「入っていいか?」  
 
 一人で留守番している葉音の元を訪ねたノッティー。  
 顔見知りの気安さか、簡単に部屋に男を通してしまう無防備さに、ノッティーは  
小さく溜息をついた。  
 
 ソファに座った葉音を見下ろすと、これまた無防備に二つ目まで釦を開けた  
シャツから覗く、意外と豊かな胸元。  
 それよりもなによりも、葉音が着ている、明らかにメンズのサイズオーバーな  
コットンのシャツ。  
 
それがノッティーの心に火をつけた。  
 
「…っ…!」  
 声にならない悲鳴をあげて葉音は両手首を押さえ付けられて押し倒された。  
 
「…葉音…」  
 戸惑った顔をしている葉音を見下ろして、ノッティーは苦しげに彼女の  
名前を呼んだ。  
 その声に葉音の肩がぴくりと跳ね、形の良い唇がきゅっと噛み締められる。  
 
「…葉音」  
 もう一度名前を呼び、ノッティーはゆっくりと葉音に顔を近付けていく。  
 
 あと少しで唇が触れ合うところで、不意に葉音が顔を背けた。  
 目が見えなくても気配で察したのだろう、唇を噛んだまま葉音はノッティーを拒絶した。  
 
「…ん、だよ…」  
 
 押さえ付けた両手が小刻みに震えているのに気がついて、ノッティの頭に血が昇る。  
「おまえ、言ったじゃねーかよ!暗闇恐がるなって!自分は暗闇だって!」  
 その言葉に葉音はふるふると首を左右に振る。  
 
「葉音…っ」  
「…ゃ、…んぅ!」  
 
 噛み付くみたいに葉音の唇をキスで塞ぐ。  
 片手で細い顎を掴んで無理矢理唇を開かせると、躊躇いもなく舌を入れて  
口腔を蹂躙する。  
 
「ん…ふぁ…ッ」  
 
 なんとか逃れようと掴まれた腕や押さえ付けられた脚に力を込めるが、葉音が  
男の力に敵う筈もなく、徒労に終わる。  
 
「…そんないやがんなよ」  
 唇を離して至近距離で囁く。  
 葉音は小さく震えたまま焦点の合わない瞳でノッティーを見つめた。  
「初めてだよな?葉音…。俺、優しくするから…」  
 呟きながら葉音のシャツに手をかける。  
 服を開けられる感覚に葉音の体が再び強張る。  
 
「こわくねーから…」  
 
 抵抗のなくなった葉音の腕を離し、そっと頬を両手で包む。  
 目が見えないせいか、いちいち反応を返す葉音に愛おしさが募る。  
 
 開けたシャツの下に覗く白い下着越しに手を触れ、ゆるゆると揉むと、葉音の  
手がノッティーのシャツを掴んだ。  
 
「…葉音」  
 
 唇を柔らかな頬や瞼に這わせながら背中に手を回して、下着のホックを外す。  
 突然楽になった胸周りにノッティーのシャツを掴んだ葉音の手に力が加わった。  
「葉音…きれいだ」  
 晒された真っ白い上半身に思わず見惚れる。  
   
 他人に裸を見られている。  
 
 その事実に葉音の頬がどんどん赤く染まっていく。  
「…恥ずかしぃ…」  
 
 ぽつんと呟いた葉音に、ノッティーは困ったように眉を下げて葉音の小さな  
体を抱きしめる。  
 
「能登くん…」  
 
 ふわりと抱きしめられて葉音は安心したように小さく息をつく。  
   
 目の見えない葉音は、少し触れただけで過敏に反応する。  
 それが初めての行為なら尚更だろう。  
 
「――っ、あ…っ」  
 
 開けられた下着の下にノッティーの手が滑り込む。  
 同時に鼻にかかった声をあげて葉音は顎をあげた。  
 ――柔らかい…。  
 
 小さな体と幼い顔には不似合いな、意外と大きな胸。  
 一気に頭に血が昇ったノッティーは葉音の胸を包んだ両手を揉むように動かす。  
 掌に当たる蕾がだんだんと固くなってくるのを感じて、嬉しくなる。  
 
