例えば、交通事故の原因の多くは技術不足よりは油断にあるという。
そこに油断があったとまでは言わないが、結果的には過信だったのだろう。
晴香の目の前にいるのはエルフ。
人間の骨格に所々魚のパーツを乗っけたような奴だ。
「半魚人」と言えば、大体の人はこういう奴を想像するだろう。
晴香よりも上背は高く、恐らくこの個体は成体なのだろうと思われた。
「くっ・・・!」
晴香は呻いて床の一角を見やった。
彼女の拳銃がそこに落ちている。
このトイレでエルフを見つけたとき、彼女は倒せると考え、戦いを挑んだのだ。
しかしそれは間違いだったようだ。
攻撃をかわしながら、彼女は拳銃弾を2発ほど撃ち込んだ。
・・・だが、そこまでだった。
「はっ・・・はっ・・・」
自分でも緊張に息が荒くなっているのが分かる。
拳銃を弾き飛ばされた時、一緒に右手の腱を切られたのだ。
だから彼女は残された最後の武器であるナイフを、左手で構えていた。
大人の何倍もの筋力を持つ怪物と、狭い個室で二人きり。
使えるのは左手一本。
武器はただのナイフだけ。
絶望的としか言いようのない状況であった。
「・・・くっ、来るなっ!」
叫んでも震えは取れず、上下の歯がガチガチと鳴り続ける。
そんな彼女をいたぶるように、エルフはゆっくりと晴香に近付いていった。
「うわあああっっ!!!」
恐怖に負け、晴香はナイフを振りかざして怪物へと突っ込んでいった。
だが小さな刃は、怪物に引っ掻き傷を付けることさえできなかった。
怪物が右手で彼女の左手を受け止めたのだ。
そのまま握力に任せて絞り上げる。
「つううっっ!!」
痛みに耐えかねて、晴香はナイフを取り落としてしまった。
だがエルフは、構わずそのまま凄い握力で圧迫を続けた。
尋常ではない圧力に左手の骨が軋む。
――やがて狭いトイレに鈍い音と、この世のものと思えないほどの絶叫が響いた。
「・・・あ・・・あ、あ・・・」
晴香は涙と鼻水を垂らして蹲っていた。
絶叫を上げているうちにエルフに張り飛ばされ、トイレの壁に叩きつけられたのだ。
「あ、が、あ・・・あ・・・」
呆けたように左手を見つめる彼女は、殴られて折れた奥歯が地面に落ちても気付かなかった。
まして怪物が眼前にまで近付いてきたことなど、意識の片隅にもなかった。
そんな彼女の足をエルフが掴み、そのままぐいと引っ張った。
晴香の体が仰向けに引きずられる。
怪物はそんな彼女を舐め回すように眺めると、鉤爪で乱暴に着衣を破り始めた。
「いや・・・やめてぇ・・・」
怯えた声で哀願する晴香に構わず、怪物はあっというまに彼女を裸に剥いてしまった。
引ん剥くときに少し爪跡が付いたものの、晴香の体は奇麗だった。
美しく素晴らしい獲物を獲たことに満足したように、エルフは彼女の胸をべろりと舐めた。
「ひっ!」
気色悪さに全身の毛が逆立ち、晴香は小さく悲鳴を上げた。
その反応に喜んだのか、今度はエルフは大口を開け、右の乳房を丸ごと咥え込んだ。
柔らかな稜線が鋭い歯に嬲られ、桃色の乳首が大きな舌に舐めしゃぶられる。
「ひいっ!!やっ!!うわあっ!!」
両手の使えない晴香は、必死に身をよじって陵辱から逃れようとした。
だが怪物は右手で彼女をしっかりと抱きとめ、逃がさないようにした。
更に怪物は左手を獲物の股間に伸ばし、秘唇の上の突起を鉤爪でぐりぐりと転がした。
「痛っ!!いたいっ!!やめて!!やめてぇっ!!」
気色悪い生物の乱暴な愛撫。
それは性的充足感とは程遠いものであった。
だがそんな状況でも晴香の膣は濡れ始めていた。
これから来るであろう本格的な侵攻から、少しでも体を守ろうとするかのように。
ぐちゅり、と音を立てて鉤爪が膣へと入り込んだ。
「――ひいいぃっ!!」
突然の侵入者に晴香が裏返った悲鳴を上げる。
硬い爪に傷つけられた膣壁は、それでもどうしようもなく濡れそぼっていた。
晴香の胸を交互に苛めていたエルフは、膣の状態を確認すると大きな口を乳房から離した。
左胸から怪物の口まで唾液が無数の糸をひき、部屋の照明を受けてキラキラと光った。
心なしかエルフは笑ったようであった。
