この無人島にやってきて2日目の夜。
あるはずの小屋や食料もなく、一時はどうなることかと思ったが、
みんなで協力してうまくやってる。この調子でいけば迎えが来るまでなんとかなりそうだ。
「じゃ、そろそろ寝るか。」
『おやすみー。』
夕食も済んで外も暗い。何もやることもないのであとは寝るだけだ。
昨日、即席で作った小屋にみんなで雑魚寝する。
昼間、遊んだり食料集めで疲れたこともあってみんなすぐさまぐっすりだ。
俺もすぐに眠りに落ちていた。
時間はいつごろだろうか、ふと目を覚ますときらりが居ない。
昨日の晩は、俺が目を覚ましたとき、ひどい寝相でパンツ丸出しで寝ていたが。
パンツだけじゃない。あの屈んだときに見える胸の隙間にも、昨日からドキドキしっぱなしだ。
こんなサバイバル番組に、あんなワンピース姿で来るかねえ、普通?
いや、まあいいんだが、可愛いし・・。
てか、なに考えてんだ?それどころじゃねえ!
そうだ。きらりのやつ、ひとりでどこに行ったんだ?
危なっかしいことしてないだろうな?
心配になったので、みんなを起こさないように、注意深く小屋を抜け出した。
今夜は満月だ。小屋を出ると、前方の少し離れたところを、月明かりに照らされ歩くシルエットが見える。
間違いない。きらりだ。
「おーい。きらり!」
俺の叫び声は聞こえなかったようだ。きらりは、早歩きですたすたと歩いていく。
「あいつ、どこへ?」
あとをつけていくと、海岸の砂浜に出た。
きらりは、きょろきょろとあたりを見回していた。
俺は、なんとなく見られたらまずいような気がして、低木の茂みに身を潜ませた。
そして、きらりは誰もいないことを確認すると、サンダルを脱ぎ裸足になった。
一歩進んだかと思うと、スカートの下から片手を突っ込み、パンツを脱ぎだした。
「なにい?まさか?」
脱いだパンツをポケットにしまいこみながら、波打ち際まで進むと、スカートをたくし上げ、お尻を丸出しにしてしゃがみこんだ。
「しまった!トイレだったか!」
だが、俺はその姿から目を放すことができなかった。
ぷるぷるっときらりのからだが震えると、
しゃがんだきらりの両脚の間から、月明かりに照らされ、きらきらと輝く放物線が見えた。
そして、お尻の間から黒いシルエットがいくつもポトリポトリと砂浜に落ちていき、それらの全てを波がさらっていく。
ここからでは音は聞こえない。静寂の中に波の音だけが響いている。
その光景は、汚いどころか幻想的でさえあった。
すべてを終えると、きらりは片手で海水を掬い上げ、汚れた部分を丁寧に洗い清めた。
そして、両手を洗い終えると、すっと立ち上がった。
このとき満月に照らされたさわやかな横顔のシルエットは、まるで女神のように美しかった。
俺はきらりがパンツをはきなおすまで、ただただ見とれていた。
「はっ!まずい!早くもどらねえと!」
こんなとこで、鉢合わせしたら、トイレを覗いたことがバレてしまう。
俺は、きらりに気づかれないよう、なんとか小屋まで走った。
そして、小屋の入り口に座り込んで、何食わぬ顔できらりの帰りを待った。
「宙人くん?どうしたのこんなとこで?」
「いや、ふと目を覚ましたら、きらりが居なかったんでな。いったい何してたんだ?」
わかってるのにわかってないふりをして、質問した。
「え?ええっと・・・あの・・その・・、寝付けないんで、ちょっと散歩に・・・。」
案の定、はぐらかしやがった。まあ、当然か。
夜なのでわからないが、きっときらりの顔相当赤いぞこりゃ。
つい、きらりの顔をまじまじと見つめてしまった。
「あ・・、あたしの顔に、何か付いてる?」
「あ、いや、別に。何でもねえ。」
さっきの光景を思い出した。俺の顔もきっと赤いに違いない。
「ねえ、宙人くん。今夜は満月がとってもきれいだね。」
「ああ、そうだな。」
しばらくの間、二人並んで満月を眺めていた。
だが、俺の心は以前にも増して、この満月よりも美しいものに惹かれていることを感じていた。
END