「葉音…これ、勃っちゃってるな」  
 
 真っ赤に染まった耳たぶに口づけてからかうように囁くと、葉音はびくっと  
肩を震わせて恥ずかしげに首を左右に振った。  
 
 固く自己主張し始めた胸の蕾を指先で弾くと、葉音は小さく声をあげて  
見えないはずの目をぎゅっとつつむった。  
 
「…ん、んぅ…っ」  
「辛いか?」  
「…だぃ、じょぶ…」  
 
 苦しそうな葉音に声をかけると、葉音は小さく首を振って微笑んだ。  
 それに安心したノッティーは、触れるだけのキスをして、そのまま葉音の  
胸に顔を埋めた。  
 
 白くて柔らかい胸に唇と舌を滑らせて、指先で虐めていた蕾を唇に含んだ。  
 
「…ぅ、あ…ッ」  
 
 軽く吸うと葉音の背中がきれいに反らされる。  
 浮き上がった背中に片手を回して背筋に沿って指を滑らせると、葉音は一層 激しく反応して体をよじった。  
 
「…や、…ぁ、あ…っ」  
 
 ぴくぴくと震える葉音を慰めるように背中を撫でていた手をゆっくり下へ  
滑らせていく。  
 胸への刺激に気を取られて、ノッティーの手が自分のズボンのファスナーに  
かかっているのに気付かない。  
 
「…葉音、腰あげろ」  
「ふぁ…っ、はぁ…」  
 
 胸の刺激すらこなせない葉音はノッティーの言葉にすぐに反応できない。  
   
 焦れたノッティーは、少し強引に葉音の腰を持ち上げ、ズボンを下着ごと  
降ろしてしまう。  
 
「…!…やぁだぁっ!」  
 
 急なことに快感に飲まれかけていた葉音の意識が浮上する。  
 ノッティーは暴れ出した葉音を抱きしめて、自分の膝を葉音の脚の間に  
押し付ける。  
 
「――ひゃ…っ!?」  
 
 敏感なところにいきなり与えられた強い刺激に、葉音は悲鳴をあげる。  
 
「やだ…ぁ…!能登く…っ、…んぅっ」  
「葉音…っ、葉音っ」  
 
 剥き出しになった葉音の胸にむしゃぶりつきながら、押し付けた膝を上下に  
動かす。  
 
「…んぁっ、あっ、んんぅ…っ」  
 
 暫くして葉音の声と表情に甘さが加わったのを確認したノッティーは  
片手を膝で刺激していたところに伸ばす。  
 
 指で触れたそこは確かに快感を感じているらしく、濡れた感触を捕らえた。  
 
「葉音…感じてんのか?…濡れてる」  
「…そんな…っ、わかんな…っ、…ひゃぅっ」  
 
 小さいながらも反応して固くなっている敏感な粒に触れると、華奢な腰が  
大きく跳ねた。  
 
「やめ…!そこ、ダメだよ…っ」  
 
 ノッティーの手を掴んで必死に懇願する葉音。  
 
 そんな葉音がノッティーの中の可虐心に火をつける。  
 
「お願…ッ、ふ、あ、なんか…ヘン…ッ!」  
「いいぜ。このままイッちゃえよ」  
「なん、やだ、やだぁ…っ!んぁ、あ、あぁ…ッ!」  
 涙をぽろぽろ零しながら、背中を反らして葉音は初めての絶頂を迎えた。  
 
「――ふ、あ…っ、あ…」「…葉音」  
 
 初めてのことに瞳を潤ませたまま混乱する葉音に優しくキスを繰り返しながら、  
ノッティーは自分のジーンズのファスナーを降ろす。  
 納まりがきかないくらい固くなった自身を出し、グッタリしている葉音の手を  
取るとそれを握らせる。  
 
