「はじめ!ほら遅刻よ!シャツならそこにあるから早く!ごめんなさいね美雪ちゃん毎日…
あっほらアナタお弁当!んもう、どうしてみんなこうバタバタして…!
二人とも他に忘れ物ないわね?じゃあいってらっしゃい!車に気をつけんのよー…」
今日もいつもどおりの慌しい朝で1日が始まる。
毎日毎日同じ日々の繰り返し、今日はこれから洗濯して掃除して、
天気がいいからお布団でも干そうかしら…
「……はぁ…私ってつまんない人生送ってるかしら…」
お茶とお煎餅で一服しつつ、TVドラマの再放送なんか見てる。
あんな恋愛だの不倫だの、そうそうあってたまるかってなもんだけど、
少し憧れる部分ってやっぱりあるでしょう?そう、たとえばこの間うちに来た刑事さん。
あけちさん、っていったかしら…あんな素敵な人が相手なら昼下がりの情事…
なんてのも悪くはない。
『奥さん、愛しています…』
耳元で愛の言葉を熱い吐息に溶かしながら囁く彼。
ブラウスのボタンをはずす細い指先が時折素肌に触れると、
きっとそれだけで私の身体は敏感に反応してしまう。
『だめよ明智さん、わたしには主人が…』
なんて身をよじってみるけれど、彼はそれを許さない。
優しく、だけど少し強引に手を引かれて寝室に連れて行かれるの。
いつもウチのひとと寝ているベッドのうえで、違う男に抱かれる私。
「…ん、は…ぁっ…」
そんな事を考えつついつしか私はソファに横たわり、ブラウスの下に自分の手をもぐりこませていた。
そんなに大きくはない私の胸、ブラジャーを上に押し上げるとふる、と控えめに揺れた。
『奥さん、綺麗ですよ、とても…』
一度口に含んで濡らした指先で尖った先端を押すように撫でると、
もどかしい快感が下半身まで弱い電流のように走る。
「あ…そんなに…見ないで……」
思わず強くつまんでしまって、ビクンと身体が跳ねた。
明るいリビングでこんな時間から…ううん、自分の身体をこんな風に触って快感を得るのも、
もう思い出せないくらい前からしていない。主人にだってもう長いこと見せていないのに。
乳首を虐める左手はそのままに、もう片方の手をスカートの下にそっとしのばせる、
下着ごしでもはっきりわかるくらいに濡れたそこ。
「ん、だ…め、明智さ…」
割れ目にそって指を這わせると、どんどん染みが広がっていくのが見なくてもわかる。
久し振りの刺激に敏感になった私の身体、控えめに自己主張している突起に触れると
「あっ…!」
反射的に開いた脚を閉じてしまう。
『隠さないで。全部見せてください、あなたを』
そっとショーツをひきおろす明智さん。無意識のうちに彼を助ける様に腰を浮かす自分。
きっとその頃には私の理性はとんでしまっているはず。
「明智さん、触って…ほら、ここよ…」
『ここ、ですか…?』
「ん、指、入れて…もっと奥まで…っあ、そこ…っ」
いつしか動きも大胆になって。汗ばむからだをくねらせ、必死で快感を求める。
『ああ、綺麗だ…奥さん……あなたがほしい…!』
ぐい、と少し乱暴に押し入ってくる熱い塊。
それを思い浮かべながら一気に三本、指を突き立てる。
そこからはもう、何も考えられなくて…ぐちゅぐちゅと響く水音も、快感を高めるスパイスに。
「あっ、あっ、だ…め、明智さん!私…!!」
『いい、ですよ…私ももう、もちそうにない…ッ』
そう言っていっそう動きが激しくなる、狂った様に腰を振り、もうすぐ、あともう少し…!
ぴんぽーん
「!!」
間の抜けたチャイムの音ではっと我に返った。弾かれた様に上体を起こす。
「あ…れ?」
きちんと服を着ている。ソファの肘掛にうつぶせになっていたらしい。
どうやら眠ってしまっていたようだ。
「今のは…夢?……いやだ!私ったらなんて夢みてたの!!」
ちょっと若くてカッコイイ刑事さんとの不倫を想像して自慰行為に没頭する夢だなんて!
「はしたないにも程があるわ…!!」
…でも、気持ち良かった…かな…
ふと、下着に手をやってみる。やっぱり、濡れていた。それは夢の中以上に。
夢の中とは言え、最後までいけなかったのはすっきりしないものだ。
じんじんと疼く下半身をどうにかしたかったけれど、もういちどチャイムがなったので
煩悩を追い払う様に頭をぶんぶんと振り、冷めたお茶を一気に飲み干して玄関へむかった。
「はーい、すみませんお待たせして…」
けれど無理やりに作った笑顔は、すぐに凍り付いてしまった。
ドアを開けた目の前にいたのが、明智さんそのものであったから。