり隠れるスカートしか着用しない。
したがって、千反田の膝より上の脚は、体操着を着ているときにしかお目にかかれないのだ。
一定のリズムでしなやかに躍動する太ももの筋肉。
こんなに間近で、こんなにも長い時間見られたのは初めてではないだろうか。
千反田が脚を上げるたびに現れる膝小僧の傍の窪みを見つめていた俺は、ふと重大な事実に気がついた。
千反田は汗をかいている。
汗で湿り気を帯びたスパッツは、その中身のラインを際だたせつつある。
千反田の脚の付け根に浮かんだあの段差は、まさかショーツの
「折木さん」
千反田の声に、俺は弾かれたように顔を上げた。
食い入るように脚に見入っていた俺を責めるのかと思われたが、しかし意外なことに、千反田は微笑んでいた。
いつもの清楚な表情からは想像もつかないほど艶やかな微笑を浮かべ、そして囁くように言った。
「折木さん、わたしのスパッツのなかが気になりますか」