ブービートラップとは直訳すると「間抜けを捕る罠」くらいの意味になる。  
多くの場合は爆弾が使われるのだが、その仕掛け方に特徴がある。  
これは要するに、触れてみたくなる、ないし触れねばならないと思うような物に仕掛けられるのだ。  
 
例えば食料に。  
例えば友軍の死体に。  
例えばちょっとした玩具に。  
 
劣勢の軍が撤退する時、こうしたちょっとしたものに爆弾を仕込む。  
必ずしも大きな爆弾でなくとも良い。  
つまりブービートラップは個々の殺傷力は低くとも良いのだ。  
罠によりどれに触れてよいか分からなくなった占領者は、大きなストレスに苛まれる。  
目に見えた効果は小さくとも、費用対効果で言うと悪くない戦術といえよう。  
 
・・・さて、このようにブービートラップは「疑われない」ことが重要だ。  
見るからに爆弾然とした仕掛けであれば、侵攻側は砲撃等で吹き飛ばせば足りるからだ。  
それは罠と名のつくものにはほぼ共通する性質だと考えられる。  
 
では「口を開けた巨大な貝殻」はトラップとして成立するのか?  
答えは恐らくNOであろう。  
そのような怪しい物に疑いもなく近付くのは、小さな子供くらいであろうからだ。  
 
だがこの部屋に転がっている口を開けた巨大な貝殻は、「トラップシェル」と呼ばれていた。  
これには理由がある。  
貝に寄生体を注入したところ、何故か貝殻だけの奇妙なモノができてしまった。  
妙に思った研究員が近付いて覗き込むと、貝殻は急に閉じて彼の体を噛み千切った。  
・・・こうして付けられた名前がトラップシェルというわけだ。  
 
前述の理由から、この生物は既に兵器としては価値が無いと看做されていた。  
ただしその貝殻は小銃の弾を難なく弾き飛ばすほど硬いため、材料として研究できないかとも考えられていた。  
そうやって実験用に少数だけ作られたうちの一体が、何故かこの部屋に放置してあったのだ。  
 
 
――そんな部屋を一人の少女が訪れた。  
入ってすぐ彼女は佇む大きな貝殻を見つけた。  
それは白く、美しく、どこか少し儚げであった。  
 
「・・・何だろう、コレ?」  
 
疑問と共に好奇心が湧き上がる。  
直後、姫乃という名の少女は小さな子供同然の行動を取った。  
 
明らかな「罠」へと疑いも無く近付いて行ったのだ。  
 
だが少女は幸運だった。  
貝の直前で丸っこい何かを踏み、思いっきり転んで前方にダイブしたのだ。  
後から思えばインクの瓶でも踏んだのかも知れない。  
だがおかげで貝がその殻を噛み合わせたとき、姫乃の体は無傷のままだった。  
 
「え?え??」  
 
完全に貝に閉じ込められ、周囲が真っ暗になる。  
少女はじたばたと暴れたが、何せ相手は銃撃すら弾く代物だ。  
すぐに無意味と悟り、姫乃は大きく溜め息をついた。  
 
「・・・困ったなあ・・・。」  
 
幸い空気はちゃんと入ってきているし、暴れても体力を消耗するだけだろう。  
 
「晴香さん、きっと助けに来てくれるよね。」  
 
この状況下で自分が助かりそうな可能性といえば、それくらいである。  
ならばそれに賭けようと決め、姫乃は蹲ったまま大人しくしていることにした。  
 
 
「晴香さん・・・来てくれないのかな?」  
 
既に丸一日は経とうかというのに助けは来ない。  
未だ気付いてくれてないのかも知れない。  
・・・いや、それどころか晴香はもう怪物にやられてしまったのかも知れない。  
 
「喉渇いたなぁ・・・。」  
 
干からびて死ぬのは苦しいだろうな、と考えた。  
しかし、だからといって何か打つ手があるわけでもない。  
 
もう一度暴れてみようか?  
それとも、もういっそ舌でも噛もうか?  
 
