それは深月が愛犬と散歩をしていた時のこと。
良い所の子女にもかかわらず、何の用心も無く出歩くのが深月の常であり、この日も一人で
愛犬のリンゴと市井を回っていたところでした。
いつもの散歩道、空模様に心和やかに足を進めていると、前方から誰かがやってきます。
(あれは・・相原さん・・)
相原光一の姿を見て挨拶を交わそうとした深月でしたが、次の瞬間、彼女は驚愕に凍りついてしまいました。
「え・・ええ?!!」
深月が向けた視線の向こう、なんとそこには目隠しをされ首輪をはめ、四つん這いで歩く
全裸の少女がいたのです。そして首輪に繋がれた手綱を相原光一が握っていました。
あまりにも非常識かつありえない光景に言葉を無くし立ち尽くす深月。
「・・祇条さん?どうしたの祇条さん?」
深月の様子を怪訝に思った光一が声をかけ、幾度かの呼びかけを経て深月はようやく我にかえりました。
「相原さん・・」
「はい?」
「あ、あなた一体何をやっているんですか・・!!」
「何って・・菜々の散歩だけど」
「なっ?!・・こ、これが・・?! 相原さん、あなた気は確かですか!?」
「ちょっ・・祇条さん、どうしたの? 僕なんか気に触るようなことした?」
目を丸くして立ち尽くしていたかと思いきや、突然怒りの剣幕でまくしたてる深月に戸惑う光一。
それはいつも温厚で穏やかな彼女からは想像もつかない激しいものでした。
深月は深月で、自分の行為に何のやましさも抱かない光一に苛立ちと戸惑いを覚えていました。
見間違えようにも光一が犬のごとく牽いているのは紛れもなく全裸の少女で彼の実の妹であり、
常識云々以前にこんなことが許される道理などあるはずが無いのです。
しかし異常な状況に気を取られ、彼女は気づいてませんでした。
リンゴの手綱がいつの間にか手元から外れていたことに。
「きゃあああッッ!!なっ何っっ?!」
「リ、リンゴ?!」
「菜々ぁッッ!!」
出し抜けに上がった悲鳴に光一と深月が視線を移すと、そこには
リンゴに後ろからのしかかられた菜々の姿がありました。
「お、お兄ちゃんっ!!何?!何なの?!菜々怖いよぉ!!」
「何をやってるのリンゴ!!その子から離れなさい!!」
だが深月の命令も空しく、リンゴは菜々から離れるどころかなんと
ビンビンに勃ち上がった逸物の切先を菜々の秘唇に突きつけてきたのです。
「ぃゃぁ・・!」
悪夢の瞬間はすぐ、そこでした。