「うわぁ・・・玲香ちゃんち・・広いのねぇ。」
美雪は玲香の豪華なマンションの中を
きょろきょろとおちつかなそうに見回した。
玲香はフフッと微笑みながら美雪にお茶を出す。
「事務所が借りてくれたの。セキュリティだけはしっかりしたとこにって。」
さすが超売れっ子アイドルの速水玲香ね・・・。
美雪は声に出さずにそんなことを思う。
ふわりとお茶から良い匂いが漂ってくる。
どこか不思議な異国の香・・。
美雪はお茶を口に含むとちらりと玲香を見た。
ブラウン管で見る玲香はアイドルらしく適度な愛嬌もあり
どちらかというと可愛らしいイメージだったが
実際の玲香は驚くほどに整った顔をしていた。
陶器でできた人形のようにきめ細かな肌は
触れなくてもすべすべなことがわかるし、
大きな瞳は長いまつげに縁取られて星のようにきらめいていた。
(おんなじ女として自信なくしちゃうなあ・・)
美雪は内心溜息をつく。
玲香が身動きするたびにほのかな香水の匂いまで漂ってきて
同じ年のはずのこの美少女がとても大人に思えてしまう。
「・・・せさん?」
「え?」
くすくすっと玲香は笑った。
「ヤダ、何ぼおっとしてるの?
・・遊びにきてくれてありがとうって言ったのに。」
美雪はかぁっと赤くなる。
美雪は慌ててお茶をすすった。
玲香の果実のような唇が笑みの形を作る。
一瞬、ぞくりとするほどの色気を眼の前の美少女に感じて
美雪はまた頬を染めた。
「七瀬さんって・・・可愛いのね。」
思いもかけない言葉に美雪は咳き込んだ。
「な・・・っ」
ふわりと1gの体重も感じさせず玲香が美雪の隣に腰掛けた。
甘い蟲惑的な香がますます強くなる。
玲香は美雪の健康的な白い頬にそっと細い指で触れた。
美雪の心臓は跳ね上がる。
「れ・・玲香ちゃんの香水・・・いい匂いね。」
あんまり息苦しいので思わずそんな言葉が口をついた。
「・・そう?」
玲香はくんっとその小さな鼻を
美雪に摺り寄せるような仕草をした。
「七瀬さんも、いい匂いよ・・・石鹸みたいな匂いがする。」
美雪はそういわれて頬が燃えるように熱くなるのを感じる。
−はじめにも同じことを言われたことを思い出したのだ。
『美雪は、いつもいい匂いがすんなあ。
・・・石鹸みたいななんか懐かしいような匂いだ。』
・・いわゆる深い関係になってからそう日も深くないせいか
そんな言葉一つにも体中に火がついたようになる。
(やだっ・・もう・・私・・・けっこうエッチなのかなぁ)
美雪が頬と体の火照りをどうしようもできずにいると、
玲香がまたくすっと笑う。
けれどそれはどこか棘を含んだものだった。
「・・・何を、思い出してたの?」
「え・・・」
「金田一君のこと・・・。・・・あたりでしょ?」
図星をさされて美雪は玲香を思わず見つめた。
「七瀬さんって・・・すぐ顔に出るのね?
・・・金田一君が好きになるわけよね?」
「れ・・・いかちゃ・・」
「素直で・・・可愛くて・・一途で。」
美雪は玲香の妖しいまでに輝く瞳から眼を離せなくなる。
「ずっと側にいたなんてずるいわよね。
・・・出会わなかったのは、私の所為じゃないのに・・。」
玲香の熱くて甘い吐息が美雪の首筋をかすめた。
「きゃ・・・っ」
思わず出てしまった嬌声に美雪はうつむいてしまう。
「感じやすいのね。」
くすくすと笑う声は少し意地悪な響きを持っていて
なぜかますます美雪は火照りを抑えられなくなってくる。
その瞬間 美雪の白磁の首筋を柔らかく濡れたものがちゅるっと触れる。
「!!れっ・・・」
その濡れたものが玲香の紅く輝く唇と猫のような桃色の舌だと
一瞬後に悟り、美雪は体をびくっとふるわせた。
唇の濡れた感触に続いて玲香の細い、しなやかな指がつつっと
美雪の首筋を辿るのを感じる。
そしてそのくすぐったいような甘美なような不思議な感触が
ぴたりと1点で止まった。
「ここ・・・・赤くなってる。・・・キスマークね。」
くすりと玲香の形の良い唇が微笑んだ。
美雪は先日の情事でついた物だと気付き
顔から火が出るほど赤くなる。
(は・・はじめっちゃんたら!
人の目に付くところはやめてっていったのに・・!)