ぼんやりとそんなことを考えた矢先だった。  
 
「ひゃっ!?」  
 
体に何かがぽたりと落ちてきた。  
その落ちてくる量は徐々に増えていき、終いには滝のように流れ落ちて体全体を濡らした。  
姫乃は最初それを水だと思ったが、すぐに気付いた。  
 
(コレ、動いてる・・・!?)  
 
・・・トラップシェルとは貝殻だけの生物などではなかった。  
どこに隠れていたのか知らないが、ちゃんと透明な「身」があったのだ。  
 
「身」が侵入者を食い始めるのには時間がかかる。  
更に捕食自体にも時間がかかる。  
だから早めに助けが来ていれば、姫乃も助かったのかも知れない。  
 
・・・だが助けが来ない今となっては、状況は絶望的だった。  
 
「ひっ!?やっ!やあぁっ!」  
 
アメーバ状の物体が全身を這いずり回り、少女は気色悪さに悲鳴を上げた。  
だが怪物は構わず姫乃を覆いつくすと、ある液体を分泌した。  
 
「・・・え??」  
 
彼女は一瞬戸惑ったが、すぐに何をされたか理解した。  
全身の衣類を溶かされたのだ。  
服も、下着も全てを解かされて、肋の浮いた細い体が露になった。  
 
真裸になった姫乃の上を更に粘体が這い回り、汚しぬいていく。  
それは大きな舌が舐め回すようでもあり、また大きな手が愛撫しているようでもあった。  
事実彼はその透明な体で少女の腹を、平らな胸を何度も揉みしだいた。  
その度に粘液が肌と擦れ、ぐちゃりぐちゃりと卑猥な音を立てる。  
 
「やだぁ!いやだぁっ!」  
 
肌を犯す乱暴な愛撫に、姫乃は羞恥で真っ赤になった。  
いや、本当は羞恥だけではない。  
怪物の粘液は、実は催淫成分を含んでいた。  
愛撫の度にそれが体表に塗りたくられ、全身が甘い熱を帯びていく。  
 
「いやだよぉ・・・!私、変に・・・きゃうぅっ!!」  
 
這い回っていた粘体が突然秘裂を強く擦り上げ、姫乃は怯えたように体をびくっと震わせた。  
その反応に喜んだかのように、怪物が今度は小さな乳房を絞り上げる。  
 
「っひいいぃっ!!」  
 
両胸の頂点から痛みにも似た切ない疼きが走り、少女は再び全身を硬直させた。  
少女の注意が上半身に集まると、再び股間が撫でられる。  
その繰り返しだった。  
 
「ひっ!んっ!!うっ!くぅんっ!!」  
 
交互に炸裂する快感が、少女の思考を徐々に削り取っていく。  
自らの分泌した液体で彼女の花弁は濡れそぼり、誘うようにぱっくりと口を開いていた。  
 
膣と肛門に粘体が音を立てて流れ込んでくる。  
抗う術も持たない少女は、ただ絶叫を以ってそれを迎え入れた。  
 
「・・・あ!!・・・ああ!!・・・」  
 
見開いた両目から涙を流し、口をぱくつかせながら快楽に打ち震える姫乃。  
膣壁から直接吸収される媚液の威力は強烈で、気を抜くとすぐに達してしまいそうであった。  
 
「や・・・だ・・・!!何か・・・きちゃう・・・!こわいよぉ・・・!!」  
 
無理やり高められていく自分に、姫乃は言いようのない恐怖を感じていた。  
 
だがそんな彼女を嘲笑うように粘体が動き出し、前後の穴をメチャメチャに掻き回していく。  
半分以上快楽に攫われていた少女が最初の絶頂に至るのに、5秒とかからなかった。  
 
