原作最終回で携帯が鳴らなかったら…  
 
 
離れていた時間を埋めるように唇を重ねる。  
互いを確かめるように唇を重ね続ける。  
やがて、羽山の唇が紗南の首筋へと移動する。  
「ちょっ、は、はや…んん」  
首筋を軽く吸うと紗南の体がピクンと跳ねる。  
充分に吸って、離せば赤い刻印が刻まれた。  
「紗南…」  
再び、唇を重ねる。  
羽山の舌が紗南の口内に侵入していく。  
「うっ…うぅ…」  
口の隙間から紗南の息が漏れる。  
羽山の舌が歯列をなぞる。  
紗南はゾクッとした感覚に襲われ、頭が麻痺していく。  
その隙に羽山の舌が紗南の舌を捕え、絡み取る。  
 
紗南は舌を動かして、逃れようとするが、羽山の舌は許さない。  
やがて、紗南も自ら舌を動かす。  
2人の口から唾液が垂れていく。  
ようやく唇が離れた。  
紗南の顔を紅潮し、目はトロンとしている。  
「紗南」  
名を呼ばれて羽山を見る。  
2年前より強く輝いてる瞳に釘付けになる。  
空白の2年間を埋めるのにキスだけじゃ足りない。  
羽山の瞳が語る。  
その意味は鈍感な紗南にも理解出来た。  
「紗南…いいか?」  
羽山に問われ、紗南は迷ってしまう。  
羽山…  
「うん」  
強い羽山の意志に紗南はコクリと頷き同意を示した。  
 
「で、でもここじゃあれだから…」  
今、2人がいる場所は廊下。  
こんな場所で初めてなんて正直、アホらしい。  
「当たり前だろーが」  
羽山は紗南の体を持ち上げた。  
お姫様抱っこ。  
「ちょ、ちょちょちょいとあんた…」  
紗南は照れて体を動かす。しかし、2年間で成長し筋肉もついた羽山の肉体に抗えるはずもない。  
「動くなよ。重たい上に動かれたら落とすだ…ぶぷぇ」  
紗南のハンマーが炸裂した。  
「あんた、女の子にそれはないんじゃないのぉ!アメリカ帰りならもっと気の効いた台詞を言いな!」  
 
羽山は溜息をついたが、久し振りのやりとりに胸が踊る。  
「あっち女は、重たい理由があったからな」  
紗南の胸を見つめる。  
驚くほど成長していない。  
いや、本人は成長したと言い張るが…  
「あんたどこ見てんの!?…そんなんならもう終わり!」  
羽山の視線と考えていること気付いた紗南は言う。  
…それはマズイ。  
「…いや、細くてすらりとした体でございます」  
完全に棒読み。  
「あんた、喧嘩売ってんの!?…ぷしっ!」  
いつの間にかベッド着いていた羽山は紗南を降ろした。  
っというか落とした。  
 

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