「異形に良いように嬲られ、それでも感じる淫乱女」とでも思ったのだろうか。
少なくとも晴香はそういわれた気がして、涙を浮かべて怪物を睨んだ。
罵倒してやろうと口を開くが、言葉が紡ぎ出てこない。
怒りと恐怖、恥辱と惨めさで頭の中が混乱しきっていた。
――だが次の瞬間、晴香は再び恐怖で埋め尽くされることになった。
怪物の両手が彼女の両脚を掴み、無理やりに割り裂いたのだ。
同時に怪物の股間のモノが秘裂に押し当てられる。
異形にふさわしい巨大な一物に、晴香は声も出せずに怯えた。
――そして
「っぎゃぅああああっっっ!!!」
体を引き裂かれる感じ、と言うのが良いだろうか。
特大のペニスの侵入に晴香は目を見開いて絶叫を上げた。
その痛みの前に潤滑液など何の意味も無いとさえ思われた。
「・・・はあ・・・あ・・・あ・・・」
双眸からぼろぼろと涙を流し、侵入の痛みに耐えようとする。
だが彼女がそれに慣れるよりも早く、侵入者は前後に動き始めた。
「ぎゃうっ!!うっ!痛!いだ、い・・・」
体に穴を穿つように何度も、何度も痛みが加えられる。
突き入れの度に亀頭が子宮を叩き、全身がガクガクと揺さぶられ続けた。
そのストロークが徐々に速まっていく。
それに合わせて痛みも増大し、晴香は歯を食いしばって懸命に耐え続けた。
やがて、怪物の腰が止まり――
「きゃあああぁぁっっ!!!」
子宮口が爆発するような感覚に、晴香の体が大きく震えた。
巨大なペニスが収縮を繰り返し、熱い液体を注ぎ込んでいく。
・・・それは晴香が決定的に汚された瞬間であった。
「・・・・・ぁ・・・・・ぅぁ・・・ぁ・・・・・」
晴香は両目を真っ赤に腫らし、口をぱくぱくさせて何か呻いていた。
「・・・され・・・た・・・ばけも・・・あかちゃ・・・ん・・・」
化け物に犯され、子種を注がれた。
その事実が彼女の心に重く圧し掛かっていた。
だが彼女には絶望の余韻に浸り続けることさえ許されてはいなかった。
「・・・・・ひっ!?」
怪物が突然晴香を引き起こし、結合したまま彼女を向かい合って座らせた。
そのまま移動して壁に晴香の背をつけると、怒張したままのペニスを再び動かし始める。
「痛っ!!がっ!!もっ、許っ・・・はがっ!!」
重力が加わる分衝撃も大きくなり、抽送の度に彼女の肺からは空気の塊が吐き出された。
子宮の入り口が今まで以上の力で打ちつけられ、視界には星が飛び回る。
――と、エルフが突然彼女の口の中に両手を突っ込んだ。
そのまま両顎が上下に割り裂かれる。
「おがっ!えぉぇっ!」
訳の分からない音を並べながら、晴香は思いっきり顎に力を込めた。
だが怪物の手はびくともしない。
人外の怪物は、晴香の噛筋力を両手で容易く跳ね返していた。
そうやって確保した侵入路に怪物の大きな舌が踊り込んだ。
「おげえっ!!えあ゛ぁっ!!」
生臭い匂いが口の中を占領し、腹から熱いものが込み上げてくる。
突き上げに合わせて晴香は何度も胃の内容物をぶちまけた。
魚人の大きな口が彼女の口を塞ぎ、その吐しゃ物をべちゃべちゃと舐め取っていく。
それに伴って生臭い大きな舌が、更に口内を蹂躙していった。
「ええぇっ!!おおっ!!おごえぇっ!!」
頬裏が舐め回され、舌が絡められ、喉に唾液が流し込まれる。
その間も下腹部はガンガンとぶっ叩かれ、脳に激痛を訴え続けていた。
「・・・おぉぉっ・・・!・・・おぉっ・・・!・・・ぉぉ・・・・・」
極端なストレスに脳の活動が鈍化し、悲鳴も小さくなっていく。
それはまるで晴香の人格そのものが食われ、支配されていくかのようであった。
二度目の吐精を終えたペニスが、音を立てて引き抜かれる。
晴香は小さく震え、声も出さずにそれを見つめていた。
魚人の唾が彼女の唾と混じり合い、汚らしい涎となって顎からぽたぽたと垂れている。
怪物はそれを愛しそうにべろりと舐め、晴香の髪を掴むと顔を床に叩きつけた。
「・・・・・。」
ツンとした痛みが鼻から目の奥に抜け、鼻血が出たのか鉄の臭いがする。
だがそれでも晴香は小さく震えただけで、声もなくそれを受け入れた。
怪物がそのまま彼女の腰を掴み、高く尻を突き出させる。
