明日、いよいよ一人前の切法師として旅立つ。  
床の間  
…倫太郎は一人月を眺めていた。  
…ガタンッ!  
  「きゃあっ!!」  
「!?」少し遠い、命の声。異常を感じた倫太郎は、命の部屋へ駆け付けた。  
そして声も掛けず戸を…  
スパーーンッ!  
「姉上っ!どうしっ…  
………ま……」  
固まる倫太郎。戸の向こうに現れたのは、着物を脱ぎ去り襦袢を羽織り直しただけの、 白い肌と、小さいけれど綺麗で柔らかそうな乳房をあらわにした命の姿だった。  
「………ッッ!!」倫太郎は頬から耳へとみるみるうちに真っ赤に染まり、そして、高く・それでいて気品ある悲鳴が上がったのはその直後の事だった。  
「きゃあぁぁああーーーーーッッ!!///;」  
「(はッ!;)  
ごっ!ごごごめんなさいッッ!!!///;」  
バシンッ!!  
両手で勢い良く叩きつけ・閉まった戸を背に、倫太郎は息を切らしながら壁に手をついている。  
…数十秒程経ったか、倫太郎が正気を取り戻しかけたその時。背後から静かに戸の開く音が…。  
「……倫太郎…?」  
「!!;」  
振り向くと、おずおずと出辛そうに、戸の隙間から半身を覗かせる命が居た。  
「あ゙…姉…上…」  
恐る恐る振り向くと…  
薄暗い廊下である上に部屋からの逆光があったが、その女性(ひと)の頬は、…少し朱に染まっている様に見えた。  
そして倫太郎自身のそれは…彼女の数倍も…。  
 
命ははにかみながらも、倫太郎を見つめている。  
暫く沈黙が訪れた後、倫太郎がはっとした様に口を開いた。  
「は…あ…あのっ…す、すみませんでした あ…姉上…」  
命は更に頬を赤らめる。  
「そ…その……私はてっきり…鬼に襲われでもするところかと…」  
「…ちょっと物が落ちて来て驚いただけです。結界の中なんですから、そんな訳ないでしょう…」  
「はい。そうでした…」  
「「………」」  
 
…二人の目が合う。  
 
「「……………」」  
 
「……入って?」  
「…  へっ!?;」  
倫太郎は思わず声を裏返してしまった。  
「いよいよ明日ですから…少し話したいの。…駄目かしら」  
そう言って微笑む命を見て、倫太郎は、少しだけ安心した。  
「あ…。 ……はい」  
…だけど。  
 
  …なにか変だ…  
 
そう感じ、戸惑っていた。一度静まった筈の心臓が、高揚が…再び。  
しかし… それは彼だけではなかった。  
 
命。彼女もまた。  
「(…私…どうして部屋に入れだなんて…)」  
…そんな事を考えながら部屋に入ると…  
 
スーッ …パタン  
「!///;」  
命は、背後で倫太郎が戸を閉めるその音で、はっと我に返った。  
「 …姉上?」  
声変わりした倫太郎の低い声が、耳を撫でる。  
「…っ! ごっ!」  
「へっ?」  
「ごめんなさい!出っ…出て行って!!」  
「え…あ…姉上!?  
わっ…!ちょっと…!」  
急に何かがキレた様に、俯いたまま倫太郎を必死に押し返す命に、倫太郎はついていけず、  
「あ…姉上っ…  
お…落ち着いて!」  
バンッ! ドスンッ!  
 
「痛っ…!  …?」  
命が目を開けると、すぐ目の前に  
倫太郎の顔があった。  
「…!  ………」  
どうやら揉み合っているうちにこうなったらしい。命は壁にもたれて尻餅をつき、倫太郎がそれに覆いかぶさるように、命を両足の間におさめ・両手を壁に着いていた。  
 …再び  
 
 …二人の目が合った  
 
「「………」」  
この感じは…何だろう。  
さっきまでとは違う…  
…二人は…何だか  
 
少しずつ  
…意識が薄れていく様な気がした  
 
「………姉…上」  
二人の呼吸が、静かに、  
速く・熱くなっていく。  
…そして、命が彼の名前を呼ぼうとしたその時。  
「…倫… …んっ…」  
そっと、  
倫太郎は命の口を塞いだ。  
…クチュ… ちゅっ…  
「っん…ふ……んン…」  
命は声を漏らす。そして、少し我に返った。  
深い・濃密な 接吻(キス)。  
今までに見た事の無い、弟の色香と、その言いようの無い快感で命は、  
自分の体がびくびくと反応し…秘所が…  
くちゅり…くちゅりと、潤っていくのを感じた。  
「んン…んふ……んん…」「…んっ……」  
更に。  
…するり…  
彼の手がゆっくりと、白く・薄い布一枚の上から、命の乳房の柔らかさを確かめ始めた。そして、彼の舌は命の唇から、耳、首筋へと、ゆっくりと濡らして行く。  
 