「ああああああぁぁっっ!!!」  
 
充血した花弁がひくひくと痙攣し、膣が愛液と共に粘体を排泄しようと収縮を繰り返す。  
それでもアメーバは彼女が排出する以上の勢いで流れ込み、愛液を子宮へと押し込んでいった。  
生理反応と逆行して流れ込んでくるそれらの液体が姫野を穿ち、冷めようとする体をいつまでも押し上げ続ける。  
 
「ああ゛あぁっ!!!あぐぅっ!!!くひっ!!くひいいぃっ!!!」  
 
体が引き攣れたように痙攣し、目の奥に何度となく火花が飛び散る。  
がくがくと震える体に粘体が流れ込み続け、腸と子宮を外から分かるほどに膨らませていった。  
内臓が無理やり媚液を飲まされながら拡張されていく。  
痛みと苦しみとそれ以上の快感からなるその感覚は、狂おしいという言葉でさえ生ぬるいほどであった。  
 
やがて5分が流れた頃、長いオルガズムはようやく一応の収束を見た。  
細かったウェストは妊婦のように膨らまされ、全身の筋肉は未だ絶頂の余韻に震えている。  
 
そんな体を粘体はしつこく責め苛み続けた。  
アヌスを広げ、陰核を摘み、小さな乳房を絞り上げる。  
それらの一つ一つに少女は面白いように反応し、びくん、びくんと体を硬直させた。  
既に内臓からは大量の催淫成分が流れ込み、その血中濃度を限界まで高めている。  
それはまるで彼女の血液が全て媚薬になってしまったかのようであった。  
 
「ひっ!!あ!ぁひっ!!ひぃっ!」  
 
愛撫の度に体が反応して軽くイってしまう。  
その度に体が痙攣し、姫乃は息を整えることさえできなかった。  
 
「きもちいぃ!!・・・もちぃ、の、もうやらぁぁ!!まこ、ちゃ、たすけ・・・」  
 
涙を流して快楽に弄ばれる少女は、だが皆まで言い終えることはできなかった。  
彼女を覆いつくした粘体が、今度は尿道へと侵入してきたのだ。  
 
「きゃああぁっ!!?いやだぁっ!!汚いっっ!!汚いとこ来ないでぇぇっっ!!」  
 
少女は髪を振り乱し、狂わんばかりに暴れ狂った。  
尿道を液体が逆流し、膀胱にまで流れ込んで下腹部を膨らませていく。  
通常まずありえないその陵辱と異物感に、姫乃の心はズタズタに傷つけられていった。  
 
さらに両胸に刺すような痛みが走る。  
驚いて触ってみると、勃起した乳首の先端がこじ開けられていた。  
・・・つまり乳管からも粘体が侵入してきたのだ。  
 
「ぎゃあああああぁぁぁっっっ!!!!」  
 
普段内気で大人しい少女が、喉が裂けるほどに絶叫していた。  
乳腺葉が粘体に満たされ、薄い胸が無理やりに膨らまされていく。  
その激痛は凄まじく、姫乃は全身から脂汗を垂れ流した。  
 
だがその激痛さえすぐに性感に変わっていく。  
粘体の侵入は媚液の侵入と同義であったからだ。  
膀胱に、乳房に淫液が充填され、灼けるような快感が全身を蝕んでいく。  
圧倒的な快感は少女の人格そのものを揺るがしていった。  
 
やがて粘体の流入が止まった頃、姫乃の体は大きな変貌を遂げていた。  
小さくとも奇麗だった乳房は醜く膨れ上がり、下腹部も外から見て分かるほどに膨らんでいた。  
膀胱は必死に元の大きさに戻ろうとするのだが、意思のある小便は決して流れ出ようとはしなかった。  
 
「あっ・・・か、あっ・・・!くるし、くるしぃよぉ・・・!!」  
 
あどけない顔をしかめながら少女が呻く。  
苦しみ、惨めさ、そしてそんな目に遭ってなお快感を感じている自分への嫌悪。  
諸々の感情が涙となって頬を伝っていった。  
 