柔らかな尻肉を魚人の硬い手が割り裂き、後ろの窄まりに剛直が押し当てられる。
2回も精を放ったはずのそれは依然として硬く、ぬるりとした先端は異常なまでに熱かった。
「・・・ぁ!・・・ぁ!」
晴香の口が必死に動き、声にならない何かを訴えようとした。
恐らくそれは痛みや恐怖、哀願のうちのどれか、または全て。
だがエルフはそんなものには構いもせず、その獣欲を一気に晴香の中へと埋めた。
「――ぎひいいいいぃぃぃっっっ!!!!」
久しぶりに出た言葉はあまりに惨めだった。
括約筋が目一杯引き伸ばされ、肛門が焼けるような痛みを脳へ伝える。
そのあまりの激痛に、晴香は遂に小便を垂らしていた。
対照的にエルフは目を細めて至福に浸っていたが、それを更に味わいたいとばかりに腰を動かし始めた。
「ひぎっ!!ぎっ!!い゛ぃっ!!」
括約筋が、直腸壁が抽送の度に擦れ、悲鳴を上げる。
それは削岩機を体にぶち込まれたらこうなるのか、というほどの激痛であった。
全力を込めた突き入れを支えようと、尻を掴む両手にも力が込められる。
皺くちゃに歪んだ尻肉が鉤爪に裂き破られ、流れ出した血に無残に濡れていった。
「ぎいっ!!ぎいぃっ!!ぎいっ!!ぎいぃっ!!」
脂汗を、涙を、鼻水を、涎を、そして愛液を、小便を、血液を。
あらゆる液体を垂れ流すその姿は、まるで全身で泣いているかのようであった。
それらの「涙」が地面に落ち、水たまりとなって臭気を放つ。
その臭いに鼻を犯され、晴香の理性は粉々に打ち砕かれていった・・・。
やがて痛みが飽和し始めると共に、晴香の反応は再び鈍くなっていった。
だから彼女は突き入れの周期が加速していることにも気付かなかった。
――そして訪れる3度目の爆発。
「おお゛おおおおおぉぉぉぉ・・・!!!」
熱く、穢れた液体がS字結腸にぶち当たり、晴香は獣のような悲鳴を上げた。
肛門が反射によってひくひくと収縮を繰り返し、ペニスを締め上げて更なる吐精を促す。
結果、彼女はその分長く苦しまねばならなかった。
やがてその流入が終わっても、魚人は晴香の中から出て行こうとはしなかった。
それどころか彼女の両肩を掴むと、繋がったままでまた彼女を座らせた。
ただしさっきとは違い、今度は晴香は怪物に背を向けていた。
そのまま壁に晴香を押し付け、怪物は彼女を突き上げ始めた。
「あっ・・・!あっ・・・!あっ・・・!あっ・・・!」
彼女の反応はやはり鈍く、喘ぎ声も体の震えも反射以上のものではなかった。
だからであろうか、怪物はその侵略を最終段階へと移行させた。
「――いぎぃぃっっ!!?」
形の良い両胸が後ろから鷲掴みにされ、握力に任せて絞り上げられる。
それは彼女の乳房が尻丘と同じ運命を辿ることを示していた。
皮膚が破れて血が流れ、皮下脂肪が剥き出しになる。
「おおっ!!おおっ!!」
片手が胸から離れて晴香の顎を掴み、呻き続けるその口に再度大きな舌が入り込んだ。
口の中を余さず舐めつくす魚人の舌は、今度は喉の奥まで標的にした。
それは自分の臭いで晴香を一杯にしようとするかのようであった。
エルフという人外の生命に愛という感情があるのかは分からない。
それがマルキ・ド・サドの定義するところの愛であるなら、尚更である。
だが彼の行動は愛、または憎しみという概念でしか説明できそうになかった。
対象への愛や憎しみ抜きに、ここまで徹底的に汚しぬこうとは思わないはずであるからだ。
――そしてそれに呼応するかのように、晴香の体にも変化が表れていた。
「・・・・・ん・・・?・・・んうっ・・・!?」
血塗れの両胸が、穿たれ続ける尻穴が甘く痺れたような熱を帯びている。
生理的反応として、確かに「感じ」始めていたのだ。
この暴虐に体が適応しようとしたのかも知れない。
痛みを中和しようと、脳内麻薬が分泌されすぎたのかも知れない。
・・・だがいつの間にか生まれ始めたその感覚は、晴香の心を致命的に傷つけていった。
晴香の変化に合わせるように、エルフの行動もまた変化していった。
鉤爪が乳首を、陰核を弾き、ぐりぐりと押さえる。
その痛みが、刺激が快感を伴った痺れとして脳に認識され、晴香は何度も甘い悲鳴を上げてしまった。