「…あっつぃ…」  
 
 初めて感じる男のそれに、葉音は素直に感心したような声をあげた。  
 
「おまえのせいだからな…責任取れよな」  
 
 言いながら葉音の脚に手をかけて開かせる。  
 まだイッたばかりで小さく震えているそこに指を這わせる。  
 
「あ、あ…っ!」  
 
 敏感になっているところに触れられて、葉音は素直に声をあげる。  
 とろとろと蜜を零しているところにそっと中指を入れてみる。  
 
「…ん、んんぅ!いたぁ、いぃ…!」  
 
 やはり処女なのだろう、狭い。  
 馴らすように指を動かすとくちくちと濡れた音がした。  
 
「葉音聞こえるか…?濡れてる音」  
「…っ、ん、ふ…っ」  
 
 ノッティーの問いに葉音はふるふると首を左右に振る。  
 瞳に溜まったままだった涙が零れて真っ赤に染まった  
頬を濡らした。  
 
「あ…っ、あ、ぁんっ」  
「気持ちいーか?」  
「…んぅ…っ、…きもち、い…ッ」  
「だよなぁ?こんなヤラシイ顔してよ…」  
 
 入れていた指を二本に増やして、更に激しく動かす。  
 その動きに合わせて体を震わせて声をあげる葉音。  
「――葉音…俺も気持ちよくなりてぇ」  
「…ふぁ…?」  
「力、抜いてろ」  
 
 ノッティーも興奮で息が荒い。  
   
 葉音の脚の間に自分の腰を進めて細い腰を持ち上げる。  
 
「…葉音…」  
 
 そっと頬にキスをして、自身を葉音の秘所に押し付ける。  
 ぐっと押し進めると葉音の顔が苦痛に歪む。  
 
「痛いか…?」  
「…ん…、だい、じょぅぶ…」  
「俺にしがみついてろ」  
 
 強引に付突き入れたい衝動を堪えながら、葉音の手を自分の背中に回させる。  
「――もぅ止まんねぇから。おまえが泣いても叫んでも…」  
 
 とまんねーから。  
 
「葉音…っ!」  
 
 狭いところを押し開いて自身を進めていく。  
 
 ノッティーの背中に回った葉音の手がぎゅっとシャツを掴んだ。  
 震える手と体が葉音の痛みを物語っている。  
「…っ、ひぅ…っ」  
 奥まで入った瞬間、葉音から堪え切れない悲鳴が零れた。  
 
「葉音、わりィ…止まんね」  
 
 葉音の体を抱きしめて、強引に腰を動かし始める。  
 
「――…っ、たぃ…っ、能登く…!いたぃよぅ…!」  
「ごめ…、葉音、俺…ッ」  
 情けないくらい早く限界を感じて、慌てて葉音から引き抜く。  
 途端に白い体液が葉音の薄いお腹に降りかかる。  
 
「――は、葉音…ッ」  
 
 葉音は不思議そうな顔をしてお腹にかかったそれを指で触っている。  
 
「…何、これ…?」  
「や、何って…」  
 
 いつまでもお腹にかかったそれを弄っている葉音に、ノッティーは顔を  
赤くして葉音の手を掴む。  
「いつまでも触ってンなよ…!」  
 
 ――妙にエロくて、またムラムラしてくんだろが。  
 ぶっきらぼうに続けると、葉音はますます不思議そうに首を傾げる。  
 
「むらむら?」  
「〜〜〜っ!バァカ!」  
 
 その仕種があまりに可愛くて、思わず葉音を抱きしめる。  
 
 ――そのとき、不意にリビングのドアが開かれて、芯也が入ってきた。  
 
「――葉音?誰か来てるの、か…」  
 
 帰ってきた芯也が目にしたのは、裸でノッティーに抱きしめられている  
葉音の姿。  
 
 この後、ノッティーがどうなったのか、誰もわからないのであった。  
 
 
終わり  
 

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