(ぞくぞくっ…!)  
「ッンぁあン……!」  
どんどん潤い熱くなって行く命とは対象的に、倫太郎の方は、未だ殆ど無意識のまま続ける。  
だがその雰囲気がまた、更に命を興奮させる。  
 
「ん…///;倫太郎……  
…あ……///;…」  
いつの間にか襦袢は倫太郎の手によってはだけて、倫太郎の手によってその乳房が…くにゅり…くにゅりと…  
「はぁ…あ…ぁあ……倫…っん…///;」  
更に留まらずなぞり続ける倫太郎の口は、首筋から…胸…桜色の乳首を  
唇で、舌で、くちゅん…  
「ひゃン…」  
腹をなぞり…、  
「あ・ぁ・あ…ぁ…v」  
秘所に吸い付く…。  
舌が、それの割れ目を深く、なぞっている。  
「はあ…!///;ぁ あ」  
命はどうしていいか分からなかった。彼に、こんな事望む筈無いのに、  
「あ…!あ…!///;」  
どんどん込み上げてくる快感が…止まらない…  
…止まらない…  
 
「ぁあ…はぁあん…!…あンッ///;あ……!ぁ・ン・んんン・んんんん〜っ///;んっ・あ…」  
その快感はやがて、彼女の秘所から、溢れ出す…  
「ぁあん…!///;」  
溢れ出す…  
 
その時。  
 
「(ハッ!)」  
その瞬間の、命の体の激しい反応に、倫太郎も反応してしまう。…彼は、正気を取り戻したのだ。  
 
「///;はっ…はぁ……  
……!?……」  
そこには倫太郎によって達した、命の姿。  
何がなんだか解らないという様子の倫太郎を、愛しそうに見つめる命。  
「はぁ…///;…っん………倫太郎……?」  
その声に。  
「!!は…あ・姉上…   
…ッ!!(ぎょっ///;)」  
我に返った倫太郎は、目の前に在る光景を、つい、舐める様に見てしまった。"姉上"の、潤んだ目、高揚した頬と、唇、白い柔肌と乳房…汗が垂れて行く腹…そして…開いた太ももの間に…  
「………!!!///;;」  
「(!)倫太郎っ…;」  
「……っ!!///;ふわぁああ《ガバッ!》っ!…  
…っ…んんっ…;」  
腹の底から悲鳴(?)を上げようとした倫太郎の口を、命はすかさず両手で塞いだ。  
 
「んぐぅ…;」  
「こ…今度こそ大先生に聞こえちゃう…///;」  
そう。大先生はどーしたのかと言うと。いつも倫太郎に稽古をつけてきた練習場の端っこで、寂しそうに月を眺めて…おそらく今頃はうたた寝でもしてるんじゃないだろうか。  
命はソレを分かっていながらも声を抑えられず、出来る限り抑えめに、  
 ……喘いでいた……  
「……///;」思い出して赤くなりながら、後ろ向きに座って赤面している倫太郎を背に、襦袢を着直す命。  
「………あの…そ…その……姉上…………」  
「…全く記憶が無い…という訳では………無いわよね…?」  
「へッ!?///;」  
例の如く声が裏返る。…姉が今何を考えているのか、解らない倫太郎。  
「あ…あの…;(困)」  
「……私は……」  
消えそうな小さな声で、命が囁いた。  
 
「…私は……………(嫌じゃなかったわ…)」  
 
「ッえッ!?」  
「えっ!?あっ!?あ…いえ///;その;」  
ゴホホンッ…!;と咳ばらいをし、  
…気を取り直して、倫太郎の方へ向き直す命。  
 
(今夜最後の…。)  
二人の目が……合った。  
 
「…大先生を起こしてきます…。あんな所では風邪をひいてしまうわ。  
…倫太郎も…もう休むのよ。」  
そう言っていつもの笑顔で、温かく微笑んだ。  
 
優しい姉の様な、  
可憐な少女の様な…その、月の光を受けた笑顔に、倫太郎は一瞬みとれて……  
「(はっ…)あ…、」  
そして、自分も微笑んで見せた。  
「……はい  
おやすみ…なさい」  
 
「…おやすみ」  
そう言って今度は少しはにかんだ様に微笑み、命は部屋を出て行った。  
 
…倫太郎は月の光に僅かに目を細めた。  
彼の頬がうっすら桃に染まって見えるのは…  
月の光のせいだろうか。  
 
…そして…  
旅立ちの朝が訪れる。  
 
完。 
 

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