「やっ!いやっ!嫌あぁっ!!」
痛みに慣れきっていても、いや慣れきっているからこそ体は快楽に敏感だった。
脳の中の今までとは違う部分が刺激され、活性化する。
晴香の目は正気に戻り、最後の一分を守ろうと躍起になった。
だがそれさえ嘲笑うかのように、魚人は鉤爪の付いた大きな指を膣へと挿入した。
「ぎゃうううぅぅっっ!!!」
晴香の体がびくんと大きく震えた。
それに伴って括約筋がぎゅっと収縮し、肛門がより強い痛みと快感を送り込んでくる。
掻き回すように指が動き始めると、その収縮は更に強いものとなった。
「ぐうっ!!ぐうっ!!ぐうぅっ!!」
指が、硬い爪が膣壁を引っ掻き、膣道を傷だらけにしていく。
その乱暴な抽送さえもが、今は心地よくてたまらなかった。
「やめてえっ!!!もうやめてぇっっ!!!」
ぐちゃぐちゃという水音までもが晴香を追い詰め、声色を切羽詰ったものへと変えていく。
そして爪の先が唐突に彼女のGスポットを引っ掻いた時、晴香の抵抗は一気に瓦解した。
「くふうううううぅぅぅっっっ!!!!」
派手な水音と長く甲高い悲鳴。
腰が、体ががくがくと痙攣し、肛門括約筋がひくひくと収縮を繰り返す。
遂に異形にイかされてしまった晴香を嘲るように、尻の中にまた多量の精が吐き出された。
その勢いに流されるように、晴香はまた軽く達してしまった。
「ううっ・・・・・うっ・・・うえっ・・・ううぅっ・・・・・」
グロテスクな魚面の怪物に散々弄ばれ、とうとう絶頂させられてしまった。
魂の隅々まで汚されきってしまった。
晴香は両目を固く閉じ、顔をぐしゃぐしゃにして泣きじゃくった。
逆に、怪物は心底嬉しそうに泣きじゃくる彼女の顔を舐め回した。
それと共に、萎みかけていた一物がこれまでにないほど滾ってくる。
その滾りに任せて腰を突き上げながら、怪物は大きな口で晴香の左肩に齧りついた。
ゴムを引き裂くような音と共に晴香の胸が裂かれる。
いや、胸だけではなかった。
胸が、腹が、太腿が鉤爪に引っ掻かれ、皮膚が破れて筋肉が露出する。
その筋肉にまで鉤爪が差し込まれ、内臓がぐちゅぐちゅと掻き回された。
「うわああっっ!!!うわああぁぁっっ!!!」
肩を、全身を壊されながら晴香が泣き喚く。
痛いから泣いているのではない。
痛み以上に感じてしまっている自分が、支配されて喜んでいる体が呪わしいのだ。
一本の手が股間に向かい、指が2本まとめて膣に暴れ込む。
その指で膣を掻き壊しながら、余った指は陰核を握り潰した。
「っぎゃあああああぁぁっっ!!!!」
その暴虐すら快感に変わり、絶頂した体が狂ったように痙攣する。
べりべりと右胸が引き千切られると、その痙攣は更に酷いものとなった。
「おがぁっ!!ひっ!!っぎゃっっ!!ふっ!!うっ!!」
全ての痛みが最終的に快楽に変わり、晴香は引っ切り無しに達し続ける。
滅茶苦茶な刺激に自律神経が乱れ始め、既に呼吸もままならなくなり始めていた。
やがて左肩を齧っていた大顎が肩関節を噛み壊し、筋肉を鎖骨ごと引き剥がした。
怪物はしばらくそれを咀嚼していたが、やがてごくりと飲み込むと晴香の首に喰らいついた。
「ひゅうっ!!ひゅうっ!!」
息が漏れ、悲鳴すら出せない。
噛み締める力が強まるごとにそれは顕著なものとなった。
もの凄い力で牙が食い込み、首の骨がぎりぎりと軋む。
それさえもが快楽へと変わり、白目を剥いて絶頂に悶え続ける晴香。
そして頸椎が圧力との戦いに耐え切れなくなったとき、彼女の地獄はようやく終わりを迎えた。
「・・・!!・・・!!!・・・!!!・・・!・・・・・」
首の大部分を食い千切られ、晴香は最後に全身を大きく震わせ、そして死んだ。
一匹のエルフが地面に溜まった血を舐め取っていく。
その周りに散らばる骨や衣類が、ここで誰かが犠牲になったのだろうことを示唆していた。
一通り血を舐め尽くすと、エルフは幾らか疲れたように腰を下ろした。
彼は遠い目で床の血溜まりを眺め続けていた。
精霊の名を与えられた彼らに、愛という感情があるのかは分からない。
・・・だが彼はどこか遠い目で、呆けたように床の血溜まりを眺め続けていた。