怪物は、だがそんな彼女にも容赦はしなかった。  
 
「くああああああぁぁっっ!!!」  
 
突然尿道から粘体が勢いよく噴き出した。  
膀胱が急激に圧迫感から解放され、そのあまりの気持ち良さに姫乃はたまらず達してしまう。  
だがそんな彼女が冷めるより早く、流れ出した液体は再び元の場所へと戻っていった。  
 
「あ、あああっ!!あっ!!」  
 
膀胱が再びぱんぱんに膨れ、苦しさと快感が少女を責め苛んでいく。  
そして下腹部が限界まで膨らむと、また液体は外へ流れ出した。  
一段落しかけていた絶頂が再びぶり返していく。  
 
さっきと違うのは、今度は乳房内の粘体も一緒に流れ出したことだった。  
 
「ひあああああああぁぁっっ!!!!」  
 
乳首から噴水のように粘体が飛び出していく。  
それは乳房の中身を引きずり出しかねないほどの勢いであった。  
胸が爆発したかのような感覚に、姫乃の小さな心臓は止まりそうになる。  
 
しかし粘体は構わずに、また乳房へ膀胱へと流れ戻っていった。  
 
「らめっ!!わらひ、わらひしんやぅよぉ!!」  
 
絶頂の渦が全身を、勿論脳も舌も支配して、言葉もろくに紡げない。  
だがそんな彼女に対する怪物の返答は、非情なものであった。  
 
「ふああああああああぁぁっっ!!!!」  
 
また粘体が噴き出してイきっぱなしの姫乃に快感をぶち込む。  
今度は子宮と腸内のものまで一緒であった。  
一時的に元の細さに戻った白い体が、壊れた人形のように滅茶苦茶に痙攣する。  
そしてその中にまた粘体が流れ込み、思い切り膨らませ、また流れ出す。  
 
「やめっ!!!やめぇっ!!!ひあぁっ!!!ひぅっ!!!んぅっ!!!」  
 
全身の穴を使ったピストンは凶悪な性感の濁流を生み出し、小さな姫乃を揉みくちゃにしていった。  
快感がハンマーのように脳髄を殴りつけ、少女の意識を叩き壊していく。  
苦痛に限りなく近い快感。  
その嵐の中で、いつしか姫乃は気を失っていた。  
 
 
「・・・う・・・ん・・・・・」  
 
気がついたとき、当たり前だが、彼女の視界は闇に覆われていた。  
その暗さに少女は自分の置かれている状況を思い出す。  
・・・同時についさっき自分が何をされ、どうなったのかも。  
 
「・・・わたし・・・汚されちゃったんだ。」  
 
泣かずにはいられなかった。  
自分は異常な快楽を知ってしまった。  
もう普通の男性とセックスして満たされることなどないだろう。  
そもそも人外に尿道を犯されて達した女など、誰が受け入れてくれるというのか。  
 
自分の女としての人生は終わってしまった。  
・・・もっとも、これから命そのものが終わるのかも知れない。  
そうであっても、或いはそれならばこそ、姫乃は女としての自分が哀れでたまらなかった。  
 
「汚れちゃった。眞子ちゃん・・・冴子ちゃん・・・・・私、汚れちゃったよぅ・・・・・」  
 
姫乃は泣いた。  
細い肩を震わせ、鼻水を垂らしながら、いつまでもいつまでも泣き続けた。  
 
トラップシェルという生き物に感情があるようには思えない。  
だが彼は優しかった。  
 
生きている限り姫乃は苦しむだろう。  
狂ってしまった体に苦しみ、それに屈してしまった自分を責め苛むだろう。  
親しい人に会う度に、愛する人ができる度に、彼女は自分を傷つけ続けるだろう。  
・・・ならば死ぬか又は発狂したほうが、余程幸せだ。  
 