幼なじみの恋人を心の中で責めていると 玲香が
その唇をゆっくり開いた。
「・・ねえ、言ってみて。」
「・・え?」
何時の間にか玲香の妖しく艶を含んだ瞳が美雪の眼の前にあって
美雪は息が止まりそうになる。
「・・金田一君はなんていいながら貴女を抱くの・・?」
美雪は息を止めて 玲香を見つめた。
くっと玲香が笑う。
「やだ、冗談よ。なんて顔してるの?」
美雪はほっとしてふふっと笑う。
「玲香ちゃんったら・・じょ・・」
うだんきつい・・と続けようとした言葉は玲香の唇に飲み込まれていた。
美雪の唯一知っている幼なじみのそれとは違う
どこまでも柔らかで妖しくぬめる唇だった。
「!・・んんんっ・・」
その唇は柔らかくどこまでも美雪の唇に吸い付いてくる
そのうち生き物のように舌が美雪の中に入ってきて
くすぐるようにくちゅくちゅと這い回った。
美雪は背骨に快感が這い登ってくるのを感じて
思わず声を上げた。
「ぅうんっ・・はぁっ・・」
玲香がそっと美雪を放す。
そして美雪に囁いた。
「こういう、キス・・・するんでしょ?彼と。」
その声はどこまでも甘いのに・・どこか毒を含んでいた。
美雪は夕闇に光る星のような瞳から目を離せずに
小さく息を呑んだ。
本能的に後ろに身を引くと柔らかな腕がそれをそっと阻んだ。
「教えて・・くれないの?意地悪ね・・。」
くすくすと耳元で囁くように言われると吐息が耳にかかり
甘い感覚が美雪のからだの奥を貫いた。
ぴく・・んっと美雪の体がはねるのを玲香はフフッと笑いながら見ていた。
「れいかちゃ・・もう・・やめ・・」
「やめて?・・・何を・・?」
言うなり、玲香は美雪の白くたわわな胸をそっとなぜた。
幼なじみの愛撫とは違う・・とどこか冷静に美雪は感じた。
はじめちゃんはもっと・・・奪うように求めてくる。
でも玲香の愛撫は子供のいたずらめいていて
それだけにもっといけないことをしている気分になる。
「・・ぁあん・・っ」
出すつもりの無かった自分の甘い声に美雪はますます真っ赤になる。
「ほんとに可愛いのね・・・ずるいなあ。」
玲香は美雪のブラウスのボタンを外すと
するりと中に華奢な指を忍ばせた。
美雪の桃色に染まる胸の先端に玲香の白い指が触れると
美雪の深奥から
甘すぎて苦しいほどのうずきが湧き上がってくる。
「ゃああ・・ん・・・っ!!」
「ふわふわのおっぱいね」
玲香の優美な唇に不似合いな直接的なその言葉は
酷くいやらしくて美雪はどんどん思考を奪われていく
玲香の小さな唇から猫のような桃色の舌がちろりと覗く
ビスクドールのように妖しいまでに整った美貌の少女は確かに微かに笑った。
美雪は小さな棘をちくん・・と感じた。
その痛みはすぐに甘い疼きに飲み込まれた。
「ふぅ・・・っああんんっ」
「胸の大きな人って感じにくいって言うけど・・それは嘘ね。」
「・・・え?」
玲香はつつぅっとほっそりした指を美雪の桃色の胸の果実から白い腹にそわせた
その柔らかな愛撫に美雪は抑えようとしてもびくびくと体が動いてしまう。
玲香はますます妖しく微笑んで、さらに美雪の下着の中にするっと指をもぐりこませた。
「やぁっ・・・そこは・・っ!!」
美雪の声に構わず玲香はくちゅっ・・と指を動かし、くすくすと笑った。
「だって・・・こんなに・・・」
玲香は美雪の耳朶に軽く唇で触れるようにして甘く囁いた。
「・・・ぐちゃぐちゃ。」
美雪は顔から火が出そうなほど恥ずかしく感じた。
(私・・・やっぱりすごくやらしい子なんだ・・・!)
