結美と別れてからの生活は、またいつもの退屈な生活が待っていた。  
勉強に集中するわけでもなく何気なく生活していた。  
そういう訳で結局たいしたことの無い地方の大学に進学したオレであったが  
さすがに大学3年の頃には就職先を考えねばならなかった。あまり好景気とは言えない  
世の中ではあったが、繊維会社の営業職になんとか内定した。  
   
そんなある日、電車の中で二人の高校生のカップルを見かけた。そのカップルの女の子の  
方がいつか昔見かけたことがあるように見えた。よくよく見てみるとそれは結美にそっくりの  
女子高生だった。この光景を見たときオレはある決心をした。  
結美にもう一度会おうと。そしてできればあの時のような関係になろうと・・・・・  
 
結美が転校した先は東京であるということは知っていたので、とりあえず東京の本社に転勤  
できないかと上司に相談してみた。しかしこれといった営業実績の無いお前ができるわけない  
と門前払いされた。そこでなんとか2年間休日も働きまくって実績を出したら、さすがに上司も  
認めてくれて東京の本社に転勤できた。  
 そんなわけで東京の本社に行ったのだが、まず上司として紹介されたのは同期の奴で  
しかもそいつの名前が 柊 明良!!かなりムカついた。なんでこいつがオレの上司なのか  
なんでオレと同じ会社にいるのか理解できなかった。  
「やあ、相原君。相変わらずボーとしてるね。」  
そんなことばかり言われている。かつてのようにオレの恋愛相談に乗ってくれた時代が懐かしい。  
そうこうしているうちに昼休みの時間だ。  
今日のオレの弁当はカツカレー弁当。近くのほっかほっか亭で買ってきたもんだ。  
柊は違っていた。愛妻弁当だ。しかも作っているのが菜々だから余計に腹立つ。ついにオレは  
妹からも見捨てられてしまったのか。  
 
そんなある日の事、いつものように仕事をしているときに柊から面白いことを教えてあげると俺を  
屋上に呼び出した。  
「で、話ってなんなのさ。」  
「キミに伝えたい事があってね。」  
「どうせ菜々が妊娠したとかそんなことか。」  
「当たり!!」  
「・・・・・・・・・・・」  
あいた口が塞がらなかった。冗談半分で言ったつもりだったのに。やはりでこちゅーは柊の男根には  
かなわなかったか。  
「いやそんなにショックを受けないでくれよ。それより星野さんなんだけど東京に転校した後、  
サウジアラビア行ったんだって。」  
マジで。どうして中東に!?  
「いや、星乃さんのお父さん今、大手石油会社を早期退職されて現地で起業したんだって。」  
ホリえもんを見習って起業は今流行しているが、わざわざ中東まで行かなくたって。とんだ馬鹿オヤジだ。  
「だから結美さんもそこにいるかもしれないよ。」  
結美がそこにいるかは、わからないにしてもお父さんに会えばなにかわかるかもしれないと思い  
人事の担当者に材料課のほうのサウジアラビア支店への転職を要請した。  
かなりいろいろ言われたがなんとか了解してもらい、俺はサウジアラビアへ向かった。  
 

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