そう仮定する限りにおいて、彼はこの上なく優しかった。  
何故ならこれからそれを両方叶えてやろうというのだから。  
 
べちゃりと音を立て、一群の粘液が少女の泣き顔を覆った。  
そのまま粘体は彼女の鼻へと入り込んでいく。  
 
「――んんうぅっ!!!」  
 
鼻奥を襲う激痛に少女が悲鳴を上げても、液体は構わず入り込み続けた。  
さらに粘体は涙に腫れた両眼を目指す。  
その後に起こったことは、姫乃の想像を遥かに超えるものだった。  
 
「っあぁぁぁぁっっっっ!!!!」  
 
超音波のような高い、高い絶叫音。  
それが事態に及んでできる精一杯のことであった。  
 
粘体が、眼窩へと侵入したのだ。  
 
「ぎゃあぁっ!!!が!!ごぉっ!!!」  
 
眼球がぬちゃぬちゃと音を立てて粘液に洗われ、とてつもない激痛が脳に叩き込まれる。  
それは鼻奥も同様であった。  
 
「いたっ!!!いたっ!!!痛いっ!!痛ぁっっ!!!」  
 
全身の神経を痛みに支配され、何一つ考えられなくなっていく。  
その痛みが媚液によって快楽へと変わり始めたとき、狂気が加速度的に少女を満たしていった。  
 
「んごおおおぉぉっっ!!!!」  
 
今度は粘体が涙と共に涙腺に侵入する。  
それは鼻まで達するとまた引き返し、涙腺の中を往復し始めた。  
鼻奥でも同じことが行われ、媚液が塗りたくられていく。  
 
鼻が、涙腺が性器に変わる。  
呼吸が、流れる涙が犯されていく。  
 
「がはああぁっっ!!!!ぎひっ!!!はひゃああぁぁっっ!!!!」  
 
絶頂に至った自分の悲鳴と、理性が壊れる乾いた音。  
その音を最後に、姫乃の正気は永遠に失われた。  
 
ごぼっ、と音を立て、少女の口から大量の粘体が吐き出された。  
それがまた口に引っ込むと、今度は肛門から同じように粘液が流れ出してくる。  
まるでそれは消化器官がただの一本の筒になったかのようであった。  
 
それだけではない。  
姫乃の鼻から粘体が出てきたかと思うと、勢いよく引っ込んでいく。  
すると今度は涙腺から粘液の涙が湧き出してくるのだ。  
 
万事がこの調子だった。  
耳も含めて全ての孔が犯され続ける。  
その度に絶頂が彼女を襲い、もはやイってる時とそうでない時の区別も定かではない。  
声も無くよがり震える少女の中に、さらに大量の粘液が入っていく。  
既に子宮も膀胱も、そして乳房までもが限界まで膨らみ、それでも尚流入してくる粘体に肉が悲鳴を上げていた。  
 
――そしてその時はやってきた。  
ぱん、という音と共に全ての肉風船が破れたのだ。  
体の前面に幾つも大穴が開き、突き刺された昆虫のように全身がびくびくと痙攣する。  
 
それを合図に怪物は遅い食事を始めた。  
 
内臓が溶かされ、腹腔内が粘体に取り込まれていく。  
体中が空っぽになり、眼球と脳が溶かされ、筋肉が溶かされる。  
最後に皮膚と髪を消化し尽くした時、トラップシェルの食事は完了した。  
 
貝殻が再び開いた時、そこには何も残されてはいなかった。  
 
 
薄暗い部屋の中に、大きな貝が佇んでいる。  
彼はこれから先、ずっと引っかからない獲物を待ち続けるだろう。  
 
だが彼を守株と笑うことが、できるのだろうか?  
 
誰も引っかからない「トラップ」として彼は運命付けられた。  
アメーバ状の中身も、長時間外気に晒されると干からびてしまうのだ。  
ならば彼にできることは、精々次の兔がぶつかってくるのを待つだけではなかろうか。  
・・・ちょうど姫乃にできたのが、じっと助けを待つことだけだったかのように。  
 
薄暗い部屋の中に、大きな貝が佇んでいる。  
白くぼうっと浮かぶ姿は美しく、それでいてどこか儚げでもあった。  
 

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