涙が出そうで唇を噛み締める。
「わ・・・私っもう・・帰る・・っ」
やっとそれだけ言ってブラウスをかき合わせようとする美雪の手を
玲香がやんわり止めた。
「短気ね・・もっともそんなところが金田一君に愛される理由なのかしら・・?」
「はっはじめちゃんは関係ない・っんむ・・っ」
美雪の唇は再び玲香の唇に包まれた。
ぴちゃぴちゃ・・と舌がしびれるほどに弄られ意識が甘い霧で朦朧としてくる頃、玲香の声が耳に届いた。
「『好きだよ・・・美雪』・・・こんな風に彼は囁くのね・・?」
美雪は朦朧とした意識の中哀しささえ含んだ玲香の儚い微笑を見た。
「・・・・」
「神様は意地悪だわ。―出会わなかったのは私のせいじゃないのに・・・」
それはまるで触れたら溶けてしまいそうな繊細な氷細工のようで。
美雪は朦朧としながらもふんわりと玲香を抱きしめた。
なぜか美雪の大きな黒い瞳からも涙がこぼれていた。
「七瀬さん・・?」
美雪は微笑みながら玲香の哀しい唇に唇を重ねた
最初は柔らかくそして次第に深く。
瞬間硬くなる華奢な手足が玲香の戸惑いを伝えたが
少しずつはらはらと解けやがてすっかり美雪の体に体を預けてくる。
それでもほとんど重さを感じない華奢な体を美雪は守るように抱きしめた。
「玲香ちゃん・・・目を閉じていて。」
「え・・?・・・あ・・・っ」
美雪は玲香の服の中に白い指をいれ、
小ぶりだが形のよい胸にそっと触れた。
愛し方などわからなかったけれど。
ただ、『彼』がいつもするように。
その愛し方を頭の中でなぞりながら美雪は指を動かした。
「は・・・っ・・・ぁああんんっ・・」
玲香の胸の突起が美雪の指の中で形を変え始めるのがわかる。
それに優しく触れたり、日本の指で柔らかくはさんだりするたび
甘い喘ぎが玲香の唇から漏れた。
美雪は玲香の薄いブラウスのボタンを外し、ブラジャーもはらりと外した。
痛々しいほど真っ白な胸がぷるっと姿をあらわした。
「・・や・・っ見ないで・・」
「・・・どうして?」
「私・・・の胸・・小さい・・から・・。」
美雪は首をふり、小さく囁いた。
「ううん・・かわいい。」
目をつぶったまま玲香はびくんっと小さく震えた。
玲香の長いまつげも風にゆれるように震えている。
美雪は色づき始めた突起をつぷっと唇で噛んだ。
「・・あっ・・んんっ・・・はぅ・・っ」
そのままぺちゃぺちゃと舌を動かすと玲香の腰が浮いて
絡みつく腕の力が強くなる。
そう・・こんな風にしつこいほどに『彼』は弄ってくるのよ・・
玲香の陶器のような白磁の肌が薄く紅色に染まり、
うっすらと汗がにじんでくる。
そこからくすぐったいほど甘い香が漂ってくる。
美雪は指を滑らせじんわりと濡れている秘所に触れた。
そのまま指を熱い中に差し入れ、やわやわと動かした。
つるつると熱い粘膜が美雪の指を飲み込むように包んだ。
くちゅ・・くちゅ・・と淫らな音が響く。
「!!ひぅ・・っああああぁああんっっ・・」
玲香の閉じられた瞳から一筋の涙が滑り落ちた。
「あ・・・っあああ・・・好きなの・・・好き・・・」
わかってるから・・・
美雪は玲香の華奢な体を包むように抱きしめた。
何もあげられはしないけど、せめて。
全身で感じてほしい。
私を・・・彼を。
玲香の中にある美雪の指の熱さが頂点が近い事を教えた。
指の動きを激しくしようとして
玲香の小さな細い手に止められる。
「私も・・・してあげる・・。」
言葉と同時に玲香の熱をもった唇が美雪の唇に重なった。
「・・・っ!」
そのままやんわりと生き物のように舌が口の中を這い回る。
ぴちゃ・・ぴちゃと淫らな音が響いた。
そして玲香のすんなりとした指が美雪の白い肌をすべり
熱い秘所へとたどり着いた。
指が侵入してくる甘い感覚に美雪の口が知らず開いた。
「あっ・・ふぅあああっんんっ・・・」
その喘ぎもまた玲香の唇に飲み込まれる。
ぴちゃぴちゃ・・くちゅん・・・
淫らな水音が互いをむさぼり尽くしていく。
「あ・・ふぅ・・・っ」
甘い切れ切れの嬌声が2人の少女の唇から漏れる。
互いの感覚だけを頼りに指の動きは激しくなっていく。
「「・・・っあああんんんひゃあああんっぅうんっ!!」」
ひときわ甘く高い喘ぎがもれ、玲香の体が反り返り、また美雪の体が
がくがくっと震え、2人は同時に頂点を極めた。
半ば気を失っていた美雪が玲香が泣いているのに気付いたのはしばらくしてからだった。
「ごめ・・・なさ・・。好きなの・・・ただ・・・どうしようもなく好きだったの・・・」
もう・・いいの。
美雪は玲香の震える細い肩を暖めるように抱きしめた。
数日後。
「美雪〜今度の日曜映画でも行こうぜー」
そんな声をかけてくる幼なじみの恋人に美雪は微かな笑みを浮かべた。
(まったくのん気なんだから・・)
「美雪?」
「だめよ。日曜はデートだもの。」
「・・・ええっ!?だ・・・誰だよっ相手は。」
「ふふっ。・・なーいしょ。」
美雪はくるりと背を向けると歩きはじめた。
「あっ・・こら教えろっ。ま・・まさか草太か!?あのムッツリ!
それともあの淫行イヤミエロ警視じゃないだろうな!?」
子供っぽいヤキモチに少し笑うと美雪は足をとめ
恋人に片目をつぶってみせる。
「幸せな人には教えないよーだ」
そうよ。
乙女の涙2人分は悩みなさい。
美雪はもう一度微笑むとまた歩きはじめた。
終わり